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第百十七話 懐かしの味

トランプ遊びは熱を帯びて真剣勝負に変わっていた。

やっていたのはババ抜きで私のところにババがある。

ポーカーもそうだがババ抜きも顔に出してはいけない。

でないとババを持っていることが筒抜けになってしまうからだ。


「ちょめ太郎の番だよ」 

「ちょめちょめ」 (う~ん、どれにしようかな)


私はルイのトランプを眺めながらババを引かないような演技をする。

すでに私のところにババがあるからどのカードを引いても問題ない。

ただ、ルイがババを持っているような演技をしないと次に引くミクの目を誤魔化せないのだ。


「はやく~」

「ちょめちょめ」 (ちょっと待ってよ。ババは引きたくないからちゃんと選ばないとね)


そう言って少し焦らせた後、真ん中のカードを引いた。


「ちょめちょめ」 (やり―ッ、揃った)


引いたカードはクラブの6で持っていたスペードの6とお揃いになった。


これで私の持ち札はババをいれて5枚。

だから5分の1の確率でミクがババを引く計算になる。

かなり高い確率だからミクがババを引くのも時間の問題だ。


私はトランプを混ぜてどこにババがあるのかわからなくした。


「ちょめちょめ」 (ミクの番だよ)

「どれにしようかな」


ミクもじっくりトランプを眺めながらどのカードにしようか悩んでいる。

手を伸ばしてトランプの上で横に移動させてこちらの表情を読む作戦に出た。


「これにしようかな」

「ちょめちょめ」 (ヒュ~ヒュ~)


私は表情を読まれまいと口笛を吹いて顔を背ける。


「やっぱ、こっちにしようかな」

「ちょめちょめ」 (ヒュ~ヒュ~)


ミクの手がババの隣のカードの上に来たのでちょっとだけドキリとする。

しかし、表情には出さまいとして明後日の方を向いて誤魔化した。


「怪しいな。隣のカードにしようかな」

「ちょめちょめ」 (ヒュ―ッ、ヒューッ)


ミクの手がババのカードの上に来ると心臓がバクバクして来る。

これでミクがババを引けば私の手持ちのカードからババがなくなる。

そうすれば手持ちのカードは4枚になるから次にババが来る前に上がれるだろう。


「ちょめちょめ」 (これで私の勝ちよ)

「ふ~ん、そうなんだ。やっぱこっちにしておく」

「ちょめちょめ」 (アッ)


ミクはババのカードを引かずに隣のハードのキングのカードを引いた。


「ちょめちょめ」 (ちょっと、今のはなしよ。私の心を読んだでしょう)

「ちょめ太郎が口に出すからいけないんでしょう」

「ちょめちょめ」 (だって、ミクが焦らすんだもん。つい、心の声が出ちゃったのよ)

「これも勝負だよ」


それを言われたら返す言葉がない。

真剣勝負なのだからまったなんてないのだ。

ミスをした私が悪いのであってミクは悪くない。

だから、余計に悲しみが込み上げてきた。


「ちょめ太郎のところにババがあるのね。ルイはお姉ちゃんのカードしか引かないから安心だわ」

「ちょめちょめ」 (もう。ルイにもバレちゃったじゃない。私のバカバカバカ)


3人でババ抜きをやっているのですぐに誰のところにババがあるかバレてしまう。

後はいかにしてババを引かせるかの駆け引きになって来る。

それはそれで面白いのだけど負けた時はすごく悔しい。

今のところ3回ババ抜きをしたのだが3回とも私が負けている。

だから次こそは勝たなければならないのだ。


「次はルイの番だよ」

「これにしとく」


ルイはあっさりとミクの手持ちのカードから一枚を引く。

そして手持ちのカードと照らし合わせて同じ数字がないか探した。


「揃ったよ」


ルイが捨てたカードはダイヤの9とスペードの9だった。

これでルイの手持ちのカードは3枚になった。


「次はちょめ太郎の番だよ」

「ちょめちょめ」 (こうなったら手持ちのカードを減らしてミクがババを引く確率をあげるしかないわ)


