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第五十三話 仲直り

翌朝、目を覚ますと隣にミクは寝ていなかった。

パジャマがキレイに畳まれて布団の上に置かれている。

私は体を起こして部屋を見回すと机に向かっているミクを見つけた。


「ちょめ」 (おはよ)

「ハァー……」

「ちょめ?」 (朝からため息だなんて恋でもした?)

「ハァー……」


私が話しかけてもミクの耳には届いていないようでため息ばかりを吐いている。


「ちょめちょめ」 (何よ、冴えないわね。ちょっとはツッコんでくれてもいいじゃない)

「ハァー……」

「ちょめ?」 (ねぇ、聞いてる?)

「ハァー……」


私は”ちょめ”としか話せないことを忘れてミクに語りけていた。

ミクからしたら私が”ちょめちょめ”としか言っていないから何のことかわからない。

だから、私の呼び掛けには全く答えずにため息ばかりを吐いているのだ。


「ちょめ」 (仕方ないわ。こうなったら強硬手段に出るしかない)

「ハァー……」


ミクに呼びかけるのは止めて実質的な手段に出る。

ミクの背後から近づいて行って頬をぺろりと舐めてみた。


「ちょめ」 (これなら振り向いてくれるよね)

「ハァー……」

「……」 (……)

「ハァー……」

「ちょめ」 (ダメだ、こりゃ。次行ってみよう)


私はどこかで聞いたことのある台詞を吐いて諦める。

今のミクならどんなことをしても気づいてはくれない。

現にほっぺを舐めたのにため息を止めないのだから。


「ちょめちょめ」 (何があったのよ。おせーて、おせーて)

「ハァー……」

「ちょめちょめ」 (ねぇ、ってば。ひとりで悩まないでよ)

「ハァー……。ちょめ太郎はいいよね。悩みがなさそうで」


ミクの心のない言葉に私の心は傷つけられる。


いくらミクだとしても悩みがないだなん言ってはいけない。

誰にだって悩みのちょっとやそっとは持っているものだ。

私の見た目が悪いから悩みがないと思うことは早合点だ。

私は元の姿に戻りたいし、しゃべれるようにもなりたい。

それが叶わない今は悩みだけなのだ。


「ちょめ」 (私のことを馬鹿にしてる?私だって悩み多き乙女なのよ。今はちょめ虫だけど)

「ハァー……。私、もう、ルイのお姉ちゃんでいられないかも」

「ちょめちょめ」 (ミクの悩み事は昨夜のことね。言い争っていたように思えたけど)

「ハァー……。ルイに嘘をついちゃったんだもん」


そのぐらいでお姉ちゃんから降格することはない。

嘘なんて誰でもつくものだから心配しなくていいのだ。

ミクはルイのことを想ってついたのだろうから許される嘘だ。


「ちょめ」 (そんなこと気にしなくていいわよ。そんなことぐらいで姉妹は壊れないわ)

「ハァー……やっぱ、嘘はよくないよね」

「ちょめ」 (そんなに気になっているなら素直に謝ればいいのよ。ルイだって許してくれるわ)

「ハァ―……ルイ、怒っているんじゃないかな」


ミクの中では大事になっているようだ。

ちょっとやそっとの嘘を気にしてもしょうがない。

そんなに後悔するならはじめから嘘をつかなければいいのだ。


「ちょめ」 (まあ、信頼しているお姉ちゃんに嘘をつかれたらムカつくわね)

「ハァー……ひとりで行くの嫌だな」

「ちょめ」 (全く、子供なんだから。私がいっしょに行ってあげる)

「ハァー……でもな。ちょめ太郎を連れて行くと問題あるしな」


全く煮え切らないおでんのようにミクは優柔不断になる。

確かに後ろめたいことがあれば身を引いてしまうものだ。

だけど、ここでああだこうだ考えていても何もはじまらない。

時には思い切った行動をした方がいいこともあるのだ。


「ちょめ」 (ルイのところへ行くわよ)

「ハァー……」


私は床に飛び移るとミクにルイの部屋に行くように催促する。

しかし、ミクは後ろを振り返っただけで立ち上がろうとはしなかった。


「ちょめ!」 (しっかりしなさい!お姉ちゃんなんでしょ!)

