第百二十五話 ヒーロー参上
恐らくゴブリンは私の匂いで位置がわかるのだろう。
だから、擬態で姿を眩ませたのにわかってしまうのだ。
「ちょめちょめ」 (逃げ道はないわ)
ゴブリン達はじわじわとにじり寄りながら近づいて来る。
そして私を捕まえるとロープで縛って動けないようにした。
「グギー」
「グギグギ」
どことなくゴブリン達が喜んでいるように見える。
私と言う獲物を捕まえたことで嬉しいのだろう。
「ちょめちょめ」 (お願いだから食べるのだけは止めてよね)
そんな心配も束の間、ゴブリン達は棒に私を括りつけた。
これでは豚の丸焼きのような格好になっている。
「グギー」
リーダーと思われるゴブリンがひと鳴きすると他のゴブリン達は棒を担ぐ。
その姿はまるで時代劇でよく見かける籠屋ようだ。
ただ、私は獲物としてみられているが。
そしてリーダーのゴブリンを先頭に他のゴブリン達が続いた。
「ちょめちょめ」 (どこへ連れて行くのよ。お金が欲しいならいくらでもあげるわ。だから解放してちょうだい)
ゴブリンにお金の感覚はあるのかわからないが身代金を払った方がいい。
それで命が助かるならば安いものだ。
しかし、ゴブリン達の耳には届かなくて森の奥へ奥へと連れて行かれた。
それからどれぐらい森の奥へ歩いて行ったのか気がつくと開けた場所まで来ていた。
そこには3匹のゴブリン達がいて焚火をしながら火にかけた鍋の様子を見ていた。
「ちょめちょめ」 (あ~ん、また増えた。これじゃあ逃げられないじゃない)
ゴブリンは群れで行動すると聞いたことがあるがどれくらいいるのだろう。
8匹と言えばそれなりに多い方だけど群れと言うレベルじゃない。
だとするならば他にもたくさんゴブリンがいるはずだ。
そんな心配をしているとゴブリンのリーダーが立ち止まった。
「グギー」
「「グギ」」
そして他のゴブリン達が固い木でできている牢屋に私を乱暴に放り込む。
すると、垂れ下がっていたロープを引っ張って私の入っている牢屋を木の上に吊るした。
「ちょめちょめ」 (何よ、そこまでしなくてもいいじゃない。もう、これじゃあ完璧に無理)
私はブツクサ文句を言いながら固い木の格子の間に顔を押しつけて下を見た。
ゴブリン達はアホ面をしながら嬉しそうな顔で私を見上げている。
きっと私を食べるつもりでいるのだろう。
そしてしばらくすると焚火の周りに移動して大きな鍋を火にかけた。
「ちょめちょめ」 (もう、おしまいだわ。あの鍋で茹でられて生皮をはがされて食べられちゃうんだわ)
私(ちょめ虫)が美味しいのかわからないけれどゴブリンは何でも食べそうだ。
畑の野菜を盗んだり、獣を捕まえて食べたりしているから慣れているのだろう。
大鍋の水がブクブクと沸いて来ると他のゴブリン達が戻って来た。
「グキー」
「グギグギ」
帰って来たゴブリン達はイノシシを担いる。
すでにイノシシは息絶えていて微動だにしない。
きっとどこかで罠をかけてイノシシを捕まえたのだろう。
「ちょめちょめ」 (ゲームに出て来るゴブリンってただのやられ役だけど、結構賢いのね)
だからこそ、私が逃げられないように牢屋に入れて木の上に吊るしたのだ。
こんな状態では私がいくら特殊能力を持っているからと言っても何もできない。
まさに籠の中の鳥状態だった。
捕まえて来たイノシシはすぐに解体しはじめた。
大きな肉切り包丁を持って来て手慣れたように生皮を剥いでいく。
それは魚を三枚に下ろすかのように鮮やかな手つきで捌かれていった。
