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第二十話 脱走

召使い達が太った商人の馬車に私の入っている檻を乗せる。

馬車で運びやすいように牢屋から小さめの檻に入れられた。

ちょうど豚を運ぶような大きさの檻で丈夫に造られている。

なので体当たりしてもビクともしなかった。


「大人しくするでやんす。この檻は特注で造ったから壊れないでやんすよ」

「ちょめ」 (ちぃ。檻が小さくなったから逃げられると思ったのに)


やっぱり銀色の首輪をつけられたままでは自由にできない。

どうにかしてこの銀色の首輪を外さないと逃げ出すこともできなさそうだ。


「さあ、行くでやんす」


太っちょの商人が出発の合図を告げると馬車の幌が閉じられる。

これでは外の様子がわからないから道も覚えられない。


それから馬車はゆっくりと歩き出して前に進んで行く。

どこをどう通って来たのかまるでわからない。

方向感覚が働かないから曲がったことさえわからないのだ。

そしてガタゴトと音を立てながら馬車に揺られること30分。

馬車はゆっくりとスピードを緩めて停車した。


「着いたでやんす」


太っちょの商人の声が聞えたかと思うと幌が開かれる。

太陽の光が目の前を覆い尽くすので私は瞼を閉じた。

私の檻は2人の召使いによって馬車の外に出される。

それから静かに瞼を開くと巨大な倉庫が目に入った。


「ちょめ……」 (何よ、この巨大な倉庫は……)

「どうでやんす。すごいでやんすか。この倉庫はオラの倉庫でやんす」


伊達に太っている訳ではないようね。

普段からご馳走をたらふく食べているから太っているのだろう。

それはそれだけ贅沢するだけのお金があるってことだ。

競りに参加しているぐらいだからそこいらの商人よりも裕福そうだ。


「こいつを倉庫の中に運ぶでやんす」

「ちょめ」 (ちょっと、どこへ連れて行く気よ)


二人の召使いが私の入っている檻を持ち上げて倉庫の中へ運んで行く。

見た目よりも大して重くないから軽々と持ち上げていた。


グルルル。


倉庫の奥へと入って行くと他の檻がたくさん置いてある。

その中には見たことのない動物達がいて威嚇していた。


「そこでいいでやんす」

「ちょめっ」 (ちょっと、もっと優しくしてよ。頭をぶつけちゃったじゃない)


召使いは雑に手を放して檻ごと放り投げる。

私が軽いものだから雑に扱っているのだ。


ガシャガシャ。


太っちょの商人を見るなり檻の中の動物は体当たりをする。

周りの珍しい動物達から嫌われているようで執拗に威嚇されていた。


「煩いでやんす」


太っちょの商人は鞭を取り出すと勢いよく撓らせて叩きつける。

すると、珍しい動物達は驚いて怯えたように後ずさる。

きっとあの鞭で痛めつけられたのだろう。


ガウガウ、ガウガウ。


それにも怯えずに前に踏み出したのは白い鬣のホワイトライオンだった。

太っちょの商人を食い殺すような勢いで口を大きく開いて檻に噛みついている。

その勢いに押された太っちょの商人はバランスを崩して尻もちをついた。


「ひぃっ。や、やるでやんすか」


その様子を見ていた他の珍しい動物達も勢いづいて檻に体当たりをする。

私もそれに乗じて太っちょの商人の服に噛みついた。


「お前達、そのライオンを黙らせるでやんす」


両脇にいた召使い達はホースを持って来てホワイトライオンに水を掛ける。

さすがのライオンでも水責めには弱いようで威嚇を止めて退けぞいた。


「お前も放すでやんす」

「ちょめっ」 (痛っ)


