92話 決戦!古本屋の戦いのこと(※残酷な描写アリ)
決戦!古本屋の戦いのこと(※残酷な描写アリ)
暗がりに潜み、目の前の穴から駐車場を観察する。
国道から駐車場に侵入しようとした3台のトラックのうち、1台か若干斜めになっているのが見えた。
大木くんのトゲトゲトラップが左前輪に炸裂したようだ。
「・・・!!」「~~~~!?」「!!~~~!?」
距離とエンジン音のせいでうまく聞こえないが、何やらぎゃんぎゃん騒いでいるようだ。
さて、これからどう出る?
お、車での侵入は諦めたようだ。
まあ、前輪がトゲ付きのアレをぐるっと巻き込んでるからな。
行くも下がるも難しそうだ。
トラックの荷台から、武器を持った男たちが飛び降りてくる。
ふむ、バットに鉄パイプ、角材に木刀・・・
1台目は近接武器オンリーだな、後ろの2台はどうだろう。
「おいてめえ!!下りてこい!!!ぶっ殺してやる!!!」
3台ともエンジンを切ったようで、声が聞こえるようになった。
大木くんがいるであろう屋上に向かって、包帯を顔中に巻き付けた男が吠えている。
あれが逃げた生き残りかな?
じゃあアイツがリーダー格ってやつかな。
「嫌で~す。なんでわざわざ殺されに行かないといけないんですかぁ?火傷の後遺症が脳に回ったんですかぁ?」
「ああああ!!!この野郎!!!ふざけんな!!!」
「ふざけてるのはそっちの脳味噌でしょう~?そんな〇ァミコン並みのCPUでよく言葉が話せますねえ~?」
「こっ・・・この人数を見ろ!!!勝てると思ってんのか!?!?」
「あなたと違って数は数えられるんで大丈夫で~す、あなたはたぶん3より大きい数は無理なんでしょうけど~」
「~~~~~~~~~っ!!!」
「あ、バグった。近くの人~、フーフーして再起動させてあげてくださ~い」
おうおう煽りよる煽りよる。
戦力差がある戦闘においては、まず相手の冷静さを失わせることが大事だからな。
包帯の男は何か言い返そうとしているが、もうなんか動物の吠え声みたいな音しか出てない。
「爆弾の在庫はもう尽きましたけど、あなた方程度にはなくても十分ですよ~?来たければいつでもどうぞ~」
大木くんの発言を聞き、後ろから集団が合流してきた。
後方2台の乗員かな?
えーと・・・だいたい全部で20人ってところかな?
わかりやすいにやけ面をしている。
馬っ鹿だねえ・・・あんな見え見えの嘘に引っかかるなんて。
お、5人ほど筒状の物体を持っているな・・・猟銃かな?
やはり持ってきてたか。
梯子を担いでる奴もいるな、へえ、確かに猿よりは賢いみたいだ。
俺は懐からあるものを取り出し、口に咥える。
息を吸い込んで一気に吐き出す。
ピイイイイイイイイイイイイイイ!!!!
甲高い笛の音が響くと、男たちが弾かれたようにこちらを見る。
以前ホームセンターで回収したホイッスルだ。
競技用だけあってよく聞こえるな、これ。
あらかじめ決めておいた、攻撃開始の合図だ。
「ギャア!?」「ギ!?」「アガア!?」
2階から銃声が響き、まず猟銃を持った奴らが1人、また1人と弾き飛ばされたように倒れていく。
神崎さんの狙撃が始まった。
相変わらず正確な射撃だなあ、素晴らしい。
慌てて猟銃を拾おうとした奴も、即撃たれて地面に転がる。
徹底してるなあ。
「あっそうだ、よく見たら残ってたんでこれどうぞ~」
能天気な声と共に、パニックになっている男たちの中央に1本の金属パイプが放り込まれる。
一瞬の後、閃光が走り、腹に響く衝撃と轟音が同時にやって来た。
空中に飛び散る無機質な破片と有機的な破片。
うおお、棚がビリビリ震えてる。
あんな小さいのに凄い威力だ。
さて、そろそろ頃合いかな。
俺はこっそりと隠れていた場所を抜け出し、移動を開始する。
「おかわりもどうぞ~」
楽しそうな大木くんの声に続き、またも爆音。
悲鳴と怒号が一層大きくなる。
