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第百十話 それぞれの感想

次の日の朝、セントヴィルテール女学院へ転移した。

今度はイメージしたので無事に辿り着くことができた。

しかし、転移した先は女子トイレの中で便器の上にちょこんと座っていた。


「ちょめちょめ」 (何なのよ。ちゃんとイメージしたでしょう。何でトイレなのよ)


それは恐らく”ぱんつ狩り”に出かけた時にトイレに籠ったからだ。

セントヴィルテール女学院と言えばトイレと言う潜在意識があったのだろう。

まあ、便器の中に転移しなかっただけでもありがたいと思わないといけない。


「ちょめちょめ」 (まあ、いいわ。無事にセントヴィルテール女学院まで転移できたのだから)


私はテレキネシスを使ってトイレのカギを開けようとしたところでやめた。


「ちょめちょめ」 (この姿を見られるのはマズいわ)


変な虫がいるって騒ぎになったら問題だ

ただでさえ女子生徒しかいない学院だから余計に気を使わないといけない。


私は久しぶりに擬態をして姿を消した。


「ちょめちょめ」 (これでいいわ)


その後でテレキネシスを使ってトイレの扉のカギを開ける。

すると、自動的に内側に扉が開いた。


「え?なに?トイレの扉が開いたのに誰もいないわ」

「そんな馬鹿なことある訳ないじゃん……って、本当だ」

「誰もいないでしょう」

「もしかして怪奇現象?」

「怖いこと言わないでよ。私、そう言うの苦手なんだから」

「きっと立て付けが悪いから扉が閉まっていただけよ」


トイレの前にいた女子生徒達はそんなことをお喋りしている。

私が目の前にいるのにも気づかずに怪奇現象だと思っていた。


「ちょめちょめ」 (でも、これで私の擬態は完璧ってことね)


カメレオンレベルだったらよく見れば気づくけれど私はそれ以上だ。

そこに私がいるのに全く気づかれないほど私の擬態は完璧だ。

ある意味、透明人間と言っても過言でないだろう。


「ちょめちょめ」 (それにしてもこの学院の制服ってスカートが短いのかしら。ぱんつが丸見えだわ)


私のアングルから見るとぱんつが丸見えだから見たい放題だ。

このアングルを男子が手に入れたのならウハウハするだろう。


「ちょめちょめ」 (さて、馬鹿なことは考えていないで音楽室へ行こう)


今日は”ぱんつ狩り”に来た訳じゃないから女子生徒とすれ違ってもスル―する。

この前にさんざん”ぱんつを狩った”から、しばらく大人しくしていた方がいい。

でないと、また、”ぱんつ消失事件”とささやかれてしまうのだ。


私はトイレを出て左右の廊下を確認しながら音楽室の場所を探す。

ルイミンと音楽室へ行った時とはルートが違うからどう行けばいいのかわからない。

セントヴィルテール女学院ははじめてじゃないけれど全く勘が働かない。


「ちょめちょめ」 (学校にもどこに何がありますって地図があればいいのに)


そんな叶わない願いを呟きながら、とりあえず右の廊下を攻めた。


何となくだけれど音楽室があるような気がしたからだ。

迷ったら壁に手を当てながら歩いて行けば出口に出られると言う。

そんな要領で歩いて行けばいずれ音楽室へ辿り着くと思ったのだ。

途方もない挑戦だけれど適当に歩いているより効率がいい。


右の廊下を歩いて行って突き当たってからまた右に曲がる。

そしてしばらく進むと理科室があった。


授業をしていないから静まり返っていて気持ちが悪い。

理科室と言えば学校の怪談に登場するから怖いのだ。

ひっそりと佇んでいる人体模型が動き出すのではないかと――。


そんな怖いことを考えていると扉の隙間から覗いていた人体模型と視線が合った。


「ちょめちょめ!」 (ギャーッ!)


