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第六十六話 デビュー

ママがいなくなると支度部屋の雰囲気は変わる。

それまできちんとしていたお嬢たちが本性をみせる。

乱暴な言葉を使ったり、横柄な態度をとったりしていた。


「さあ、モモナ。これに着替えて」

「何だ、これは?」

「水着よ。これがうちの店の制服なの」

「水着って紐じゃないか」


マリアーヌが差し出した水着は布面積が小さい紐のような水着だった。

しかも白でちょっと透けている。


「こんなの着れるかよ!」

「それを着ないとお店に出られないのよ。文句を言ってないで早く着替えて」


私が水着に着替えることを拒否しているとマリアーヌの機嫌が悪くなる。


マリアーヌは慣れているようで何のためらいもなく紐のような水着に着替える。

大事なところが隠れているだけで後は紐そのものだった。

しかも、生地が薄いので薄っすらと地肌が見えている。


「私は嫌だからな」

「じゃあ、お金はいらないって言うのね。それならそれでいいけど」

「くぅ……」


マリアーヌは私の足元を見て責めて来る。


「着ればすぐに慣れるわよ。この締め付け感がたまらなくいいわよ」

「セルフィーナ姉さんのようになっちゃダメよ」

「あら、マリアーヌ。私のどこがいけないって言うの?」

「全部です。セルフィーナ姉さんみたいな変態はいらないんです」


セルフィーナと呼ばれたお嬢は紐の食い込み具合を喜んでいる。

ちょうどお尻の割れ目に紐がグイッと締め付けているから感じているのだ。

マリアーヌが言うようにセルフィーナはド変態のようだ。


「さあさあ、時間だよ。早く支度をおし」

「モモナ、早く着替えてよ。遅刻しちゃうでしょう」

「私は嫌だ」

「聞き分けのない娘ね。マリアーヌ、モモナを抑えなさい」

「何すんだ。放せよ、こら!」


セルフィーナに言われてマリアーヌは私を羽交い絞めにする。。

すると、セルフィーヌが私の服を強引に脱がしはじめた。


「あら、カワイイお胸ね。Bカップぐらいかしら」

「アンッ」


セルフィーナは私の胸を見てサイズを言い当てると先っちょを指ではじいた。


「感度は良好ね。張りも合っていいわ」

「ちょっ、胸を揉むんじゃねぇ」

「あら、女同士ってのも楽しいものよ」

「私にそんな趣味はない」

「セルフィーナ姉さん。遊んでないで着替えさせてよ」

「ごめんごめん。つい、うっかりね」


つい、うっかりと言うかはじめからそれを狙ってマリアーヌに抑え込ませたのだ。


セルフィーナはただのドMじゃなくてド変態のようだ。

女同士でエッチし合うなんて一般の人じゃ考えないことだ。

やっぱりエッチは好きな異性同士がするものだと私は理解している。


「さて、お次はメインディッシュね」

「お、おい。やめい」

「あら、いやだ。つるつるじゃない」

「見るんじゃねぇ」

「私はモモナの年頃はもう生えていたけどね」

「私は成長が遅いんだ」


セルフィーナは私のぱんつを下ろして大事なところをガン見する。


いつぐらいから生えるのかは人それぞれだ。

早い人もいれば遅い人もいる。

だから、生えてないからって気にする必要はない。


「こちらの感度はどうかしら」

「お、おい。触るんじゃ……アンッ」

「こちらも感度はよさそうね」

「セルフィーナ姉さん。いい加減にしてよ」

「アハ。ごめんごめん」

「野郎、覚えてやがれ」


マリアーヌが止めなかったら私はセルフィーナに犯されていただろう。

マリアーヌに押さえつけられて身動きがとれないからセルフィーナのやりたい放題だ。

はじめてがセルフィーナだなんて私のエッチの履歴に傷がついてしまう。


そんなこんなで私はセルフィーナにいいようにされながら水着に着替えさせられた。


「あら、似合うじゃない。これなら指名もつくわね」

「胸のサイズがちょっと気になるけどね」

「マリアーヌとどっこいどっこいよ」

「私の方が大きいよ」


マリアーヌは否定するが私の胸のサイズとほとんど変わりがない。

他のお嬢たちに比べたら私達は貧乳クラスに入っている。


「まあ、うちのお客には貧乳好きもいるから安心して」

「私は貧乳じゃない」

「はいはい。それじゃあ、お店に出るわよ。着いて来て」


