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第四十五話 招待

それからどれぐらい眠っていただろうか。

気がつくとミクの膝の上で横になっていた。

ミクは私と目が合うと話しかけて来る。


「おはよう、ちょめ太郎。具合はどう?」

「ちょめ」 (う~ん。すっきりしてる)


二日酔いから来る頭痛も全くない。

体中スッキリしていて生まれ変わったかのようだ。


私がニコリと笑みを浮かべるとミクは私の頭を撫でた。


「ちょめ太郎が元気になってよかった」

「ちょめちょめ」 (お礼を言いたいのは私の方よ。毒薬を飲まされてヒヤヒヤしていたけど問題はなかった)


お腹も正常だし下痢をしている風もない。


まさかあんなキノコが体に利くとは思わなかった。

見るからに毒キノコにしか見えなかったのだから。

だけど私がよくなったことで効能が証明された。

今度からは見た目に惑わされないようにしないと。


「ちょめちょめ」 (いろいろとお世話になったね。ミクのおかげで助かったわ。次いでだけど、王都へ戻る道を教えてちょうだい)

「ちょめちょめって言われても何だかわからないよ」


私の言葉を聞いてミクは小首を傾げて困惑する。

つい言葉が通じると勝手に思い込んでベラベラと喋ってしまった。

私の言わんことを理解してくれるのは今のところルイミンしかいない。


私はテレキネシスで棒を拾い上げて地面に文字を書いた。


「王都へ行きたいの?」

「ちょめ」 (そう)

「ごめんね。王都までの道は知っているけれどひとりで王都へ行っちゃいけないって言われているから」

「ちょめちょめ」 (誰がそんなことを言ったのよ。王都は危険なところじゃないわよ。例外はあるけど)


ナコルのようにイジメっ子も王都にはいる。

だけど、イジメっ子に会う方が希なのだ。

それにナコルにはマルゲがいるから問題はない。

また、ナコルが悪さをしたらマルゲに報告すればいいのだ。


「ごめんね」

「ちょめちょめ」 (ミクが謝ることはないわ。ミクにだって事情があるのだろうし)


ミクが申し訳なさそうに謝って来るので私は何でもない顔を浮かべた。


とりあえず王都に戻らないと話にならない。

今、どこにいるのか知らないし、森を抜けなければならない。

来た道を引き返すのが一番だけれどどこを通ってここまで来たのかわからない。

たまごおやじのいる場所までの道のりは何となく覚えているのだけれど。


私が辺りを見回しながら困っているとミクが話しかけて来た。


「王都までは案内できないけれど家へ招待はできるよ。ちょめ太郎、行くところないんでしょう」

「ちょめ?」 (ミクの家に行ってもいいの?)

「どうする?」

「ちょめ」 (なら、お言葉に甘えようかしら)


行あてもなければ森を抜ける道も知らない。

ここでミクと別れても私にできることはないのだ。

それならばミクの好意に甘えた方がいい。

ミクの家まで行けば他の方法が見つかるかもしれないし。


私は棒で地面に”お願い”と書いて答えを伝える。

すると、ミクはニコリと笑って承知をしてくれた。


「じゃあ、ちょめ太郎。リュックに入って」

「ちょめ」 (うん。わかった)


ミクに言われた通りリュックの中に入る。


「よいしょっと。じゃあ行くよ」

「ちょめ!」 (出発進行!)


