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小川源次郎島殺人事件

作者: 小倉 その

今日の仕事は終わった。家路を急ぐ。とある岸辺にやってきた。

「またお願い。」

水上バイクの後ろに乗せてもらう。陸地からは行けない場所に寄せてもらう。森を抜けて船着き場の建物に到着する。ドアを開ける。通常は女子トイレである。奥にフロント、手前はレストランになっている。

「今日の夕飯は何?」

「ハンガリー・シチューだよ。」

オーナーが答える。

「好きなやつ。」


 脇の階段を上がって行く。私の部屋は階段を上がってすぐの一番広い部屋である。奥に小さな部屋が3つ。今は島西岸の護岸工事をしている作業員がそれぞれ住んでいる。私の部屋はベットとクローゼットと机と本棚と小さなテーブルと椅子の素朴な部屋である。窓からは本土も見える。着替えて下に降りる。

 翌朝早く島の散歩に出る。山の上の木の上の家に住んでる風吉さん、まだ寝てるかな。漁師の佐吉さん、もう漁に出てるかな。粉ひき小屋の五郎さん、仕事はまだかな。島の裏側に回る。丘の上に登る。島で唯一の売店、久子さんは元気かな。向かいの駐在さん、島は平和で暇だろうな。一周してホテルに戻る。朝食を取る。

 そこへ漁師の佐吉さんが飛び込んでくる。

「人が死んでる!西岸に打ち上げられている。」

みんなびっくりして向かう。駐在はすでに到着している。


死体は陸に上げられている。頭を鈍器で打たれたようだ。

「わたし、朝散歩した時は気がつきませんでした。」

作業員の一人が言う。

「夕べいっしょに晩飯を食ったあと、一人で出て行った。朝まで帰らなかったようだ。」

第一発見者の漁師の佐吉さんが言う。

「漁から戻ってくる時、見つけただ。」

駐在

「誰か見なかったかね。」

漁師

「いや、誰も。」


私はそろそろ仕事に行かなくちゃ。気になるが仕方ない。

仕事中もそのことばかり考えていた。

同僚の美樹子が話しかけてきた。

「小川源次郎島、閉鎖だって。」

「えっ、なんで?」

「朝言ってたじゃん。システム調整。あそこのトイレ行かなくていいことになった。」

「ふ~ん、じゃあね。」


その夜帰ってから、食堂では例の殺人話で持ちきりだった。

誰が何の目的で殺したんだろう?

作業員は通常はいない人。

何か見てはいけないものでも見たんだろうか。


駐在の話では島の住人は夜は娯楽もないので夕食後はみんな早々と寝てしまったようだ。

オーナーの山川さんがつぶやく。

「この世界が破られてしまった。」

どうしてだろう。わたしのせいだろうか。ここへ来るのを誰かに見られただろうか。


次の日、上役がわたしを呼んでいると言う。面談だ。わたしの仕事はおそうじだ。それにはトイレ掃除も入っている。朝は点検をする。各トイレに点検票があって記入する。その1つを忘れたようだ。忘れたのはいけないが、お小言のあと始末書に署名させられる。屈辱だ。その後各トイレだとみんな忘れるので各自持ち運びになった。何かあるたびに縛りが増えていく。どうでもいいルールが百はある。


その夜、

作業員の一人が駐在に引っ張られた。殺された作業員が宿を出た後は自分の部屋に戻ったと言っていたがそうではなかったらしい。作業員は殺された作業員が毎晩のように夜出かけるのを不審に思ってこっそり後をつけたらしい。

 ホテルからそう遠くない洞窟に入って行くところを見た。続いて入った。鳥居のマークのある所で何やらごそごそやっている。そこへ急に誰かが急に現れて彼を殴った。こわくなって引き返した。

駐在

「なんですぐ申し出なかった。」

「自分が疑われると思って・・」

「鳥居のマークのあるところに宝物が隠されているのを知って、分け前ででももめたんだろう。」

「いえいえ、宝物なんてあっしは何にも知りゃあしません。」

「嘘つくな!こやつを牢に閉じ込めておけ。」

「勘弁してください。」

岩山の下の牢に入れられた。


次の日

仕事終わり、わたしの後をつけて島へ渡った者がいたことをわたしは知る由もなかった。

その男はすぐ捕らえられ尋問された。同僚の男だった。

駐在

「お前が殺したのか?」

「何を言ってるんですか。私はこいつが不審な動きをしていたのでついてきただけで・・」

「こやつも牢に入れておけ」

「なんでわたしが!」

「ここは普通の人間が入ってきてはいけないところだ。」


駐在

「君はホテルのオーナーの姪だからここへの出入りが許されている。気を付けてもらわねば困る。」

わたし

「充分気を付けます。」

「彼の記憶を消してそっと本土へ戻すのだ。」

「わかりました。」


その夜、山川さんが洞窟に入って行ったのを誰も知らない。


そのまた次の日

駐在が犯人を捕まえてきた。岩山に捕らえられていた作業員は解放された。売店の久子さんである。久子さんはホテルオーナー山川さんの奥さんで、ちょっと遅くなった夜近道の洞窟の出口から入ったところ作業員に出くわした。作業員に宝物を荒らされると思った久子さんはとっさにそこにあった石で作業員の頭を殴った。ぐったりした遺体の処理に困り、夫の山川さんに相談し、遺体をいっしょに近くの河に投げ入れた。


山川

「私は最初から外部の作業員に護岸工事を頼むのは反対だったんだ。秘密が暴かれる。」

駐在

「鳥居のマークの下には昔の殺人者が隠した金があったのでは?」

「金じゃない。姫のネックレスだ。レイお前のだ。王家の証を示すものだ。」

レイ姫

「わたしの?わたしはただのバイトだよ。」

山川

「いや、あなたは滅ぼされた林王家の唯一の後継者だ。わたし達は幼かったあなたを救い出して、逃げて、この世界であなたを守ってきた。王家が再興されることを望んだ。」

久子

「姫様、申し訳ありません。わたし達は罪を犯して、これ以上あなたを守ってこの世界を維持していくことはできません。」

そして、久子さんは赤いルビーのネックレスを手渡した。

レイ姫

「これからどうなるの?」



しだいに闇が降りてきて、すべてが消え去った。

レイ一人が取り残される。


同僚の美紀子が話しかけてきた。

「上役がまた呼んでるよ。レイまた何やらかしたの?今月2度目だよ。」

だめアルバイト・レイは事務所へ向かう。


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