第六十二話 あどけないひよこぱんつ②
その頃、ミクの家では大変な騒ぎになっていた。
朝、ルイを起しに行ったらいなかったからだ。
1階の玄関のカギは閉まっているし、そこから出た気配もない。
忽然とルイが姿を消してしまったのだ。
「ママ、ルイはいたか」
「ルイの部屋にも納戸にもいなかったわ」
「いったいどこへ行ったんだ」
「もしかしたら勝手口から外に出たのかも」
「勝手口のカギは閉まっていたんだよな」
「カギはかかっていたけど外に出ることはできるわ」
パパとママは血相を変えながら慌てふためいている。
自分達が話していることも正しく理解できていないようだ。
「ルイが勝手口から出たとして、どうやってカギをかけたの?」
「あっ、そうか……」
唯一、冷静だったミクはパパとママに的確に指摘した。
「なら、ルイはどこへ行ったのかしら……」
パパとママにはルイの行動がまるでわかっていない。
ただ、ミクだけは自分の経験からルイの行動を推測していた。
「きっとあそこだよ」
「どこだ」
「こっちへ来て」
ミクはルイの部屋の扉を開けて部屋の中に入るとすぐに窓の前で立ち止まる。
「ルイはここから外に出たんだよ」
「窓からどうやって?」
「私が家を抜け出した時のことを覚えてる?」
「そうか!窓からロープを伝って降りたんだな」
「そう言うこと」
ミクは窓を開けると垂れさがっていたシーツのロープを引っ張った。
「まさかこんな方法で外に出るなんて」
「さすがは姉妹ね。やることも同じだわ。クスクスクス」
「おい、ママ。こんな時に笑うなんて不謹慎だぞ」
「だって、ルイってばミクと同じなんだもん」
ママはすっかり自分を取り戻したかのようでひとりで笑っていた。
ただ、パパは気が気でない様子でウロウロ動き回っている。
「ルイがここから外に出たのなら、いったいどこへ行ったんだ?」
「精霊の森だよ」
「精霊の森?」
「きっと、おぼこぼさまを探しに行ったんだよ」
ミクがそう言うとママはすぐに納得したがパパは困惑気味だ。
「私がおぼこぼさまの話をルイに話したのが原因だわ」
「違うよ。私のせいだよ。私が毎日、精霊の森の話をしていたから興味を持ったんだよ」
「そんなことはどうでもいい。今はルイを探すことの方が先だ」
ミクとママが責任の所在のやり取りをしているとパパが制した。
「ママ、出かけるの準備をしてくれ。俺が精霊の森へ行ってルイを探して来る」
「わかったわ。すぐに準備をします」
「あっ、ルイだ」
「「えっ!」」
パパとママが話し合っているとルイが精霊の森から歩いて来た。
「あれっ、誰かといっしょだ」
「そんなことはどうでもいい。ルイ―!」
パパはルイの姿を見るなり慌てて階段を駆け下りて行く。
その時に階段から転げ落ちてドタドタと騒がしい音が聞えて来た。
「ミク、私達も行きましょう」
「うん」
玄関を出て外に飛び出すとルイと見知らぬ少女が立っていた。
パパは棒立ちになっていて目の前にいるルイが本物か信じられない様子。
そして、ルイが「ただいま」と呟くとパパはルイに掛け寄って抱きしめた。
「ルイ、無事だったんだな。心配したぞ」
「パパ、痛いよ」
「今はいいんだ。こんなに嬉しいことはないからな」
「もう、パパってば心配症なんだから」
パパはルイをしっかり抱きしめながら目にいっぱい涙を溜めて喜んでいる。
さっきまでの心配ようが嘘のように見えるぐらい幸せそうな顔をしていた。
「お帰りなさい、ルイ」
「ママー。勝手に出て行ってごめんね」
「いいのよ。ルイが無事なだけでいいの」
ルイはパパの腕を解くとママの胸の中に飛び込む。
そしてママに謝まるとママは何でもないと言ってくれた。
「ちょめ」 (感動的な再会ね)
「あれ?ちょめ太郎、いたの?」
「ちょめちょめ」 (ずっといっしょにいたわよ。気づかなかった?)
