第六十四話 仕事を終えて
ダイニングへ来ると目の前の光景に驚いてしまう。
テーブルには豪華な料理が所狭しと並べてあったからだ。
私がミクの家にお世話になってからも見たことがない。
それだけパパとママはナコルを歓迎していることだ。
「クリスマスみたいでしょう」
「ちょめちょめ」 (何よ、この歓迎ぶり。私の時とぜんぜん違うじゃん)
「こんなご馳走を見るのははじめてです。感激です」
さっそくナコルは猫を被って思ってもいないことを口にする。
すっかりこのキャラクターが板についているようで抜けがない。
ナコルにこんな演技力があったことは驚きだが素直に喜べない。
私以上にパパとママから歓迎されていることが癪にさわるのだ。
「そう言ってもらえると作ったカイがあったわ」
「これ全部、ママさんが作ったのですか?」
「そうよ。味には自信はないけどね」
「すごいです。私、料理は苦手なのですごいと思います」
「そんなに褒めないでよ。今度、いっしょいにお料理をしましょう。いろいろと教えてあげるわ」
ナコルに褒められてママのテンションはさらに上がる。
普段、あまり他人から褒められないから嬉しいようだ。
「ママ。立ち話もなんだし、ナコルさんに座ってもらいなさい」
「そうだったわね、ついうっかり」
「ナコルさん、どうぞ座ってください」
「遠慮なく」
「ちょめちょめ」 (少しは遠慮しろ。お前のために用意してくれたんだぞ)
まるで殿様のような歓迎ぶりに虫唾が走る。
パパとママはすっかりナコルを信用しているから仕方ないけどムカつく。
本当だったら私がこのような歓迎を受けていたはずなのだ。
「ちょめ太郎、焼きもちを焼いているの?」
「ちょめちょめ」 (別に焼きもちなんて焼いていないわ。私は焼き餅屋じゃないし)
「冗談が言えるなら心配ないね」
ミクに言われてはじめて焼きもちを焼いていることに気づく。
ナコル相手に焼きもちを焼くだなんて私も焼きが回ったようだ。
「それではみんなが揃ったところでお祈りをするぞ」
「ちょっと待ってください。ルイちゃんがいませんよ」
「ルイはみんなといっしょに食事ができないんです」
「病気が悪化してしまうかもしれないからルイだけ部屋で食べるんです」
「そんな……。ひとりぼっちだなんて可哀想過ぎます」
ナコルのその意見には賛成できる。
ルイだけ別だなんて仲間外れにされているみたいだ。
ただ、この配慮も病気のことを考えてのことだから闇雲に反対はできない。
パパとママだって苦汁の選択をしているのだ。
「ナコルさん、心配しなくても大丈夫だよ。ルイは慣れているから。それに食事を摂る時はママがいっしょだから寂しくないんだよ」
「それにしたって」
ミクの説明を聞いてもナコルは納得できずにいる。
ひとりぼっちだなんて自分と重なったからだろう。
ナコルはいつも仲間を従えているが友達と言う間柄じゃない。
ナコルが面白いことをするから引っ付いているだけだ。
だから、みんなといてもナコルはひとりぼっちなのだ。
「そのことは今後の課題だな」
「え?」
「いつまでもルイをひとりぼっちにしておけないからな」
「パパ」
「今度、お医者さまが来た時に相談してみよう」
「そうね。その方がいいわね」
パパもママもルイがいっしょに食事をできないことを気にしていたようだ。
一家団欒を望むならばルイの存在は欠かせない。
今まで家族で食事をして来たが一家団欒とはなっていないかったのだ。
「それじゃあ改めて豊穣の女神さまにお祈りをするぞ」
「は~い」
パパの合図でみんなは両手を組んで静かに目を閉じる。
それからパパが呪文のようなお祈りの言葉を発する。
それに合わせてみんなで復唱しながら祈りを捧げた。
「それではいただきます」
「「いただきます」」
みんなで声を揃えていただきますを言うとさっそく料理に手をつける。
ミクはまっしぐらに丸々と太ったチキンの丸焼きに箸を伸ばした。
「あ~ん。これ、どうやって食べたらいいの?」
「もう、ミクったら。ママが切り分けてあげます」
ミクはフォークをチキンにさしてそのままかぶりつこうとしていたのでママが止めた。
