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第三十八話 見~つけた

ブチャコを引き当てるなんて不運でしかない。

世の中の3割はブチャコだから仕方ないのかもしれない。

だけどブチャコを引き当てるなんて犬の糞を踏んづけたような気分だ。


「何よ、この虫」

「私たちに何か用なの」

「もしかして、私たちのファンじゃない」


ブチャコ達は鏡で自分の顔を見たことがないのだろうか。

どの口から”私達のファン”だなんて言葉が出て来るのか。

もしかして自分達がイケてる女子だと思い込んでいたりして。


――な訳ないわよね。

ブチャコは逆立ちをしてもブチャコなんだから。


「何とか言いなさいよ」

「ちょめ」 (あなた達に用はないわ)

「”ちょめ”だって」

「今のが泣き声なの。ウケるんですけど」


ブチャコ達は私の声を聴いて爆笑している。

笑ったら増々顔がブサイクになっているのにも気づかない。


「ちょめちょめ」 (可哀想な人達ね。ブチャコとして生まれた以上ブチャコとして生きて行くしかないのよ、あなた達は)


私はブサイクになっているブチャコ達に憐みの言葉を吐いた。


「何か言っているよ」

「悔しかったら私達にわかる言葉で話してみなさい」

「ちょめ」 (ブーブー)


ブチャコ達は訝し気な顔をしながら私を見つめている。


「私達、馬鹿にされてる?」

「なんかムカつくわ。やっちゃおうよ」

「それ、ありかもね」


やっと馬鹿にされていることに気づいたブチャコ達はニタニタ笑いながら私を取り囲む。

3方向を塞がれているので逃げ道はない。


「ちょめ」 (ブチャコ相手に、これは使いたくなかったけど仕方ないわ)


私はお得意のテレキネシスを使ってブチャコ達のスカートを捲り上げた。


「キャー!」

「何よ、これ」

「何なのよ」


ブチャコ達は顔にも似合わない悲鳴を上げてスカートを抑える。

まるで豚が鳴いたようなブサイクな悲鳴だ。

ブチャコともなるの悲鳴までブサイクなようだ。


「ちょめ」 (ぱんつもありきたりのぱんつね。もうちょっとお洒落した方がいいわよ)


まあ、ブチャコがセクシーなぱんつを履いてもイタイだけだけど。


「ちょめ」 (もう飽きたわ。ブチャコのスカートを捲っても誰も見やしないし面白くない)


私はテレキネシスを切ってブチャコ達のスカートを放した。


「もう、何なのよ」

「行こう」

「ちょめ」 (カーカッカッカ。これに懲りたら私を馬鹿にするのは止めるのよ)


逃げるように去っていくブチャコ達の背中を見送りながら勝ち誇る。


見た目で私が弱いと判断したのが間違いなのだ。

私は小さいけれど大きな力を持ったちょめ虫だ。

たとえ女ボスが立ちはだかっても負けはしない。


「見~つけた」


不意に背後から声をかけられたので振り返るとナコル達が立っていた。

今日は2人だけではなく7人もギャル仲間を連れている。


「ナコル。こいつが例のやつなの」

「弱そうじゃん」

「小さいし、ひ弱そう」


ナコルの連れて来たギャル友達は私の頭をぺチぺチと叩きながら馬鹿にして来る。


「ちょめ」 (さすがはナコルの友達だわ。如何にも馬鹿そう)

「油断しない方がいいわよ。そいつは妙な力を使うから」

「ナコル、ビビり過ぎだよ。こんな奴に何ができるっての」

「そうよ。こんなことしても何もしないし」


そう言いながらナコルの友達は私の頬を引っ張って遊ぶ。

すっかり気を抜いているから隙だらけだ。

こんなおバカちゃん達にはエッチなお仕置きをしなければならない。


私はお得意のテレキネシスを使ってナコル達のスカートを捲り上げた。


「ちょめ!」 (スパッツ!)

