表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/56

008_洗浄無情


「うえぇんっ」


 雪女の子供が、泣いている。


「うぐ、ふぐぅっ」


 山男の子供も、泣いている。


 しかも雪女より体の大きい山男の方が、激しく泣いていた。


 時折母親らしき名前を読んでいるあたり、見た目以上に幼いのかもしれない。


 勝手口に回った後、あたし達を待ち受けていたのは、紅ブンブクさんによる容赦の無い洗浄だった。


 無患子(むくろじ)という実の果皮は、水に浸すと泡が立つ。


 糸瓜(へちま)のたわしをそれで濡らし、紅ブンブクさんは力一杯あたし達の体を削り……磨き始めた。


 その痛みに悲鳴を上げ、実際泣いてしまったのが雪女と山男の子供だ。


 もっとも、雪女の方は店の裏庭で男女の区別なく裸にされたことの方が、堪えたように思う。


 洗われる前の方が、激しい抵抗を見せ泣き叫んでいた。


 あたしは見せて恥ずかしいような体をしていないので、気にならない。


 ただそれは誇れるという意味ではなく、貧相な体だからという理由だけど……。


 この十日間、家に居た時よりしっかり食べられたおかげで、多少肉は付いたと思う。


 なのに、あたしより幼い雪女に()()()()明らかに負けている。


 くっ、これが種族の差……いや、元姉はしっかり膨らみがあったから、単にあたしだからか。


 起伏の少ない体を見下ろし溜息一つ吐いていると、鬼熊の子供がぽんと肩を叩いてくれた。


 熊っとした厳つい容姿だけど、案外優しい。


 というか今の気遣いからして、実は女の子だったのか……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