私に勝機がやって来るとしたらその方法以外にない。

確率が上がればミクもババを引かざるを得ないだろう。

そのためには手持ちのカードと同じ数字のカードを引かないといけない。


私はルイのトランプを眺めながらどれにしようか選ぶ。


「ちょめ太郎、まだ」

「ちょめちょめ」 (ちょっと待ってよ。すべてはこの引きにかかっているのよ)

「どうせちょめ太郎が負けるんだから早くしてよ」

「ちょめちょめ」 (私は負けないわ。絶対にかって見返してやるんだから)


”ババ抜き最弱王”にだけはならない。

ババ抜きが弱いだなんて不名誉だしバカに見えるからだ。

ただでさえ間抜けな顔をしているのにバカまでついたら取り返しがつかない。

これからは一生バカを背負って生きて行かなければならないのだ。


「もう、早くしてよ~」


あまりに私が迷っているのでルイはシビレを切らして足をばたつかせる。

しかし、私はそんなことは構わずにじっくりカードを選んで一枚引いた。


「ちょめちょめ」 (やったーっ。揃った)


引いたカードはダイヤの5で手持ちのクラブの5とお揃いになった。

揃ったカードを場に捨ててから残りのカードをシャッフルする。


「ちょめちょめ」 (いいわよ。次はミクの番よ)

「う~ん、どれにしようかな」


これでミクがババを引く確率は3分の1に上がった。

さっきミクは真ん中のカードを引いたからババも真ん中にしておいた。

カードを引く人は同じ場所のカードを引く傾向が高い。

それは前の周回でカードを引いた時に当たった場合は特にその場所から引くのだ。

すっかり安心しきっているから、また当たりのカードを引けると考えるからだろう。

ミクもさっき当たりのカードを引いたからまた当たりを引けると思っているはずだ。

その証拠にミクの手は真ん中のカードの上に来ていた。


「ちょめちょめ」 (そのカードを引くの?)

「どうしようかな」

「ちょめちょめ」 (早くしてよ)

「やっぱ、こっちにしようかな」


私が急かしたのでミクは安全牌の右のカードの上に手を持って来る。

そのカードはハートのクイーンだから、それを引かれたら私の負けだ。

もし、ミクがクイーンのカードを持っていたら手持ちのカードは1枚になる。

そしてルイがミクのカードを引けばミクが1番に上がることになるのだ。


左側の2のスペードを引いた場合も同じことが言える。

もし、ミクが2のカードを持っていなければ勝負は続行する。

けれど、ルイがお揃いのカードを引けば残り1枚になる。

そして私がルイの残りのカードを引くからルイの1抜けだ。


ただ、その場合、ルイの残りのカードが手持ちのカードと揃ていたら私の勝ちだ。

私が勝つためにはミクの引きが肝心になる。

ミクが私の手持ちのカードから何を引くかで明暗が分かれるのだ。


「ちょめちょめ」 (それにするの?)

「う~ん、こっちにしようかな」

「ちょめちょめ」 (もう、早くしてよ)

「今度は口に出さないんだね」

「ちょめちょめ」 (私だってバカじゃないのよ。同じミスなんてしないわ)


私の場合、顔に出さなくても言葉で出てしまうから注意が必要だ。

なるべくどのカードを選ぼうとしていても同じことを言うのが吉だ。

そうすればミクに悟られないからミクがババを引く確率を保つことができる。


「そう。なら真ん中のカードにするわ」


来たーっ!