「こんなこともあろうかと思ってスパッツを履いて来たのよ。これならいくらスカートを捲られても恥ずかしくないわ」

「ちょ……め」 (くぅ……ナコルにしてはやるわね)


スパッツを履いているならスカートを捲っても意味はない。

たまにスパッツ好きな男子もいるが一般ウケはしない。

だからと言って私の駒が奪われた訳じゃない。

スパッツを履いているならちょめリコ棒でエッチなお仕置きをすればいいのだから。


私はちょめリコ棒を取り出して構える。


「変なのを出して来たわよ」

「そんな棒で何をするっての」

「ちょめ」 (こうするのよ)


私はちょめリコ棒でナコルの恥ずかしいところをちょめリコした。


「アンッ」


ナコルは色っぽい吐息をこぼすと頬を赤らめる。

ジャストミートにちょめリコ棒が刺さったので感じたようだ。


「ちょめ」 (どう?ちょめリコ棒のお味は。ちょめリコ棒だって、こう言う使い方もあるのよ)

「アッアッアッ……ちょっと、アン。止め……アン」


気持ちよくなったのかナコルはすっかり目をトロけさせている。


ナコルの”止めてほしい”が”もっとしてほしい”に聞えて来る。

はじめての感覚に溺れてしまっていてあられもない姿に変わり果てている。

このままエッチなお仕置きを続けていたらナコルは目覚めてしまうだろう。


「ナコル、そんなものに負けるな」

「そうよ。そんなおもちゃが気持ちいい訳ないでしょう」

「自分を取り戻すのよ、ナコル」


ナコルのギャル友達はナコルを励ますようにギャアギャア騒いでいる。

いつの間にかナコルの周りに輪ができてギャル友達が応援していた。


あいにくちょめリコ棒は1つしかないからギャル友達の相手はできない。

巧みな私のテクニックにハマったらギャルなんてイチコロなんだけど。


「アン、アン、アン……ダメ、イッちゃう。アン、アッアッ」

「ちょめ」 (あと少しでナコルは落ちるわ。追い込みをかけるわよ)


私はちょめリコ棒を巧みに操って16連射をした。


「アッアッアッアッアッアッ……や……アッアッアッアッ、アン」


あまりの快感にナコルは耐えきれなくなり膝から崩れ落ちた。


「ハアハアハア……」

「「ナコル、大丈夫」」

「ハアハアハア……」


ギャル友達がナコルのところに駆け寄るがナコルは言葉を発せないでいる。


「ちょめ」 (カーカッカッカ。これに懲りたら私に復讐をしようだなんて思わないことね)

「ハアハアハア……ムカつく」


ようやく出た言葉も”ムカつく”のひと言。

そんな苦し紛れの言葉を聞いても何も響かない。

返って”ムカつく”は”最高”に聞えて来る。


ナコルは頬を赤らめたまま腰をヒクヒク動かしていた。


「ちょめちょめ」 (おかわりが欲しいようね。お尻を出しなさい。思う存分、イカせてあげるから)


私はちょめリコ棒を動かしながらナコルを挑発する。


「ハアハアハア……舐めやがって」

「ナコル、どうするの?」

「ハアハアハア……奴の狙いは私よ。だから私が囮になるわ。私が奴の注意を惹いている間にあなた達で奴を抑えて」

「ひとりで大丈夫?」

「ハアハアハア……あなた達がカギよ」


ナコル達は何やらコソコソ作戦を立てるとナコルが前に出て来た。


「ちょめ?」 (私にお仕置きをされる覚悟ができたの?)

「ハアハアハア……さあ、やりなさい」


そして自分でスカートを捲り上げると恥ずかしいところを突き出した。


「ちょめちょめ」 (いや~ん、カワイイ。もう、ちょめリコ棒の虜になっちゃったのね。ならしてあげるわ。思う存分イカせてあ・げ・る)


欲しがりなナコルに応えるべく私はちょめリコ棒をナコルに向ける。

そして、ちょめリコ棒を近づけると焦らすように指先を動かした。


「ハアハアハア……早く、して」

「ちょめ」 (お望みどおりにしてあげるわ)


私はちょめリコ棒の指先でナコルの恥ずかしいところを激しく突く。


「アッアッアッアッアッ……アンアン」


すぐさまナコルは甘い吐息を零しながら頬を赤らめて行く。

次第にジワリジワリとスパッツが熱くなりはじめる。


「ちょめ」 (熱くなって来たわね。もう、ナコルちゃんたら)

「アン、アッアッ……今よ」

「ちょめ」 (まだ欲しいの。この変態)