「ちょめちょめ」 (意外だわ。ゴブリンがこんなにも知能が高いなんて)
ゴブリンと言えば何でも生で食べると思っていたけど違うようだ。
人間のようにイノシシを解体して食べるところと食べないところを分けている。
しかも食べないところは地面に穴を掘って土の中に埋めていた。
それは恐らく匂いが出ないようにしているのだろう。
「ちょめちょめ」 (けど、イノシシの次は私よね。あ~ん、ゴブリンに食べられちゃう)
齢14歳のピチピチの乙女なのに、これで死んでしまうなんてあんまりだ。
しかも普通に死ぬのではなくちょめ虫としてゴブリンに食べられてしまうのだ。
「ちょめちょめ」 (こんなことになるなら好き放題すればよかったわ)
世の中で禁止されていることにも手を出して楽しんでおくべきだった。
今さら後悔しても遅いが、今の状況だからこそ考えられることなのだ。
そんな私をよそに解体されたイノシシは鍋で茹でられていた。
しばらくすると美味しい匂いが辺りに立ち込めて来る。
それはイノシシ鍋ができあがった証拠だった。
その匂いを嗅ぎつけたのか狩へ出ていたゴブリン達が戻って来る。
その数はざっと見ても30匹ぐらいの群れになっていた。
「ちょめちょめ」 (こんなに多いんじゃ、私なんておつまみにもならないわ)
私の全長は30センチしかないからあまり食べるところはない。
だから、捌かれてもすべてのゴブリンの口には届かないだろう。
「グギー」
「「グギグギグギグギ」」
ゴブリンのリーダーが槍を掲げると他のゴブリン達が声を揃えて歌いはじめる。
それは歌っているのかわからないけれどリズムに合わせて唸りながら体を叩いていた。
「ちょめちょめ」 (うわ~っ、何かの儀式がはじまるんだわ)
ゴブリンのような知能の高い生き物は儀式を尊重している。
自分達が信じる神に生け贄をささげて子孫繁栄を祈るのだ。
ゴブリン達の信じる神が何者なのかわからないけど私の命の危険が近づいていることは間違いない。
「ちょめちょめ」 (きっと私は生け贄なんだわ)
私のようなカワイイ乙女は生け贄の対象になる。
歴史的に見ても生け贄にはうら若い乙女が選ばれている。
今はちょめ虫になっているけれど私はカワイイ乙女なのだ。
すると、ゴブリン達は立ち上がって輪になって奇妙な踊りをはじめた。
「ちょめちょめ」 (私がカワイイからって生け贄にするなんて許せない)
だけど逃げられない。
檻は木の上に吊るされているから逃げようがない。
おまけにロープでぐるぐる巻きにされているから身動きもとれない。
ゴブリンが解放してくれるまで待つしかないのだ。
奇妙な踊りを踊っているゴブリン達は酒を煽りはじめる。
踊っては飲んで、踊っては飲んでの繰り返しだ。
あんな飲み方ををしていたらすぐにダウンしてしまうだろう。
一匹、二匹とバダバタとゴブリンが倒れはじめると踊りが終わった。
そしてリーダーが盃を持って叫ぶとイノシシ料理が運ばれて来た。
イノシシの肉は手頃な大きさにカットされそれぞれの席に運ばれる。
すると温かい湯気が美味しい匂いを運んで来た。
「ちょめちょめ」 (美味しそうな匂い。私にも分けてよ)
ちょうど夕飯の時間帯だから余計にお腹が減って来る。
今日は朝から大変だったから体が栄養を欲しているのだ。
「ちょめちょめ」 (私は育ち盛りなのよ。ちゃんと食べないとおっぱいも大きくならないわ)
今はちょめ虫だけれど元の姿に戻った時にペタンコだなんて悲し過ぎるわ。
