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第百三十三話 おとなびたせくしーぱんつ①

間奏のあと”ルーズ”は2番へ移る。

歌詞は相変わらずナコルをモデルにした歌詞だ。


”馴染のゲーセンで 昨日の借り返す”

”クレーゲームはいつも 私をバカにする”

”得意のカラオケも 落第点ばかり”

”機械なんて信じない どうせポンコツよ”


「キャハッ。悲哀だわ」

「ナコル、そのものだね」

「ちょめ助くん、そんなこと言ってはいけませんよ」

「リリナちゃんもそう思わない?」

「それはそうですけど」


さすがはアーヤだ。

ナコルの日常をありありと描いている。

あまりにリアル過ぎて恐怖さえ覚える。

アーヤはナコルの日常を見ていたのだろうか。


「けど、アーヤさんは作詞力がありますわね」

「アーヤの場合は作詞力じゃなくてそのまんまを歌詞にしているだけ」

「モデルがナコルだから描きやすいのかもね」


私もルイミンもご機嫌だ。

憎っくきナコルの悲哀が描かれているからだ。

これを聴いたファン達はナコルに同情するよりもバカにするだろう。

クレーンゲームでバカにされ、カラオケでもバカにされているんだから。


実際に歌っているROSEのメンバー達も気怠そうに歌っている。

ナコルの悲哀をより表現するためアーヤが演出したのだろう。


”おこづかいも尽きる 遊んでばかりだと”

”だから色目を使って オジさんにおねだり”

”ギリギリの線で 危ない橋渡る”

”補導されなければいい それがギャルの技”


「もう、悲哀過ぎて聴いていられないわ」

「自業自得ってやつだね。ざまあいいわ」

「2人とも喜び過ぎです。これではナコルちゃんがかわいそうです」

「仕方ないじゃない、プロデューサーのアーヤの采配なんだから」


アーヤはどこまでナコルを貶めれば満足するのだろうか。

楽曲を聴いているファン達の共感を呼ぶよりもナコルのブランドが落ちるだけだ。

ただ、ナコルのようにダメ女子には響いているかもしれない。

とりわけ社会のゴミであるギャル達には。


それを表すかのように聴いているファン達は共感している。

うんうんと頷きながら自分と重ねて見ているかのようだ。

集まっているファン達もギャルに染まっているからそうなるのだろう。


「でも、気分がいいよね。聴いていて楽しいわ」

「そうね。ナコルが悉く落ちているからね」

「私は聴いていられません。これではナコルちゃんがかわいそうです」

「確かに少しリアル過ぎますわね」


リリナは相変わらずナコルを庇おうとしている。

それはリリナがナコルからいじめられなかったからだ。

私とルイミンなんていじめられたからナコルが憎くてしかたがない。

だから、こんなナコルを貶めるような楽曲を聴くと楽しいのだ。


「やっぱナコルってロクでもない奴だよね。お金がないからって援助交際に手を出すんだから」

「そう言う発想しか持てないのよ。ギャルだからね」

「ギャルのみなさんが実際にそうではありませんよ」

「そんなことない。ギャルなんてみんなそんなものなのよ」


それは私がよく知っている。

アーヤと言うギャルをよく見て来たのだから。

アーヤも援助交際疑惑が持ち上がっていた。

まだ、中学生なのに羽振りがよかったからだ。

欲しいものは何でも買って自慢ばかりしていた。

そうすることでクラスの人達から認められたかったのだろう。

だけど、実際は陰口ばかり叩かれていたのだ。


中学生なのだから身の丈に合ったことをしてないといけない。

背伸びをして大人ぶっても周りの反感を買うだけなのだ。


「とかくスケベなおじさん達はギャルが好きだからね」

「お金にものを言わせてエッチなことをしようとしているのね」

「長年連れ添った妻に飽きたから若い娘を食い漁るのよ」

「スケベなおじさんもロクでもないね」

「ギャルとスケベなおじさんは社会のゴミよ」


とかく私もスケベなおじさんに悩まされた。

通学途中の電車の中でいやらしい目で見られていた。

自分の娘ぐらいの中学生にいやらしい気持を抱くなんて信じられない。

家に帰って娘を見た時に何を思うのだろうか。

娘がそのことを知ったら減滅するだろう。


そんなことを考えているとBメロに移る。


”「あなたはダメな子ね」って言うのは”