そしてナイフとフォークを使って食べやすい大きさにカットしてくれた。
「はい、これで食べられるでしょう」
「ママ、ありがとう。モグモグモグ……美味しい」
「それはよかったわ」
ママは満足そうな顔を浮かべると小皿に料理を取り分けて行く。
「それ、ルイちゃんに持って行くんですか?」
「そうです。ちゃんと栄養をつけて元気になってもらいたいですから」
「ルイちゃんって食欲旺盛なんですね」
「ルイは見た目以上に大食いなんです。誰に似たのか」
「は?俺か?」
「「ハハハハ」」
ママがひとりモクモク食事をしているパパに視線を向けるとどっと沸いた。
この親にしてこの子ありと言った感じだろうか。
ルイが大食漢であることは初めて知った。
ルイといっしょにいて長いけどまだまだ知らないことがあるようだ。
「それじゃあ私はルイに食事を運んで来るわ。みなさんはゆっくりと寛いでくださいね」
そう言うとママは取り分けた食事を持ってルイの部屋へ行った。
「ちょめ太郎、食べないの?」
「ちょめちょめ」 (のんびり食事をしている気分じゃないのよ)
「お腹でも痛いの?」
「ちょめちょめ」 (いいえ、違うわ。ナコルの嘘を暴けないか考えているところ)
このままナコルを善人にしておくことはできない。
正体を暴かないとミク達は騙されたままなのだから。
とりわけパパ、ママ、ルイはナコルに心酔してしまっている。
ナコルがいい人だと思い込んでいるようで疑いすら持っていないのだ。
「ちょめ太郎も懲りないね」
「ちょめちょめ」 (私は真実を明らかにしたいだけよ)
どこぞのアニメの主人公ではないが”真実はいつもひとつ”なのだ。
ただ、どうやってナコルの嘘を暴くのかが課題だ。
普通に質問をしても嘘をつくだけだから意味がない。
ナコルがボロを吐くように誘導尋問をする必要がある。
私は頭の中で思慮してナコルに対する質問を考えた。
「ちょめちょめ」 (ねぇ、ミク。私が言った通りナコルに質問をしてみて)
「えー。私もやるの?」
「ちょめちょめ」 (仕方ないじゃない。私の言葉をわかるのはミクしかいないんだし)
「やだなー。私もナコルさんはいい人だと思ってるから」
「ちょめちょめ」 (そんなことを言わないでよ。ミクが頼りなんだから)
「えー、どうしようかな」
「ちょめちょめ」 (言うことを聞いてくれたらミクのお願いを何でも聞いてあげるわ)
「……わかったよ。その代り約束だからね」
と言うことでミクとの交渉がまとまりミクを味方にすることができた。
後は私が考えた質問をナコルに投げかけてボロを吐かせるだけだ。
「ちょめちょめ」 (じゃあ、はじめるわよ)
「いいよ」
「ちょめちょめ」 (まずはどうやってミクの家を見つけたかね)
「偶然じゃない?」
「ちょめちょめ」 (偶然に見つかる場所にはないわ。ミクの家は精霊の森から奥まったところにあるし)
ミクの家は精霊の森の傍にあるが王都側から見た時に精霊の奥にある。
だから、普通に王都からやって来てもミクの家を見つけることは難しい。
精霊の森までやって来れるけれど大半の人が引き返してしまうだろう。
その先に民家があるだなんて誰も思わないはずだ。
「ちょめちょめ」 (ナコルにどうやってこの家を見つけたのか質問をして)
「ナコルさん、質問があるんですけどいいですか」
「私に答えられることでしたら」
「ナコルさんはどうやってこの家を見つけたのですか?」
「偶然ですよ。精霊の森を彷徨っている時に偶然に見つけたのですわ」
「偶然だってさ」
ナコルはミクの質問に顔色ひとつ変えることなく答える。
それが意味することはあながち外れてはいないことを指している。
偶然見つけたのは事実だろうがひとりで見つけたのかはわからない。
もしかしたらルイといっしょに来た時がはじめてかもしれないからだ。
「ちょめちょめ」 (なら、次の質問よ)
「どんなの?」
「ちょめちょめ」 (王都から見たらこの場所は奥まったところにあるけど引き返そうとは思わなかったのかよ)
「この場所は王都からかなり距離がありますけど引き返そうとは思わなかったんですか?」
