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第百二十九話 女だらけの入浴

セレーネの説明はすごくわかりやすかった。

まず、はじめにおっぱいの周りの筋肉をほぐすマッサージ。

ここが一番のポイントになるようで念入りにマッサージをして欲しいとのこと。

その後でメインのおっぱいのマッサージへと続く。


手でのの字を書くようにおっぱいを揉みほぐすのだ。

このときに注意をしないといけないのは優しくマッサージすることだ。

強く揉んでしまうと筋肉がばらけて隙間ができてしまうと言う。

なので赤ちゃんのお尻を拭く時のように優しく扱う。


一番気になるおっぱいの先っちょは特にマッサージの必要ないらしい。

私が一番楽しみにしていた場所だけにちょっとがっかりだ。


私はリリナの背後に回り込んで脇の下から両手を伸ばす。


「じゃあ行くよ」

「ルイミンちゃん、ちょっとくっつき過ぎです。背中におっぱいが当たってます」

「だってくっつかないと手が届かないんだもん」


ここぞとばかりにリリナにへばりついて至福の時を楽しむ。

こんなことでもなければリリナの肌に触れられる機会はないのだ。


「それではまずはおっぱいの下の筋肉からほぐしてください」

「ルイミン、行きま~す」

「ちょ、ちょっ」


リリナの肌は思いのほかスベスベでかつ柔らかくてとろけるようだ。

柔らかいお餅と言うか白玉のような感触と言えばいいだろうか。

とにかく触るだけで気持ちよくなれる至高の肌だった。


「どう、リリナちゃん」

「どうって。何だか変な感じです」


リリナの反応はあまり芳しくないようだ。

まだ、おっぱいの下だから性感帯に触れていないからだろう。

それにこの部分はお肉があまりないから気持ちよくないのかもしれない。


「ルイミンさん、指でなぞるばかりでなく指で軽くお肉をつまんでマッサージをしてみたください」

「こう?」

「いい感じです」


セレーネに指摘されてマッサージの仕方を変えてみる。


「この方がリリナちゃんの肌の柔らかさを感じられるわ」

「あまり触らないでください」

「それじゃあマッサージにならないじゃん。おっぱいを大きくするためなんだよ。頑張って」

「うぅ……」


これは私が楽しむためにしているわけではない。

すべてはリリナのおっぱいを大きくするためなのだ。

だから、念入りにマッサージをする権利が私にはある。


「ルイミンさん、同じところばかりをマッサージするのではなく円を描くようにおっぱいの周りをマッサージしてください」

「わかった」


私はセレーネに言われた通りおっぱいの周りを円を描くようにマッサージした。


「もう、そのぐらいでいいですよ」

「ホッ」

「リリナちゃん、今、安心したでしょう」

「だって、こんなことはじめてなんですもの」


リリナもはじめてだろうが私もおっぱいマッサージするのははじめてだ。

ただ、リリナちゃんに触れられるから楽しくてしかたがない。


「それでは次はおっぱいのマッサージです。手のひらで包み込むようにおっぱいを持って指で優しく揉んでください」

「リリナちゃんのおっぱいはペタンコだから持てないよ」

「その場合は手のひらでおっぱいを包み込んでください」

「こうかな」

「そうです。あとは指で優しく揉んでほぐすだけです」

「いただきま~す」


私はセレーネに言われた通り指を使って優しくリリナのおっぱいを揉む。

リリナの肌もそうだがおっぱいは特に柔らかくてとろけるようだ。


「アッ、アンッ」

「どうしたのリリナちゃん。気持ちよかった?」

「おっぱいの先っちょが指と指の間に入ってて刺激するんです」

「な~んだ。やっぱりここが一番感じるのね」


リリナが熱い吐息をこぼすので何かと思ったら感じていたようだ。

これがおっぱいの大きい女子だったらおっぱいの先っちょまでは手が届かない。

リリナのような小ぶりなおっぱいだから指と指の間にすっぽりとハマったのだ。


「あまり手を動かさないでください」

「ダメだよ。これからなんだから。もっと気持ちよくしてあげる」

「ちょっ、アッ、アンッ」

「リリナちゃんのおっぱいの先っちょ、固くなって来た」


私はリリナのおっぱいの先っちょを指でつまんでコリコリさせる。