ペタンコなカワイイ女子もいるけれどやっぱりおっぱいは大きい方がいい。
自分に自信が持てるし、男子からもモテるからだ。
男子はおっぱい星人だから大きいおっぱいは欠かせない。
そんな私を尻目にゴブリン達は宴会をはじめた。
イノシシの肉を鷲掴みにして美味しそうに被りつく。
その度に肉汁が溢れ出して来て美味しい匂いを放った。
ただ、驚いたのはゴブリンはイノシシの肉に塩をかけていたことだ。
ゴブリンに人間ほどの味覚があるのかは謎だがある程度はありそうだ。
「ちょめちょめ」 (ジュルジュルジュル。うわぁ~、イノシシの肉ってどんな味がするんだろう)
滝のような涎を垂らしながら私はゴブリンの食事風景を見つめる。
ジビエ料理なんてよく聞くからきっとおいしいお肉なのだろう。
でなければゴブリン達もイノシシを食べようとだなんて思わないはずだ。
「ちょめちょめ」 (人間って、こんなピンチに立たされていてもお腹が空く生き物なのね)
イノシシの次は自分かもしれないのに恐怖より食欲が勝っている。
それはすごいことなのかもしれないけれど、それよりも今は食べたい。
お腹がはち切れるまで食べて満足したいのだ。
「ちょめちょめ」 (これじゃあ生き地獄だわ)
私は空を見上げて煌々と照りつける月を見つめた。
「ちょめちょめ」 (まん丸のパンケーキに見える)
あのパンケーキにたっぷりとはちみつをかけて貪りつきたい。
きっと”あんぼんたん”のようなヒーローがいたら助けてくれただろう。
大事な自分の頭をちぎって分けてくれたはずだ。
だけど、私には誰も手を差し伸べてくれない。
このままゴブリンの生け贄にされてしまうのだ。
「ちょめちょめ」 (どこかにヒーローはいないの。か弱き乙女を助けてくれるイケメンで細マッチョで優しいお金持ちの王子様はどこにいるのよーっ)
アニメだったらこんなシチュエーションになればヒーローが必ずやって来る。
そして私を悪の手から救い出してお城へ連れて帰ってくれる。
その後で恋に落ちて大々的な結婚式を挙げて幸せな家庭を築いて行く。
それがシンデレラストーリーなのだ。
「ちょめちょめ」 (私もシンデレラになりたい。誰か助けに来て~)
そんな黒い欲望を言葉に変えて森に響きわたるように繰り返し叫ぶ。
だけど、”ちょめちょめ”としか喋れないから声を聞いてもわからない。
それでもどこかにいるイケメンでお金持ちの王子様に向けて叫び続けた。
そのマコの心からの叫びはとある人物の耳に届いた。
「聞えたのじゃ」
「何がですか?」
「誰かがワシを呼ぶ声じゃ」
「えっ、そうですか。何も聞えませんけど」
「お主はわかっておらんな。普段から神経を張り巡らせていると声ならぬ声も聞こえるものじゃ。それは探偵には必須の能力じゃぞ」
「空耳じゃないんですか。それにしょっちゅう神経を張り巡らせていたら疲れちゃいますよ」
そんな答えを返して来るトラ吉はまだまだひよっこだ。
ワシのような迷探偵になるとちょっとやそっとのことじゃ根を上げない。
誰かがワシを必要とする限り、どこへでも飛び出して行くのが正義だ。
「トラ吉よ、お主も正義の心を持つのじゃ。さすればワシのようになれる」
「えーっ、先生のようにですか。嫌だな~。ボクは本物の名探偵になりたいんです」
「そんな心構えでは迷探偵にはなれんのじゃ」
「いいですよ、迷探偵にはならなくても」
「薄情なやつじゃ」
「ボクは素直なんです」
そんなかみ合わない会話をしながらワシ達は声の聞えた方へ歩いて行った。
しばらく森の奥へと進んで行くと喧騒が聞えて来る。