私が油断している間にギャル友達は私の周りを取り囲む。

そしていっせいに飛びかかって来て私を取り押えた。


「ちょめちょめ」 (ちょっと、放しなさい。今、大事なお仕置き中なのよ。あなた達は後でしてあげるわ)

「ハアハアハア……形勢逆転ね」

「ちょめ」 (自分を囮にして私の隙をついたとでも言うの)

「ハアハアハア……お前はこいつに夢中だからな。絶対隙ができると思っていたんだよ」


ナコルはちょめリコ棒を握りながら私を蔑むように見下げる。

その間にギャル友達は私をロープでぐるぐる巻きにした。


「自分の甘さを呪うんだね」

「ちょめ」 (ちょめリコ棒で突かないでよ)


ナコルはちょめリコ棒で私の頬を強く突いて押した。


「ナコル、こいつをどういたぶるの」

「そうだね。サッカーボルにしてみるわ」

「ナイスアイデア」

「ちょめちょめ」 (何が”ナイスアイデア”よ。そんなことをしたら後でエッチなお仕置きをしてあげるんだから)


そんな私の思いとは裏腹にナコル達は輪になって広がる。

そしてナコルが私の頭を鷲掴みにして持ち上げた。


「行くよ。せーの!」


ドカッ。


私はボールのように回転しながらギャル友達の方へ飛んで行く。


「ナイス、パス」


パスを取ったギャル友達は私の頭を踏みつけながら叫ぶ。


「こっちこっち」

「行くよ」


ドカッ。


ナコル達は私をサッカーボールのように蹴とばして遊びはじめる。

私は抵抗する暇もなくサッカーボールのようにコロコロ転がっていた。


「ちょめ」 (うぅ……目が回る)

「まだ足りないようね。本気で行くよ!」


ナコルは片足を後ろに振り上げると力任せに私を蹴り飛ばした。


ドカッ。


私はギャル友達の頭の上を飛び越えて吹き飛ばされて行く。


「ちょっと、ナコル。強すぎ」

「アハハハ。ごめん、ごめん」


勢いよくコロコロ転がって行くと誰かの足元で止まった。


「ちょめ助じゃない。なんでこんなところにいるの」

「ちょめ?」 (うぅ……あなたは?)

「忘れちゃったの。ルイミンだよ。いっしょにリリナちゃんのライブ見てた」

「ちょめ」 (うぅ……そんなこともあったようなないような)


目が回って頭がクラクラしているのでルイミンのことが思い出せない。

ルイミンはライブの帰りなのか法被を着て頭に鉢巻を撒いていた。


「ハアハアハア。こんなところまで飛んで来たんだね。ボールを返して」

「ボールって?」

「その手に持っているやつよ」

「ちょめ助はボールじゃないわ」


ルイミンは私を庇ってギャル友達に返さないようにしてくれる。

すると、騒ぎを聞きつけて来たナコル達が集まって来た。


「何をしてるのよ」

「いや、この子がボールを返してくれないから」

「ちょっと、そのボールは私達のよ。返しなさい」

「ゲッ。ギャル部のはみ出し者」


ルイミンはナコルを見るなり驚いた顔を浮かべて後ろに退く。


「ちょめ?」 (何よそれ?)

「ナコルはギャル部を創設した部長だけど3日部活に顔を出しただけで後はほったらかしにしているはみ出し者なの。学院にもあまり登校しないで遊びほうけている、いわゆる落ちこぼれ中の落ちこぼれ。将来はモンスターになるんじゃないかって噂されているの」

「随分な言いようじゃない。私に立てつくつもり?」

「ヒィッ」


ルイミンのマニアックな説明にイラッとしたナコルは凄んで来る。

たまらずにルイミンは恐れおののいて後ずさりした。


ナコルが落ちこぼれであることは知っていたけど嫌われ者だったとはね。

”将来がモンスターになる”なんて噂されるなんて普通の人ではありえないことだ。

よっぽどナコルはみんなから忌み嫌われているのだろう。


「さあ、そいつを寄こしなさい。でないとあなたが痛い目を見るのよ」

「ちょめ助……ごめん」


ルイミンは悲し気な顔をしながら私をナコルに差し出した。


「ちょめ」 (気にしないで、ルイミン。私達は友達じゃない)