隠れていたバリケードから店の裏側の細い路地を回り込み、トラックの横に出る。
うわあ、もう阿鼻叫喚でござるな。
火薬と人の焼ける臭いがひどいもんだ。
わめきながら右往左往する男たちが見える。
統制はもはやないな。
逃げるつもりか、最後尾のトラックの運転席に乗り込もうとドアに手をかけた男に走り寄る。
「こんちはーっ!!!」「ぎぃい!?」
元気に挨拶しながら後ろから首筋に斬りつける。
おお、すごい切れ味。
さすが『竹』グレードの我が愛刀よ。
首から出血して倒れ込む男を蹴り飛ばし、運転席に入るとキーを抜き取ってポッケにイン。
これで逃げられる心配はないな。
「おい!早く出せ!出せってんdぎゅん!?」
俺を仲間と勘違いしたのか、助手席から乗り込んできた男の喉を脇差で掻っ切る。
狭い空間ではやはり脇差だな。
運転席から降り、脇差を納刀。
銃撃や爆発でしっちゃかめっちゃかな集団へ走り出す。
基本的な戦術は対ゾンビとあまり変わりはない。
今回はパニックになっているから、よりやりやすいな。
なお、誤射誤爆を避けるためにヘルメットには真っ赤なスカーフ(店内の古着コーナーから調達)を巻き付けている。
しかしこいつら、襲撃するってのにいささか薄着すぎじゃないか?
まあ俺としては斬りやすくていいんだけども。
「あぎ!?」「あっ!?ああが!?」
サンダル履きのアホ2匹の足首をざっくり切り、背中を続けざまに蹴り飛ばす。
密集していた何人かが、ドミノよろしくパタパタ倒れる。
こうしとけば神崎さんや大木くんが処理しやすくなるだろう。
「なんだお前ぇ!?」
持ち手に布を巻いた鉄パイプを持った男が、俺を見て吠える。
やっと気付いたのか。
そんなに鈍くてよく今まで生きてこれたな。
問答無用で殴り掛からないと勝機はないぞ。
「見ての通り、お前の敵だけ・・・っど!!」
ヘラヘラ笑いながら近付き、股間を思い切り蹴り上げる。
鉄板入り安全ブーツの威力はどうかな?
白目を剥き、泡を吹きながら崩れる相手にもう一度蹴り。
よっしゃ、ドミノ第二弾完成。
1人やったらすぐ動く。
この混乱の間に全滅させるつもりで次から次へ。
「このやろぎゃああ!?」
俺に向けて角材を振り上げた男の肩に、銀色の矢が突き立った。
ナイス大木くん!
隙を逃さず、踏み込みながら寝かせた刃で首筋を掠めるような突き。
ぱくりと開いた傷が鮮血を吐き出すのを確認し、次へ向かう。
よそ見しているアホを発見。
するすると近付いて背中を斬りつけ、振り向いた所を真正面から斬り下げる。
即死させる必要はない、行動不能にすればいいだけだ。
よし次。
おっと、2人と目が合ってしまった。
不意打ちは無理だな。
武器は金属バットと・・・なんかの鉄棒。
「この野郎がぁ!!」
金属バットが走り寄り、殴り掛かってくる。
見え見えの大振り、ゴチになります!
片足を引いて半身になったことで、空振ったバットが地面に激突、かぁんといい音を立てる。
「いっだぎょ!?」
痺れる手に顔をしかめたそいつの、がら空きになった首を薙ぐ。
喉笛をざっくりやられ、目を見開いて倒れ込むそいつの後ろから、鉄棒が横薙ぎに振るわれる。
仲間を囮にしたか。
多少は頭が回るようだが、位置が高すぎる。
大きく開脚して踏み込みながら、地を這うように低い斬撃を放つ。
俺の頭上を鉄棒が通過するのとほぼ同時に、奴の足首を半ば切断する。
「ぎいいいいい!?ああがあああああ!?」
ぶちぶちと嫌な音を立てながら、足首が関節の限界を超えてへし曲がり、地面に倒れ込む。
こと足を斬りつける技術において、うちの流派に敵う相手はそうそういない。
試合ではどうかと思うが、やはり足への斬撃は防ぎにくい上に効果が高いな。
さてと次うおおおおおお!?
嫌な気配に体を逸らすと、今まで立っていた空間を鎌が回転しながら通り過ぎる。
あっぶねえ!
