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第百九話 ガイドボーカル

ひと仕事を終えて私は満足していた。

時間はかかったけれど楽曲作れたからだ。

はじめて作詞作曲をしたから何とか形になっていると言うレベル。

ただ、”ぱんつ”に着目したからだいぶインパクトはあった。


「ちょめちょめ」 (もう、日が暮れちゃったからルイミン達に届けるのは明日にしよう)


できることならすぐに聴いてもらいたいけれど楽しみは最後までとっておくことにしておいた。


「ちょめちょめ」 (ちょっと小腹が空いちゃったからおやつをもらいに行こう)


私は机から離れて隣にあるルイの部屋に向かう。

ミクは隣の部屋にいるから直接聞けばいいだろう。


「ちょめちょめ」 (ねぇ、ミク。私のおやつは?)

「ちょめ太郎。もう、宿題は終わったの?」

「ちょめちょめ」 (もう、バッチしよ。それより、私のおやつは?)

「ないよ」


ガーン。


今、ミクはとんでもないことを口にした。

私のおやつがないとハッキリ言ったのだ。

これは重大な事件である。

いつも3人分のおやつを用意してくれるのに私のおやつだけないなんて。

だけど、すぐに理由はわかった。


「ルイが食べちゃったもん」

「ちょめちょめ」 (何で私のおやつをとっておいてくれないのよ。いらないって言っていないでしょう)

「だって、ちょめ太郎、宿題に夢中になっていたからいらなと思ったの」

「ちょめちょめ」 (宿題に夢中になっていたからっておやつはおやつでしょう。気を利かせて差入れしてくれたらよかったのに)


優しいお母さんならちゃんと差入れをしてくれるものだ。

頑張っている私を労って「ちょっと休憩をしなさい」と言って。

おまけにおやつだけじゃなく飲み物も用意してくれるはずだ。


なのにミクは私のおやつをルイにあげちゃうなんて……。


「もうすぐ夕飯だから、それまで我慢して」

「ちょめちょめ」 (やーん、やーん。我慢できない。おやつは別腹なのよ)

「でも、ないものはあげられないもん」

「ちょめちょめ」 (なら、せめて今日のおやつは何だったのか教えて)

「今日のおやつはママ特製の手づくりクッキーとミルクティーだったよ」

「ちょめちょめ」 (なんてことなの。クッキーと紅茶なんて差入れの定番じゃない。クッキーのカスが散らばるけれどノートの上だから問題ないわ。おまけにミルクたっぷりの甘い紅茶と相性がいい)


ミクのママの特製の手作りクッキーだからさぞ美味しかったことだろう。

せめてどんなクッキーだったのか一目見ておきたかった。


「どうぶつのカタチをしたクッキーだったよ。チョコチップが入っていて美味しかった」

「ちょめちょめ」 (でしょうね。私の分まで食べたのだからさぞ満足しているでしょうよ)

「ちょめ太郎、そんな言い方はないんじゃない。ルイは悪気があってちょめ太郎のおやつを食べたんじゃないから」

「ちょめちょめ」 (だって、ルイは私のおやつを食べちゃったのよ。そんなのあんまりじゃない)


どこに悲しみの矛先を向けていいのかわからない。

ミクが言うようにルイでもないし、ミクでもない。

私が楽曲作成に夢中になっていたせいなのだ。


「ちょめ太郎、ごめんね」

「ちょめちょめ」 (いいわよ。私がいけなかったんだもん)

「代わりにお風呂で背中を流してあげるよ」

「そうだね。夕飯まで時間があるからお風呂に入ろう」


と言うことで私達3人は夕飯の前にお風呂にした。


相変らずミクとルイの生着替えを眺めながら待っている。

私は服を着ていないから着替えの必要がないからだ。


「ちょめちょめ」 (2人ともカワイイぱんつをはいているのね。何枚同じぱんつを持ってるのかしら)


ミクは天使のような純白ぱんつでルイはヒヨコがあしらわれているヒヨコぱんつだ。

私が以前にミク達のぱんつを盗ってしまったからなくなったと思っていたけど違うようだ。

お気に入りだから同じぱんつを何枚も持っているのか、ミクのママの手抜きなのかはわからない。

ただ、同じぱんつにすることでそれぞれのぱんつのイメージが2人に定着していた。


「ちょめちょめ」 (ここでまたミク達のぱんつを盗っても数に入らないのよね)


