第九話 現場検証
翌朝、早くにボロにゃん達は森の中の現場までやって来た。
もちろん現場検証するためで早起きしたのだ。
私も眠い目を擦りながら後をついて来た。
(ふわぁ~。なんでこう年寄りって朝が早いのかしら。まだ眠いわ)
(年寄りは健康志向が強いからじゃ。”早起きは三文の徳”とも言うしのう)
(ちょめジイも起きていたわけ)
(お主の様子が気になっておったからじゃ)
きっと捜査の手が自分に及ぶんじゃないかと心配しているんだわ。
ボロにゃんってのは見た目以上にデキる探偵のようだから。
伊達に迷探偵と自称しているだけのことはあるわ。
ボロにゃん達はキャンプ場所までやって来て辺りを調べていた。
「先生、ここが家族連れがキャンプしていた場所です」
「ふむ、火を焚いていた痕跡が残されておるのう」
河原の石は規則的に積み上げられていて黒く煤けている。
地面にかけてあった砂を掘り起こしてみると中から大量の炭が出て来た。
「マナーがいいですね。炭までちゃんと片づけてあります」
「ふむ、これは……キャベツじゃな」
ボロにゃんは炭の中に紛れていた焦げたキャベツを拾い上げて呟く。
そして何を焼いていたのか推理して答えてみせた。
「恐らく焼きそばを焼いていたのじゃろう」
「さすがは先生ですね。焦げたキャベツを見ただけで推理してしまうなんて」
(なんて奴なの。そんなちっぽけな証拠で真実を見抜いてしまうなんて……恐るべし、ボロにゃん)
迷推理を披露するボロにゃんに圧倒されながら私は驚きの顔を浮かべる。
実際に家族連れが焼いていたのも焼きそばで当時、焦げるソースの匂いが立ち込めていた。
私はその匂いに釣られてここまでやって来たのだ。
「この場所にテントを張っておったのじゃろう。地面が抉れておる」
「石でも抑えていたみたいですね。不自然に石が積まれています」
「ひい、ふう、みい……テントは全部で5つじゃな」
「村長の話によると5家族がキャンプに来ていたようです」
ボロにゃんとトラ吉はテントが張ってあったであろう場所を調べている。
何か犯人に繋がる痕跡が残されていないか探しているようだ。
「被害者も5人じゃから辻褄が合うのじゃ」
「5家族の幼女が狙われたことですね」
(そんなにも家族連れがいたのね。あの時は夢中になっていたから全然気づかなかったわ)
私もボロにゃん達のところに近づいて同じように地面を探した。
ここまでは来ていないから何も痕跡は残していないのだけど気になったのだ。
「ふむ、もうここには何もないのう」
「となると犯人はここには来なかったと言うことですね」
「家族連れがキャンプをしておったのじゃ。近づくことはできんじゃろう」
あらかたボロにゃんの推理と何一つ遜色はない。
私は河原で幼女たちのぱんつを奪ったからここへは来ていないのだ。
すると、ボロにゃんは河原を目に止めると歩いて行く。
そして河原をじっと眺めながら痕跡を探していた。
「証言によるとここで子供達は水遊びしていたようです」
「石が規則的に並べてある。恐らく川を堰き止めていたのじゃろう」
見るとボロにゃんの言う通り川を堰き止めるように石が並べてあった。
水深は深くないので幼い子供だけでも水遊びができるようになっている。
大人達もそれをわかっていたから子供達だけで遊ばせていたのだ。
「ここにも何もないようですね」
「ふむ、これは……」
「先生、どうされたのですか?」
「ふむ、ふむ」
ボロにゃんは河原の底に沈んでいた石を拾い上げてじっと見つめている。
石を舐め回すように見つめながらフムフムと唸っていた。
「先生?」
「トラ吉よ、この石を見て見るのじゃ」
「何ですか?」
「この石の苔が不自然に剥がれておる。何かでこすったような跡じゃ」