私は驚いた瞬間に擬態を解いて廊下の壁まで飛び退いた。


「ちょめちょめ」 (何なのよ。私が悪いことをしたとでも言うの)


そんなことを言うが悪いことはして来た。

”カワイ子ちゃんからぱんつを奪う”と言う悪行を。

それはちょめジイに命令されているからなのだけれど手を汚したのは事実だ。

だから、きっと神様が私にお仕置きをしたのかもしれない。


「ちょめちょめ」 (こんなところにいたら命が持たないわ)


私は来た道を引き返してトイレに戻ると左側の廊下を進んで行った。


右側の廊下の先に理科室があったのだから左側へ行けば音楽室へ辿り着けるはずだ。

何の根拠もないが理科室と音楽室が隣り合っていることはないと思う。

理科室は実験をするから汚れた空気が辺りを漂っているからだ。

そんなところで息を吸ったり吐いたりして歌ったりしていたら健康に害を及ぼしてしまう。

だから、理科室を音楽室は離れているのだ。

あくまで私の理論だから絶対と言うことはない。

ただ、あれだけ怖い思いをしたのだから今度は無事に音楽室に辿り着きたい。


左の廊下を進んで右に曲がるとようやく音楽室に辿り着くことができた。


「ちょめちょめ」 (ふぅー。長い旅だったわ)


私は大きなため息を吐いて後ろを振り返る。


学院の中を歩いただけだけどどっと疲れが押し寄せて来た。

恐らくさっきの理科室でのできごとが原因だろう。

怖い思いをする余計に神経を使うから疲れるのだ。

でも、おかげで無事に音楽室へ辿り着けた。


音楽しつからはピアノの音と歌声が聴こえて来る。

きっとリリナ達が歌の練習をしているのだろう。


「ちょめちょめ」 (ちわ~)

「ちょめ助。練習をサボって。どこに行っていたのよ」

「ちょめちょめ」 (人聞きが悪いことを言わないでよ。私は楽曲を作っていたのよ)

「えーっ、本当に作ってくれたの?」

「ちょめちょめ」 (あたり前じゃない。私を誰だと思っているのよ。プロデューサーよ)


私は得意気な顔をしながらひとり勝ち誇る。


プロデューサーなのだから楽曲を作るのはあたり前だ。

かの”TO”もたくさん楽曲を作ってアーティストをアシストした。

”大室ミュージック”と言われるくらい社会現象にもなった。

だから、私もちょめ太郎ブームを巻き起こそうと思っている。

この”恋するいちごぱんつ”を皮切りに。


「リリナちゃん、セレーネさん。ちょめ助が楽曲を作ってくれたって」

「本当ですか。すごーい」

「見た目に似合わずにやることはやるのね」


ルイミンの言葉を聞いてリリナもセレーネも嬉しそうな顔を浮かべていた。


「ねぇ、ちょめ助。どんな楽曲を作ったの?」

「ちょめちょめ」 (見たい?)

「見たい見たい」

「ちょめちょめ」 (なら、見せてあげる。これよ)


私はスマホを取り出して”恋するいちごぱんつ”の歌詞をルイミン達に見せた。


「何これ?」

「ちょめちょめ」 (ルイミン達のデビュー曲よ)

「本当にこんな歌を歌わせるつもり」

「ちょめちょめ」 (こんな歌って何よ。一生懸命作ったのよ)

「ふざけているでしょう」

「ちょめちょめ」 (マジよ、マジ。大マジよ)


ルイミンは納得がいっていないのか私に確認を求めて来る。


「私、”ぱんつ”の歌なんて歌いたくない」

「私も恥ずかしいから嫌です」

「さすがに”ぱんつ”はあり得ないでしょう」


ルイミン達はゴミ虫を見るような目で私を見る。


私が突飛な楽曲を作ったから納得できないようだ。

確かに”ぱんつ”の歌は歌いたくない気持ちはわかる。

だけれど、ただの”ぱんつ”の歌じゃなくて恋愛の歌なのだ。

ただ、主人公が”いちごぱんつ”を履いていると言う設定なだけだ。


「ちょめ助、作り直して」

「ちょめちょめ」 (何でよ。せっかく作ったんだよ)

「こんなの歌じゃない。ゴミよ」

「ちょめちょめ」 (ゴミって。ちゃんと歌詞を見てよ。恋愛の歌なんだから)