それはちょめジイが”カワイ子ちゃんのぱんつ”を奪うのはひとり1枚と制限している。

でないと、ひとりのカワイ子ちゃんで何枚のぱんつを集められてしまうからだ。

ちょめジイの方としてもいろんな”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を欲しいのだろう。


「ちょめ太郎、そんなところにいると寒いよ。早く中に入って」


ミクに呼ばれて顔を上げるとミクとルイは裸のまま寒そうにしながら待っていた。


「ちょめちょめ」 (ごめんごめん。ちょっと考え事をしていたの)


私は慌てて浴室に入ると浴室の扉を閉めた。


「じゃあ、ちょめ太郎、そこに座って」

「ちょめちょめ」 (うん)

「まずはシャワーからね」


そう言ってミクは少し温めのシャワーで私の体を満遍なく濡らす。


私はちょめ虫だから皮膚が人肌と違うので水がよく弾く。

濡らしてもすぐに水滴になってしまうから濡らすのが大変だ。

まあ、それだけ私の肌に張りがあって若いという証拠だ。


「ルイ、ボディーソープをお願い」

「わかった。待っていてね、ちょめ太郎。今体を洗ってあげるから」


ルイはミクに言われてボディーソープを手に乗せるとよく練ってより泡立出せる。

そしてその泡をミクと半分に分けると私の肌を優しく撫でるように擦りつけた。


「ちょめちょめ」 (ちょっと、くすぐったい。そこはやめて)

「ダメよ。ちゃんと洗わないとキレイにならないでしょう」

「ちょめちょめ」 (だって、くすぐったいんだもん。ギャハハハ)

「ルイ、ゴシゴシ洗うのよ」

「なら、遠慮はしないぞ」


それから私はしばらくの間、コチョコチョ地獄を味わった。

ミクとルイは真面目に体を洗っているのだけれどくすぐったくて仕方がない。

どうやら私の肌は人の肌よりも敏感にできているようだ。


その後でお礼にミクとルイの体を洗ってあげていっしょおに湯船に浸かった。

2人と1匹が湯船に入ったのでだいぶ窮屈だったが楽しいお風呂になった。


お風呂が終わると夕食の時間になってお腹が膨れるまで食べつくした。

夕飯はゴロリとしたお肉が入っているビーフシチューだった。

じっくりお肉を煮込んだのでお肉の繊維がホロホロにほどけるぐらい柔らかかった。

付け合わせのパンも香ばしくて、外はカリカリ、中はもっちりとしてビーフシチューにあっていた。

私は朝から何も食べていなかったから何倍もおかわりをしてパンも食べまくった。

おかげでお腹がぷくりと膨れて動けなくなってしまった。


「ちょめ太郎、食べ過ぎだよ」

「ちょめちょめ」 (だって美味しかったんだもん。ミク、悪いけれどお部屋まで運んで)

「もう、甘えん坊さんなんだから」


私はミクに抱きかかえられながらミクの部屋まで連れて行ってもらった。

そしてそのまま私専用のベッドに寝かされた。


私専用のベッドと言うのは、よくコウノトリが赤ちゃんを運んでいる籠のようなものだ。

そこにフカフカの布団が入っていてモフモフの掛け布団をかけて眠るスタイル。

ミクといっしょのベッドで寝てもいいけれど、ミクは寝相が悪いので別にしてもらった。


「ちょめちょめ」 (ぷーっ、もう動けない)

「いつもよりも少し早けれど、おやすみしよう」

「ちょめちょめ」 (そうね。きっといい夢が見られそうだわ)

「ちょめ太郎、おやすみ」

「ちょめちょめ」 (おやすみ)


ミクは部屋の明かりを落して自分のベッドに入る。

私は重くなる瞼に逆らわずに静かに目を閉じて眠りについた。





翌朝、私はできあがった楽曲をルイミン達に届けに行くことにした。

ルイミンの無理な要求に応えられたのだから大満足だ。

きっと新しい楽曲を聴いたら驚くことだろう。


「ちょめ太郎。今日はお出掛け?」

「ちょっと王都にいる友達に会いに行くの」

「あまり遅くならないようにね」

「ちょめちょめ」 (ミクはどうするの?)