「ルイのことに夢中になっていたから気づかなかった」
私の存在感が失われて少し寂しい気持ちになったがルイが無事でよかった。
すると、ルイといっしょに来た見知らぬ少女がパパのところへ近づいて話しかけた。
「お嬢さんが無事でよかったですね」
「はっ、あなたがルイを見つけてくれたのですね。ありがとうございます」
「いや、見つけたと言うか……その」
「立ち話もなんですから家に上がってください」
パパとママは見知らぬ少女に頭を下げながら家に上がらせようとする。
見知らぬ少女の方はパパとママの反応が意外だったのか少し戸惑っていた。
「いや、私はこうなった経緯を伝えたいだけで」
「それならばなおのこと家で話しましょう。ママ、お茶の準備をしてくれ」
「はい、すぐに」
「さあ、遠慮せずに上がってください。あなたはルイの命の恩人なのですから」
すっかり機嫌のよくなったパパは見知らぬ少女を疑うことなく家に招待する。
「わ、私はそんな……」
見知らぬ少女が私の前まで来たところでふと思い出す。
「ちょめ!」 (あー!あいつはイジメっ子のナコルじゃない)
「ちょめ太郎の知り合い?」
「ちょめちょめ」 (知っているもなにもあいつは私とルイミンをイジメた悪い奴なのよ)
「イジメっ子?そんな風には見えないけど」
「ちょめちょめ」 (見た目に惑わされちゃダメよ。あいつは極悪非道の超悪党なのよ)
私がミクにナコルの非情振りを説明しているとナコルと目が合った。
しかし、ナコルは私を思い出すこともなく他人のような素振りをしている。
イジメっ子はイジメられっ子のことを忘れてしまうと言うがその通りだ。
恐らくナコルはいろんな人をイジメて来たからいちいち覚えていないのだろう。
すごくイラッとしたが今のナコルを問い詰めても思い出すことはないと判断した。
「汚いところですけど遠慮せずにあがってください。おい、ミク。邪魔だぞ」
「ちょめ太郎、行こう」
私とミクは通り道を開けると家の中に入って行くナコルを見送った。
その間、私はナコルを鬼のような形相で睨みつけていた。
「ちょめ太郎、すごい顔をしてるね」
「ちょめちょめ」 (あいつは仇だからね)
「でも、ルイを連れて来た人だし、意外といい人なのかもよ」
「ちょめちょめ」 (きっと裏があるはずよ。ルイに取り入って信用させてパパとママから大金を踏んだくるつもりでいるんだわ)
ナコルのことを考えるといろんな思惑が浮かんで来る。
どれをあげてもナコルがしそうなことだから腹立たしい。
しかも、ルイの命の恩人としてミクの家にあがろうだなんてもってのほかだ。
パパとママとルイはすっかり信用しているようだけど私は違っていた。
「ミク、ルイが汚れているからお風呂に入れてくれ」
「はーい。行こ、ちょめ太郎」
「ちょめ」 (私は絶対に信用しないからね)
パパに言われて私とミクはルイを連れてお風呂場へ向かう。
私、ひとりで残ってナコルの様子を探ろうかと思ったが止めておいた。
パパとママはすっかりナコルを客人として迎えているし、私が入る隙間がないと思ったからだ。
おまけに言葉が通じないのであればいっしょにいても意味がない。
「すっかり汚れちゃったね」
「うん。靴を履いて行かなかったから」
「あれ?ハンカチが巻いてある」
「ナコル姉ちゃんが巻いてくれたの」
「へぇ~、いい人ね」
「うん。ナコル姉ちゃんはとっても優しい人だよ」
「ちょめ」 (ムキッ)
ミクはルイの足に巻かれていたハンカチを解いて行く。
ナコルが気をきかせてルイの足にハンカチを巻いてくれたのでルイの足に傷はなかった。
ただ、私はひとりミクとルイがナコルを褒める度にイラッとしていた。
「じゃあ、ルイ。万歳をして」
「はーい」
ルイが万歳をするとミクは手慣れたようにルイのパジャマの上着を脱がせる。
そしてミクは脱がせたパジャマを洗濯機の中に放り込んだ。
「ズボンは自分で脱げるよね」
「うん。ひとりでできるよ」
そう言ってルイがパジャマのズボンを脱ぐと目の前にひよこぱんつが飛び込んで来た。
お尻のところに黄色いひよこがあしらわれているカワイイぱんつだ。
「ちょめ」 (ルイは随分とカワイイぱんつを履いているのね。どうしようかしら……)
このままルイのひよこぱんつを盗れば生ぱんつコレクションが増える。