ミクは私の入ったリュックを背負うと駆け出しはじめる。

私は見た目よりも重くないのでミクでも軽々背負える。

猫の子一匹と大差のない重さでしかない。

だから子供のミクでも大丈夫なのだ。


ミクは地図を見ていないのに迷わずに森を駆けて行く。

私にはどこをどう走っているのかわからないから不安になる。

だけど、ミクは足を止めることなく森の中を進んだ。


「ちょめ?」 (この道で合っているの?森しか見えないんだけど)


周りの景色が変わらないので私は不安になってしまう。

もしかしてミクは道に迷ったのではないかとさえ思える。

ただ、ミクはそんなことも気にせずに森を駆けて行った。


「ちょめちょめ」 (引き返した方がいいんじゃない。さっきっから全然、景色が変わってないもの)


そんな私の心配を気にかけることなくミクは前へ進んで行った。

それから1時間ぐらい森の中を駆けているとようやく森の外に出れた。


「だから大丈夫だって言ったでしょう」

「ちょめ」 (ミクは思っている以上にすごい人なのね)


後を振り返ってもどこをどお通って来たのかわからない。

ひとたび森の中へ入ればすぐに迷ってしまうのだ。

ミクはこの森は庭のようなものだと言っていたから、その通りなのだろう。

でなければ子供のミクでは森から抜け出せなかったはずだ。


「ちょめ太郎、あれが私の家だよ」

「ちょめ」 (けっこう立派な家じゃない)


ミクが指を差して家を示すので私は視線を上に上げた。

目の前に飛び込んで来た家は立派な造りの家だった。

大きさは中ぐらいと言った感じで大きくなければ小さくもない。

4人家族が不自由なく暮らせるような大きさの家だった。


「あとちょっとだから待っててね」

「ちょめ」 (お願いするわ)


ミクは自分の家に向かって走り出す。


ミクの家の周りには他の民家はない。

森のそばの一軒家だった。

庭には仕切りはなく地続きになっている。

それはこの近くにモンスターや獣がいないことを現している。

もし、モンスターや獣がいれば柵を設けなければならないからだ。


「着いたよ」

「ちょめ」 (近くで見るとすごく立派なお家ね)


ミクの家は木で作られている自然味溢れる家だ。

庭には花壇ができていてたくさんの花が咲いている。

見ているだけで癒される、そんな景色だった。


「ただいまー」

「……」


ミクが玄関の扉を開けて”ただいま”を言うが何の返事も返って来ない。

ただ、ミクの”ただいま”だけが虚しく家の中に響きわたった。


「ちょめ?」 (家に誰もいないの?)

「パパとママは仕事よ」

「ちょめ」 (ミクはカギっ子なのね)


ミクが”カギっ子”を知っているかわからないけど共働き家族のあるあるだ。

まあ、家に閉じこもっている訳ではないから正式な”カギっ子”じゃないのだけど。


「私の部屋に案内してあげるね」

「ちょめ」 (楽しみ)


ミクは階段を駆け上がって2階の自分の部屋に行く。

そして部屋の扉を開いて私を部屋の中に入れてくれた。


「ここが私の部屋よ」

「ちょめ」 (思っているよりシンプルなのね)


ミクの部屋は想像していたよりも落ち着いた雰囲気がある。

女の子が好きなピンク色のアイテムは少なくてシックにまとまっている。

かろうじてベッドの上には大きなクマのぬいぐるみがあった。

女の子の部屋あるあるの光景だ。


一番目に留まったのは大きな書棚だ。

難しそうなタイトルの本がたくさん並んでいる。


私が書棚に見とれているとミクが声をかけて来た。


「その本はね、医療の本だよ。いろいろ読み漁ったんだけど病気を治す方法が見つからなくて」

「ちょめ?」 (病気って?ミクはどこか悪いの?)

「私にはルイって言う妹がいるんだけど不治の病にかかっているんだ。いろんなお医者さんに診てもらったんだけど病気を治す方法がないと言われたの」

「ちょめちょめ」 (ミクには妹がいたんだ。病気にかかっているなんて可哀想ね)


それでもミクは悲しそうな顔を一切見せない。

自分が明るくしていないとルイを不安にさせるだけだと考えているようだ。

さすがはお姉ちゃんだけと言うことはある。

私は姉妹がいないからミクの気持ちがわからない。

だけどルイの身を案じるミクの想いは伝わった。


「ちょめ太郎に妹を紹介したいけどルイは家族でないとダメなの。だから、ごめんね」

「ちょめちょめ」 (気にしないでよ。私は大丈夫だから。私を見て驚いてもあれだしね)