太っちょの商人は私を振りほどくとゆっくりと立ち上がる。

そして怯んでいるホワイトライオンの檻を強く蹴とばす。


「誰が主か教えてやるでやんす」


そう言うと太っちょの商人は鞭を撓らせてホワイトライオンを叩きつける。

ホワイトライオンは顔を顰めながら鞭から逃れるように檻の真ん中に移動する。

檻の鉄格子が邪魔になっているのでホワイトライオンにはダメージがないようだ。

ただ、鞭の音は動物達を怯ませるようで他の動物達も委縮していた。


「ちょめ」 (なんて卑怯な奴なの。強引に力で従わせようとするなんて。そんなのは愚か者がすることだわ)

「お前もオラに逆らうつもりでやんすか」


太っちょの商人に睨みを聴かせていると鞭を叩いて威嚇して来る。

さすがにか弱い私に向かって手はあげないようだがいつ気が変わるかわからない。

こう言う卑怯な奴はとことん卑怯だから注意しないといけない。


私は太っちょの商人から視線を逸らして俯いた。


「それにしても醜いでやんす。こんなに醜い生き物は見たことがないでやんす」

「ちょめっ」 (レディーに向かって失礼ね。私はあなたほど醜くはないわ)

「鳴き声も醜いでやんす」

「ちょめ」 (そっちこそ。その馬鹿っぽい話し方はどうにかならないの)


私と太っちょの商人はお互いのことを罵り合う。

確かに私の姿は醜いかもしれないが心はキレイだ。

頭の先から足の先まで欲に塗れている太っちょの商人とは違う。


「お前らはみんな売り飛ばしてやるでやんす。密輸してがっぽり儲けるでやんす」

「ちょめ……」 (まさか、ここにいる動物達をみんな密輸するつもりなの……)


大きなものから小さなものまで合わせると30ほど檻がある。

その中には珍しい動物が捕まっている状態だ。

ホワイトライオンのように元気な動物もいるけど半数は衰弱している。

恐らく恐怖とストレスにやられてしまって元気を失っているのだろう。


グルルル。


ホワイトライオンが喉を鳴らして太っちょの商人に威嚇する。


「ウヒョヒョヒョヒョ。いくら暴れても無駄でやんす。その檻は特注品でやんすから壊せないでやんすよ」

「ちょめ」 (なんて奴なの。これじゃあ弱い者イジメと変わりないわよ)


弱い奴に限って自分より弱いものを作ってイジメたがる。

うだつが上がらないから自分の下を作って満足する。

そうすることでしか自分の価値を見出せないのだ。


「そんな目をしても無駄でやんす。お前は金貨1枚で買った掘り出し物でやんすから金貨100枚で売るでやんす」

「ちょめ」 (随分と私を評価してくれるじゃない。だけど、ちょめ虫じゃなかったらもっと高かったわよ)


現役の女子中学生だなんておじさん達がほっおっておかないだろう。

エッチなことができると思い込んで尻尾を振って大金をはたく。

そんなおじさん達をターゲットに”援助○際”なんて言葉が流行ったくらい。

まあ、私はそんなふしだらな女じゃないからそんなことはしたことないけど。


「がっぽり儲けて贅沢をするでやんす」

「ちょめ」 (そんな考えだからお腹がブヨブヨなのよ。そのお肉は贅の極みね。頭の仲間でブヨブヨしていそうだわ)


人は見た目じゃないけれど見た目で判断してしまうのも人の性。

太っちょの商人の場合は例外で見た目通りろくでもない。

確かにお金は欲しい人は多いけど禁止されていることをするのは悪だ。

ましてや命のやり取りでお金を稼ごうだなんてふとどきでしかない。


すると、太っちょの商人は銀色の首輪に目を止める。


「ウヒョヒョヒョ。中々いい物を身に着けているでやんす。お前には勿体ないからオラがもらうでやんす」

「ちょめ」 (ちょっと、こっちへ来ないでよ。お肉で押しつぶされちゃうでしょう)