「それがどうしたのですか?」
「じゃから何者かがこの石を使って何かをしたのじゃ」
(それって私が口の中に入れた石じゃない。あの時、歯で苔をとってしまったんだわ)
トラ吉はいまいち状況が理解していないようだったがボロにゃんは違っていた。
確信めいたヒントを得たかのようでニンマリと笑みを浮かべていた。
「魚が苔を食べたんじゃないですか」
「それなら魚の歯形がついておるものじゃ。しかし、この跡は魚の口よりも大きい」
「でも、それがもし犯人が残した痕跡だったとするなら石を何に使ったのですか?」
「そこまではワシにもわからん。ただ、この石を使わざるを得ない状況じゃったのだ」
(ふーぅ。危ない。確信までには至っていないようね。まあ、これだけの証拠では推理は無理だわ)
ただボロにゃんの頭の中では犯人に繋がるヒントが芽生えていた。
そのことに私が気づくことはこの先にも後にも残されていない。
「トラ吉よ。この現場の写真をとっておいておくれ」
「わかりました、先生」
(この世界にもカメラがあるのね。ちょっとしたカルチャーショックだわ)
私はトラ吉が取り出したカメラに興味を示しながらポーズを決めて写真に納まる。
何だカメラを向けられると写真に納まらなければならない衝動に駆られるからだ。
もちろん指ハートやピースはできないので満面の笑みを浮かべた。
トラ吉は一通り現場の写真を納めるとお茶をしていたボロにゃんに報告した。
「先生、終わりました」
「それじゃあ朝食にするのじゃ」
ボロにゃんは用意しておいたおにぎりとお茶をバッグから取り出す。
そしてトラ吉に手渡すと包装紙を破っておにぎりをむき出しにした。
トラ吉はグルグルメガネを外して元のトラ吉に戻る。
「明太子のおにぎりでだぁ。モグモグ……おいしい」
「ゆっくり食べるのじゃぞ」
(ああ、羨ましい。早起きしたから何も用意していなかったわ……ゴクリ)
私はおにぎりを美味しそうに食べるトラ吉を見つめながらよだれを垂らす。
お腹が鳴りそうだったけどバレるとマズいので必死に我慢した。
「外で食べるご飯は美味しいね」
「ひと仕事終えた後でもあるからのう。余計にうまいのじゃ」
「先生、この後はどうすうるのぉ」
「調査範囲を広げてみるつもりじゃ。他にも痕跡が残されておるかもしれんからのう」
ボロにゃんはおにぎりを食べ終わるとお茶を啜って辺りを見回す。
他の場所にも犯人に繋がる痕跡が残されていると考えている。
一応、村の男達が森の中を捜索したがそれでは足りないと考えていた。
「さて、トラ吉よ。周辺の調査をするぞ」
「うん、わかったぁ」
ボロにゃんが腰を上げるとトラ吉はグルグルメガネをかけて真面目な助手に変身する。
そしてキャンプ場を中心にして西側の森から調べはじめた。
「木の近くで草が変に折れ曲がっているところを探すのじゃぞ」
「犯人が潜んでいたら草を踏み潰しているってことですね」
「そうじゃ。犯人の立場を考えると普通に森の中を歩くことはないからな。周りを警戒しながら歩いていたはずじゃ」
(さすがは迷探偵ね。どこをどう探せばいいのかわかっているわ)
私はある程度、距離を置きながらボロにゃんとトラ吉の後を追い駆ける。
あまり近づき過ぎてしまうと存在がバレてしまうから最新の注意を払った。
それに背景に擬態していると言っても草の上を歩けば草が揺れてしまうからだ。
「見当たりませんね」
「そう簡単には見つからないじゃろう。森の中は広いんじゃ」
森の中を調査しはじめてから1時間。
ボロにゃんとトラ吉は手がかりを掴めないでいた。
「二人だけでは全部調べるのは難しいですね」
「地道に手がかりを探すのじゃ。捜査は足で探すものじゃからのう」