ルイはミク以上に天使のような純真で無垢なカワイ子ちゃんだ。
だから、ちょめジイの制約にも十分に合格している。
ただ、命の恩人であるミクの大切な妹のぱんつを奪うことに気が引けてしまう。
ミクのぱんつは盗ったけれどルイのまでと言ったら強欲だ。
それにちょめジイはセクシーなぱんつを要求していたから文句を言われるかもしれない。
だけど、私が元の姿に戻るには”カワイ子ちゃんの生ぱんつを100枚集めなければならない”のだ。
私がひとりどうしようか迷っているとミクはルイに告げる。
「ルイ、先にお風呂に入っていて。私は替えのパジャマを持って来るから」
「わかった」
そう言ってミクはお風呂場を出て2階のルイの部屋に向かった。
「ちょめちょめ」 (誰もいなくなった。今がチャンスだわ)
ルイはパジャマのズボンを脱いでひよこぱんつ姿になっている。
「ちょめちょめ」 (仕方がない。ここは心を鬼にしてルイのひよこぱんつを頂こう。これはルイへのお仕置きを兼ねてのことだ)
私はそっとルイの背後に近づいてちょめリコ棒を取り出す。
そしてルイのひよこぱんつのひよこを目掛けてひよこぱんつをつついた。
ちょめリコ。
すると、ルイのひよこぱんつはちょめリコ棒の中に吸い込まれて行った。
「キャッ」
ルイは突然、ひよこぱんつがなくなったので戸惑っている。
辺りをキョロキョロと見回してひよこぱんつがないのか探しはじめる。
私が素知らぬ顔をしているとルイと目が合った。
「ちょめ太郎のエッチ」
「ちょめっ」 (なっ!バレた?)
ルイはそうひと言言っただけで私を問い詰めることはしなかった。
「ルイ、着替えを持って来たよ」
「お姉ちゃん」
「ちょめ」 (マズい。ルイにチクられてしまうわ。私がぱんつを奪った犯人だとミクが知ったらどう思うだろうか)
しかし、ルイはミクと一緒にお風呂に入ることをおねだりしただけで私のことは話さなかった。
なぜ、ルイがそうしたのかはわからない。
だけど、私の首の皮は繋がった。
そんなことを考えている間にミクとルイは裸になってお風呂場に入って行く。
「ちょめ太郎はどうする?いっしょに入る?」
「ちょめちょめ」 (もちろん。こんなおいしいシチュエーションは滅多にないからね)
私は天使クラスの美少女姉妹達と裸の付き合いをして親睦を深めた。
「ルイ、足を洗ってあげるから足を出して」
「優しくしてね」
「ちょめ!」 (キャハッ!なんて萌えるシーンなのだ。ミクがルイの足を足の上に乗せてキレイに洗ってあげている)
下手なAVでもこんな美味しいシーンは見たことがない。
しかも、飛び級の美少女姉妹が出演しているのだ。
ルイの足もミクの足もスベスベでもモチモチしている。
そこに白い泡がこんもりとついていてエッチな気分にさせる。
ミクがルイの足のつま先の指の間を洗うとルイがくすぐったがった。
「お姉ちゃん、くすぐったいよ」
「大人しくして。キレイに洗わないと汚れが残っちゃうでしょ」
「自分で洗うからいいよ」
「ダメよ。これは私の仕事なの」
そう言ってミクはくすぐったがるルイを抑え込んで強引に足を洗った。
「はい、これで右足は終わりね。次は左足よ」
「えーっ、まだやるの」
「文句は言わない」
「はーい」
と言う流れで第二ラウンドがはじまった。
ルイは終始、笑いを堪えて我慢している。
ミクの方は真面目な顔でルイの足を洗っていた。
「はい。これでOKよ」
「はーっ、やっと終わった」
「それじゃあ今度は体ね」
「体は自分で洗えるよ」
「ダメよ。ルイは洗うのが下手だからお姉ちゃんが洗ってあげる。はい、背中を向けて」
「は~い」
ミクはスポンジにボディソープを盛りつけるとルイの背中を洗いはじめる。
ルイの背中は思いの外小さいのですぐに泡でいっぱいになった。
「なら、次は前を向いて」
「えーっ、前~ぇ」
「はい、早くして」
「は~い」
ミクはまるでママが赤ちゃんを洗うかのように隅々までルイの体を洗って行く。
ルイの肌は敏感だから強くこすらないように泡で洗うことを意識していた。
まずは両腕を洗い肩、首、胸、お腹へと続く。
そして一番大事なところを残して全て洗い終えた。
「あとはそこだけね」
「ここは自分で洗えるよ」
「ダメよ。そこが一番大事なんだから。お姉ちゃんが洗ってあげる」