「ハァー……」


そんなミクの態度にシビレを切らして私は語気を強めた。


「ちょめ」 (いいからいっしょに来なさい)

「ハァー……」


あまりにミクが動こうとしないので私はテレキネシスでミクを引ずって行った。

そしてルイの部屋の前まで来るとテレキネシスで扉を開けて中へ入る。

もちろんミクもいっしょだ。


「ちょめ?」 (ルイ、いる?)

「あっ、ちょめ太郎。また来てくれたんだね」

「ハァー……って?」


ミクはルイの何気ない言葉を聞いて疑問符を浮かべる。

それは”また来てくれた”と言う言葉が引っかかったからだ。

正式に私のことは紹介していないからルイは知らないはずだ。

なのに”また来てくれた”なんて言葉を吐くのがおかしい。


「ルイ。ちょめ太郎と会うのははじめてじゃないの?」

「ううん。二度目だよ」

「二度目って。まだ私はちょめ太郎のこと紹介してないじゃない」

「お姉ちゃん達には内緒でちょめ太郎と会ったの」


ミクのふとした疑問にルイが正直に答えるとミクが後を振り返る。

すごい形相で私を睨みながらどう言うことなのか催促して来た。


「ちょめちょめ」 (これには理由があって。私がミクとの約束を破ったんじゃないよ)

「理由はどうだっていいのよ。私に黙ってルイと会ったことが許せないの」

「お姉ちゃん。そんなに怒らなくてもいいじゃん。どうせいつかはちょめ太郎と会うのだし」

「そう言うことを言っているんじゃないの。これは私とちょめ太郎の問題よ。ルイは口を挟まないで」


ミクは顔を真っ赤にさせ鬼のような形相で私に詰め寄る。

そんなミクの姿を遠目に見つめながらルイは助け舟を渡す。


「ルイがちょめ太郎を呼んだの。だから、ちょめ太郎は悪くないの」

「それでもちょめ太郎には釘を刺しておいたんだから」

「ちょめちょめ」 (私が悪かったわ。ごめんね、ミク)


ミクが折れそうにもないので私は深々と頭を下げて謝った。


こう言う状況になった時はこっちが早めに折れた方がいい。

折れなければ延々と言い合いが続くだけなので時間の無駄になる。

それにミクが言うようにルイには会ってはいけないと釘をさされていたのだから。


「お姉ちゃん、酷いよ。ちょめ太郎ばかり怒って。お姉ちゃんだって内緒で外出したじゃん」

「そ、それは……」

「だからお姉ちゃんがちょめ太郎を責める権利はないわ」

「ルイ……」


ルイが私を庇ってくれたので、それ以上ミクから責められなかった。


「ごめんね、ちょめ太郎」

「ちょめ」 (ルイが謝らないでよ。私も悪かったんだし)

「……」


ルイが大人な対応をしたことでミクはすんと黙り込んでいた。

これではお姉ちゃんの立場がなくなったと言っても過言でない。

本来であればミクの方がお手本になるような行動をしなければならないのだ。


「ちょめちょめ」 (そんなことよりもルイに話があるんでしょ。ちゃんと伝えて)

「ちょめ太郎……」

「……」


私がテレキネシスを使って紙に伝えたいことを記すとミクはそれを読んで考え込む。

何のためにルイの部屋まで来たのか当初の目的を忘れてはいけない。

ミクはルイと仲直りをするためにやって来たのだ。


「お姉ちゃん。何か話があるんでしょ」

「ルイに本当のことを伝えに来たのよ」

「本当のことって?」

「昨夜の話の続きよ」


覚悟を決めたミクが口を開くとルイの顔も真剣になる。


「私がおぼこぼさまに会いたいのはルイの病気を治してもらうためなの」

「自分の夢を叶えるためじゃないの?」

「学校へ行きたいのも本当。学校へ通って医者になってルイの病気を治したいからよ」

「お姉ちゃん……」


ミクは心の中に秘めていた言葉を伝えるとルイの表情が変わった。

目にいっぱい涙を溜めて潤ませながら泣き顔になる。


「ルイは私の大切な妹だから助けたいのよ」

「お姉ちゃん……」


そこまでミクの本心を知るとルイの目から涙が溢れ出て来る。

ミクはそっとルイを抱きしめて優しい温もりで包んであげた。


「ちょめ……」 (グスン。麗しいわ。純粋な姉妹の姉妹愛)


