第2話 5対1
先手を打ったのは相手のリーダー格だ。
「発動、信霊法:水獄領域」
大気中の水分を操りその辺り一帯を水のドーム
で覆う技だ。更に天気が雨なので集められる水
の量は通常の10倍以上であり効果も格段に上が
る。相手が格下ならば脱出は困難だろう。だが
この技の効果はそれだけではないのだ、何とこ
の覆っている水を操り四方八方から多重攻撃を
行い相手を襲う。同格相手ならば相手の力を消
耗させるのに有効なのである。
「なっ!、厄介な技だ」彼は不利な状況からさ
らに不利な状況になった。加えて彼は霊力しか
使えないのに対して相手は信力までつかってい
るのだ。ここでは詳しく説明しないが、簡単に
言えば信力はエネルギーの増加に使う力だ。そ
れを相手5人が使っているのでエネルギー量の
差的に彼は消耗戦はできない。「相手の二人が
支援と逃走防止要員、3人が僕を倒すつもりか…
なら」
「くらえ!、霊法:石針山、そして土操作、対
熱衝撃緩和膜」相手全員の足下に石でできた針の
山を展開し石針が生えた土のドームで彼自身を
覆い尽くした。もちろん全員にかわされてしま
ったがそれは陽動だった、彼の狙いはそれでは
なかった…彼が次につかったのは…
霊法:火膨球核弾
高密度の火球を核にして更にその周りを炎が包
んでいる。それを瞬時に圧縮させてから膨張さ
せて大爆発を起こし辺り一帯を吹き飛ばす技
だ。さらに密封された空間なら熱が拡散しな
いのでより威力が上がり酸素を燃焼させること
で相手を窒息死させるのだ。それだけでも強力
なのだが…周りは大量の水で覆い尽くされてい
た、これにより水蒸気爆発を起こす積もりなの
だ。たとえ、もしそれが起きなかったたとして
も一気に気化した水分が相手の視界を阻害す
る。そう彼は不利な状況を利用したのだ。
「水獄解いて!早く!!」相手の隊員の一人が彼
の目的に気づいたのだ。
「分かった」そして解いている途中彼の技が爆
発したその結果辺り一帯は霧に包まれ相手にダ
メージを与えた、が相手の信霊障壁によって思
ったよりもダメージを与えられなかった。
そして次の瞬間彼はその場から飛び退いたその
理由は…「グハッ、チッ、まじかよ」
右腕に衝撃が走り、左腹が切り裂かれた相手が
放った不可視の多重風斬の内の1撃をくらい回
避を読んでいたもう一人にオーラを纏った刀で
切られたのだ。自身を覆っていた対衝撃緩和膜
と霊力で強化した肉体であったため風斬でのダ
メージはほとんど無かったのだが流石に刀での
攻撃はそうはいかなかった。急いで回復したの
で幸い大きな怪我ではないがじわじわと霊力が
削られているのが分かる。相手のこの連携の高
さは相手の練度と暗号化された信伝通話による
ものだ。そして運命の時が訪れる
この話で戦闘を終わらせる予定だったんですが伸びてしまいました。ってことで次回もお楽しみに!