「今日はママのお手伝いをしようかと思っているわ」

「ちょめちょめ」 (さすがはミクだね。私もミクを見習わないと)


現実世界では母親の手伝いをしたことはなかった。

推し活に忙しかったし、面倒だったので何もしなかった。

わざわざお手伝いをするのだから何かしらの見返りは必要だ。

それが交渉と言うものだ。

子供にだって大人と交渉する権利はある。


「気をつけて出掛けるんだよ」

「ちょめちょめ」 (ありがとう。それじゃあ行ってくるわ)


私はミクとさよならをしてから転移の指輪を取り出す。

そして魔力を指輪に注ぎはじめると指輪が光り出した。


「ちょめちょめ」 (うぅ……まぶしい)


指輪から溢れ出た光が私を包み込むと王都へ転移した。


「ちょめちょめ」 (転移できるのは便利だけれど転移する場所は選ばないとね。ぺっぺっ)


目を開けて辺りを見回すと馬小屋の藁の中にまみれていた。

私は藁を掻き分けて外に出てから急に大事なことを想い出した。


「ちょめちょめ」 (楽曲が完成しても、どう歌えばいいのかわからないじゃない。こうしてはいられないわ)


私は再び転移の指輪に魔力を込めるとミクの部屋へ転移した。


「あっ、ちょめ太郎、そんな格好でどうしたの?」

「ちょめちょめ」 (深く追求しないで。それよりもミクにお願いがあるんだけど)

「お願いって何?」

「ルイにガイドボーカルをしてほしいのよ」

「ガイドボーカルって?」

「簡単に言うと歌のお手本をしてもらうの」


そうミクに説明してもいまいちピンと来ていなかったようだ。

ガイドボーカルなんてものを知らないのだから無理はない。

ただ、説明するよりも実際にやってみた方が伝わるのだ。


「でも、今日はママのお手伝いをするから手伝えないよ」

「ちょめちょめ」 (そこを何とか頼むわ。私の言葉がわかるのはミクだけなんだから)

「どうしようかな」

「ちょめちょめ」 (お願いよ。半日だけでいいから)

「半日か……わかった。ママに断って来るね」

「ちょめちょめ」 (なら、私はルイの部屋で待っているから)


ミクとママには悪いと思ったがお願いを聞いてもらった。

でないと、私もルイミン達も困ってしまうのだ。

”ファニ☆プラ”がうまく軌道にのるかはミクの手にかかっていると言っても過言でない。

半日しか時間をもらわなかったけれどルイならばすぐに覚えてしまうはずだ。


私はミクの部屋を出て隣にあるルイの部屋に入った。


「ちょめ太郎、どうしたの?」

「ちょめちょめ」 (ちょっとルイにやってもらいたいことがあるの)

「う~ん、何て言っているんだろう?」

「ちょめちょめ」 (お願いしても無駄よね。でも、お願いせずにはいられないわ)


ルイに話しかけてみるがルイの頭には疑問符が浮かんでいる。

言葉が通じないのはこんなにも歯がゆいことだなんて初めて知った。

そろそろちょめジイに頼んで普通に喋れるように設定し直してもらった方がいいだろう。


そんなことを考えているとミクが部屋に入って来た。


「ちょめ太郎、お待たせ」

「お姉ちゃん。ママのお手伝いをするんじゃなかったの?」

「そのつもりだったけれど、ちょめ太郎のお願いを聞くことにしたの」

「お願いって?」

「ルイにガイドボーカルをして欲しいんだって」

「ガイドボーカルって?」


やっぱりルイにも伝わらなかったようだ。

”ガイドボーカル”なんて言葉を聞いたこともないのだろう。


「ちょめちょめ」 (説明するよりもやってもらった方が早いわ。ミク、この歌詞を覚えて)