私もついもらい泣きをして涙を溢れさせた。


「お姉ちゃん。嫌なことばかり言ってごめんね」

「いいのよ。それはルイが優しい子だから」

「お姉ちゃんだって優しいよ」

「ちょめ」 (いいわ。すごくいい。感動的な結末だわ)


結局、誰も間違ってはいなかった。

ミクの行動もルイの言葉も私の判断も間違いではない。

全てはこの結末に行きつくためのフラグだったのだ。


「ちょめちょめ」 (さあ、仲直りをしたのだから握手をしなさい。それでこの話は終わり)

「ルイ、ごめんね」

「お姉ちゃん、ごめんね」


ミクとルイは改めて握手をして仲直りをした。


「ちょめ」 (それじゃあ朝ごはんにしよう)

「ちょめ太郎、待って。まだ、ルイの願いごとを聞いていない」

「ルイの願いごと?聞きたい?」

「うん。教えて」


ミクがそう尋ねるとルイはもったえつけるようにためる。

そして私とミクの関心がルイに向かうと静かに口を開いた。


「私の願いごとはアイドルになることよ」

「「アイドル?」」


ルイの口から出た思わぬ言葉に私とミクは固まってしまう。


「アイドルってみんなに夢を与えて元気にしてくれる存在なんだ。だから、私もアイドルになってみんなを癒したいの」

「ちょめ!」 (いいわ!その夢!アイドルになりたいだなんて素敵だわ!)


ルイの夢を知って私は感激してしまう。


病に伏しているのにアイドルになりたいだなんて崇高な夢だ。

おまけに有名になりたいからではなく、みんなを癒したいだなんて。

病気を患っているルイだからこそ考えられることだ。

ミクのことを天使だと思っていたけどルイはそれ以上かもしれない。


すると、疑問を感じていたミクがルイに尋ねた。


「アイドルなんてどこで知ったの?」

「前にママが王都へ行った時にもらって来たチラシを見たのよ」

「ちょめ」 (情報の出所はミクのママなのね)


ミクのママもルイがアイドルに興味を持つとは思わなかったのだろう。

もし、はじめからわかっていたら安易にチラシを見せなかったはずだ。

”アイドルになりたい”なんて騒がれてもミクのママにはどうしようもできないのだから。


「チラシにカワイイ女の子がカワイイ衣裳を着て映っていたの。なんて書いてあったのかまではわからなかったけどね」

「ちょめちょめ」 (恐らくセントヴィルテール女学院のアイドル部のイベントのチラシね。学院が課外活動を推進しているからイベントも自由なのだろう)


そう言いながらルイはナイトテーブルに仕舞ってあったチラシを差し出す。


そのチラシにはルイが言った通りカワイイ女の子がカワイイ衣裳を着て映っていた。

イベントの告知用のチラシでスケジュールと内容が記載されている。

もう、既に終わってしまったイベントだけれどルイは大事にしていた。


「へぇ~。ルイはアイドルになりたいのね。きっとなれるよ」

「うん。私、絶対にアイドルになる」

「ちょめ」 (ルイがアイドルになったら私は推し活をするわ)


ルイをスタンダードなアイドルにするべく推し活をして応援する。

アイドルはファンあってのものだからファンがいなくてはアイドル活動はできない。

たとえひとりでアイドル活動をはじめたところでファンがつかなければ意味がない。

アイドルとファンは切っても切れない関係性を持っているのだ。


「だからね、まずはお歌の練習をしたいの。ルイ、部屋から出れないでしょ。だから、ダンスとかはできないから」

「う~ん。お歌の練習か。難しいな。私はあまりお歌を知ってないから」

「ちょめちょめ」 (なら、私が協力をしてあげるわ。ちょうどちょめジイのところに”アニ☆プラ”グッズを召喚したばかりだし)