”母親の悪い口癖 実の娘なのにね”

”好きでこうなったわけじゃないno”

”全部あなたのせいなのよ 後悔している”


「今さら後悔しても遅いよね」

「後悔してもやったことは消せないからね」

「けど、後悔して反省して次をよくすればいいのではないですか」

「リリナちゃん、ナコルにそんな器用なことができると思っているの?」

「ナコルなんて反省しないから同じ轍を踏みまくるね」


実際に”ナコリリ”を勝手に辞めて”ROSE”に加入していた。

反省をしていればリリナちゃんのところへ戻ってきたはずだ。

自分が間違いだったと認めてリリナちゃんに謝罪するのだ。

それをしないで”ROSE”に加入したのだから反省などしていない。

きっと”ROSE”に入ればアイドルになれると思ったのだろう。


「”ROSE”に入っても出番がないからいい気味ね」

「そう言えば全然ナコルちゃんのパートがないです」

「ナコルが歌うとリアル過ぎちゃうからだよ」

「私はそうは思いませんわ。きっと何かしらの意図があるのですわ」


セレーネはそんなことを言うがアーヤはそんなに思慮深くない。

ナコルは歌唱力がないからナコルのパートをはずしたのだろう。

歌唱力の低さはどうあがいても修正できないのだから。


「私、アーヤのファンになるかも」

「ちょっと、ルイミン」

「だってナコルの歌なのにナコルのパートがないんだよ。こんな楽しいことはないわ」

「そりゃそうだけど、よりによってアーヤのファンになるだなんて」


それならアーヤのセンスにファンになってほしい。

アーヤのファンになったらギャルを認めたことと同じだ。

だから、けっしてアーヤのファンになるとは言ってはいけない。


そして2番のBメロが終わるとまた意味のないサビがはじまる。


”ああ 昨日もまた しょうもない一日が終わった”

”ああ かったるい日にバイバイ”

”ああ 戻りたい やり直しのないストーリー”

”ああ ルーズな気持にグッバイ”