「どれ?」


私はスマホを取り出して書き込んだ楽曲の歌詞をミクに見せた。


「ちょめちょめ」 (その歌詞を覚えてルイに伝えて)

「”恋するいちごぱんつ”って、ぱんつの歌なの?」

「ちょめちょめ」 (そうよ。悪い)

「やだな~ぁ、ぱんつの歌なんて覚えたくないよ。恥かしいじゃん」

「ちょめちょめ」 (ミクが歌うんじゃないから別に構わないでしょう)

「そうだけど……ルイにも歌って欲しくないな」


ここへ来てミクはやりたくないと文句を言いはじめる。

ぱんつの歌だからなのかもしれないが、そんなにも恥ずかしいことは書いていない。

”いちごぱんつを履いている少女が恋をしている”ってストーリーなのだから。


「ぱんつってなになに。ルイにも教えて」

「ちょめちょめ」 (ミク、ルイはやる気になっているわよ)

「わかったわよ。だけど、他の人に聴かせちゃだめだからね」

「ちょめちょめ」 (わかったよ、約束する)


そんなことを口走ったがミクとの約束を守るつもりはない。

ルイが歌い終えたらルイミン達に聴かせなければならないからだ。

まあ、実際にミクのいる前でルイミン達に聴かせるつもりはないので問題はない。


「なら、覚えるからよく見せてよ」

「ちょめちょめ」 (ルイに伝わるように教えてね)


それからミクはスマホに書いてある歌詞を熟読した。

そして意味を噛み下して理解するとルイに歌詞を伝えた。


「”めちゃさいこう”ってどう言う意味なの?」

「う~ん、すごく大好きってことかな」

「なら、ルイはお姉ちゃんのことを”めちゃさいこう”だよ」

「ちょめちょめ」 (う~ん、意味は伝わっているのだけど言葉がうまく伝わっていない)


理解できない言葉でもないが微妙に違っている。

まあ、ここでは深く追求しなくてもいいから問題はない。


ルイは歌詞を追いながら意味が分からない言葉をミクに質問していた。


「”こころおどらせて”ってどう言う意味なの?」

「ワクワクとかウキウキすることよ」

「ワクワクか。何となくわかった」


理解の早いルイが凄いのか説明のうまいミクが凄いのかわからない。

ただ、歌詞で言わんとしていたことはおおむねルイに伝わっているようだ。


「”ツーステップ”ってなんのこと?」

「”ツーステップ”か……ちょめ太郎、教えて」

「ちょめちょめ」 (だから、足を2度踏み鳴らすってことよ)

「難しい言葉を使わないでよ」

「ちょめちょめ」 (あぁっ、もう。今やって見せるから見ていなさい)


”ツーステップ”は言葉で説明するよりも実際にやってみた方が早い。

私は体を飛び上がらせて続けざまに2度ジャンプした。


「ちょめちょめ」 (どう?わかった?)

「2回ジャンプすることね」

「ちょめちょめ」 (まあ、だいたいはそんなところね。次へ行くわよ)


とりあえず何となくのイメージだけ伝われば十分だ。

どうせ実際にツーステップするわけじゃないのだから。

ルイは2回ジャンプをして”ツーステップ”と叫んでいた。


それからもルイの質問タイムは続いた。

その度にミクが言葉の意味を説明してルイに伝える。

一見すると無駄な作業のようにも見えるが大切なことだ。

ルイが頭の中で楽曲のイメージをできなければうまく歌えない。

おまけに伝えたいメッセージもファンの元へは届かないのだ。


「ちょめ太郎、一通り説明は終わったよ」

「ちょめちょめ」 (なら、ルイにどんなイメージが沸いたか聞いてみて)

「ルイ、歌詞を覚えてどんなイメージが浮かんだ?」

「楽しくてドキドキしたりワクワクしたりするような感じかな」

「ちょめちょめ」 (OK、合格よ。だいたいのイメージは伝わったわね)


細かな意味まで伝わらなくてもいい。

お子ちゃまのルイにはちょっと早い言葉も含まれているからだ。


「ちょめちょめ」 (それじゃあ、次は曲を覚えてもらうわ。ルイ、この音楽を耳コピして)