今度は心の声は出さずに頭の中で叫んだ。

これで私の負けはだいぶ遠ざかる。

ルイがお揃いのカードを引いたら1抜けして、私がお揃いのカードを引けば2抜けだ。

ようやく私にも勝利の女神の顔が見えてきた。


ミクは真ん中のカードに手を伸ばして指でつまもうとする。

その時、1階からママの声が聞えて来た。


「ミク、ルイ、ちょめ太郎くん。ごはんよ~」

「ご飯だって。止めにしよう」

「ちょめちょめ」 (ちょっと、まだ勝負がついてないじゃない。終わるまで続行よ)

「だってラーメンが冷めちゃうもん」

「ちょめ太郎の負けってことで終わりだね」

「ちょめちょめ」 (ルイまで何を言っているのよ。勝負はこれからよ)


せっかくミクがババを引こうとしていたのに中断なんて受け入れられない。

少しラーメンが冷たくなっても勝負を途中で投げ出してはいけないのだ。

私はトランプをミクの前に突き出して続きをしようと要求した。


「なら、ちょめ太郎はそうしていたら。ルイ、行こう」

「うん。お腹空いた」


ミクとルイはトランプを放り投げて部屋を出て行ってしまった。


「ちょめちょめ」 (くぅ~、これだからお子ちゃまってのは嫌いなのよね。真剣勝負なんだから最後までやらないといけないのよ)


例えラーメンが待っていても勝負が終わるまでおあずけなのだ。


「ちょめちょめ」 (勝負の放棄でミクとルイの負けにして私のひとり勝ちにしよう)


そうすれば”ババ抜き最弱王”から抜け出せる。

私はそんなことを考えながらミク達の後を追い駆けた。


階段を降りて行くと美味しそうな匂いが漂って来る。

私は鼻をクンクンさせながら美味しい匂いを吸い込んだ。


「ちょめちょめ」 (これは豚骨ラーメンの匂いじゃない)


ミクはチャーシューメンと言っていたが間違いなく豚骨ラーメンの匂いだ。

匂いの中にもこってりとした成分が含まれているから匂いだけで美味しい。

それに1階に近づけば近づくほど匂いの濃度は高くなって行った。


「ちょめちょめ」 (食欲がそそられる美味しい匂いだわ)


私はだらしのない顔をしながらミク達が待っているダイニングへ向かった。


「ちょめ太郎、遅い。もう、みんな席についているよ」


すでにダイニングにはみんな席についていただきますを待っている。

いつもは帰りの遅いパパもお風呂で汗を流して待っていた。


「ちょめ太郎くん、席について」

「ちょめちょめ」 (は~い)


4人掛けのテーブルの正面にパパの席がある。

ミクと私は隣合わせでルイはママの横に座っている。

私が来たことでルイがママの隣に移動した形になった。


それぞれのテーブルの前には大きなどんぶりが置かれている。

そのどんぶりの中には白濁のスープと麺、それに大きなチャーシューが3枚乗せてあった。

私が知っている豚骨ラーメンよりも少し豪華な感じに仕上がっている。


「それじゃあ、みんな揃ったところでいただきますだ」

「「いただきまーす」」

「ちょめちょめ」 (いただきまーす)

「熱いから気をつけて食べるのよ」


ママの言葉の通り豚骨ラーメンから湯気が立ち昇っている。

まだ、出来立てのようで熱々になっていた。

ミクやルイは必要以上にフーフーしながらスープを冷ましている。

熱々のまま口に入れると舌をヤケドしてしまうから注意しているのだろう。


私もレンゲでスープを掬ってフーフーして冷ました。


「ちょめちょめ」 (もう、いいころかしら。それでは一口)


私はテレキネシスを使ってレンゲを口に運ぶ。

そしてレンゲのスープを啜って口の中に入れた。


「ちょめちょめ」 (うまーっ)


思わず心の声が零れてしまう。


スープは濃厚でこってりしていて豚骨の旨味が滲み出ている。

長い時間をかけて豚骨を煮込んだから旨味が凝縮されているのだ。

しかもいい感じに背油も混ざっていて一口で口の中が豚骨で染まる。

白飯があったら豚骨スープだけで何杯もイケそうな美味しさだ。


「おいしいー」

「すごくおいしい。さすがはママだね」

「はじめて作ったのだけでうまくできてよかったわ」


この再現性ははじめてのレベルじゃない。

プロが作ったと言っても過言でないほどの出来栄えだ。


「ちょめちょめ」 (麺はどうかしら)