それは街で見かけるような歓楽街のような騒ぎだ。
こんな深い森の奥で聴こえるような音でないのでワシ達は警戒した。
「誰かがこの先で騒いでいるのじゃ」
「こんな森の奥だなんて冒険者達でしょうか」
「何とも言えんのじゃ。トラ吉や、そっとついて来るのじゃ」
「わかりました」
ワシらは身をかがめて喧騒が聞えて来る方へ進んで行く。
そして木陰から顔を出して様子を伺った。
「ゴブリンじゃ。ゴブリン達が騒いでおる」
「えーっ!ゴブリン!」
「大きな声を出すのではない。見つかってしまうじゃろう」
「ごめんなさい」
トラ吉が大きな声を出すとゴブリン達はピタッと動きを止める。
しかし、すぐに動き出して宴会の続きをはじめた。
「ひい、ふう、みい、よお……全部で30匹もおるのじゃ。これはマズいぞ」
「ボク達、殺されちゃいますね」
「殺されるならまだしも、ゴブリン達はワシらの生皮を剥いで食べてしまうのじゃ」
「ヒィィィーッ、怖いこと言わないでくださいよ」
ワシの言葉を聞いてトラ吉は青い顔をしながら恐怖に震える。
「とりあえず、ここから逃げた方がよさそうじゃ」
「そうですね。でも、あれは何でしょう」
トラ吉がそんなことを言いながら木の上を指さす。
その先には木の上に吊るされている檻があった。
「何を捕まえたのじゃ」
「ここからじゃ、遠くて見えません」
「こう言う時はこれを使うのじゃ」
ワシはバッグの中から望遠鏡を取り出して檻の方を見た。
「何か見えますか?」
「生き物がいるようじゃ」
「どんな生き物なのですか?」
「緑色のキノコのような、青虫のような……」
「緑色のキノコで青虫……それって探していた犯人じゃないんですか」
「そうじゃ!あ奴だ」
「やりましたね、先生」
望遠鏡のレンズに写ったのは紛れもなくイメル村で捕まえた犯人だった。
何でゴブリンに捕まっているのかわからないが探す手間が省けた。
おまけにロープでぐるぐる巻きになっているから身動きがとれないようす。
これでは擬態を使ってもロープが見えるからすぐに居場所がわかるはずだ。
「トラ吉や、あ奴を捕まえるぞ」
「でも、どうやってですか。ボク達だけではゴブリンに敵いませんよ」
「これを使えば大丈夫じゃ」
「葉っぱ?」
「この葉っぱは催眠効果のあるネムネムの葉じゃ。このネムネムの葉を集めて火でいぶして煙を出せば、ゴブリン達はみんな眠ってしまうじゃろう。その隙にあ奴を捕まえて逃げるのじゃ」
「さすがは先生。抜かりがないですね」
「ワシにかかればこんなものじゃ。さあ、トラ吉やネムネムの葉を集めるぞい」
「はい!」
と言うことでワシとトラ吉は森に自生していたネムネムの葉を集めた。
集めたネムネムの葉は風向きを確かめてから風上に運で積み上げる。
できるだけゴブリン達のいる場所を取り囲むような感じにしておいた。
「ふぅ、これで準備は終わりじゃ」
「後はネムネムの葉をいぶすだけですね」
「トラ吉や、念のためワシらはマスクをしておくのじゃ。このタオルを口に巻くいて、このメガネをつけるのじゃ」
「こうですか?」
「なかなか似合っておるぞ」
「何だかバカな強盗犯みたいなかっこうですね」
メガネはプールで使うゴーグルのような形をしている。
その姿にタオルを巻いているのだから変な格好だ。
だけど、これがフル装備だから外すことはできない。
「よし、トラ吉や。ネムネムの葉に火をつけて行くぞ」
「なら、ボクはこっちを担当します」
「間違っても風下に立つんじゃないぞ」
「わかってますよ」