その度にリリナが熱い吐息をこぼすので興奮して来た。


「アンッ、アッ、アッ」

「リリナちゃん、色っぽ~い」

「や、止めてください、ルイミンちゃん!もう、マッサージは終わりです!」

「えーっ、これからじゃん。おっぱいマッサージをすればもっと気持ちよくなれるんだよ」

「こんなのマッサージじゃありません!」

「ルイミンさん、遊び過ぎです」

「ブー」


すっかりリリナはご機嫌斜めになってあっちへ行ってしまった。

だけど、リリナと肌を密着させておっぱいを揉んだだけでも十分だ。

こんな近くでリリナを感じられるファンは私しかいないのだ。


そんなエッチな遊びをしている横でちょめ助は寂しそうに佇んでいた。


「あっ、ごめん。ちょめ助、いたんだね。今、体を洗ってあげるから」

「おしおき」


私はちょめ助を抱きかかえてお風呂の椅子に座らせる。

そして桶でお湯を掬ってちょめ助の体にかけてあげた。


「うぅ、おしおき!」

「おしおきじゃないよ。沁みたの?ごめんね」


お湯で傷口が沁みたようでちょめ助はひとり興奮しはじめる。

おしおきじゃないのに”おしおき”と言って喜んでいるようだ。


「じゃあ、まずは頭から洗ってあげるね」

「おしおき」


私はボディーソープを手のひらに乗せて泡立たせる。


ちょめ助の肌にボディーソープが合っているのかわからないけど問題ないだろう。

私達の体をキレイにできるのだからちょめ助の体もキレイにできるはずだ。


「まずは頭の上とほっぺに泡をつけて。うわぁ、ちょめ助に角が生えた。鬼ちょめだね」

「おしおき」

「次はおでこに泡をつけて耳を生やそう」

「おしおき」


私がちょめ助で遊んでいるとセレーネが声をかけて来る。


「ルイミンさん、そんな格好で遊んでいると風邪をひきますわよ」

「いや~、めんご、めんご。つい、楽しくなっちゃったからさ」

「おしおき」


ちょめ助の反応は相変わらずだけど私はひとりで楽しんでいた。


「じゃあ、洗うから目をつむって」

「おしおき」

「目を閉じないと泡が目に入っちゃうよ」

「おしおき」

「沁みるよ」

「おしおき!おしおき!」


注意したつもりが逆にちょめ助を喜ばせてしまったようだ。

”沁みる”とか”痛い”とかの言葉を聞くと興奮をしはじめる。

実際に沁みて痛みが走った経験をしているからだろう。


仕方ないので赤ちゃん用のシャンプーハットを頭にハメた。

ただ、ちょめ助の頭の半分が目玉だから全部隠れない。

なのでシャンプーハットは微妙な位置で止まっていた。


「それじゃあ行くよ」

「おしおき」


私はなるべく顔に泡がかからないようにちょめ助の頭を洗う。


あいにく頭には傷口がないからシャンプーをしても沁みない。

なのでちょめ助は微妙な表情をしながらシャンプーされていた。


「ちょめ助の頭って意外と柔らかいのね」

「おしおき」


リリナの肌ほどではないけれど水風船のように柔らかい。

だから、ちょめ助の頭を洗っているだけで気持ちよくなれた。


「頭はこれでいいわ。次は体ね」

「おしおき」

「なるべく傷口を触らないようにするから安心してね」

「おしおき」


私は泡立てた泡を持ってちょめ助の体にそっと押しつける。

そして優しく泡を塗るようにちょめ助の体の上を滑らせた。


「どう?痛くないでしょう」

「おしおき」


ちょめ助は不満なのか気のない声で”おしおき”と答える。

以前は”ちょめちょめ”ばかりだったけれど今度は”おしおき”ばかりだ。

きっとちょめ助の傷が治っても”おしおき”を欲しがるのは止まないかもしれない。

もし、そうなってしまったら私はどうしたらいいのか。

ちょめ助の親友であることはできるけれど助けてあげることができない。

それは親友としてとても悲しいことだ。


そんなことを考えている間にちょめ助は泡だらけになっていた。


「あっ、ちょっと泡立て過ぎたね。今、流してあげるから」


私は桶にお湯をいっぱい汲んでちょめ助の前に持って来る。

それを上に持ち上げてちょめ助の頭の上に持って来ると桶を逆さまにする。

お湯はちょめ助についていた泡をキレイに流し、ちょめ助の姿が現れる。


すると、ちょめ助が叫び声を上げながら興奮をしはじめた。


「おしおき!おしおき!おしおき!」


どうやらお湯が傷口に沁みて痛みを感じたようだ。