「ナコルの日常なんてそんなものだよね」

「毎日無駄な時間ばかり過ごしているからね」

「暇があればいじめ。他にやることがないのかね」

「バカの一つ覚えなのよ」


思考力がないから目の前のことに飛びつく。

そうすることで時間を埋めようとしている。

だけど、何をするかで時間の密度が変わるものだ。

くだらないことばかりしていたら密度はスカスカ。

後で振り返っても何も残っていないのだ。


「けど、ナコルちゃんがいじめに走ったのには何かしらの理由があるからですよ。でなければ人を傷つけることなんてしないですもの」

「リリナちゃん、ナコルにそんな御大層な理由はないよ。人を傷つけることを楽しみにしているような奴だから」

「ルイミンの言葉には重みがあるわね。実際にナコルにいじめられていたから実感がこもっているわ」


どんな理由があるとはいえナコルがルイミンをいじめていたことは事実だ。

それによってルイミンの心の中には拭いきれない深い傷がついてしまったのだ。

もし、ルイミンがナコルと出会っていなかったらひねくれてはいなかっただろう。

ルイミンは純粋にリリナちゃんが好きだから心から清くいられたはずだ。


「背景にどんな理由があったとしても人を傷つけることをしてはいけませんわ」

「……」


とどめのセレーネの言葉を聞いてリリナは返す言葉を失った。

リリナ自身、それが間違いであることは理解している。

だけど、”ナコリリ”として活動していたからナコルを信じたいのだ。

それが蜘蛛の糸のような僅かな可能性であったとしてもだ。


そのリリナの気持はわからないでもない。

いっしょに活動していたのだから相手を信じたい。

だけど、その活動すらナコルのワガママだったのだ。


「リリナちゃん、もうナコルを信じるのは止めなよ。見ていられないわ」

「リリナちゃんの中のナコル像は消えるかもしれないけれど事実を認めるべきよ」

「それは辛いことかもしれませんけれど、ちょめ助くんの言うことは最もですよ」

「私は……」


今、リリナは”ファニ☆プラ”をしているのだからメンバーのことを第一に考えるべきだ。

ナコルのことは後ろ髪引かれるかもしれないけれど事実を認めなければならない。

ナコルがルイミンや私をいじめていたことは事実だし、人を傷つけて来たのだ。

その事実に蓋をしていても、どこかしらで矛盾が生まれてしまう。

それを表すかのようにリリナの心の中は常に揺れているのだ。


そんな大切な話をしていると予想もしなかった展開になった。

ナコルのパートはないと思っていたのだけどDメロをナコルが歌いはじめたのだ。

Dメロなんて楽曲を作った人が一番言いたいことを書いてある部分だ。

それをナコルに歌わすなんてアーヤは本気でナコルを売り出したいようだ。


”ああ こんな風になったのがはじまり”

”また やり直せるなら子供に戻りたい”

”だけど私は私以上にはなれない”

”同じことを繰り返すだけの話”

”嫌気のさす毎日は変わり映えがない”

”馴染の顔、馴染の場所、馴染の話”

”どれをとってもいつもの日常……say”


「しかもラップじゃん」

「ナコルのくせにおいしいところを持って行かないでよ」

「やっぱりアーヤさんはちゃんと考えていたんですわね」


ようやくナコルのパートが来たのでリリナはホッとしていた。

せっかく”ROSE”に加入したのにパートがなければ悲しいだけだ。

それでは何のために加入したのかわからない。


「くぅ……アーヤのやつ」

「もう、何でここへ来てナコルなのよ。これじゃあ全然つまらないわ」


さっきまで喜んでいたのに私とルイミンのテンションはだだ下がりだ。

楽曲の一番おいしいところをナコルに歌わせるからだ。

しかも、ラップで歌わせるところが憎い。

ナコルの歌唱力の低さを見事にカバーしている。


「帰るわよ」

「ええっ、最後まで聴いて行かないんですか」

「つまらないからいいのよ」

「勉強のために最後まで聴いた方がいいですわよ」

「勉強なんてすることはないわ。アーヤから学ぶことなんてないもの」

「私も賛成。帰ろ、帰ろ」


これ以上この場に留まっても意味がない。

アーヤの采配を目の当たりにさせられるからだ。

どうせ最後まで残っていたらアーヤが勝ち誇るだろう。

勝負に勝ったと言って私を見下すはずだ。


そう思って振り返るとそこにアーヤが立っていた。


「あれ?もう、お帰り?”ROSE”のライブは終わっていないけど」

「もう、十分楽しんだからいいの」

「なら、負けを認めるってことね」

「なんでそうなるのよ」

「ライブはこれからが盛り上がるの。最後まで観て行きなさい」

「アーヤが決めないで」


アーヤは何としてでも私をここに留まらせたいようだ。

あえて突っかかるような言葉を吐いて私を怒らせるつもりだ。

だけど、それに乗っかったら私の負けになる。

だから、ここは冷静に用があると言って断るのだ。


「これから大事な商談があるの。悪いけど帰らせてもらうわ」

「みえみえの嘘だわ。マコって嘘が下手ね」

「私は汚れの知らない正直者なの」

「なら、帰るなら負けを認めるのよ」

「私は負けないわ。まだ勝負はついてないもの」

「なら、決まりね。最後までライブを観て行くのよ」


結局、アーヤに丸め込まれて”ROSE”のライブを最後まで観ることになった。

”負け”を口にされたらおいそれと尻尾を巻いて帰ることはできない。

それは憎っくきアーヤに負けることを認めることになるからだ。

私がアーヤに負けることなんてあってはならない。


そんな話をしていると楽曲は最後のサビに入った。


”ああ 今日もまた つまらない一日が終わる”