トラックの後ろへ避難すると、声が飛んできた。
「逃げんじゃねえ!ぶっ殺す!!」
逃げるに決まってんだろアホか。
そのまま地べたに伏せ、車体の下から覗く。
足が4本見えるな、2人か。
「ジョウジ!お前は後ろから回り込めえええっだ!?あが!?」
何やら指示を出している方の足に、スナップだけで放った十字手裏剣が突き刺さる。
それを見届けると、音を立てないようにタイヤに足をかけて荷台へ飛び上がる。
「んの野郎、どこに行きやg・・・ががあがあがあが・・・」
回り込んできたジョウジとやらの頭上から、棒手裏剣を脳天に向けて思い切り投げる。
狙いがわずかに逸れ、延髄に突き刺さった。
うん、なんか言語がバグったけどこれでいいだろう。
「いっでえ!あああ抜け、抜けねっ!?」
そのまま荷台経由で正面へ戻り、手裏剣が抜けずにのたうち回っている奴の腹の上に勢いよく着地。
ごぼ、という音を立てて奴は失神した。
・・・試験的に『返し』を付けておいた手裏剣が役に立ったな。
作るのが一手間かかってめんどくさいけど、これからも何枚かは常備しておこう。
さて、周囲はどんな状況だ?
散らばる肉片、漂う血臭。
半身ゾンビめいた状態の損壊の激しい死体。
頭を撃たれた死体に、ハリネズミみたいに矢が刺さった死体。
どこかしらを吹き飛ばされて呻いている奴もいるな。
うーん、死屍累々である。
が、それでもまだ10人前後は残っているな。
あの包帯グルグル巻きマンは・・・いたいた。
さっきの威勢はどこへやら、1台目のトラックの影にいる。
アイツがリーダーでいいのかな?
よし、とりあえずアイツは行動不能にして後で尋問しよう。
「ぎっ・・・!?!?いいいいい~~~~!?」
返し付き十字手裏剣を両足に1枚ずつお見舞いしておく。
包帯マンは地面でのたうち回っている。
南雲流手裏剣投法、『重』
同じ手に挟んだ複数の手裏剣を、微妙な指の力加減で1枚ずつ投げる技だ。
強靭な指の力と離すタイミングが重要になる。
俺は2枚で限界なんだけど、師匠は4枚を時間差でシャッシャ投げてたなあ。
しかも両手を使うので8枚だ。
あの人はほとほとバケモンだわ。
さてとお次は・・・あれ!?
神崎さんなんで下りてきてるの!?弾切れ!?
見た目が美女なので行けると思ったのか、3人がにやつきながら距離を詰めていく。
こんな状況でスケベ心を出せる脳味噌すげえな。
しかし駄目だ、距離が遠い!
くっそ、間に合え!!
「っし!」「ぎょぐ!?」
予備動作の少ない銃剣での突きが1人の喉を貫通する。
・・・予想以上の伸びに対応できなかったんだな。
すぐさまライフルを手放した神崎さんが、腰からナイフと拳銃を抜く。
「やめっ!?」「きゅっ!?」
1人の腕を斬りつけ、怯ませた隙に反転し、もう1人の股間を蹴り上げる。
残った1人にはそのまま拳銃を向け、頭部を撃ち抜いた。
・・・鮮やかすぎる、俺の出番は早くも終了ですね・・・!?
あっ神崎さんの背後にもう1人いる!
掴みかかろうと両手を広げて!!
「神崎さんうしr」
「はあっ!!」
「がっ!?」
神崎さんは振り向かず、凄まじい速度で右足を上方にはね上げた。
驚くべき柔軟性で、肩まで上がったブーツの爪先がそのまま背後の男の顔面にヒット。
鼻血をまき散らしながら、男は地面に倒れた。
・・・神崎さん、すげえ。
つい脱力した俺に後方から迫る気配。
倒れ込むように前方へ飛び込み、前転の姿勢から片方に転がりつつ後方を確認。
木刀を持った男がいる。
声を上げずに切りかかって来るとは、荒事に慣れてるな。
立ち上がって向かい合うと、その男は正眼に構えを取った。
ふうん、経験者か。
手首の握りからして、それなりの腕前のようだ。
変な力みもない。
・・・周囲に他の敵影はないな。
いいだろう、付き合ってやるよ。
一呼吸して脇構えを取る。
こちらは真剣、相手は木刀。
となると、攻めてくる方向はおのずと限定されるな。
突きか、首筋への撃ち下ろしだろう。
木刀なら、一撃で相手に大ダメージを与えるにはそれしかない。
一発で俺を止めなければ斬られるからな。
じりじりと距離を詰める。
目はぼうっと半眼にして、狙いを悟られないようにする。
見ていないようで見ている。
かの二刀流の大剣豪おススメの戦法だ。
あえて間合いの一歩前で止まり、相手の出方を待つ。
さあ、どうする。
相手が動く。
この腕の振りは・・・撃ち下ろし!