「痛かったね、ごめんね」

「おしおき!おしおき!」


私はちょめ助に謝るがちょめ助は体を寄せて来ておしおきを欲しがる。

もっと痛みを感じていたいようだ。


「ちょめ助くんが元に戻るまで時間がかかりそうですね」

「だよね。すっかり欲しがりさんになっているもの」

「痛みの先にある快感を知ることはとても恐ろしいことなのですね」


セレーネが言うようにちょめ助はすっかりMに目覚めてしまった。

普通の人なら痛いことなのにちょめ助の場合は快感に感じてしまう。

だから、もっと刺激を欲しがる体になっているのだ。


その後で湯船に浸かって温まったが、その時も激しく興奮していた。

お湯が傷口に沁みて痛いから快感を感じていたのだろう。

そんなちょめ助を見ていられなくて私達は早々にお風呂を切り上げた。


「さあ、体を拭いてあげるからじっとしてるのよ」

「おしおき」

「もう、そればっかり。そんなにおしおきが欲しいの」

「おしおき」

「ダメみたいですね」

「今は仕方ありませんわ」


私は傷口にさわらないようにポンと叩くようにちょめ助の水気を取って行く。

ちょうど女子が顔の保湿をする時のような感じだ。


すると、傷口にタオルが触れたらちょめ助が興奮をしはじめる。


「おしおき!おしおき!おしおき!」

「やっぱ痛いんだね。ごめんね」

「おしおき」


その後もなるべく傷口に触らないようにちょめ助を拭いてあげた。


「ふぅー、これでよしっと」

「何だか爆弾を解体しているみたいに緊張しましたね」

「傷口に触れただけでちょめ助が興奮するからね」


リリナが絶妙な例えをしたので私は深く頷いて納得した。

今のちょめ助は爆弾そのものだと言ってもおかしくない。

爆発をすると興奮しながら”おしおき”を連呼する爆弾だけど。


「ルイミンさん、あとはちょめ助くんの手当です」

「そうだね。ちょめ助、消毒をするから動かないでね」

「おしおき」

「リリナちゃん。念のためちょめ助を押さえておいて」

「わかりました」


リリナちゃんはちょめ助の頭を押さえて動かないようにする。

それはちょめ助の体が頭よりも小さいからだ。

だから、押さえておくなら頭しかない。


私はガーゼに消毒液を垂らしてちょめ助の傷口に触れた。


「おしおき!おしおき!おしおき!」


例のごとくちょめ助は興奮して”おしおき”を連呼しはじめる。

そしてジタバタと暴れようとするのでリリナが必死に押さえていた。


「ちょめ助、動いたら消毒できないよ」

「おしおき!おしおき!おしおき!」

「ルイミンさん、この際、一気に消毒をした方がいいですわよ」

「それもそうね。リリナちゃん、しっかりと押さえておいてね」

「はい」


私はセレーネに言われた通りちょめ助の消毒を一気にした。

ポンポンポンと消毒したのでちょめ助の興奮は最高潮になる。

力いっぱい押さえているリリナさえ怯んでしまうくらい暴れていた。

それは消毒液が傷口に沁みて痛いからだろう。

口では”おしおき”を欲しがっているけれど体は痛みを感じているのだ。


「もういいよ、リリナちゃん」

「ちょめ助くん、結構、力が強いんですね」

「一気にやったから刺激も強かったんだよ」

「あとは絆創膏をして包帯で保護すれば終わりです」


絆創膏を貼る時もちょめ助は興奮していたが消毒ほどではなかった。

気がつくとちょめ助は絆創膏柄の緑色の虫に変わっていた。

その後で包帯をグルグル巻てちょめ助の手当てを終えた。


「これを毎日やるんだよね。けっこう大変かも」

「仕方ないですよ。ちょめ助くんが元気になるまで診てあげないと」

「これもみんなあのボロ雑巾のせいだ」

「それは否定しません。ボロにゃんさまがそんな悪い人だと知って減滅しましたわ」

「ファンクラブを除名するのよね」

「私の大切なお友達を傷つける人はファンクラブにいなくても構いません」


セレーネは少し声を荒げながらボロにゃんを否定した。


「クシュンッ」

「私達も着替えよう。この格好のままだと風邪を引いちゃうわ」

「髪も乾かさないと」


私達は体を拭いてから素早く着替えをすませる。

その後でドライヤーを使って濡れた髪を乾かした。


「こう言う時、丸刈りの男子って羨ましいよね」

「そうですね。丸刈りだったらドライヤーもいりませんしね」