ちょめ虫なんて見たことないからルイは驚くだろう。

もしかしたらショック死してしまうこともありそうだ。

もし万が一のことがあったら私もタダではいられない。

ミクの妹の顔を見れないことは残念だけれど仕方ない。


「待ってて。今、おやつを持って来るから」

「ちょめ」 (ありがとう)


そう言ってミクが部屋を出て行くと隣の部屋の扉が開いた音が聞えた。

おそらくミクがルイのところへ報告をしに行ったのだろう。

隣の部屋に誰が来ているのかわからなければ気になった仕方ないから。


私はミクには悪いと思ったけれど壁に耳をあててミク達の会話を盗み聞きした。


「お姉ちゃん、誰か来ているの?」

「うん。森で出会った友達。ちょめ太郎って言うんだよ」

「ちょめ太郎?男の子なの?」

「う~んとね。キノコの形をした緑色の青虫だよ」

「キノコの形をした緑色の青虫?見てみたい」

「それはできないよ。この部屋には家族以外の人は入れてはダメなんだから」


ミクの話を聞いてルイは目を輝かせて私に興味を持つ。

ちょめ虫だなんて誰も見たことがないから感心を抱くのも仕方がない。

とりわけ外の世界を知らないルイからしたら神秘的な存在なのだ。


「えー、私もちょめ太郎を見てみたい」

「わかったわ。後で今日、森であったことを教えてあげるね」

「約束だよ」

「うん。約束ね」


ミクはルイにそう約束をするとルイの部屋から出る。

そしてすぐに階段を駆け下りる音が聞えて来た。


隣の部屋で会話を盗み聞きをしていた私もルイに興味を持った。

姿の見えない相手だからどんな姿をしているのか気になって仕方がない。

ただ、ミクの妹だから天使のようなカワイイ美少女であることは間違いないだろう。


「ちょめ~」 (気になる~)


私は壁に耳をあてて隣の部屋から何か聞えないか耳を澄ませた。


すると、階段を駆け上がる音が聞えて来てミクが部屋に戻って来た。

お盆の上にはショートケーキとオレンジジュースが乗せてある。


「ちょめ太郎、お待たせ。おやつ持って来たよ」

「ちょめっ」 (あ、ありがとう)

「ちょめ太郎、ルイのことが気になるんだね」

「ちょめ」 (べ、別に盗み聞きをしていた訳じゃないわよ)


壁に耳をあてている姿を見られて私は慌ててしまう。

ミクは私の気持を察して怒ったりはしなかった。


誰だって病気の妹がいると言われれば気になるものだ。

ましてや家族以外は面会謝絶なんて言われればなおのこと。

それはルイも同じで私と同じように私に興味を持っていた。


「ルイはね、元気な子として生まれたの。だけど、3歳になったら病気が判明したの。お医者さんでも治せない重篤な病気なんだよ。太陽の光に晒しちゃいけないから部屋に閉じ籠っているばかり。だから、私が森に出かけて外の話をしてあげてるんだ」

「ちょめ」 (外に出られないなんて可哀想)

「ルイは私の話を楽しみにしていて私が話をするとすごく喜んでくれるのよ。”今日は何があったの”って毎日聞いて来るんだ」

「ちょめ」 (ミクは優しいお姉ちゃんなんだね)


ミクの優しさは私が一番よく知っている。

私が森の中で倒れていた時も助けてくれた。

おまけに口移しで薬を飲ませてくれるなんて普通はできないことだ。

ミクは誰に対しても優しくて溢れるぐらい愛情を注いでくれる。

そんなミクの愛情を一身に受けているルイは幸せ者だ。


「だから私が将来、お医者さんになってミクの病気を治してあげるの」

「ちょめ」 (なるほど。だから医療の本ばかりを読んでいるのね)