一気に斜めに踏み込み、相手の振り下ろし軌道にヘルメットを割り込ませる。
ヘルメットによって逸らされた木刀が、右肩方向に滑る。
半身になり、肩への攻撃を躱す。
木刀が地面を叩くのと同時に、俺の切り上げが男の首の左側を切り裂いた。
「ぐっ・・・ぞ・・・・」
鮮血をまき散らしながら、男は前のめりに倒れた。
致命傷だ。
ほっといてもすぐに死ぬな。
「お見事です!」
「神崎さんこそ、あの背後へのハイキック綺麗でしたよ」
「見ていらっしゃったんですか・・・恥ずかしい・・・」
神崎さんが俺に駆け寄ってくる。
周囲の敵影は・・・なし!
屋上に向けて叫ぶ。
「大木くん・・・『だれか残っているか』!?」
「・・・『死体だけです』!」
わかっていらっしゃるぅ!
実際には何人か虫の息で呻くか気絶している。
とどめを刺してから包帯マンを回収しよう。
駐車場を神崎さんと手分けして回り、息のある奴を全員成仏させた。
こういう時には脇差か剣鉈が便利だなあ。
「ぎいい・・・やめろ・・・やめ、やめろお!!」
その後、存外に元気な包帯マンを回収し、首根っこを掴んで引きずりながら古本屋の前まで持ってくる。
なっさけないな、ただ手裏剣が両足に根元まで突き刺さってるだけだろ。
「ぎゃっ!?」
そのままの勢いで、1階のバリケードに放り投げて背中から激突させる。
「がっは!?ごほ!?」
ずるずると地面に座った包帯マンの前に立つ。
なるべくにこやかさを意識して問いかける。
こういう場合、明るい方が不気味だろうし。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが・・・」
「・・・うぅう!うるせえよ、く、くたばrぎいいいいいいい!!!」
太腿に刺さった手裏剣を軽く蹴ってやる。
「すまんすまん、聞き方が悪かったな・・・死にたくなきゃとっとと答えろカス」
「ううう・・・」
若干おとなしくなった。
よし、聞く姿勢は大事だな。
「お前の仲間はあれで全部か?」
見えるように体を動かし、駐車場の惨劇を見せつける。
「あっ・・・あああああ!!!あああああああああああ!!!!」
今頃気付いたのか、目を見開いて急に叫ぶ包帯マン。
「てめえら・・・許さねえっ!!絶対許さねえzぎいいいいいいい!?!?」
「あのさあ・・・攻めてきて何世迷言ほざいてんのアホかお前」
今度は逆側の手裏剣を小突く。
あっぶね!手に刺さるとこだった。
「殺す気満々で来ておいて、仲間が殺されたら『ユルサネー』ってのはちょっと馬鹿すぎるんじゃない?」
「うううう・・・!てめえら鬼だ・・・!なにもここまでしなくてもいいじゃねえか!!!!」
( ^ω^)・・・?
何言ってんだコイツ。
頭痛くなってきたな・・・
義務教育も受けてないのかこいつは?
『因果応報』って幼稚園で習わなかったのか?
「お疲れ様で~す、あ、尋問中だ」
弓を持った大木くんが近付いてきた。
下りてきたってことは、もう生き残りはいないな。
「テメエエエエエエ!!てめえのせいで俺たちはああああああああああああああ!!!!!」
「うーわびっくりした、老人じゃないからそんな大声出さなくても聞こえますよ?」
急に元気になった包帯マンである。
しかし話が進まねえ・・・
どうすっかなあ・・・
突如、銃声。
身を固くした俺と大木くんの後ろから、拳銃を構えた神崎さんが進み出て包帯マンの前に立つ。
そのまま銃口から煙が立ち上る拳銃を、包帯マンの額にごりりと押し付けた。
うわ、ジュって音した!