もう、ルイミンの頭の中には”ぱんつ”でいっぱいのようだ。

ちゃんと歌詞を見れば恋愛の歌だとわかるのにそれをしない。

端から”ぱんつの歌”だと決めつけている。


「ちょめ助くんの気持はわかりますけれどルイミンちゃんが言うように作り直してください」

「”ぱんつの歌”なんて歌ったら私達に”ぱんつのイメージ”がついてしまいますわ」

「ちょめちょめ」 (あなた達だって”ぱんつ”を履いているじゃない。”ぱんつ”が恥ずかしければ脱げばいいのよ)


”ぱんつ”にどんな罪があると言うのか。

”ぱんつ”が”ぱんつ”ゆえに恥ずかしいのなら”ぱんつ”の立場がない。

せっかく恥ずかしいところを隠してくれているのに”ぱんつ”が可哀想だ。


「みんなも同じ意見だから作り直し決定ね」

「ちょめちょめ」 (勝手に決めないでよ。私がどれだけ苦労して作ったのか知らないでしょう)

「ちょめ助の苦労なんて知らないわ。プロデューサーなんだから当然でしょう」

「ちょめちょめ」 (そこまで言う。なら、プロデューサーなんて辞めてやるわ)


そもそも私が好き好んでプロデューサーになったわけじゃない。

ルイミン達からお願いされてしかたなくやっているだけだ。

だから、いつ辞めても文句を言われる筋合いがない。


「逃げるんだ。”ぱんつの歌”しか作れないもんね」

「ちょめちょめ」 (何よ、その言い方私に喧嘩を売っているつもり)

「負け犬になんて用はないわ。どこへでも好きなところに行けば」

「ちょめちょめ」 (そこまで言う。なら、新しい歌を作ってあげるわ)

「本当に?」

「ちょめちょめ」 (その変わりに”ぱんつの歌”を受け入れてくれたらね)


ルイミンの軽い挑発になんてそうやすやすと乗らない。

それよりも逆に揺さぶりをかけて思い通りにするのだ。

新しい歌を取るならば”ぱんつの歌”を認めさせるつもりだ。


「どうする、リリナちゃん、セレーネ。ちょめ助は”ぱんつの歌”を受け入れたら、新しい歌を作ってくれるって」

「新しい歌はいいけれど”ぱんつの歌”を歌うのは嫌だな」

「そうですね。これがデビュー曲になるからずっと歌い続けないといけませんしね」


ルイミン達は難しい顔をしながらどうしようか話し合っていた。


「でも、私達だけじゃ、新しい歌なんて作れないよ」

「ずっと”きっと もっと ずっと”だけ歌っていてもファンの皆さんに飽きられてしまいますしね」

「私達がパワーアップするためにも、やっぱり新曲は外せませんわ」


どうやら答えが出たようだ。


「ちょめちょめ」 (さあ、どうするの?私はどちらでもいいのよ)

「わかったよ。”ぱんつの歌”を受け入れるから新しい歌を作って」

「ちょめちょめ」 (わかったわ。でも、まずは”恋するいちごぱんつ”を覚えてよね)

「もう、仕方ないな」


私はスマホの電源を入れて”恋するいちごぱんつ”の歌詞をみんなに見せる。


「よく見るとサビ以外は普通の歌詞ね」

「けれど、サビには”いちごぱんつ”って書いてあるね」

「”いちごぱんつ”が大好きな気持は伝わって来ますわ」

「ちょめちょめ」 (だから、言ったでしょう。”ぱんつの歌”だけれど恥ずかしがることなんてないのよ)


ようやく歌詞の意味を理解したのかルイミン達は文句を言うのをやめた。


「本当にちょめ助の言う通りのストーリーだったのね」

「主人公は”いちごぱんつ”が好きなだけみたいですしね」

「まあ、けど、サビで”いちごぱんつ”が繰り返されてるのは問題アリかも」

「ちょめちょめ」 (それなら曲を聴いてみてよ。楽しい曲になっているからさ)