「いいよ」


私はスマホを操作して音楽生成AIが作った曲を再生する。

それをルイに渡すとルイはスマホを耳に近づけて耳コピをはじめた。


「ちょめちょめ」 (これで覚えちゃんだからすごいわよね。AIもさまさまだわ)

「それがルイの特技だからね。お姉ちゃんとして自慢できるわ」

「ちょめちょめ」 (同じ姉妹なのにミクは違うのね)

「そんなことを言わないでよ。私だって好きでこうなった訳じゃないんだから」


ミクに音楽センスはない。

音痴ではないけれど歌うのが下手くそだ。

歌のうまいルイの歌声を聴いているからかもしれないが。


「覚えたよ」

「ちょめちょめ」 (相変わらず早いわ。まだ、1度しか聴いてないじゃない。まあ、いいわ。じゃあ、さっそく歌ってみて)

「ルイ、歌ってみて」

「わかった」


私はスマホを受け取ってスピーカに設定し直す。

そして再生ボタンを押して楽曲を流した。


最初の部分は歌い手の叫び声からはじまる。

なので楽曲は無音の部分が長く続いている。


どこで歌いはじめればいいのか普通の人にはわからない。

だけど、ルイは頭の中でタイムを計っていたのでドンピシャのタイミングで叫んだ。


「いちごぱんつ めちゃ最好!」


それに合わせるかのように楽し気な楽曲が流れはじめる。

この部分はイントロではなくコーラスを入れる予定にしている。

今はメインのパートを歌ってもらうからコーラスは後で録音予定だ。


そして曲調が変わるとルイは『恋するいちごぱんつ』の1番を歌いはじめた。


Aメロは『恋するいちごぱんつ』のあらすじを歌詞にしてある。

だから、幼いルイでもわかりやすく、歌い間違いなどしなかった。


曲調が変わってBメロに入るとルイの歌い方にも変化が出はじめる。

Bメロはサビに向かって盛り上がって行くところだから歌い方も変えていたのだ。


「ちょめちょめ」 (さすははルイね。基本は抑えているようね)

「きっと前に”歌ってみた動画”を収録したからだよ」


あの時も”アニ☆プラ”になりきるために練習をしたから経験が生きているようだ。


そして楽曲はさらに転調をしてサビに切り替わった。


ルイはここぞとばかりに楽しい気持ちを歌に乗せて行く。

作詞をした私もここが一番言いたいことだから強調して欲しいところだ。

まあ、とは言っても所詮はぱんつの歌だからそんなにも強いメッセージ性はない。

ただ、曲調も一番楽し気な音楽なので元気いっぱい楽しく歌ってもらいたい。


そして曲は2番に移りルイもそれに合わせて2番を歌い上げた。


「ちょめちょめ」 (なかなか良かったわよ。はじめてにしては合格ね)

「ちょめ太郎もすごいって褒めているよ」

「照れるな~ぁ」


私とミクに褒められてルイは少しはにかんだ。


「ちょめちょめ」 (けど、もっと細かな修正は必要ね)


最高の楽曲に仕上げるためには妥協をしてはいけないのだ。

とかくこの後でルイミン達が歌うからルイには頑張ってもらわないといけない。

ガイドボーカルがいかにわかりやすく歌い上げるかで仕上がりも変わるのだ。


私は修正箇所を指摘してミクに訳してもらいルイに伝えて修正をさせた。

おかげで私のイメージ通りに仕上げることができた。


その後でポイントとなるコーラスを録音した。


ルイだけだと寂しいのでミクにも加わってもらった。

コーラスと言っても言葉を発するだけなので歌唱力の低いミクでもこなせた。


最後は録音した楽曲を編集してひとつの歌に仕上げた。

この辺は私の得意としている部分だから1時間ちょいで仕上げた。


「ちょめちょめ」 (これで終わりよ。お疲れさま)

「ちょうど半日だね。さすがはちょめ太郎だね」

「ちょめちょめ」 (まあ、私は時間を守る女子だから)

「お姉ちゃん、お腹空いた」

「それじゃあお昼にしようか」


私がひとりでカッコつけているのをよそにミクとルイはさっさと行ってしまった。


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