「アッヅ!?ひ、ひいぃい!」
「あなたの仲間は、あとどれくらいですか?」
そのまましゃがみこんだ神崎さんは、包帯マンの胸倉を掴んでさらにぐりぐりと銃口を押し付ける。
一切の光がない、凄みのある瞳をしている。
声に抑揚もない。
どうしよう、すごく怖い。
大迫力だ。
「い、言うわけねえだr」
今度は瞬時に銃口を横にずらし、顔の至近距離で発砲。
銃弾はトラックに命中し、ちゅんと音を立てた。
「ひ・・・ぎゃああああ!!」
「・・・あなたの仲間は、あとどれくらいですか?」
「ぎいいいいい!!!」
また額に銃口をジュウと押し付け、もう一度繰り返す。
「・・・どれくらいですか?」
「た、頼むよ殺さないでk」
発砲。
発砲。
発砲。
「・・・聞かれたこと以外、喋るな。手足のどこかに風穴が開くぞ」
「いいいいいい!!あっ・・・あひ、ひい・・・」
こっわ。
神崎さんこっわ。
流石の迫力である。
「(僕、神崎さんは絶対に怒らせないように気を付けます)」
「(俺、結構怒られてるんだけど・・・)」
「(・・・田中野さんは大丈夫ですよ、田中野さんは)」
「(・・・もう呆れられてるってことか?)」
「(・・・えぇ・・・?)」
大木くん、なんだその「こいつマジか」って顔。
・・・前にもおっちゃんにされたな。
神崎さんの効果的な尋問によって、包帯マンの集団について色々わかった。
構成員はまだ10人ほどいるが、所有している車は今朝大木くんが破壊したものと、ここにある3台で全てとのこと。
加えて包帯マンは、この古本屋の場所を構成員に伝えていないらしい。
何でも、簡単に片が付くと思っていたようだ。
直情型のアホでよかったあ・・・なら残りの人員にここのことが伝わる心配はないわけだ。
まあ、仮に伝わったとしても来る手段がないわけだが。
もしも万が一来たとしても、10人程度なら大木くんの爆弾で何とでもなるだろう。
ふむ、とりあえずこれで当面の危機は去ったというところかな。
「なあ、もう全部だ!これで全部だ!!おい喋ったから助けt」
銃声と共に側頭部を撃ち抜かれた包帯マンが即死する。
神崎さんが撃った。
俺が脇差でさっくりやろうと思ってたのに・・・
「神崎さん!」
「あら、いつも田中野さんばかりに手を汚させませんよ。と言ってもお互い随分殺していますけれど」
「いやあの返り血が顔に・・・」
「・・・タオルありますか、田中野さん」
あーあー、綺麗な顔がすごい迫力に・・・
後でアルコールの入ったフェイスタオルをあげよう。
「いやあ、なんとかなりましたねえ田中野さん、神崎さん」
「お疲れ様大木くん、やっぱりこれだけ立派な建物だと狙われやすいね」
「いっそ国道側の出入り口を塞ぎ、バイクは別の所に隠せばいいのではありませんか?」
確かに、それか入り口に爆破トラップでも仕掛ければいいんじゃないかな。
「考えてみますよ・・・とりあえずこいつらを何とかした上で」
俺たち3人は死屍累々の駐車場を見て一様に肩を落とす。
せっかく掃除したのに・・・
また一からやり直しだな。
「まあ、ぼちぼちやろうや。俺も手伝うし」
「私もお手伝いします」
さすがにじゃあ帰りますってわけにはいかんもんなあ。
サクラ、すまんけどもうちょい待っててくれないか。
「すみません、助かります・・・お礼に、なんでも持って行ってくださいよ」
よっしゃあ!!
ピッカピカにしてやらあ!!!
俺は腕まくりをすると、地獄の駐車場へ向けて歩き出した。
異世界おじいさんもよろしくお願いします!
不定期更新なのでこちらの更新に影響はありません。
ほんのちょっとこの物語とつながりがあります。
・異界血風録~若返ったので異世界でわしより強い奴に会いに行く~(https://ncode.syosetu.com/n9008hc/)