私はスマホを操作して切り替えると録音しておいた楽曲を再生させた。


「”いちごぱんつ めちゃ最好!”」


ルイの歌声がスピーカーから聞こえると楽曲がスタートする。


最初の部分は後撮りしたコーラス部分が聞えて来る。

”PAPAPA”と”CHUCHUCHU”を繰り返すだけの歌詞だ。

楽曲だけでもよかったのだけど変化が欲しくて足したのだ。

おかげで楽しそうな雰囲気に仕上げることができた。


「なんだか楽しそうな曲ね」

「ワクワクと言うかドキドキと言うか」

「曲調は好きですわ」


ルイミン達は私の作った楽曲を受け入れてくれる。

正確には音楽生成AIが作った楽曲なのだけれど。

まあ、私も少しだけ手を加えたので私が作ったと言っても問題はない。

どうせルイミン達には気づかれないんだし少しぐらいハッタリをかましてもいいのだ。


「ちょめちょめ」 (いい反応をかえしてくれるわ。私の努力も報われたわね)


コーラス部分が終わるとようやくAメロに入って行く。

Aメロの物語のはじまりだから情景を書くようにした。

この部分でどんな物語なのか伝わらないといけない。

導入部分だから他の部分より力を入れたところだ。


「Aメロは普通のキレイな歌詞ね」

「曲と合わさるとより情景が思い浮かび上がります」

「目を閉じて聴くと頭にイメージが浮かぶわ」


ルイミン達は思い思いの方法で楽曲に聴き入っている。

そんな姿を見ていると心の中から嬉しさが込み上げて来た。


そしてAメロが終わるとBメロへ移って行く。

BメロはAメロとサビをつなぐ部分だから主人公の心情を描いた。

サビで一番言いたいことを歌うなら主人公の心情を先に書いておいた方がいいのだ。

ここの部分は自分なりの工夫だ。

何度も歌詞を書いては消してを繰り返してようやくここへ行きついたのだ。


「曲に合わせて歌詞を聴いているとキレな歌に聴こえるね」

「”ぱんつ”と言うキラーワードがないからじゃないでしょうか」

「確かに。これでサビに”いちごぱんつ”がなければ最高なんですけれどね」

「ちょめちょめ」 (チッチッチ。何もわかっていないわね)


サビに”いちごぱんつ”と言うキラーワードがあるから醍醐味が伝わるのよ。

Aメロ、Bメロとの対比ができるから余計に”いちごぱんつ”が立つ。

もし、サビに”いちごぱんつ”がなかったらつまらない歌になっていただろう。


そしてBメロが終わると転調してサビに入った。


「もう、どれだけ”いちごぱんつ”が好きなのよ。聴いているだけで恥ずかしくなるわ」

「この楽曲を作ったちょめ助くんの想いが全てここに詰まっているのですね」

「趣味嗜好は人それぞれだけれど、私達に歌わせようとしているところが憎いですわ」


それがプロデューサーの特権と言えるだろう。

プロデューサーは歌い手に歌って欲しい歌詞を書くものだ。

そうすることで心から満足できるから名台詞を加える。

そしてそれがブームになると社会現象へと発展する。

そこまで行けば私も名プロデューサーになれるだろう。


「ちょめちょめ」 (グフフフ。今後の”ファニ☆プラ”が楽しみだわ)