私は箸を使って麺をつまむと器用に啜って口の中に入れた。


細麺の固さは絶妙でスープがしっかりと絡んでいて啜るだけで美味しい。

本場の豚骨ラーメンよりも少し麺が太いが気になるほどの太さでもない。

おまけにコシがあってモチモチで噛めば噛むほど口の中が幸せになる。


3年前に博多に出かけて屋台で食べた豚骨ラーメンと遜色がないレベルだ。

これだけのクオリティーならばすぐにラーメン屋をはじめられそうだ。


「ちょめちょめ」 (チャーシューもホロホロで美味しいわ)


チャーシューにはひと手間加えてあってチャーシューの表面が焦げている。

おかげでチャーシューの香ばしさが加わってよりおいしさを増していた。


私はお喋りなどせずに一心不乱になって豚骨ラーメンを食べまくった。


「ちょめちょめ」 (ぷーぅ、食った食った)

「ちょめ太郎、スープも全部飲んじゃったの」

「すごーっ」

「ちょめちょめ」 (これがラーメンを食べる人のマナーよ)


ラーメンは麺を食べて満足してしまいスープを残す人が多い。

だけど、ラーメンのスープは旨味が溢れている残すことはもったいない。

たとえお腹が膨れていたとしてもスープの一滴を残さずに飲むのが”麺ラー”のマナーだ。

ラーメン店でスープを残している人を見たらにわかだと思ってくれてもいい。

通になればなるほどマナーを徹底するのだ。


おかげでお腹はぷくりと膨れてしまった。


「ちょめちょめ」 (ところで、ママ。王都にあった屋台は豚骨ラーメン屋だったの?)

「ママ、王都にあった屋台は豚骨ラーメン屋だったのかって」

「そうよ。のれんに”本場の豚骨ラーメン”と書かれてあったわ」

「ちょめちょめ」 (”本場の豚骨ラーメン”なんて書くなんてよほど腕に自信があるのね)


都内で豚骨ラーメン店を開くときも安易に”本場”とは使わない。

”本場”は博多であって都内ではないからだ。

”本場の味が味わえる”と謳っても”本場”の文字は外すものだ。

それは利権問題があるから博多とそれ以外では差別化しているのだ。


「ちょめちょめ」 (まあ、こっちの世界にまで利権問題が及ぶことはないのだけどね)

「ちょめ太郎、何を言っているの」

「ちょめちょめ」 (こっちの話よ。それより屋台の賑わい振りはどうだったの?)

「屋台の様子はどうだったかって言っているよ」

「すごい賑わいようだったわよ。長い行列ができていてラーメンを食べるのに1時間も待ったのよ」


ママは身振り手振りを加えて、その時の様子を伝えて来る。

それだけ見ていてもすごかったのだろうと言うことはわかった。


ただ、すでに行列ができるぐらいまで賑わっていると言うことは王都の人達の認知度は高いと言うことだ。

私が王都でアイドルバトルをしている時は耳にもしなかったから、それほど広範囲に広がっていないのだろう。

おそらくリピーターが何度も足を運んでいるのかもしれない。


「ちょめちょめ」 (どんな人達が集まっていたの?)

「どんな人達が集まっていたのかって」

「そうね。男性が8割で、そのほとんどがおじさんだったわ」

「ちょめちょめ」 (どの世界でもがっつり食べたい人が豚骨ラーメンを好むのね)


豚骨の臭みや背油が苦手と言う女子は多いものだ。

とかく女子は太ることを気にするからあまりがっつかない。

ラーメンを食べる時も少しずつ啜っているぐらい気を使っている。

それは周りに男性の目があるからなのかもしれないがラーメンを食べる時ぐらいはタガを外してもらいたい。

でなければラーメンの美味しさは伝わって来ないのだ。


「ちょめちょめ」 (ラーメンを作っていた人はどんな人だったの?)