”ああ かったるい日にバイバイ”

”ああ 何もない 何も残らないストーリー”

”ああ ルーズな気持にグッバイ”


”ああ 明日もまた くだらない一日がはじまる”

”ああ かったるい日にバイバイ”

”ああ 帰りたい 彩のないストーリー”

”ああ ルーズな気持にグッバイ”


「相変わらず、意味のないサビね」

「ナコルの歌だから仕方ないけどね」

「結局、アーヤは何が言いたかったのかしら」

「これじゃあギャルの日常がつまらないことしかわからないね」


いくらリアルのナコルを描いたとしても、そこに意味はないのだ。

それはナコルそのものが意味のない毎日を過ごしているからだ。

ただ、くだらないことをして時間が流れているのを見過ごしている。

何もしなければ時間は過ぎるばかりで何も残らないのだ。


「けれど、ファンのみなさんには響いたようですわよ」

「この曲のどこが響くのよ。ファン達はみんなバカだわ」

「みんなギャルに染まっているから仕方ないのよ」


集まっているファンはギャルに染まっているから思慮深くはない。

楽曲の意味など考えずに歌われていた歌詞をそのまま受け止めている。

だから、こんな意味のない歌にも共感しているのだ。


「ようやく終わったわ。帰るわよ」

「そうだね。帰ってにらせんべいを売ろう」


こんなくだらない時間を過ごしていること自体無駄だ。

それならにらせんべい屋をやって稼いでいる方がいい。

たくさん稼げば活動費にできるから意味を持たせることができる。

それに王都の人達ににらせんべいを流行らせるのだ。


すると、集まっていたファン達がアンコールを要求しはじめた。


「「アンコール、アンコール!」」

「ちょっと止めてよ。バカなの。これ以上、くだらない歌を歌わせないでよ」

「ちょめ助、アンコールになる前に帰ろう」

「それもそうね。さっさと帰るわよ」


もうお腹がいっぱいだからこれ以上、”ROSE”の歌は聴きたくない。

どうせアンコールになる曲はファーストシングルである”ギャルズ”なのだ。

アーヤが”ROSE”のイメージを定着させるためにラップで彩った歌だから聴きたくない。


しかし、私達が帰りかけたところでほへとがアンコール曲を発表した。


「みんな、ありがとう。最後はこの曲で締めるよ。聴いてくれ、”ギャルズ”」

「ああっ、もう。はじまっちゃったじゃない」


このまま背を向けたまま帰ることはできたが止めておいた。

あとでアーヤに負け犬だと罵られるからだ。

“ROSE”のライブを最後まで観ないと私の負けだ。

だから、聴きたくないけれどおかわりの”ギャルズ”を聴くことにした。


「まったくツイてないわ。何でこんな意味のない歌を聴かなくちゃいけないのよ」

「ちょめ助がアーヤに負けを認めれば聴かなくてもすむんじゃない」

「それはダメよ。絶対にダメ。私がアーヤに負けると言うことはギャルを認めると言うことなのよ」

「そんなに大きな意味があるの。たかが負けるだけでしょう」

「ルイミンはわかってないわ。私とアーヤの戦いの歴史は長いのよ」

「ふ~ん、ちょめ助って結局アーヤのことが好きなのね。でなければ勝負なんてしないもの」

「なんてことを言うの、ルイミン。私がアーヤのことが好きだなんてあり得ないわ」


アーヤは憎くてしかたがない。

ルイミンがナコルのことを憎いのと同じだ。

私がアーヤと勝負をするのはギャルを否定するためだ。

アーヤはギャル文化を広めようと企んでいるから誰かが阻止しないといけない。

でなければすぐに世の中がギャル文化に染まってしまうのだ。


ギャルはおばさんの原石だから感染力が強い。

風邪が移るかのように次から次へと感染して行く。

そして気がついた時には周りの人達はギャルになっているのだ。


「ルイミンちゃんの言う通りですね。ちょめ助くんとアーヤちゃんを見ていると姉妹ケンカに見えますしね」

「どちらも似たようなタイプなのですわ」