とは言え二人とも疲労が溜まっているようだ。
足取りも重くなっていて顔に疲れが滲み出ている。
キノコ採りみたいに成果があれば苦労も感じない。
だけど犯人の痕跡を探すことは成果に結びつかないのだ。
「先生!見つけました!」
「どこじゃ」
急にトラ吉が大きな声を出したのでボロにゃんは急いでそこへ向かう。
すると、木の近くに草が変に折れ曲がって道ができているのを見つけた。
「これで間違いないですよね」
「これは獣道じゃ。猪か狼が通っているのじゃろう」
「違うのですか……せっかく見つけたのに」
トラ吉は大きな溜息を吐いてガックリと肩を落とした。
あれから3時間半は経っているだろう。
西側の森の調査を終えて北側を調べ終わり、今は東側の森まで来ている。
その間にも犯人に繋がる痕跡は全く見つけられなかった。
それは私がそこへ行っていないことを物語っているのだ。
「トラ吉。少し休憩じゃ」
「そうですね。もう足が棒になっていますしね」
ボロにゃんとトラ吉は少し開けた場所に腰を下ろしてお茶をはじめる。
後からついて来た私もへとへとになっていた。
(お腹が空いたわ。もう、お昼過ぎたよね)
(ズズズズ……今は13時じゃ)
(ねぇ、ちょめジイ。何か食べ物を召喚してよ)
(ダメじゃ)
(そんなケチケチしてないでお願いよ)
(葉っぱでも食べておれ)
ちょめジイは相変わらず頑固で食べ物を召喚してくれない。
自分だけお茶を飲んで寛いでいるようでムカッ腹が立って来る。
葉っぱを食べてお腹を満たせるのならば食べているけどそもそも口に合わないのだ。
芋虫たちがあんなにも葉っぱを美味しそうに食べているのか理解できない。
(ねぇ、ちょめジイ。お願いよ。食べ物を召喚してくれたら何でも言うことを聞くわ)
(お主に要求することは”カワイ子ちゃんの生ぱんつを100枚手に入れる”ことしかないからのう)
(なら、私が持っている”アニ☆プラ”のグッズをあげるわ。ななブーグッズ以外だけど)
(そんなものはいらん。ワシは”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”にしか興味がないのじゃ)
ちょめジイは全く交渉を受け入れてはくれない。
私からしたら”アニ☆プラ”グッズは喉から手が出るほど価値の高いもの。
その上、”ななブー”グッズはお宝中のお宝なのだ。
それはちょめジイで言う”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”に相当するものだろう。
(なら、”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”をもう10枚、余計に盗って来てあげるわ。それならいいでしょう)
(うーん。どうするかのう)
ちょめジイの心が揺れているわ。
もう、一押しで落すことができる。
(どうするの)
(うーん)
私達がそんな交渉をしている間にボロにゃんとトラ吉は休憩を終える。
そして調査の続きをはじめてしまった。
(ああ、休憩が終わっちゃったわ。ちょめジイが迷っていたせいよ)
(この話はおあずけじゃ。はよう、お主も追い駆けて行くのじゃ)
(恨むからね)
私はお腹が背中にくっつくのを我慢しながらボロにゃん達の後を追い駆けた。
「森の東側にも何もないようですね」
「次は森の南側じゃ。こっちは風下になるから一番可能性が高いのじゃ」
「バーベキューの匂いに釣られて犯人がやって来たと言うことですね」
「そうじゃ。犯人は間違いなくバーベキューの匂いを辿って来たはずじゃ」
ボロにゃんの狙いは正しい。
私はバーベキューの匂いに釣られてキャンプ場まで行ったのだ。
だから、森の南側には私がいたと言う痕跡が残されている。