妹の病気を治すために医者を目指すなんてすごいとしか言いようがない。

私なんかミクの足元にも及ばないぐらい小物だ。

推しの”ななブー”を応援していることしかしていない。

もし、ルイも元気だったらいっしょに推し活をできたことだろう。


「なんか難しい話になっちゃったね。ケーキを食べてよ」

「ちょめ」 (ありがとう。遠慮なくいただくわ)


私はテレキネシスでホークを操ってケーキを切り分ける。

そしてそのままケーキの切れ端を口の中に放り込んだ。


「ちょめー」 (甘ーい)


どこかで聞いたことのある台詞を叫んで感激する。

イチゴが乗った普通のショートケーキだけど甘く感じる。

イチゴが熟しているし、クリームがたっぷりだからだろう。

おまけにお腹が空いていたから数倍に美味しさを感じた。


「ちょめ太郎が喜んでくれて嬉しい」

「ちょめ」 (私もこんな歓迎を受けて嬉しいわ)


ミクに助けてもらったうえ家に招待してくれるなんて。

おまけにおやつのショートケーキと来れば嬉しいの言葉しかない。

何だかミクの好意に甘えているだけのようで恐縮してしまう。


「ところでちょめ太郎は精霊の森で何をしていたの?もしかして精霊を探していたの?」

「ちょめ」 (私は迷っていただけ)


たまごおやじに会ってからその先の記憶が飛んでいる。

だからどうやってここまで来たのかわからないのだ。


「あの森には精霊がいて願いごとを叶えてくれるって言い伝えがあるのよ」

「ちょめ」 (だからミクは毎日、精霊の森へ出掛けているのね)

「精霊に会ったらルイの病気を治してもらうんだ」

「ちょめ」 (そうなるといいわね)


ミクの言っていることは夢物語だが、それに縋るしか方法がないのだ。

重篤な病気にかかっているルイを救うには神頼みに任せるしかない。

たとえそれが絵空事だとしても今のミクには信じることが必要なのだ。


「ちょめ太郎は森で精霊に出会わなかった?」

「ちょめ」 (私が出会ったのは醜いたまごおやじだけよ。あいつらが精霊だとは思えないわ)


たまごおやじが精霊だったらこの世の終わりだ。

精霊なんて神に近い存在だからもっと神秘的に違いない。

たまごおやじなんて神秘的から外れた存在でしかないのだ。

きっとたまごおやじ達はあまりの醜さに森に引きこもったのだろう。


私はたまごおやじ達のように醜い生き物だから気持ちがわかるのだ。


「精霊ってどんな姿をしているのかな……」

「ちょめ」 (きっと透明な羽を持った小さな美少女よ)


決まって神秘的な生き物には透明な羽があるものだ。

おまけに絶世の美少女で透明感のある存在であることが多い。

私の想像している精霊の姿は日本で言う妖精に近い存在だ。

精霊と妖精にどんな差があるのかわからないが近しい姿をしていると予想している。


「明日は精霊に会えると言いな」

「ちょめ」 (ミクは純粋でキレイな心を持った女の子だから絶対に会えるわ)


でなければ精霊を殴ってやるところだ。

妹の病気を治したいと言うしごく美しい願いを持っているのだから願いを叶えて欲しい。

もし、ルイの病気を治してくれたのならば私は何でもするだろう。

当のミクだって同じ気持ちだ。


すると、不意にミクの部屋の掛け時計が鳴った。


「あっ、もう15時になっちゃった。ちょめ太郎、王都へ帰るんだよね。なら、地図を書いてあげるね」

「ちょめ」 (お願いするわ)

「精霊の森がこの辺だから王都はこの辺になるかな……できたよ」

「ちょめ」 (あら、随分早いじゃない。どれどれ……)