太っちょの商人は檻のカギを開けると扉を開いて中に入って来ようとする。

しかし、ありあまるお肉が邪魔をして入口でつっかえていた。


「こっちへ来るでやんす」

「ちょめ」 (いやよ。あなたになんか捕まりたくない)

「こっちに来ないと酷いことをするでやんすよ」

「ちょめ」 (それなら余計にいやよ)


これ以上に酷いことなんていったら串刺しにされて焼かれるかもしれない。

キノコみたいだからキノコの丸焼きにして食べてしまうだろう。

太っちょの商人だったら何でも食べそうだ。


「お前ら、そいつを捕まえるでやんす」

「ちょめっ」 (いや、やめて。放してよーっ)


召使いの2人が檻の両脇に立つと手を伸ばして私を抑えつける。

そして太っちょの商人の前まで連れて来ると動けないようにした。


「でかしたでやんす。それじゃあ、これはオラがいただくとするでやんす」


そう言って太っちょの商人は私の首から銀色の首輪を外した。


「思っていた通り中々の代物でやんすな。これなら高く売れそうでやんす」

「ちょめ」 (ふぅー。やっと体が軽くなったわ)


銀色の首輪を外された瞬間、力が逆流して来るような感覚を覚えた。

それは長い間、銀色の首輪に力を吸い取られていたから感じたことだろう。

例えるなら血圧検査の時にベルトを外された時のような感覚と似ている。


(お主、年を誤魔化しておらんじゃろうな)

(ピチピチの14歳よ。それより何よ、こんな時に念話をして来るなんて)

(ちょうど夕方のサスペンスを観終った後なのじゃ)

(刑事ドラマの次は夕方のサスペンスって……主婦かよ!)

(それよりも都合がよかったではないか。銀色の首輪が外されて。これでもう心配はいらんな)

(まあね。だけとあいつに一泡食わせないと気が収まらないわよ)


私のことをさんざん罵って馬鹿にしたのだから報いは受けさせなければならない。

乙女の心は傷つきやすいんだから目にモノ言わせぬことをしないと。


(とりあえず、あ奴から檻のカギを奪った方がよいのではないか)

(それもそうね。どこかへ行っちゃう前に奪うわ)


ちょめジイに促されて私はテレキネシスを使って太っちょの商人から檻のカギを奪い盗る。

あいにく太っちょの商人は私から奪った銀色の首輪に夢中でカギがなくなったことに気づかなかった。


(うまく行ったようじゃな)

(あいつらがいなくなったらこのカギで脱出するわ)

(なら、ワシはバラエティーでも観るかのう)

(何よ、自分ばかり楽しんじゃって。私もバラエティー番組を観たいわ)

(お主にはやることがあるじゃろう)

(わかってるわよ。ちょめジイのバカ)


ちょめジイはどれだけ日本の文化に染まれば満足するのだろうか。

この世界に影響を与えるものはダメだって言ったくせにやりたい放題だ。

まるで神にでもなったつもりでいるのだろうか。

そしたら恐ろしいことだ。

カワイ子ちゃんがぱんつを履けなくなる日も近い。


そんなくだらないやりとりをしている間に太っちょの商人は召使いを連れて帰る用意をしていた。


「そこで大人しくしてるでやんすよ」

「ちょめ」 (もう来んな)


太っちょの商人は召使いを連れて倉庫から出て行った。


「ちょめ」 (やっと余計なのがいなくなったわ。さっさと檻を開けてここからおさらばよ)


私はテレキネシスを使ってカギを動かしながら檻の錠に入れる。

そしてくるりと回転させるとガチャッと音がして檻の扉が開いた。


「ちょめ」 (どう?私が本気を出せばこんなものよ。さ、行こう)


私が檻から出てその場を去ろうとすると背中に視線が刺さる。

それは私を引き止めようとする珍しい動物達の視線だった。


「ちょめ」 (そんな目で私を見ないで。あなた達にかまっている暇はないの)