私はひとりだらしのない顔をしながら妄想を描いていた。


「2番に入ったね」

「1番の時とは少し違いますね」

「ここでようやく”初恋”だってことがわかるのですね」


2番は1番から少し展開が進んだ形にした。

ネットにあるお手本には”1番で現在を描いたら2番は未来を描く”のがいいと書いてあった。

だから、それにならって少し前に進んだ未来を描いたのだ。

時間的に言えばそんなにも未来ではない。

現在に毛が生えたような時間間隔だ。


「2番のBメロでだいぶ展開が進んだね」

「情景が思い浮かぶから何だか恥ずかしいですね」

「初恋で初キスなんて憎いですわ」


この部分は女子達にはウケることを想定して書いた。

とかく女子はトキメキが大好きだからあえてキスシーンにしたのだ。

主人公は”いちごぱんつ”を履いている年頃の女の子だからキスはどうかと思ったりもした。

だけれど、少し背伸びをしてファーストキスをした方が雰囲気を作れるから加えた。

実際に、この年頃でチュッチュしている女の子は意外と多いはずだから。


「けれど、サビに入ると結局は”いちごぱんつ”になるのね」

「相手の方も”いちごぱんつ”が好きって書いてあります」

「おまけに”いちごぱんつを見て”だなんて大胆過ぎますわ」


ルイミン達は少し頬を赤らめながら恥かしそうな顔をしている。


1番のサビが可愛らしく描いたから2番ではセクシーさを出してみた。

1番と同じだと差がなくなるから対照的な部分をフューチャーした。

おかげでエッチな歌詞になってしまったがこれはこれでいいのだ。


そして2番のサビが終わるとまた、コーラスに入る。

最初の時と同じように”PAPAPA”と”CHUCHUCHU”を繰り返し加えた。

最後のサビへ繋がる部分だからより楽しさを膨らませたのだ。


「次はいよいよ最後のサビね。どんな感じなのかな」

「カワイイ、セクシーと来たから今度は何でしょう」

「きっと度肝を抜かれるような歌詞が書いてあるんですわ」

「ちょめちょめ」 (さすがはセレーネね。いいところを突いているわ)


カワイイとセクシーが出たら最後に何を持って来るかが勝負になる。

みんなが予想もしていないような歌詞にすることで驚きを与えるのだ。


「ちょめちょめ」 (私が用意した歌詞を聴いたら驚くでしょうね。グフフフ、楽しみだわ)


コーラスが終わると最後のサビへと移行して行く。

ただ、すぐに最後のサビへ移るのではなく1番のサビを持って来た。

一番言いたいことは最後にして1番のサビで雰囲気を作り上げるのだ。


「2番のサビを聴いた後だと1番のサビが普通に聴こえるわ」

「すでに耳に馴染んでいて驚きもありませんね」

「これがちょめ助マジックなのかもしれないわ」


セレーネは中々いい例えをしてくれる。

”ちょめ助マジック”だなんて名プロデューサーみたいだ。


そして1番のサビが終わると最後のサビがはじまった。


「えーっ、ここで”勝負ぱんつ”。攻め過ぎじゃない」

「主人公は女の子ですよね。”勝負ぱんつ”だなんておませ過ぎます」

「いや、以外と女の子でも”勝負ぱんつ”を持っているものよ」

「そうなんですか。私はまだ持っていません」

「リリナちゃんってお子ちゃまだったのね」

「茶化さないでください、ルイミンちゃん」


まだリリナが”勝負ぱんつ”を持っていないことには驚きだが、セレーネの発言も気になる。

セレーネは女の子時代でだった頃から”勝負ぱんつ”を持っていたかのような発言だ。

だけど、セレーネクラスのセクシーな女子なら少しぐらいおませでもちょうどいいかもしれない。


ただ、ルイミン達の驚きはこれだけではなかった。


「えーっ、今、”美味しい”て歌詞があったんですけど」

「心情だけでは満足せずに味覚にまで手を出したんですね」

「”いちごぱんつが美味しい”だなんてある意味すごくマニアックですわ」


この部分は私も当初は想定していなかった。

歌詞を捻り出して入たらふと浮かび上がったワードだ。

”いちごぱんつが美味しい”だなんて破廉恥な言葉だけれどインパクトはある。

主人公は”いちごぱんつ”を好き過ぎて食べてしまいたくなったと言う設定だ。


そして”恋するいちごぱんつ”の楽曲は終わって無音になった。


「最初はどうしようもない歌かと思ってたけどなかなかよかったね」

「歌い手の方がうまいからではないでしょうか。すごく想いが伝わって来ました」

「もしかしたら私達よりもうまいかもしれませんわね」

「ねぇ、ちょめ助。誰が歌っているの?」

「ちょめちょめ」 (ルイよ)

「ちょめ助の知り合い?」

「ちょめちょめ」 (そうよ。私の家族とも言っていいぐらいね)


ルイ達がどう思っているのかわからないが私からしたら家族だ。

毎日いっしょにいるし、ご飯も、お風呂もいっしょなのだ。

血のつながりは全くないけれど間違いなく家族だ。


「これだけ歌がうまいならアイドルになった方がいいですね」

「そうですわね。私達よりも適任かもしれませんわ」

「ちょめちょめ」 (私もそうしてやりたいのだけれどできないのよ)

「何か理由があるの?」

「ちょめちょめ」 (話は長くなるけれどね。実は――)


私はルイの病気のことをルイミン達に話して聞かせた。


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