「私はこれと決めたら曲げない性格でして、目的を果たすまでは帰れないと考えていました」
「だって」
思うような答えは引き出せなかったがナコルは自分のことを話しはじめた。
それは誘導尋問がうまく行きはじめたことを現している。
この調子で質問を繰り返せばナコルはボロを吐くはずだ。
「ちょめちょめ」 (次よ)
「まだするの?」
「ちょめちょめ」 (まだナコルから肝心な言葉を引き出せていないからね)
「もういいじゃん」
「ちょめちょめ」 (約束は忘れたの?)
「は~い」
刑事みたいなことをしているからミクは飽きてしまったようだ。
だけど、約束を口にするとしぶしぶと言うことを聞いてくれた。
「ちょめちょめ」 (次は確信をつく質問よ。ナコルは何で精霊の森へ来たのか聞いてみて)
「ナコルさんは何で精霊の森へ来たんですか?」
「おぼこぼさまにお願いごとを叶えてもらいたくてね」
「ルイと同じみたい」
その答えが返って来ることは想定済みだ。
精霊の森へ出掛ける時点でおぼこぼさま探しが基本だからだ。
ただ、問題になるのはどんな願いごとを叶えてもらおうとしていたのかだ。
ナコルのことだからきっとろくでもないお願いなのだと予想している。
「ちょめちょめ」 (ミク、質問を続けて。どんなお願いごとなのか聞いてみて)
「どんなお願いをしようと思っていたんですか?」
「それはもちろん退……」
「たい?」
「ゴ、ゴホンゴホン。大したお願いではないわ」
「ちょめちょめ」 (今、一瞬、動揺したわ。私は見たわよ)
”退”に続く言葉を連想すると”退学”しかない。
ナコルは今まで好き勝手やって来たから学院を退学になったのかもしれない。
実権を握っているマルゲに目をつけられていたからその可能性は高い。
もしかしたらルイミンをイジメていたことが学院にバレたのだろう。
「ミク。さっきからナコルさんに質問ばかりだな。何かあったのか?」
「ううん。もっとナコルさんのことが知りたかっただけよ」
パパが質問ばかりしているミクを不思議がったのでミクは的確な言い訳をした。
「それならパパも知りたいな。ナコルさんのことを教えてください」
「みなさまにお話しするようなことはありませんよ。私はただの女子学生ですから」
パパがナコルに興味を持ったのでナコルは質問をはぐらかせた。
そこへ空の食器を持ってママが戻って来た。
「ママ。ルイはちゃんと食べた?」
「もう、すっかり残さず食べたわよ」
「よかった」
ルイが元気なことがわかってミクはホッと安心する。
食事を全部食べられるぐらいだから元気そのものだ。
後はゆっくり1晩休めばいつものルイに戻っているだろう。
「あら、ミク達も食事を食べ終えたのね」
「ぷーぅ。もう満腹」
ミクのお腹見るとぷくりと丸く膨れ上がっていた。
私も満腹になるまでご馳走を食べたけどお腹は膨れていない。
これもちょめ虫の特徴なのかもしれない。
ただ、満足感はたっぷりとあった。
「料理が余っちゃったな」
「残り物は取っておいて後で食べればいいわ」
「何だか、眠くなって来ちゃった」
「ミク。食べてからすぐに寝ると牛になるぞ」
「牛になってもいいよ。今は眠っていたい」
いつもよりミクはパパやママに甘えている。
それはルイが元気なことがわかったから安心したのだろう。
「ミク。少し休んだらナコルさんをお風呂へ案内しなさい」
「は~い」
「お風呂までなんていただけませんよ」
「遠慮なさらないでください。まあ、狭いお風呂なんですけどね」
ナコルにお風呂まで用意するなんてパパの心酔振りは酷い。
ナコルになんてそこいらの泥水でも浴びせておけばいいのだ。
もともと心が薄汚れているのだし、その方がナコルに相応しい。
そんなことを考えながら私はひとりミクの部屋に戻った。
リビングにいてもナコルの話を聞かされる羽目になるからだ。
ナコルの後にお風呂に入るのは嫌だったが今は仕方がない。
ナコルが出て行くまで我慢しないといけないのだ。
「ちょめちょめ」 (全く。パパもパパよ。あんな奴をもてなすなんて)