「先生、小川が流れています」
「川伝いに登ってみるのじゃ」
ボロにゃん達は小川を辿りながら上流へと登って行く。
この小川はキャンプ場の河原に続いている川のひとつだ。
水量が少ないので流れは緩やかだが足元が滑るので気をつけている。
「先生!足跡を見つけました!」
「ふむ、このサイズじゃと幼女のものじゃな」
小川の傍についていた足跡は小さなものだった。
転々としているが確かに足跡が残っていた。
足跡の方向を調べるとキャンプ場に向かっている。
「幼女はここまで来たと言うことですね」
「この先に何かあるはずじゃ。行くぞ、トラ吉よ」
急にボロにゃんとトラ吉の顔に喜色が生まれる。
やっとこ痕跡を見つけたから嬉しいのだ。
それを現すかのようにボロにゃんとトラ吉は駆けて行った。
(迂闊だったわ。こんなところに幼女の足跡が残っているなんて)
あの時は痕跡を消すことに注意が向いていなかったから仕方がないのだけど。
でも、あいにく私の足跡の痕跡はどこにも残っていないのがせめてもの救いだ。
私は二足歩行でもないから足跡など残らないのだ。
キャンプ場から南に300メートルぐらい離れたところでボロにゃん達は足を止めた。
「先生、この溝は」
「どうやら幼女はここで泥遊びをしていたようじゃな」
ボロにゃんとトラ吉は私が拷問されていた現場を見つけた。
「ひとりで遊んでいたのでしょうか」
「そこまではわからんのじゃ」
ボロにゃんとトラ吉は抉れた溝をじっくりと眺めて調べている。
溝は幼女が手で掻いた跡が残っていて近くに泥も山になっていた。
「先生、こっちに来てください」
「何じゃ」
「この木の根元に不自然に葉っぱが散らばっています」
トラ吉は幼女がおままごとをしていた葉っぱを見つけた。
あれは私を拭くために幼女が強引に押しつけたやつだ。
ボロにゃんは葉っぱをひとつ拾い上げるとじっくりと眺める。
「ふむ」
「これは何なのでしょうか」
「恐らくこの葉っぱを何かに使ったのじゃ。よく見て見るのじゃ。葉っぱに細かい傷がついておる」
「本当だ。何かにこすりつけたような傷ですね」
「トラ吉よ、ここの現場も写真に収めてくれ」
「わかりました」
さっそくトラ吉はカメラを取り出して現場の撮影をはじめる。
抉れた溝、散らばった葉っぱなど不自然な場所はくまなく撮影した。
「先生、一通り撮影は終わりました」
「ふむ」
「どうされたのですか、先生」
「いやなに。さっきから誰かに見られているような感じがしてな」
(ギクリ。もしかしてバレちゃった?)
ボロにゃんは近くで様子を見ていた私の気配に気づいたようで辺りをしきりに見回している。
「誰かって。誰もいませんよ」
「何も見えないが妙な気配を感じるのじゃ」
(さすが猫ね。伊達に髭モジャじゃないようね)
猫は髭の感覚が非常に発達している生き物だから微妙な変化も瞬時に感じとる。
とりわけボロにゃんの場合は髭がモジャモジャしているからトラ吉より敏感なのだろう。
私は木の陰に身を隠してボロにゃん達の死角に入る。
「先生の気のせいですよ。ここには僕達以外いませんから」
「ふむ。もしかしたら犯人かもしれんな。”犯人は犯行現場に戻る”と言われておるしな」
「犯人って誰もいないんですよ。幽霊にでもなっているとでも言うんですか」
「その可能性も否定できんな」
「バカなこと言わないでくださいよ。幽霊がどうやって幼女のぱんつを盗るんです」
ボロにゃんの突拍子もない言葉にトラ吉は呆れたような顔を浮かべる。
トラ吉の言うように幽霊が幼女のぱんつを盗ることは物理的にできない。
せいぜいスカートの中を覗いてぱんつを見るぐらいが関の山だ。
だけど、ボロにゃんは冗談を言った訳ではなく真面目な顔をしていた。