「ラーメンを作っていた人は誰かって」

「中肉中背のお兄さんだったわ。年齢は30代前半ってとこかしら」

「ちょめちょめ」 (髭モジャだった?)

「髭は生えていたのかって」

「髭は生えていなかったわ。その代り頭にタオルを巻いていたわ」

「ちょめちょめ」 (やっぱり)


質問をしながら私の中にひとつの疑問が浮かんでいた。

それは誰がこの世界に豚骨ラーメンを持って来たかと言うことだ。

ただ、単に豚骨ラーメンに似た食べ物があると言うこともあるだろう。

だけど、その場合は作っている人まで似通うことはない。

その世界にあった格好でラーメンを作っているはずなのだ。

なのに作っている人の格好までそっくりなんておかし過ぎる。

あっちの世界にいた人が伝授しない限りあり得ない話だ。


恐らく私やアーヤが召喚される前に誰かが召喚されたのだろう。

そしてその人が屋台を出して豚骨ラーメンを広めたと考えるのが正しい。

その豚骨ラーメンを作っていた人が転移者であるのかまではわからないが。


「ちょめちょめ」 (これは一度、王都へ行って探って来た方がいいわね)

「ちょめ太郎、王都へ行くの?なら、私も連れて行って」

「あーっ、お姉ちゃんズルい。ルイも行きたい」

「ルイは行けないでしょう」

「だって、お姉ちゃん抜け駆けしようとするんだもん」


私がボソリとつぶやくとミクはその話に乗って来る。

何を目的に王都へ行くのかわからないがルイまで駄々を捏ね出した。


「ちょめちょめ」 (ミク。悪いけど王都へはひとりで行くわ)

「ちょめ太郎、ズルい。ひとりで屋台へ行くつもりなんでしょう」

「ちょめちょめ」 (豚骨ラーメンを食べに行くわけじゃないわ。ちょっと調べごとがあるのよ)

「そんなことを言って誤魔化してもダメだよ。ちょめ太郎のことぐらいわかるんだから」


ミクの指摘は遠からず近からずと言ったところだ。

実際に屋台へ行くつもりだし、作っている人を調べるつもりだ。

私の予想が外れて入なければ作っている人は転移者だ。

だからぜひとも会って話がしたいのだ。


「ちょめちょめ」 (悪いわね。これは私の問題なのよ)

「ブー」

「ミク、そんな顔をするものじゃありませんよ。ちょめ太郎くんだって忙しいんですからね」

「ちょめ太郎は遊んでいるだけだよ」

「ルイと同じだね」


ミク達から見たら私は遊んでいるように見えているようだ。

これでも一生懸命にやっているつもりだけど姿がこれなら仕方がない。

ミク達の知らないところでは私は一生懸命になって努力しているのだ。


「あーあ、つまらない。久しぶりに王都へ行ってみたかったのにさ」

「ミク、お姉ちゃんでしょう。そんなワガママは言わないの」

「だってー」

「お姉ちゃんもまだまだお子ちゃまなんだね」

「ルイ、怒るよ」

「わー、お姉ちゃんに怒られる。お部屋に閉じこもってカギをかけないと」


そうミクを挑発しながらルイは自分の部屋に戻って行った。


「全く賑やかな我が家だな」

「それが幸せなんですよ」

「だな。ママ、一杯つけてくれ」

「はいはい。あまり飲み過ぎないようにしてくださいね」


夕食後に楽しみにしているパパのお酒タイムになったので私とミクは早々に退散した。


「ちょめ太郎、王都へ行くならお土産を買って来てよ」

「ちょめちょめ」 (また、ワガママ?)

「違うよ。ルイを喜ばせたいの」

「ちょめちょめ」 (そう言うことなら引き受けたわ)

「できればかわいいやつをお願いね」

「ちょめちょめ」 (任せてよ、そう言うの得意だから)


私はミクと約束をしてミクの部屋に戻って行った。


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