「ちょめ助……」


悲しそうにしているルイミンを励ますように私はニコリと笑った。


「それじゃあ続きをしよう」

「今度は何をする?」

「木に吊るしてサンドバッグにしよう」

「面白そうじゃん」


ナコル達は私を連れて楽しそうに笑いながら次のお仕置きを決める。

サンドバッグだからサッカーボールのように目が回ることはないだろう。

ただ、しばらくの間はナコル達から逃れられない。


ルイミンはナコル達の背中を見送ると学院に向かって駆け出した。


「この木がちょうどよさそうね」

「私がロープの端を抑えているからナコルはそいつを木に引っ掛けて」

「OK。いくよ、そーれ」


私はボールのように宙を舞うと木の枝にロープが引っかかる。

そしてそのまま私は弧を描くようにナコルのところへ戻って来た。


「もう1回転させとく?」

「そうね。その方がいいかもね」


そう言ってナコルは私を放り投げると1回転させて固定した。


「こっちはOKよ」

「さて、準備は整ったわ。さっきのお礼をしなくちゃね」

「ちょめちょめ」 (懲りない連中ね。ちゃんとエッチなお仕置きをして調教しないといけないわ)


ナコル達はニタリを悪意に満ちた笑みを浮かべながら指を鳴らす。

私の叫びなど聞えてないようでやるき満々だ。


「誰が一番高く飛ばせるか競争しよう」

「いいね、面白そうじゃん」

「勝つのは私よ」

「じゃあ、私からね」


そう言ってナコルは右の拳を後ろに引いて構える。

そして目の前にぶら下がっている私目がけて拳を振り上げた。


「さっきのお返しよ!」


ドカッ。


私の体は遠心力に任せてブランコのように空を目指す。

ギシギシとロープが木の枝に擦れている音がするとロープがピーンと張る。

それから私はナコルのところへ戻るように逆向きで振られて行った。


「ちょめ」 (いや~ん。か・い・か・ん)


コブこそ出来ていないが殴られた時に私の体は大きく歪んだ。


「ナコル、やるじゃん」

「あたり前よ。私を誰だと思っているの」

「なら、次は私がやる」


ブラブラと揺られている私を止めると動かないように制止させる。

すると、次の番のギャル友達が一歩前に出て拳を構えた。


「うっしゃ。飛んでけー!」


ドカッ。


次の番のギャル友達は2、3歩後ろに下がってから勢いをつけて私を殴りつけた。

そのためかナコルに殴られた時よりも高い位置まで飛ばされる。

そして限界点まで達すると振り子の原理で元の場所へ戻された。


「ちょめ」 (もっと。もっとちょうだい)


ナコルと同じところを殴られたのでズシリとした痛みが走った。

ただ、その感覚が気持ち良くて私はお代わりをおねだりしていた。


「今のは反則よ。認めないから」

「別に勢いをつけちゃダメってルールはないじゃない」

「普通は前の人と同じやり方をするものなのよ。だから、これは無効だから」

「わかったわよ。じゃあ、何か賭けましょう。でないと本気を出せないわ」

「なら、1番になった人はみんなから奢られるってのはどう?」

「いいわよ、それに決まり」


ナコル達は友達同士、話し合いで遊びのルール―を決める。

遊びと言っても私はイジメられているだけだけど。

まあ、1番になった人がみんなから奢ってもらえるのは順当だ。


「ここに線を引くから線に足を合わせるのよ。勢いをつけるのも反則だからね」

「わかってるわよ」

「なら、私からやらせてもらうわ」


そう言ってナコルは一歩前に踏み出して準備をはじめる。

軸足になる左足を線に合わせて右足を軽く下げて間合いをとる。

あまり足を開き過ぎても勢いがなくなるし、狭すぎてもダメだ。

拳を伸ばした時にいい感じに的である私を殴りつけるかがポイントになる。


それを知ってか知らずかナコルは入念に足の場所を決めていた。


「それじゃあ行かせてもらうから」


ナコルは右足に体重を移動させると拳を握り締めて構える。

そして右足を蹴って体重を左足に移動させると同時に勢いよく拳を放った。


「行けぇぇぇぇぇぇー!」


ドカッ。


例の如く私は振り子運動のように空高くまで舞い上げられた。


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