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第二十七話 にっくきしましまぱんつ②

ナコルのイジメは止まらない。

私がどんなに血を流して入ようがおかまいなしだ。

ただ、ギャルの友達はすっかり引いてしまって怯えている。


「何をボーと突っ立ているの。あなた達もやりな」

「嫌よ。これ以上やったら本当に死んじゃうわ」

「わ、私達、用があるからこれで」


そう言い残してギャルの友達は逃げるように去って行った。

その背中を見送りながらナコルは舌打ちをして毒を吐く。


「チッ。これだから上辺だけのギャルはダメなのよ。格好ばかり一丁前で根性がないんだから」

「ちょめ」 (あなただってさほど変わりないわ)

「その目は何。まだわかってないようね」


私がナコルを睨みつけるとナコルはナイフを横に引いた。


「ちょっ」 (痛っ)


傷口からじんわりと赤い血が溢れて来る。

同時にジンジンとした痛みが左の頬に走った。


「私は、あなたような弱いやつを見ると虫唾が走るのよ。いつも人の影に隠れて他人の力をあてにして。卑怯なのよ、弱いやつは」

「ちょめっ」 (はっ。私は弱い人間だったのね)


いつも擬態して姿を隠して、ちょめジイの力をあてにしてる。

ナコルに指摘されるまで自分が弱い人間だったなんて気づかなかった。

ただ、今はちょめ虫だから弱いちょめ虫なんだけどね。


「やっと気づいたようね。あなたは弱いのよ」

「ちょめ」 (だけど、私はあなたより弱くはないわ。弱いものイジメなんてしないし)

「何なのよ、その目は」

「ちょめ」 (仕方ないじゃない。こう言う顔をしているんだから)


私が反抗的な目をしていると思っているナコルは感情を荒げる。

傷つけても傷つけても私の心がくじけないことを恐れているかのようだ。


「生意気なんだよ!」

「ちょめっ」 (痛っ)


ナコルは沸き上がる感情をぶちまけるかのように私に蹴りを加える。

その度に私の顔は歪み、蹴られた場所が青く腫れあがって行った。


「ハアハアハア……弱いくせに生意気こくからよ」

「ちょめ、ちょめ、ちょめ」 (痛い、痛い、痛い)


どんなに痛くても”ちょめ”としか言えないなんて悲し過ぎるわ。

もう、私の顔は元の顔がわからないぐら腫れあがっている。

風が吹くだけで傷口がジンジンと痛む。


「さあ、詫びを入れなさい。もう、私には逆らわないと言いなさい」

「……ちょめ」 (……なんでそんなことを言わなくちゃいけないの)

「ちょめじゃない。ふざけてるのかよ!」


ドカッ。


私が馬鹿にしているかと思ったのかナコルは蹴りを入れた。


この設定にしたちょめジイを呪う。

もし、私が普通に喋れたらこんなことにはなっていなかったのだ。

ナコルの横面を殴ることはできなかったとしても言い返せただろう。

あとでちょめジイに普通に喋れるように設定しなおしてもらおう。


「詫びを入れろ!こうやって頭を下げてナコルさんには逆らいませんと言うのよ!」

「ちょ……」 (グググゥ……)


ナコルは私の頭を抑えつけて地面に擦りつける。

そしてしきりに”詫びを入れろ”と迫って来た。


こんなイビリ方は80’sに流行った不良漫画でしか見たことがない。

あの頃の不良漫画では鉛筆をバキバキに折って口に中に放り込んで殴りつけるなんて過激な描写があった。

それに比べたらナコルのイビリはそれほどでもないがそれでもだ。

女子中学生がやることじゃない。


「お前は弱いの。弱いやつは強い私に逆らってはいけないの。上を見ずに下だけ見ていな」

「ちょ……め」 (私は……弱くない)


本当に弱いのはすぐに力に頼るナコル自身なのだ。

気弱そうな相手を見つけて拳を振り上げて従わせる。

そうすることで自分が優位に立っていると思い込むのだ。

それでしか自分の正義を貫けないのは弱いやつのやることだ。


ナコルにどんな過去があったのかはわからない。

ナコルよりも強いやつにイジメられていたのかもしれない。

だけど、力に頼った瞬間、ナコルの負けは決まっているのだ。


「何で詫びを入れないのよ。私をバカにしているの」

「ちょめちょめ」 (馬鹿になんてしていないわ。憐れんでいるだけよ)