ワシは東側から攻めて、トラ吉は西側から攻めた。
風は北から南に流れているから南側に立たなければ問題はない。
ちょうどワシらがいた場所は北側だからちょうどよかった。
ネムネムの葉に火がつくとモクモクと煙が立って来る。
その煙は風に流されてゴブリン達のいる広場へと流れ込む。
ゴブリン達は宴会をしているので全く気づいていなかった。
そして森の中にうっすら煙が漂うようになるとゴブリン達は次々と倒れて行く。
異変に気がついた時は遅くて最後のゴブリンも深い眠りに落ちた。
「フム、やったのじゃ」
「本当に眠っているんですよね」
「心配はせんでもいいのじゃ。あと1時間ぐらいは夢の中じゃ」
「なら、犯人を捕まえましょう」
ワシとトラ吉は眠っているゴブリン達を避けながら檻の方へ近づいて行く。
時折、眠っているゴブリンが寝返りをうったが気にせずにそのままにしておいた。
「あのロープを緩めれば檻が下に降りて来るのじゃ」
「ボク、ロープを解いて来ます」
「ひとりではダメじゃ。ふたりでやるのじゃ」
「それもそうですね」
木に括りつけてあるロープを解いてゆっくりと檻を下に下ろして行く。
ここで勢いよく檻を落してしまえばゴブリン達が目を覚ましてしまう。
そうならないようにゆっくりとゆっくりと呼吸を合わせながら檻を下に下ろした。
「これでいいのじゃ」
「ちょめちょめ」 (やっぱりヒーローはいたのね。ありがとう)
「相変わらず何を言っておるのかわからん」
「ちょめちょめ」 (さあ、早くここから出して)
「外に出たそうですね」
「トラ吉や、檻のカギを開けるのじゃ」
トラ吉にカギを任せてワシは檻の扉を抑えておく。
それは、いきなり犯人が飛び出して逃げないようにするためだ。
いくらロープでぐるぐる巻きにされているとは言え、特殊能力を持っているから警戒しないといけない。
ここでもしミスをして犯人を逃がしてしまえばセレーネちゃんの唇はおあずけになってしまう。
だから、絶対に逃がしてはならないのだ。
「先生、カギが空きました」
「よし、ワシが扉を開けるからトラ吉はこやつを捕まえるのじゃ」
「いつでもいいですよ」
「よし、今じゃ」
タイミングを合わせて扉を開くとトラ吉が犯人をがっちりと捕まえた。
「捕まえました」
「よくやったのじゃ。これでセレーネちゃんの唇はワシのものじゃ」
ワシとトラ吉が喜んでいる横でマコもホッと一安心していた。
「ちょめちょめ」 (助けてくれてありがとう。この恩は一生忘れないわ)
「なんかお礼を言っているみたいですね。しきりに頭を下げています」
「そんなことをしても見逃してやらんのじゃ」
マコがしきりにお礼を言って来るのを無視してそっぽを向いた。
「ちょめちょめ」 (それじゃあ私はこれで)
「トラ吉や、しっかり捕まえておくのじゃぞ」
「はい」
「ちょめちょめ」 (ちょっと離してよ。私はひとりで帰れるから心配しないで)
「暴れていますよ」
「逃してはならんぞ」
トラ吉はロープをしっかりと握りしめてマコが逃げないようにする。
それを嫌ってかマコはしきりに暴れ回るがのれんに腕押しの状態だった。
「ちょめちょめ」 (もう、何なのよ。私に惚れたの)
「お主がアイドル部の部費を盗んだことはわかっておるのじゃ。観念せい」
「ちょめちょめ」 (部費って……)
パタリ。
「ようやくネムネムの葉の睡眠効果が利いたようじゃ。トラ吉や、そやつを担いで王都へ戻るのじゃ」
「はい、先生」
ワシらは犯人を担いで来た道を引き返して王都へ戻った。