マリアーヌは納得せずにひとりブー垂れていた。


私はセルフィーナに連れられてお店に向かう。

薄暗い長い廊下を通り抜けるとお店の裏口に出た。


「中にはもうお客様がいるからね。胸を張って出て行きなさい」

「私の後について来て」

「……」


セルフィーナが先頭を切って裏口の扉から店に入って行く。

それに連なるように他のお嬢たちもゾロゾロと続く。

私とマリアーヌは最後尾についた。


新人の場合は最後に入らないといけないルールがある。

先輩のお嬢たちを抜かして店に入ることは失礼に値するのだ。

そのことはお嬢たちの間では徹底されて教え込まれている。


お嬢たちが店に入るとお客たちが歓声と拍手で迎えてくれる。

すでに席は満席でお客たちはお嬢たちが来るのを待っていた。


「今宵もハニーbeeにご来店いただきありがとうございます。心行くまでお寛ぎください」


セルフィーナは大きな声で来店したお客たちに挨拶をする。

すると、お嬢たちは別れて、それぞれの席に着く。

指名がない限り誰がどの席に着くのは決まっていない。

なので来た順に従ってお嬢たちはお客の席に着いた。


「皆さまにご紹介したい娘がおります。今日、入ったばかりの新人でモモナと言います。今後とも御贔屓にしてくださるようお願いいたします」

「さあ、モモナ。みんなに挨拶して」

「何で、私が……」


セルフィーナに紹介されるとマリアーヌが私を前に押し出す。

しかし、私にはその気がないので自己紹介を拒んだ。


「モモナ、恥をかかせないでよ」

「嫌だよ」

「もう、モモナ。何をしているのよ。お客さまに挨拶しなさい」


温厚なセルフィーナも恥をかかされて機嫌が悪くなる。

私を強引に前に押し出して挨拶をするように迫って来た。


「セルフィーナ、もういいよ。挨拶はいいからこっちへ来て」

「おい、勝手なことを言うなよ。新人ならこっちの席が優先だ」

「何言っているんだ、お前ら。俺のことを忘れているんじゃないか」


来店していたお客たちは私を巡って言い争いをはじめる。

誰が先に新人を席に着かせるか競い合っているようだ。

すると、一番奥の席にいた常連のお客が手を上げてセルフィーナを呼んだ。


「モモナのご挨拶は順番にして行きますのでしばしの間、ご寛ぎください」


それを見ると他の客も文句を言うのを止めて席に着いたお嬢たちとお喋りをはじめた。


「さあ、モモナ。こっちに来なさい」


私はセルフィーナに連れられて指名をした常連のお客の席へ向かう。


常連のお客はお腹が太鼓のように膨れ上がったおやじだった。

金持ちなのかありとあらゆる場所に金ぴかの装飾品を身に着けている。

その価値をざっと見積もっても金貨300枚はくだらないものだった。


「コルトムさま、御指名を頂きありがとうございます。この娘が新人のモモナです。さあ、モモナ。挨拶をしなさい」

「チッ」

「モモナ。その態度は何。コルトムさまに失礼でしょう」

「まあまあ、セルフィーナ。新人さんもはじめてで緊張しているんだよ」


私が御贔屓にしている常連客に不躾な態度を取ったのでセルフィーナが怒る。

見かねたコルトムはセルフィーナを嗜めてその場を取り繕った。


「ささ、こっちに座って」

「言うことを聞きなさい、モモナ」

「モモナ。セルフィーナ姉さんをこれ以上、怒らせてはダメだよ。取り返しがつかなくなるから」


マリアーヌがそんな脅しをかけて来たので私は仕方なくコルトムの隣に座った。


「カワイイ子だね。緊張しなくてもいいんだよ。おじさんが優しくしてあげるから」

「勝手に人の手に触るんじゃねぇ」


どさくさに紛れてコルトムは私の手を自分の足に乗せていやらしく撫でて来る。

気持が悪いので私は文句を言いながら手を振りほどいた。


「威勢があっていいね。ボクはそう言うのは嫌いじゃないよ」

「躾がなってなくてすみません」

「いいんだよ、セルフィーナ。後でたんまりとお礼をしてもらうから。グフフフ」

「もう、コルトムさまってエッチなんだから」


お礼と言うのが何を指しているのかわからなかったがある程度は想像できた。

恐らく体で払えと言うことなのだろう。


すると、黒服がやって来てセルフィーナを呼んだ。


「ごめんなさい、コルトムさま。指名が入ったので席を外します」

「こっちは気にしないでおくれ」