「その目よ。人の心を見透かしたようなその目が気に入らないのよ」

「ちょめちょめ」 (仕方ないじゃない。この顔なんだから。文句ならちょめジイに言って)


ナコルは私の替えられない顔を見ながら文句を言って来る。

私だって替えられるものならば顔を替えたい。

生まれながら、この顔なんて最悪でしかない。

乙女心が傷つくと言うか私のプライドがへし折られた感じだ。

どうせならもっとカワイイ動物に転生したかったものだ。


「その目ん玉を抉りでしてあげるわ」

「ちょめ!」 (止めてよ!あなたは”フランケン○ュタイン博士”のつもり)


ナコルはナイフを光らせて脅しをかけて来る。


みんなも知っているとは思うが怪物の方がフランケン○ュタインではない。

怪物を作り上げた博士こそフランケン○ュタインなのだ。


「大人しくしな!」

「ちょめ!」 (嫌よ、いや!そんなことをしたら片目のちょめ虫になっちゃうじゃない)


眼帯をつけたら海賊みたいになるけど不細工だわ。

やっぱり目は2つちゃんとあった方がいい。

たとえ不細工な顔だったとしてもだ。


ナコルがマジでナイフで私の目を抉ろうとするのでテレキネシスで抵抗した。


カランカラン。


ナイフはナコルの手から離れて地面に転がる。


「ちょっと手が滑ったわ」


ナコルは私がテレキネシスを使ったことに気づいていないようだ。

まあ、私の姿を見てそんな力があるとは思わないのが普通だ。

ただのちょめ虫にテレキネシスなんて力がある方がおかしい。

ちょめジイに感謝したいところだわ。


「ちょめっ!」 (ナイフは渡さないわ!)


私はテレキネシスを使ってナイフを遠くに遠ざける。

すると、タイミングよくナイフは橋げたを越えて川に落ちた。


チャポン。


「あっ。ちくしょう、川に落ちた」

「ちょめ」 (ざまあみやがれってんだ)


これでナイフで私の目ん玉を抉ることはできなくなった。

形成逆転と言ったところだ。


「まあいいさ。ナイフがないなら直接、目ん玉を抉り出してやるよ」

「ちょめっ?」 (あなたは悪魔なの?直接抉るなんて悪魔にしかできない所業よ)


私が逃げようとするとナコルはロープを踏んづけて止める。

まだ体にはロープがグルグル巻きになっている。

ギャルの友達がしっかり巻いたようで外せないのだ。


「大人しくしてろ」

「ちょめっ」 (いやっ、やめて)


ナコルが覆いかぶさるように迫って来る。

私はとっさに念力を爆発させていた。


「キャァァァァァー」


ナコルは後ろの吹き飛んで尻もちをついている。


「ちょめ?」 (いまのは何?私がやったの?)


どうなってこうなったのかはわからない。

新しい力が覚醒したとも思えない。

ただ、これは逃げ出すチャンスだ。


私は体を捩らせながら巻き付いているロープを外してみる。

だけど、キツク巻き付いているので簡単には抜け出せなかった。


「いたた。何なのよ」

「ちょめっ」 (はっ、見つかった)


私はロープを巻き付けたままナコルから遠ざかろうとする。

しかし、とっさにナコルがロープの端を掴んで引き留めた。


「逃がしはしないわよ。詫びを入れるまで許さないんだから」

「ちょ……め」 (くぅ……ここまでか)


この状態でナコルの手から逃れる術はない。

ロープは掴まれているから捕まっているのも同然だ。

ただ、私にできることと言えばひとつ――。


「キャァァァァァ―ッ!何なのよ、この風!」


私はテレキネシスを使ってナコルのスカートをめくり上げた。

いうなれば今のナコルは”マリリン○ンロー状態”だ。

スカートをちゃんと抑えないとぱんつが見えちゃうから必死だ。


って!


「ちょめっ!」 (あー!私のぱんつ!)


ナコルが履いていたぱんつは私のお気に入りのしましまぱんつだった。


「ちょめちょめちょめ!」 (しましまぱんつは私のぱんつなの。ギャルが気安く履いてはいけないぱんつなのよ。ギャルなんて布面積の小さいハミもじゃしそうなスケスケのエロエロぱんつを履いていればいいのよ!)