ルイの注文にミクが困っていたので私が助け舟を出した。


「なるほど。ちょめ太郎が協力してくれるって」

「本当!ありがとう。これでアイドルになれる」


ルイはあてが見つかったことですっかり喜んでいた。


アイドルになるためにはまずはお歌を上手に歌えなくてはならない。

その上でダンスや演技などのスキルを磨いて行く必要があるのだ。

けっしてカワイイだけでアイドルは務まらない。

格たる歌唱力とパフォーマンスとキャラクター性が必要不可欠なのだ。


「ちょめちょめ」 (ちょっと待ってて。ちょめジイに頼んで”アニ☆プラ”のCDを転送してもらうから)


そう言い残して私はルイの部屋を出て隣のミクの部屋に向かう。


ちょめジイの存在は内緒にしてあるから知られてはならない。

もし、そんな神がかりな力を持った人物を知れば過度な期待をしてしまう。

おまけに私が異世界から召喚されたのだと知れば恐れてしまうかもしれない。

だから、とかくちょめジイの存在は他の人に知られてはならないのだ。


私はひとりになったことを確認してからちょめジイに念話を送った。


(ねぇ、ちょめジイ。お願いがあるんだけど)

(ふんふんふん)

(ねぇ、ちょめジイってば。無視しないでよ)

(何じゃ、今は音楽鑑賞中じゃ。静かにせい)


ちょめジイの背後から馴染のあるメロディーが聞えて来る。

それは”アニ☆プラ”のセカンドシングルの「快KAN」だった。


(今、聴いているのって”アニ☆プラ”のセカンドシングルでしょ。勝手に私のコレクションに手を出さないでよ)

(これは管理料じゃ。ただでグッズを預かっておるのじゃからのう)

(ムカつくわ。勝手に人のコレクションに触れるなんて)

(ノホホホ。これも人徳じゃ)


ちょめジイは少しも悪びれた様子も見せず当然であるかのように振る舞う。

確かにちょめジイが言う通りただで”アニ☆プラ”グッズを預かってもらっている。

だから、管理料は払わないといけない。

ただ、だからと言って私のコレクションに勝手に触れるのは問題だ。

あくまで持ち主は私なのだから私の許可が必要だ。


(まあ、いいわ。今日のところは許してあげる。それより”アニ☆プラ”のCDとラジカセを、こっちに召喚してよ。用入りなの)

(だからそちらの世界に影響の与えるものは召喚出来ないと言っておるじゃろう)

(別に歌なんだからいいじゃん。大した影響はないわよ)

(ラジカセはどうなるのじゃ。こんなものはそっちの世界にないじゃろう)


返す言葉が見つからない。

確かにちょめジイが指摘するようにこっちの世界にラジカセはないのだ。

ただ、ラジカセはないけれど音楽を楽しむ魔導具は存在している。

どのような仕組みで音楽が聴けるのかまではわからないけど。

ミクの家のリビングにも音楽を聴ける魔導具は置いてあった。


(新しい魔導具ってことにしておけばいいわ。それなら問題ないでしょ)

(魔導具は汎用性の高い物じゃ。だから、どこにでも普通に見かける。しかし、お主のラジカセとやらはひとつしかないじゃろう)

(骨董品ってことにしておくから大丈夫よ。だからお願いよ)

(素直には認められんのじゃ。音楽を楽しみたいのなら魔導具を使うのじゃ)


私のナイスなアイデアを聞いてもちょめジイは首を縦に振らない。

私がひとりでラジカセで音楽を楽しむだけだと思っているようだ。


(ラジカセがあれば幼い少女の夢が叶えられるのよ。だから、お願い)

(夢とは自分の力で手に入れるものじゃ。人をあてにしていてもはじまらん)