ミクが書いた地図を見るとざっくばらんな地図だった。

王都や精霊の森の位置がわかるだけで帰り道が書いてない。


「ちょめちょめ」 (こんなのじゃわからないわ。もっと詳しい地図を書いてよ)

「わからない?私はこれだけでだいたいの道はわかるんだけどな」


ミクの感覚で物事を言われても私にはついて行けない。

ミクにとって精霊の森は庭のようでも私からしたら違う。

方向だけわかったとしても精霊の森に入れば迷ってしまう。

だから私にもわかる地図じゃないと役に立たないのだ。


「ちょめちょめ」 (地図ができるまで待ってあげるから、なるべく詳しい地図を書いてね)

「今日中に書くのは難しいな。2、3日時間をちょうだい」

「ちょめちょめ」 (えー。そんなにも時間がかかるの)

「その代り地図ができるまで家に泊まっていいよ」


ミクの提案で今夜の宿は決まった。

ただ、2、3日も滞在するなんて時間がかかり過ぎだ。

ルイミンのことも心配だし、なるべく早く王都へ戻りたい。


「ちょめちょめ」 (まあでも焦っても仕方ない。ルイミンのことは心配だけど王都にはマルゲがいるから大丈夫よ、きっと)


私は不安をかき消すように言葉を吐いて気持ちを落ち着かせる。


ここでルイミンの心配をしていても不安ばかりが膨らんで行くだけだ。

ナコルは容赦なくイジメるタイプだけどルイミンの命を取ったりしない。

それにマルゲに報告を上げればナコルは退学になるのだ。

そうなれば少しはセントヴィルテール女学院も平和になるだろう。


「ちょめ太郎、そんなに暗い顔をしてどうしたの?」

「ちょめちょめ」 (ちょっと考えごとをしていただけ。何も問題はないわ)

「もしかして人の家に泊まるのは初めてだから緊張しているの?」

「ちょめちょめ」 (そんなことないわよ。お泊りぐらいしたことはあるわ)


同じアニ☆プラオタクの友達の家に泊まったことがあるわ。

夜が明けるまでアニ☆プラの話をしていたから泊まったって感じじゃなかったけど。

まあ、でも今思い返せば楽しい想い出ね。


「わかった。パパとママのことが心配なんでしょう」

「ちょめ」 (それはちょっとあるかも)

「心配しなくても大丈夫だよ。パパとママは理解力があるから」

「ちょめ?」 (私を見て追い出したりしない?)


一番の心配どころはそこだ。

ちょめ虫なんて珍しいから家から追い出すかもしれない。

ミクは大丈夫だと言っているがイメル村のことが想い出される。

子供は好奇心旺盛だから私を見ても驚かない。

ただ、大人になると違う。

初めて見る生き物に警戒をするはずだ。


「ちょめ太郎のことを見たらペットだと思うよ」

「ちょめ」 (ペッとね。私は犬猫レベルなのね。ちょっと悲しい)


まあ、厄介者扱いされるよりもペットの方がマシだ。

サイズ的に見ても犬猫と同じぐらいだしペットと変わりない。

ただ、人間であった時の意識があるから微妙な気持だ。


すると、玄関の扉が開く音が聞えて来た。


「あっ、ママが帰って来た」

「ちょめ?」 (ママだけなの?)

「ちょめ太郎はここにいて。後でちゃんと紹介してあげるから」

「ちょめちょめ」 (その方がいいかもね。いきなり行って驚かれても困るから)


ミクはそう私に言うと自分の部屋から飛び出して行く。

そして階段を勢いよく駆け降りる音が聞えて来た。


「ちょめ」 (ミクはしっかりしているけれど子供なのね)


そのことにちょっと安心した。

しっかり者で子供らしくないと距離を置きたくなるものだ。

子供なんだから子供らしい要素を持っていた方が可愛げがある。

ミクは十分に可愛らしい子供だから私は好きだ。


「ちょめ」 (とりあえず昼寝でもしてよう)


私はミクのベッドに飛び乗って横になった。


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