「マリアーヌ、モモナのことを頼んだわよ」

「は~い」


セルフィーナはマリアーヌに後のことを頼むと指名した客の席へ向かった。


「それじゃあお酒を入れてもらうかな」

「……」

「モモナ、言われた通りにして」

「何で私が」


私が頑なに拒んでいるとコルトムがグラスを取って私の前に置いた。


「お酒の入れ方を知らないのかい?なら、ボクが教えてあげるよ」

「お、おい。その汚い手をどけろ」

「グフフフ。心配しなくていいんだよ。優しく教えてあげるから」


コルトムは私の手を掴んでグラスを握らせるともう片方の手で氷を入れる。

私は力を入れて抵抗したがコルトムの力の方が勝ってされるがままだった。

そしてコルトムは酒瓶を掴ませると蓋を開けてグラズに酒を注がせた。

その時に抵抗したので酒瓶が的を外してコルトムの足にかかってしまう。


「うわっ、やってくれたね」

「モモナ、何をしてるのよ。お酒がこぼれちゃったじゃない」

「こいつが勝手にしたことだ」

「これじゃあ一張羅が台無しだよ」

「モモナ。コルトムさまに謝って」

「何で私が」


お酒がズボンにかかってもコルトムは声を荒げることはしない。

落ち着いた態度で接して私に後処理をするように迫って来た。


「もったいないから、このお酒を飲んでくれるかい?」

「そんなもの飲めるか!」


お酒はコルトムの太ももにたっぷりと沁み込んでいる。

それを飲めだなんてどんな変態行為を迫って来ているのだ。

ただ、それはコルトムの冗談ではなく本気の要求だった。


「それじゃあ許すことはできないね」

「モモナ、言われた通りにして」

「出来るかよ、そんなこと」

「なら、後でママに報告しなくちゃならないよ」

「モモナ。コルトムさんの言う通りにして」


マリアーヌは何を恐れているのかコルトムの言う通りにしろと言って来る。

その目は真剣そのもので冗談の欠片も見えなかった。


「どうするんだい?」

「誰がやるか、クソジジイ」

「コルトムさま。私が代わりにやるわ。だから、ママに報告するのだけは止めて」

「ダメだよ。ボクはモモナを指名しているんだからね」


コルトムはあくまでも私にやらせたいようだ。

マリアーヌが代わりにやってくれるならそれに越したことはない。

だけど、コルトムはマリアーヌの申し出を断った。


「さあ、どうするんだい?」

「モモナ。やって。じゃないととんでもないことになるのよ」

「嫌だよ。そんな汚いこと出来るか」

「やって!」

「お、おい。放せよ、この野郎」


見かねたマリアーヌは私の頭を強引にコルトムの太ももに押しつける。


「さあ、舐めて」

「誰がするか」

「いけない娘だね。これはお仕置きをしないといけないね」

「お、おい!どさくさに紛れてどこを触っている!」


コルトムは突き出た私のお尻を鷲掴みにして揉みくだす。

いやらしい手つきでほぐすように私のお尻を触りはじめた。


「やっぱり若いってのはいいね。柔らかだけど張りがあって気持ちがいい」

「汚い手で触るんじゃねぇ。おい、マリアーヌ。手をどけろ」

「我慢して。これもお店のためなの」


コルトムにお尻を触らせることが店のためになるだなんて理解できない。

この店は飲み屋であってお触り屋ではないのだ。

こんな横暴を許していてはいけない。


だんだんとコルトムはエスカレートして来て私のお尻を弄ぶ。


「アンッ」

「気持ちいいかい?」

「気持ちよくなんて……アンッ」

「グフフフ。生娘だねぇ~」


コルトムの指先は容赦なく私のお尻を弄ぶ。

感じるつもりはないけれどなんとも言えない気分だ。

はじめて人にお尻を触られたから気持ちよくなっている。


「じゃあ、こっちの方はどうかな」

「お、おい。止めっ。そこは……」


調子に乗ったコルトムが私のお尻から大事なところに手を持って行く。

そして私の大事なところを弄ぼうとした。


さすがに私もそれは許せないのでマリアーヌの手を振りほどくと勢いよくコルトムの頭をグーパンチした。


「調子に乗るんじゃねぇ、クソジジイ!」

「アタッ」


強引にマリアーヌを振りほどいたのでテーブルがひっくり返ってしまう。

その物音に驚いたお嬢やお客たちが総出で立ち上がった。


「モモナ!あなた、なんてことをしてくれたのよ!」

「こいつが先に手を出して来たんだ」