私は背中に降り注ぐ視線を振り払うと何事もなかったかのように立ち去る。

すると、珍しい動物達は悲しそうな声を出して私の良心に訴えかけて来た。


クーン。


私は足を止めその場で固まる。

動かないと言うよりも動けないのだ。

私を頼って来ている者達をみすみす切り捨てることはできない。

私が珍しい動物達と同じ立場だったら同じようにしていただろう。


「ちょめ」 (わかったわよ。助けてあげるわよ。その代りその後のことは自分で考えてよね)


とりあえず私は太っちょの商人から奪ったカギを使って珍しい動物達の檻を開けてみた。

運がいいのか悪いのかそのカギひとつで全ての檻の扉を開けることができた。


「ちょめ」 (きっとあの太っちょの商人はバカなのね)


同じ鍵で全ての檻が開くなんて不用人としか言いようがない。

恐らくケチってみんなカギを同じにしたのだろう。


ブルルルン。


檻から出られた珍しい動物は私に感謝を告げるように鼻面でこすりつける。


「ちょめ」 (ちょっと、鼻息がくすぐったいわ。感謝はいいから早く逃げなさい)


しかし、珍しい動物達は倉庫の入口まで来ると動きを止めてしまう。

どうやら倉庫のカギがかかっているようで扉が開かないのだ。


「ちょめ……」 (不用心なのか用心深いのかわからないキャラだわ)


とりあえず私は倉庫の入口まで移動すると扉を調べてカギを見つける。

鍵穴はみあたらないからつっかえ棒のようなもので抑えているのね。


「ちょめ」 (みんな、下がっていなさい。私がテレキネシスで動かしてみるから)


私は意識を集中させながら扉の向こうにあるつっかえ棒を動かす。


「ちょめ」 (ムムム。動かないわ。私の力じゃダメみたい)


つっかえ棒は重い木でできているらしく私の力じゃ動かせない。

テレキネシスは物を動かせる力だけど重いものは無理だ。


すると、一番体の大きいブラックエレファントが一歩前に踏み出す。

そして頭を扉に押し当てて力いっぱい押しはじめる。

その度に扉の隙間から外の風が流れ込んで来る。

ただ、扉は開かずに元に戻ってしまった。


「ちょめ」 (あとちょっとなんだけどね)


ブラックエレファントが扉を押すと僅かだが10センチほどの隙間が開く。

だけど、それだけの幅では私すら外に出ることはできない。


「ちょめ」 (これじゃあお手上げね。やっぱり無理だったのかも)


扉が開かないことには外に出れない。

だけど珍しい動物達は諦めようとはしなかった。

動かないとわかっているのに扉に向かって体当たりをしている。

無駄な力を使うだけなのだが珍しい動物達にはわからないようだ。


ブラックエレファントが中心となって倉庫の扉に体当たりをする。

その度にズシン、ズシンと地鳴りのような地響きが起こった。


「ちょめ」 (もう、諦めなさいよ。何度やっても無駄なのよ)


賢い生き物はすぐに諦めて白旗を上げるものよ。

その方が無駄な体力を使わなくてすむからね。

この先は長いんだから体力を温存しておいた方がいいわよ。


「何の音だ?」

「倉庫の方から聞こえて来たぞ」

「何だ。何が起こっているんだ」


外から召使い達の声が聞えて来ると珍しい動物達は体当たりを止める。

そして扉の前で構えていると倉庫のつっかえ棒が外されて扉が開いた。


「ちょめっ!」 (今よ!)