私ですらパパやママに歓迎されなかったのにナコルが歓迎されるなんて。
悔しい気持ちと呆れる気持ちといろんな感情が入り混じって混乱している。
世の中の真理が覆ったような気がして気が気でなかった。
「ちょめちょめ」 (結局、ナコルの嘘は暴けなかったわ。でも、キーワードは引き出せた)
ナコルはセントヴィルテール女学院を退学になったからおぼこぼさま探しをしていたのだ。
おぼこぼさまにお願いして退学を取り消してもらおうとしていたのだろう。
ちんけなナコルが考えそうなことだ。
「ちょめちょめ」 (ナコルが退学だなんて気分がいいわ。ざまあみろってんだ)
私はひとり天井を見上げながらいないナコルに悪態をついていた。
すると、唐突に念話が繋がってちょめジイが語りかけて来た。
(おい、何じゃ、このぱんつは?)
(このぱんつってひよこぱんつのこと?)
(そうじゃ。ワシが注文したぱんつと違うではないか)
(別にいいじゃん。とびっきりのカワイイ子ちゃんの生ぱんつなのよ)
(ワシはセクシーぱんつを注文したのじゃぞ)
(コレクションが増えるからいいじゃない。そんなにガミガミ言わないでよ)
ちょめジイは声を荒げながら文句を言って来る。
私の方としてはコレクションが増えたのだから問題ない。
元の姿に戻れることに一歩近づいたのだから。
それにちょめジイの本来の要求であった”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を集めたのだ。
文句を言われる筋合いはないと思うが。
(ワシはお主が約束を守るから要求を飲んだのじゃぞ。これでは話が違うではないか)
(そんなに焦らないでよ。まだ、王都に戻ってないんだからセクシーぱんつなんて集められないわ)
(そんなことがワシの知ったことじゃない)
(何よ。ちょめジイの方がワガママじゃない)
年をとると視野が狭くなるというがちょめジイはそのものだ。
セクシーぱんつのことで頭がいっぱいなっていて肝心なことを忘れている。
本来の目的は”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を集めることなのだ。
だからルイのひよこぱんつも目的には沿っている。
(ワシは主じゃ。お主はワシの言うことを聞いておればよい)
(何よ、そんなのパワハラだわ)
(パワハラでもワキバラでもなんでもいいのじゃ。セクシーぱんつを集めて来るのじゃ)
(全然、面白くない。もっと洒落たことを言ってよ)
と言ってもちょめジイに笑いを求めても無駄だろう。
ちょめジイの頭の中にはエロしかないからだ。
いい年をしているのにエロに夢中だなんて中学生みたいだ。
もしかしたらちょめジイの思考は中学生で止まっているのかもしれない。
(お主が約束を守らないならば今後、お主の頼みごとは聞かんからな)
(えーっ。そんなのズルい。私だって頑張っているのよ。ちょっとは認めてよ)
(結果が全てじゃ)
(ブー)
ちょめジイはどこぞのエリートサラリーマンのようのなことを言って来る。
確かに世の中は結果が求められているけれど過程も欠かせないぐらい大事なのだ。
どうやってその結果を得たのか過程がなければ結果に結びつかないからだ。
自分で言うのもなんだが私は献身的にちょめジイにつくしていると思う。
理不尽なちょめジイの要求に従っているし、ちゃんとぱんつを集めているのだ。
ただ、今回はちょめジイが求めていたぱんつと違っていただけだ。
(セクシーなぱんつ意外、認めんからな)
(わかったわよ。その代り王都へ戻るまでは待ってよね)
(いつになるのじゃ)
(そのうちよ)
今のところ王都へ戻る予定はない。
それにナコル問題を解決しないと王都へは戻れない。
ナコルがミクの家に居座り続ける限り私も離れられない。
まあでも、ナコルは1晩だけ泊まるようだからすぐにいなくなる。
そうしたら王都へ戻る計画を立てればいいのだ。
すると、ちょめジイの背後から聴き慣れない音楽が聞えて来た。
(ねぇ、ちょめジイ)
(何じゃ)
(今聴いている音楽って誰の?)