「ちょっと。リリナちゃんもセレーネも言ってはいけない言葉を言ったわね。私とアーヤのどこが姉妹なのよ」

「ムキになるってことは認めたのと同じだよ」


それは違う。

私がムキになっているのは否定するためだ。

私とアーヤは敵同士であって姉妹じゃない。

姉妹ケンカと言っているが真剣勝負なのだ。

どちらかが隙を見せれば真っ二つにされてしまう。

それだけ私とアーヤの勝負には緊張感があるのだ。


「アーヤは敵よ。覚えておきなさい」

「それはちょめ助の敵ってことでしょう」

「違うわ。アーヤは”ROSE”をプロデュースしているのよ。”ファニ☆プラ”にとっても敵なの」

「私は”ROSE”さんのことはライバルとしかみていません」

「敵と言うよりもライバルの方がいい関係を築けますわね」


リリナとセレーネはそんなくだらないことを言って来る。

敵をライバルと言うなんてことはあってはならないことだ。

敵はどこまで行っても敵でライバルになることはない。

だから、ことごとく叩きのめす必要があるのだ。


「そんな生半可な気持だから”ROSE”に圧倒されてしまうのよ。敵と思って戦わないといつか潰されてしまうわ」

「別に私達は圧倒されてなんかいません。すごいなと思っているだけです」

「そう思うこと自体が負けなの。あいつらは敵なのだから勝たなくちゃいけないの」

「ちょめ助くんはどうあっても私達”ファニ☆プラ”と”ROSE”を戦わせたいみたいですわね」

「ここは戦国なの。やるかやられるかしかないのよ」


アイドルバトルと言うものはそもそもそう言うものだ。

お互いにステージをしてどちらかが優劣を決める。

どれだけ多くのファンの心を掴んだ方が勝ちなのだ。

私達、”ファニ☆プラ”は勝ちしか手にしてはいけない。

そのために毎日アイドル活動をしているのだから。


そんな話をしている間に”ROSE”のアンコール曲は終わっていた。


「さて、終わったわ。帰るわよ」

「そうだね。これ以上、ここにはいたくないわ」


私とルイミンがステージに背を向けるとファン達が再びアンコールを求めはじめた。


「「アンコール、アンコール!」」

「ええっ、どれだかおかわりが欲しいのよ。アンコールなんてものは1回こっきりなのよ」

「ちょめ助、早く帰ろう。また、アンコールがはじまっちゃうよ」

「それもそうね。エンドレスになったら困るわ」


犬塚愛の”ちょめりんぼ”ではなけれど”もう一回”のエンドレスはいらない。

”もう一回”を言うだけでエンドレスでサビがはじまってしまうからだ。

それはある意味地獄と言っていいだろう。

ライブではそれなりに盛り上がるけれどいつ終わるのかの方が気になってしまう。


すると、ステージのスピーカーに足を上げてほへとがファンに語りかける。


「そんなにおかわりが欲しいか!」

「「欲しいーっ!」」

「心を震わせたいか!」

「「震わせたーい!」」

「愛しているか!」

「「愛してるー!」」

「なら、聴かせてやるよ。”ルーズ”」

「ええっ、またぁ」


バカなファン達がおかわりを要求するからほへとがおかわりをあげてしまった。

また、”ルーズ”を聴かなけれなならないなんてツイていないにも程がある。

せっかく終わると思っていたのにまた振り出しに戻ってしまった。

もしかしたらこれは犬塚愛の”ちょめりんぼ”のようにエンドレスになってしまうかもしれない。


「もう、付き合っていられないわ」

「ギャルってバカなんだね」


ルイミンのその一言に痛感させられた。

ギャルはただ盛り上がりたいからおかわりをしただけだ。

騒げれば何でもいいからおかわりをしたのだ。

所詮ギャルなんてみんなそんなものだ。


と言うわけで私達もライブが終わるまでつき合わされたのだった。


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