「ただ、女子で丸刈りにするのは抵抗がありますわ」


女子でもお洒落で丸刈りにする人はときたま見かける。

だけど、やっぱり女子は髪の長い方が似合っているのだ。

髪が長ければいろんな結い方もできるし、エクステもつけられる。

丸刈りでもウィッグをつければできるけれど、それでは何のために丸刈りにしたのかわからない。


「セレーネは髪の長い方が似合っているからね」

「セレーネちゃんの髪は天使の輪ができていますから。羨ましいです」

「リリナさんもできていますわよ」

「えっ、そう?自分じゃよくわからない」

「いいな~、二人とも。私なんか枝毛ばかりだから」

「髪をキレイにするならバランスとれた食事が不可欠です。あと寝不足も厳禁ですわ。ホルモンバランスが崩れるとダメージヘアーになってしまいますから」

「あー、私、夜型だ。今日から早寝しよっと」


そんな女子トークをしている横でちょめ助は瞼を重くしていた。

お風呂で体が温まって体温が下がったから眠気が襲って来たようだ。


私達は女子トークを短めに終わらせて、それぞれの部屋へ戻って行った。


「ちょめ助、着いたよ」

「お……しお……」

「もう、眠いのにおしおきのことばかり考えてるなんて。どれだけ好きなのよ」

「……き」


水風船のようにこぼれ落ちそうになるちょめ助を抱えながら部屋の灯かりをつけた。


「寝るならちゃんとお布団で寝ないとダメだよ」

「おし……お……き」


私はちょめ助を横に寝かせてお布団をかけてあげる。


「これで風邪は引かないよ」

「お……お……」

「ちょめ助が眠るまで傍にいるから安心して眠ってね」

「しお……き」


私もちょめ助の横に寝ころんでちょめ助のお腹を優しく叩いてあげる。


「何だか、こうしていると自分の赤ちゃんができたみたいだわ」

「お……」

「顔はブサイクだけど……」

「……きっ?」

「あっ、怒った?冗談だよ、冗談。ちょめ助は個性的なだけだよ」

「……おし……」


個性的なのとブサイクなのとの差がよくわからないがひとまず納得してくれたようだ。

そしてしばらくするとちょめ助の小さな寝息が聞こえて来た。


「眠った、眠った」

「ZZZ……」

「今日はいろいろあったから疲れたんだね」


一日を振り返るといろんなことがあり過ぎた。

突然、ボロ雑巾達から連絡が入って、ちょめ助を連れて来た。

しかも、ちょめ助が部費を盗んだ犯人だと決めつけて。

確かにちょめ助が部費を盗んだのだけどおしおきをすることはない。

おかげでちょめ助は欲しがりさんになってしまった。


その後で女子寮に連れて来て食事を摂らせてお風呂だ。

お風呂では傷口が沁みて興奮ばかりしているし、おしおきばかり欲しがるしで。

きっと傷が治るまでこれが続くのだろうと思う。


「あーあ、早く治ってくれないかな。そうすればアイドル活動を再開できるのに」


ちょめ助がいなくなったことでアイドル活動を休止していた。

練習はしていたけれどプロデューサーがいないとはじまらないからだ。

いつまでもぱんつの歌なんて歌っていたくないから早く次の曲を作ってもらいたい。

それに活動費を稼ぐためにはじめようとしていたにらせんべい屋も気になる。

だから、ちょめ助には早く元に戻ってもらいたいのだ。


「そんなにうまく行かないよね……」


ちょめ助の寝顔を見ていたら何だか気力がなくなってしまった。

眠ってはいるけれどときどき恍惚としたような表情を見せるからだ。

恐らく夢の中でいっぱいおしおきをされているのだろう。


「まあ、明日になれば少しはよくなっているよね」


そうなってくれることを期待しながら私は窓から外を眺める。

窓から月明かりが漏れていて私を蒼白い光で包み込む。

そして部屋の灯かりを消すと部屋が月明かりで照らされた。


「お月さまって、まるでステージのスポットライトみたい」


星屑のステージでライブをしたらさぞかし気持ちいいことだろう。

歌声が夜の空に溶けて行って歓声が星々のようにきらめく。

まるで天使にでもなれた気分を味わえるはずだ。


「夜フェスってのもありかもね。今度、提案してみよっと」


そんなアイデアがひらめいたところで私はベッドに入って眠りについた。


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