「いいよ。いくらお姉ちゃんだからって洗わせられない」
話だけ聞いているとすごくエッチな気分になってしまうのは私だけだろうか。
ルイの大事なところを洗う権利を巡ってミクとルイがバトルしていた。
結局、勝ったのはルイの方でミクは泣く泣くルイの大事なところを洗うのを諦めた。
「デリケートなところだから優しく洗うのよ」
「わかってるよ」
代われるならば私が代わってあげたい。
私のテクニックを使えばルイに気持ちいい想いをさせられるのだ。
ただ、ルイのような6歳児に快感を教えるのはいささか早い気がする。
それはもうちょっと大きくなってからエッチな気分になった時にすればいい。
「洗い終わったら泡をキレイに流してね」
「うん」
「泡が残っていると病気の原因になるから」
「うん」
さすがお姉ちゃんのことだけあってか的確なアドバイスをしている。
女子にとってデリケートな場所は一番大切なところだからキレイにしておかないといけないのだ。
ただ、ちょめ虫になっている今の私には無縁のことなのだからちょっと寂しい。
ミクとルイが楽しそうに体を洗いっこしている横で私はひとりで体を洗っていた。
「それじゃあお風呂に浸かるよ」
「行くぞー!」
ジャポーン。
ルイは勢いをつけてお風呂に飛び込んだ。
「ちょっとルイ。お風呂ではしゃがないの」
「だって、楽しいんだもん」
「ちょめ」 (全く。これだから子供ってのは嫌なのよね)
ルイがお風呂に飛び込んだことで私は頭からお湯を被ってしまった。
お風呂は静かに入るのが常識だ。
お風呂をプール代わりにするのは子供ぐらいだ。
ただ、時々大きな温泉でおじさんが泳いでいることもあるけど。
温泉にのんびり浸かっているおサルを見習ってほしいものだ。
「もう、お風呂が狭いんだから動かないの」
「ダメと言われるとやりたくなるの」
「こら。おっぱいのさきっちょをつつかないの」
「お姉ちゃんも感じちゃう」
「そう言うのはもっと大きくなってからにしなさい」
「ヤーダ。キャハハハ」
ルイはお風呂の中に入ってまでミクにちょっかいを出している。
ただでさえ狭いお風呂が余計に狭く感じられた。
「もう、全くルイは子供なんだから」
「お姉ちゃんのおっぱいは小さいね」
「あたり前じゃない。子供なんだもん」
「ママのおっぱいはもっと大きいよ。マシュマロのように柔らかいんだよ」
なんかルイが羨ましいことを言っているのは気のせいか。
おっぱい談義はお風呂に入れば自然とするものだ。
とりわけ年頃の女子になればおっぱい比べをする。
相手のおっぱいが自分より大きければ揉み下すのだ。
そうやって女子は裸のコミュニケーションをとっている。
「ちょめちょめ」 (何だかママのおっぱいも見たくなって来たわ)
想像だとかなりの豊乳だと予想できるから気になる。
服の上からもおっぱいの形がわかったから期待してもいいだろう。
ただ、私がママといっしょにお風呂に入る機会はないだろうが。
「馬鹿なことを言っていないであと30数えたら出るよ」
「えーっ、もう」
「あんまり長湯をしているとのぼせちゃうからね」
「なら、ルイが数える。いーち、にー、さーん……」
ルイはできるだけ長く伸ばして時間を稼ぐ作戦に出る。
せっかく楽しいお風呂を終わらせたくはないようだ。
まあでも、ミクのようにこのままずっと入っていたらのぼせてしまうだろう。
そうなったらそうなったであとが面倒だ。
「はい、お終い」
「えーっ、まだ30数えてない」
「ルイに任せておいたら夜になっちゃうからね。お姉ちゃんが代わりに数えたわ」
「ずるーい」
「はいはい。お風呂から出る」
「は~い」
ミクとルイが湯船から出ると肌はすっかりとピンク色になっていた。
お風呂のお湯はそんなに熱くなかったけれどすっかり温まったようだ。
私もそれなりに体が温まっていたけれど肌はピンク色になっていなかった。
ちょめ虫だから体温が上がっても肌が変化しないのだろう。
「ふーぅ、気持ちよかった」
「ちゃんと体と頭を拭いてね。濡れていると風邪を引いちゃうから」
「お姉ちゃんが拭いて」
「甘えない」
お風呂場とは違ってミクはルイのことを甘やかさない。
それは早く体や頭を拭かないと風邪を引いてしまうからだろう。
脱衣所は温かな空気に包まれていたがそれでもだ。
私も一応タオルを使って自分の体を拭いた。