私は怒りのあまり思いつくまま言葉を発していた。


よりにもよってにっくきギャルがしましまぱんを履いていたことが許せない。

しましまぱんつは誰が履いてもいいのだけれどギャルだけはダメなのだ。

ギャルに似合うのはしましまぱんつじゃない。

男を惑わすエロエロぱんつだけだ。


「ちょめちょめ」 (こうなったら奪ってやるわ。ギャルがしましまぱんつを履いていた痕跡をこの世から消してあげるわ)


そう言いながら私はちょめリコ棒を取り出す。

そしてナコルのしましまぱんつに向かって突いた。


ちょめリコ!


すると、しましまぱんつはちょめリコ棒の中に吸い込まれて行く。


「ちょめ」 (仕事は終わった)


私がひとりカッコつけているとナコルが悲鳴を上げる。


「ちょ、ちょっと!何なのよー!見えちゃう!」


ナコルは恥ずかしいところが見えないようにスカートで隠している。

だけど、風に煽られるようにスカートが捲り上がるのでお尻が丸見えだ。


「ちょめちょめちょめ」 (カーカッカッカ。私に酷いことをした罰よ。しばらくそうしていなさい)


ナコルが悲鳴を上げているので続々と人が集まって来る。

いやらしい視線が絡みつくとナコルも耐え切れなくなって地べたに座り込んだ。

しかし、スカートはめくれ上がっているのでお尻はチラ見えしている。


「見ないでよ!あっちへ行って!」

「ちょめ」 (やっぱりナコルも女子のようね。人に見られたら恥ずかしいのだわ)


いつの間にかナコルの目にはいっぱい涙を溜めている。

頬は赤らんでまるで少女のようだ。


こうもしおらしくなるとますますイジメたくなって来る。

これまでにさんざんイジメられたからお返しをしないといけない。

悪い子にはお仕置きが必要だ。


私はスカートをめくり上げながらブラのホックを外した。


「キャッ!ちょ、ちょっと!」

「ちょめちょめちょめ」 (カーカッカッカ。スカートを抑えておくかブラを抑えるか二つにひとつだ)


スカートを抑えておけばおっぱいが見えちゃうし、ブラを抑えれば恥ずかしいところが見えちゃう。

これはまさに究極の二択だ。

同じ女子だけど興奮して来る。


「もう、やめてよ!」


そう言いながらナコルは地べたに伏して前を隠すと両手でお尻を隠した。


「ちょめ」 (ちぃ……その手があったか)


完全な土下座状態だがナコルは究極の二択から逃れた。


「ちょめ」 (まあいいわ。これで私の勝ちだもの)


私はナコルの頭の上に飛び乗ってどこかで聞いたことのある雄たけびを上げた。


「ちょめーっ!」 (勝ったどーっ!)


と。


「後で覚えておきなさい。ケチョンケチョンにしてあげるから」

「ちょめ」 (カーカッカッカ。できるものならやってみれば)


ナコルは顔を上げて睨みつけながら悔しまぎれに啖呵を吐く。

ただ、私には負け犬の遠吠えのようにしか聞こえない。

頬を赤らめて涙を溜めて動けないとあらば私の天下なのだ。


「ちょめちょめ」 (これだけじゃ物足りないわ。もっと恥ずかしい想いをさせて泣かせないと)


スカートは手で抑えているので捲れない。

ブラも脇で締め付けて抑えているので取れない。

他にできることと言えばこれしかない。


いいアイデアが思いついたので私はテレキネシスを使ってナコルを持ち上げる。


「ちょ……め」 (くぅ……重い)


推定50キログラムあるであろうナコルを持ち上げるのは思いの外しんどい。

太っちょの商人の倉庫から逃げる時もテレキネシスを使ったけどあの比じゃない。

ナコルの重さが直接、私にのしかかっているような感じだ。

テレキネシスを使っている私の顔も醜いほど歪む。


「ちょ。何なのよ、これは」

「ちょめーっ!」 (そのまま川に落ちちゃえーっ!)