「お客さまを殴るなんて前代未聞だわ。コルトムさま、大丈夫ですか」

「イタタタ……こんな娘ははじめてだよ。でも、気に入った」


コルトムは怒るどころか逆に私を気に入ってくれたようだ。

ただ、セルフィーナやお嬢たちは慌てふためいている。

セルフィーナが言った通りお客に手をあげたお嬢ははじめてなのだ。


「マリアーヌ。モモナを下がらせて」

「は~い」


私はマリアーヌに連れられてお店から出て行く。

後片付けは黒服の仕事でせっせと作業をしている。

セルフィーナはコルトムの機嫌をとるように接待していた。


私はマリアーヌと支度部屋に戻って来て呆れられた。


「モモナも大胆ね。お客さまに手をあげることがどんなことか知らないでしょう」

「あいつが先に手を出して来たんだ。私は悪くない」

「それでもお嬢なら我慢しなくちゃいけないの」

「あの野郎に好き放題されろってのか。私にはできない」


そもそもお嬢の体を触るなんてセクハラだ。

しかも大事なところまで触ろうとしたのだ。

これを犯罪と言わずに何というのか。

それを我慢しろだなんてふざけている。

頭の思考回路が壊れているんじゃないのか。


「後でママからキツク叱られるわよ。私、知ら~ない」

「私は悪くない」


マリアーヌは呆れたように言うと化粧台の前に座った。


「まあ、モモナの気持ちもわからない訳ではないわ。私だって新人の頃はお客さまにイジメられたわ」

「何をされたんだよ」

「私の場合は頭からお酒をかけられたんだけどね」

「そんな奴、殴ってやればいいんだ」

「私はモモナほどバカじゃないからね。その時は我慢したわ」

「そんなに弱気な態度だからいいようにされるんだ」

「そうかもしれないわ。けどね、そのことがあってからそのお客は私を指名してくれるようになったのよ。今ではあの経験があってよかったって思ってる」

「私には理解できない世界だ」


イジメっ子が指名するのはさらにイジメたいからだ。

マリアーヌが困っている顔を見て喜んでいるのだ。

イジメっ子ってのはそう言う奴が多いから頂けないのだ。

なぜだか私にはそう思えて仕方がない。


「モモナもそのうちわかるわ」

「わかりたくもないけどな」


わかる前にこの店を止めている。

もう、既に止めるつもりでいるからだ。

いくら給金がいいからと言ってセクハラされるのは困る。

どこぞの馬の骨ともわからないおやじに好き放題されるのだ。

それは公開処刑をされているのと同じだ。


「とりあえず、もうお店には出られないからお風呂へ行くよ」

「風呂?」

「モモナも体を洗いたいんじゃない?」

「ああ、そうだな。私の体についたエロおやじの菌を洗い流したい」

「じゃあ、着いて来て」


私はマリアーヌに連れられて店に併設されている風呂場へ向かった。


お店の風呂と言えばこじんまりとした場所を想像するが実際は違った。

天然の温泉が湧き出ていて露天風呂が用意されていた。

その隣にはシャワー室があってサウナまで完備されている。

どこぞのホテルよりも豪華な造りになっていた。


「おい、本当にここが店の風呂なのか」

「すごいでしょう。私もお風呂が気に入ってこの店にしたんだ」

「下手な宿屋に泊まるよりも豪華だ」

「着替え、そこに置いておくから」

「何だ、この服は?」

「お店に出入りしているのに制服なんて着せられないからね」

「随分と深いスリットが入っているんだな」

「お嬢ならお嬢なりの格好をしてないと様にならないのよ」


マリアーヌが用意した着替えはチャイナドレスのような服だった。

まあ、セントヴィルテール女学院の制服を着ているよりかはいい。

ただ、少し攻め過ぎではないかと心配になって来る。

制服を着ているから足を出すことに抵抗はないがそれでもだ。


「さっさと入らないと他のお嬢たちが来るわよ」

「お、おう」


私はマリアーヌに迫られてほぼ裸の紐の水着を脱いで裸になる。

しかし、裸になった感覚はほとんどない。

紐水着を着ている時点で裸のようなものだったからだ。


「マリアーヌ、行きま~す」


ドバーン。


「いきなり飛び込む奴があるか」


マリアーヌは子供のように温泉へダイブした。


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