珍しい動物達は一斉に駆け出して扉をけ破って外に押し出る。

先頭は大きな動物が務めしんがりは小さな動物が務めた。

ホワイトライオンは一緒に来るように私に合図を送る。


「ちょめ」 (私は後から行くからみんなは先に逃げて)


だけど、私はみんなと一緒に逃げずにその場にとどまった。

と言うのも召使い達を足止めするためにテレキネシスを使って邪魔をしていたからだ。

みんなが無事に逃げられるまでは私は私にできることをしなければならない。

それがいっしょに捕まっていた仲間としての務めなのだ。


私はテレキネシスを使って召使い達の足をロープでぐるぐる巻きにする。

召使い達は何が起こったのか理解できていないようで必死にもがいていた。


「ちょめ」 (みんな、無事に逃げるのよ)


みんなの背中を見送っていると太っちょの商人は血相を変えてやって来た。

私は瞬間に擬態の能力を使って背景に溶け込む。


「これはどう言うことでやんすか!金づる達がいないでやんすよ!」


太っちょの商人には珍しい動物達が金ずるに見えているようだ。

まあ、密売をして一儲けしようとしていたのだから無理もない。

だが、そんな風に命を軽んじている奴を見るとムカッ腹が立つ。


私はテレキネシスを使って太っちょの商人をグルグル巻きにした。


「何でやんすか!ロープが勝手に絡んで来たでやんす!」

「ちょめ」 (まるで”ボンレ○ハム”ね。いい気味だわ)


私はもがいている太っちょの商人達を下目に見ながらほくそ笑む。


「ちょめ」 (さて、私も逃げようかしら。こんなところで遊んでいる場合じゃないのよね)


私は周囲の背景に擬態したままお尻を振って倉庫から出て行った。


外に出るとすっかり暗くなっていて空に月が煌々と照っている。

月の明かりは辺りの樹々に反射して蒼白い光を放っている。

その光景だけ見ているととても幻想的でキレイだ。


逃げ出した珍しい動物達の影もなく辺りは静まり返っている。

代わりに珍しい動物達が逃げた先からは喧騒が聞えて来た。


「ちょめ」 (無事に逃げるのよ)


あの珍しい動物達が逃げ切れるのかはわからない。

途中で捕まってまた檻に入れられる可能性だってある。

ただ、それは珍しい動物達が自分ですることであって私が被ることではない。

私は正義のヒーローじゃないからできないこともあるのだ。


(ねぇ、ちょめジイ。やっと逃げ出せたわよ)

(それはよかったのじゃ。お主ならやれると思っておったぞ。バリボリ)

(お菓子を食べながら言われても嬉しくないわ)

(ナハハハ。お主の世界の食べ物は美味いからな。試食じゃ)

(試食ってほどのことじゃないでしょ)


ちょめジイはすっかり中坊に成り下がってしまったようだ。

お菓子を食べてテレビを観て、その上音楽まで聴いている。

そんなことは中坊にしかできない芸当だ。


かくいう私もこの世界に召喚される前は同じようなことをしていた。

私の場合は激推しの”ななブー”と一体化するための神聖な儀式だったのだけど。


(ねぇ、ちょめジイ。この王都にカワイ子ちゃんはいるかな)

(もちろんいるに決まっておるじゃろう。人口が増えれば比例するようにカワイ子ちゃんも増えるじゃ)

(なら、この王都で”カワイ子ちゃんの生ぱんつを100枚”集められそうね)

(期待しておるぞ)


ちょめジイが言うように人が増えればカワイ子ちゃんも増えるはず。

だとしたらこの王都ダンデールで全てが完了するってことになる。

こんななりだしあちらこちらに旅をするのは苦労するからね。

この王都で完結できるならそれに越したことはない。


(そりあえず逃げられたんだし、今夜の宿を用意してよ)

(ダメじゃ。お主は野宿でもしておれ)

(なんでー、なんでー。私が無事だったのよ。嬉しいんじゃないの?)

(お主の代わりなどいくらでもおるからのう)


口を開けば”ダメじゃ”と言って突き放す。

私の代わりがいくらでもいるならそいつにやらせればいいのだ。

私は別に”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”は欲しくないんだから。


(ちょめ虫は1000年生きるのじゃ)

(わかってるわよ!)


大してあてにもならないナビゲーターをそのままに私は夜の街へ消えて行った。


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