(そんなことないわよ。そりゃ自分の力も必要だけど人の力を借りることも必要だから。でなければ夢なんて叶えられないわ)

(お主は妙なところで大人じゃな。さて、どうするか……)


私が至極全うなことを言ったのでちょめジイも考えはじめる。

あともう一押しすればちょめジイの許可が下りそうだ。


(要求を飲んでくれたらちょめジイの要求も飲んであげるわ。それならいいでしょ)

(交換条件と言うことか。まあ、いいじゃろう)

(さすがはちょめジイね。だから好き)

(心にもないことを言うでない。ワシは”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”だけに好かれておればよい)


と言うことで私の要求は通ることになった。


(そちらに召喚するから下がっておれ)


ちょめジイは召喚魔法を使ってミクの部屋にラジカセとCDを召喚してくれる。


(約束は守ったからのう。こっちの要求も守るのじゃぞ)

(ちょめジイの要求って何なの?)

(順調に”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”は集まっておるがカワイイものが多い。そろそろセクシーなぱんつも欲しいのじゃ。やっぱりぱんつはエロカワイくないとな)

(ちょめジイらしい要求ね。それなら今度からは要求通りエッチなぱんつを選ぶわ)


今のところあてはないけれど王都に戻れば可能性は高まる。

王都は年齢層の幅が広いし、人も多いから出会えるはずだ。

当面はミクの家に留まることになりそうだけど仕方がない。

ちょめジイの要求は後回しにして今はルイのことだけを考えよう。


(それでは任せたからな)

(ありがとう)


ちょめジイは念を押すと念話を切った。


「ちょめ」 (これでルイに歌を教えることができるわ)


”アニ☆プラ”の楽曲だからウケるかわからないけどお手本にはなる。

アイドルを目指すのであれば”アニ☆プラ”の楽曲を覚えるのは役立つ。

ただ、ルイは文字が読めないから音楽を聴いて覚えてもらう必要がある。

話言葉もそうやって覚えたのだから問題はないはずだ。


私はさっそくラジカセとCDを持ってルイの部屋に戻った。


「ちょめ」 (いいものを持って来たわよ)

「その四角い箱はなに?」

「お弁当箱なの?」


はじめてラジカセを見てミクとルイの頭に疑問符が浮かぶ。

さも不思議そうにラジカセを眺めながら口をポカンと開けていた。


「ちょめちょめ」 (これはラジカセって言って音楽が聴ける道具よ)

「ちょめちょめじゃわからないよ。ちゃんと説明をして」


ミクから指摘されるがまずは音楽を聴いてもらった方がはやい。

私はラジカセにCDをセットするとスタートボタンを押した。


CDが回転する音が聞えて来るとミクとルイの関心が集まる。

そしてラジカセのスピーカーから”アニ☆プラ”の楽曲のイントロが聞えて来た。


「これも音楽を聴ける魔導具なの?」

「随分と形が変わっているよね」

「ちょめちょめ」 (まあ、そんなところ。正式に言えばラジカセなんだけどね)


ミクとルイはラジカセが音楽の聞ける魔導具と知って安心する。

ただ、あまりに現行の音楽を聴ける魔導具と形が違うので驚いていた。

とりあえず骨董品ってことにしておいて二人を納得させた。


”白紙のページに 言葉を並べて”

”自分だけの ストーリーを 作ろう”

”ワクワクだらけの 冒険活劇”

”魔法と剣、モンスターも飛び出す”


楽曲がはじまるとミクとルイは耳を立てて聴き入る。

はじまったのは”アニ☆プラ”のファーストシングル『スマイル』だった。

アップテンポな曲調なのでミクとルイは体でリズムを刻んでいる。


「ちょめ」 (どう?いい曲でしょ)

「初めて聴く歌ね」

「何だか自然と体が動き出す」


はじめて聴く割にはミクもルイも楽曲にハマっている。


「ちょめ」 (これをルイに覚えてもらうつもりだから)


まずは一通り”アニ☆プラ”の楽曲を聴いてもらうことからはじめることにした。


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