私は渾身の力を込めてナコルを持ち上げると川に向かって放り投げた。


ドボーン。


「うぷっ、うぷっ。な、何なの」

「ちょめ」 (カーカッカッカ。私に酷いことをした罰よ。せいぜいお魚さんと戯れておくれ)


私は川で溺れているナコルを見下ろしながら勝ち誇る。

ナコルは必死に水を掻きながら溺れないように泳いでいた。


「ちょ、ちょ、くすぐったい。止めてよ」

「ちょめ」 (そこのお魚さんは食いしん坊だからね。あなたをエサだと思っているのよ)


ナコルは半笑いしながら川のお魚さんにつつかれている。

お魚さんは容赦ないからナコルを食べ放題だ。


「あっ、いやん。そこは……ダメっ」


エッチなお魚さんがナコルのおっぱいをつついたようだ。

ナコルは熱い吐息を零しながら恥かしそうに頬を赤らめる。


「ちょめ」 (お魚さん、もっとやるのよ。ナコルを辱めなさい)


お魚さんに辱められてもう二度と私に逆らわないように約束させないとね。


すると、様子を見守っていた街の人が川に浮き輪を放り投げた。


「ちょめっ!」 (ちょっと!勝手なことをしないでよ。これからが面白くなるんじゃない)


私はテレキネシスを使って川に投げ込まれた浮き輪を引き寄せる。

お魚さんに辱められているナコルは必死に浮き輪にしがみつこうとしてる。

だけど、そう簡単に浮き輪に掴ませまいとして私は浮き輪を宙に浮かした。


「ちょっ。引き上げるのが早いわよ。私はまだ捕まってないのよ」

「ちょ……め」 (くぅ……重い)


浮き輪は重くはなかったのだがナコルを持ち上げた後なので思うように力が入らない。

ナコルは必死に水を掻き分けながら宙に浮いている浮き輪に手を掛けた。


「捕まえた」

「ちょ……」 (重い……)


幼い子供に飛びつかれた時のような衝撃が走る。

同時に重力に押しつぶされるような感覚を覚えた。


「さあ、引き上げてちょうだい」

「ちょめ……」 (もうダメ……)


重さに耐えられずにテレキネシスを切った。


ドボーン。


ナコルは浮き輪といっしょに川に落ちた。


「うぷぅ、ちょ。何をするのよ」

「ちょめ……」 (ハアハアハア……重かった)


それでもナコルは浮き輪に捕まって一命をとりとめる。

ただ、お魚さんの攻撃は止まずに体中をつつかれていた。


「ククク……もう、やめてよ。くすぐったいわ」

「ちょめ」 (ナコルを楽しませてどうするのよ。もっとエッチなところをつつきなさい)


私のねじ曲がった命令は届くはずもなくお魚さんはナコルの足をつついていた。


人の角質を食べるお魚さんがいるけどあれと似たような状況だ。

あの魚に比べたら川にいるお魚さんのサイズの方が大きい。

だからおっぱいをつつくとちょうどいいサイズ感になるのだ。


「ちょめ」 (ダメだわ。これじゃあお仕置きにならない。もっとエッチなことをして辱めないと)


もうこれ以上、テレキネシスを使ってナコルを持ち上げることはできない。

ましてやナコルがしがみついている浮き輪すら動かせそうにないのだ。

ならば、簡単に動かせるこいつらを使うしかないわ。


私はテレキネシスを使って川で泳いでるお魚さん達を持ち上げた。


「ちょめっ!」 (うらぁっ!)


お魚さん達は弧を描きながらナコルに向かって飛んで行く。

そして如雨露で水を掻けるかのごとくナコルの上に降り注いだ。


「うぷっ、ちょ、何なのよ。あんっ、そこは……」


お魚さんがナコルの服の中に紛れ込んでエッチなところをつついたようだ。


「ちょめ?」 (どう?私のフィッシュレインのお味は?)


魔法は使えないけど魔法のようなことができてしまった。

名付けて”フィッシュレイン”とダサダサなネーミングだけど。


お魚さんはヌルヌルしているからナコルの体をヌルヌルにさせた。


「もう、何なのよ!気持ち悪い」

「ちょめ」 (天然のローション塗れってところね)


ナコルは浮き輪に捕まりながら体についたヌルヌルを洗い流す。


「ウゲッ。臭~ぁ」

「ちょめ」 (私に酷いことをした罰よ。身をもって受けなさい)


お魚さんのヌルヌルが服について生臭い匂いを発する。

ナコルそのものが生臭くなったかのようだ。


「もう、何なのよ」


ナコルはバタ足をしながら川岸に泳いで行く。

そして岸まで辿り着くとブラのホックをつけておっぱいを調整する。

さすがに人前ではおっぱいをさらけ出したくないようだ。


「もう、最悪」

「ちょめ」 (これに懲りたら悪さをするでないぞよ)


神様気取りで呟いている私には目もくれずナコルは橋の上に上がって来た。


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