(アニ☆プラのフォースシングルじゃ)
(えーっ!アニ☆プラ、フォースシングルを出したの!)
(そうじゃ。聴いてみると意外とハマるからのう)
ちょめジイの口から出された言葉に私はすっかり驚いてしまう。
私の知らない間にアニ☆プラがフォースシングルを発表していたからだ。
私が知っているのはサードシングルの『stardust rain』までだったから随分と時間が過ぎている。
こっちの世界の時間軸とあっちの世界の時間軸が同じなのかわからないが気になるところだ。
(ねぇ、ちょめジイ。もっとボリュームを大きくしてよ)
(イヤじゃ)
(そんな意地悪をしないでお願いよ)
(ダメじゃ)
(私はれっきとしたアニ☆プラファンなのよ。聴く権利はあるわ)
(ワシじゃってアニ☆プラファンじゃからな。聴かせてやらんのじゃ)
ちょめジイがいつからアニ☆ぷらファンになったのかわからないが私の方が歴が長い。
ついこの間、アニ☆プラファンになったちょめジイよりアニ☆プラのことを愛しているのだ。
だから、アニ☆プラの楽曲は全て網羅していないと気がすまない。
(なら、どんな楽曲かだけでも教えてよ)
(ふむ。まあいいじゃろう)
(どんな楽曲なの?)
(失恋をテーマにした楽曲じゃ。確か、これまでのアニ☆プラのイメージを払拭した楽曲だと書いてあったかのう)
アニ☆プラが失恋をテーマにした楽曲を発表するなんてどんな展開よ。
どちらかと言うと今まではカワイイ路線を走って来たからとんだ路線変更だ。
まあ、セカンドシングルではラップを取り入れた攻めた楽曲もあったけれど。
それでも失恋をテーマにした楽曲を発表するなんて意外だ。
プロデューサーはアニ☆プラをどのようにしようとしているのか気になる。
(ああ、気になって仕方がない。ねぇ、ちょめジイ。一節だけでも聴かせてよ)
(ダメじゃ。癖になるからのう)
(お願いよ。聴かせてくれたらどんなお願いごとも聴くわ)
(その話には乗らんのじゃ。お主は嘘つきじゃからな)
私が約束を破ったからちょめジイは信用してくれなくなった。
確かに理不尽なお願いではあるが約束を破ることはいけないことだ。
それがよくわかっているから逆に悔しい。
(いいわよ。見てなさい。次はすんっごいエロいぱんつを盗って来てあげるから)
(期待しないで待っておるぞ)
と言う訳で私はアニ☆プラのフォースシングル聴きたさに大口を叩いた。
こうでも言っておかないとちょめジイは諦めてしまいそうだから啖呵を切ったのだ。
ちょめジイの中で私に対する信用度は最低レベルまで下がっているようだから。
まあ、王都へ戻ればじゃんじゃんとエロいぱんつを集められるはずだ。
私はない拳を握りしめてまだ見ぬエロいぱんつに誓った。