「もしかしたら犯人の姿は見えないのかもしれぬな」
「見えないって……」
「犯人の姿が見えないから幼女たちは何も見ていないと言ったのじゃ」
「そんなバカなことはありませんよ。透明人間なんて非現実的です」
何だかボロにゃんの推理が限りなく真実に近づいているようだ。
私は透明人間ではないが擬態して姿を隠すことはできる。
今も擬態を使って姿を隠してボロにゃん達の様子を見ている。
「透明人間でないとするならばカメレオンじゃな」
「カメレオン?」
「カメレオンは周囲の景色に擬態して姿を消すのじゃ」
(ギクリ。バレたかも……)
ボロにゃんの鋭い推理に私はドキリとして息を飲んだ。
「カメレオン人間がいるってことですか?」
「そう考えると辻褄が合うのじゃ」
「うーん。僕には理解できません」
トラ吉はボロにゃんの言葉が理解できずにお手上げ状態になる。
普通に考えてみてもカメレオン人間などいるはずもないのだから。
もし、カメレオン人間がいたとするならば話題になっているはずだ。
「トラ吉よ。ワシらが知っていること全てが世界の真理ではないのじゃ。世の中にはまだ見ぬ生き物やモンスターたくさん存在しておるのじゃ」
「それはわかっていますけどカメレオン人間なんて……」
(まるで私のことを指しているような発言だわ。ボロにゃんは私のことがわかってるのかしら)
ボロにゃんの迷推理は限りなく真実に近づいている。
私が擬態していることを言いあてるぐらいだから侮れない。
ただ、カメレオン人間に落ち着いているようだからまだ大丈夫だ。
犯人が私(ちょめ虫)であることを指摘されなければ問題はない。
「では、トラ吉よ。村に戻って聞き取り調査じゃ」
「はい、先生」
ボロにゃんとトラ吉は隠れていた私の捜索は止めてイメル村へ戻る。
(とりあえず一安心ね)
(そうも言っておられぬぞ。あの迷探偵はただ者ではない)
(そうね。あれだけの情報で擬態のことを指摘するなんて普通じゃできないもの)
(これからはもっと慎重に行動した方がよさそうじゃな)
ちょめジイとしても私が捕まってしまえば自分の身が危くなってしまう。
私がちょめジイのことを話せばちょめジイは指名手配されるのだから。
そうなったらちょめジイが異世界からいろんなものを召喚していることもバレてしまうだろう。
(ねぇ、ちょめジイ。擬態はもうバレているんだから他の能力をちょうだい。その方が安心できるわ)
(ホイホイとそんなことができるものか。擬態の力の付与も特別なことなのじゃ)
(なら、ちょめジイは私が捕まってもいいって言うの)
(まだ、お主がちょめ虫であることがバレたって訳でもないのじゃ。しばらくは様子をみる)
(ケチ)
ここでうまく交渉を進めれば新しい力をもらえるかと思ったけど的外れね。
テレキネシスと擬態だけじゃ不便だからもっと使える力が欲しかったのに。
せめて普通に人間と話せるようにしてもらいたいところだわ。
(とりあえずお主はあの迷探偵に張りついておれ)
(わかったわ)
(迷探偵が真実に近づいたら教えるのじゃ)
(ちょめジイが何とかしてくれるわけ?)
(その時はワシが知恵を授ける)
(頼もしいわね)
とりあえずひとりで行動するよりもちょめジイがバックにいてくれた方が安心できる。
もしもの時になったらちょめジイが何とかしてくれるだろうから心おおきなく仕事に励める。
(これは失敗が許されないのじゃ)
(スパイってことよね。何だか映画みたいでいいわ)
すると、私の背後にスパイ映画のBGMが流れはじめる。
(何だか気分が上がって来たわ)
(心配じゃ……)
と言うことで私はスパイになった気分で引き続きボロにゃん達を監視することになった。




