98話 オーバーキルのこと
オーバーキルのこと
全国展開のスーパーマーケット、『オーガマート』
筋骨隆々のなんか、ファンタジーアニメにでも出てきそうな謎モンスターがマスコットだ。
・・・いつ見てもエルフの森とか焼いてそう。
全国展開の例に漏れず、ウチのような弱小県にもかなり展開されている。
かくいう俺も、リーマン時代も無職時代もよく利用させてもらっている。
独自のパイプがあるらしく、生鮮食品がヤケに安かったんだよな。
「鼻が曲がりそうじゃ・・・」
「言わないでくださいよ、折角頭から締め出してたのに・・・」
その、他店に差をつけるべく大量に入荷したであろう生鮮食品。
それが、店の前にいる俺たちまで届く凄まじい悪臭を放っている。
うう、俺がサクラだったら泡ふいて失神してるレベルで臭い・・・
おっちゃん宅での一泊を終え、美玖ちゃんたちに別れを告げて・・・早朝から俺たちはここへ来た。
場所は、詩谷市街の外れ。
土地の余りまくった田舎にありがちの、でっかいでっかい店舗だ。
ちなみに、以前むっちゃDVDを回収した本屋の近くである。
・・・あれからけっこう経ったなあ。
帰りにコンビニで襲われたっけ。
思えば、我ながら人を成仏させるのにも慣れてきてしまった・・・まさに末法の世である。
子供たちへのお土産を探そうと、龍宮へ出発する前に寄ったのだが・・・この臭気のせいで、中々入れそうにない。
服に臭い付いちゃいそうだしな・・・どうしよ。
見た所、内部は荒らされているが・・・結構残留物はあるように思われる。
ここらあたりはまだ荒らされていないのかな・・・
「あの、先輩なんすかそのデッカイ石は・・・ねえ、なんで振りかぶって・・・」
「フン!!!」
「あっ」
砲丸ほどの大きさがありそうな石・・・岩?を、先輩がとんでもない勢いで投擲した。
石はそのままスーパー正面のデカい窓に激突。
けたたましい音を立てながら粉砕した。
「ふう、これでしばらく待ったら風も入るじゃろ」
「ちょいと豪快過ぎ・・・あ」
店内に蠢く影が複数。
やっぱり・・・いたか。
「ガギャアアアアアアアア!!」「グルウウウウウウウウウウウウウウ!!!」「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
暗がりから立ち上がったゾンビ共が、口々に吠える。
龍宮の奴らよりは遅いが、それでもかなりの速さでこちらへ走ってくる。
「仕方ねえな・・・んじゃ、とっとと・・・お?」
先輩が、例の六尺・・・八尺棒を持って俺の前に進み出た。
「任せい」
・・・あ。
ひょっとしてこの人、新しい武器の使い心地を確かめるためにワザと音を出したのか!
・・・納得である。
「ぬぅ・・・ん!」
先輩の頭上で旋回を始める八尺棒。
以前のものより、その音は重い。
軽く回しているだけなのに、さながら竜巻だ。
ごうん、ごうん、と。
およそ棒から出るとは思えない音を立てている。
「グルアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ゾンビでも個体差はある。
集団の中でも足が速かった・・・店員の制服を着た20代くらいの男性ゾンビが、まず先輩の間合いに入っ―――
「ちぇりぁああああああああああああああああああっ!!!」
ぱがん、だろうか。
それともぼごん、とでも言えばいいだろうか。
とにかく・・・そんな不可思議な音と共に、ゾンビの頭部が文字通り消し飛んだ。
一拍置いて、駐車場の放置車両の窓に8割がた粉々になった頭部がぶつかるのが見えた。
おいおいおい・・・おっちゃんよ、なんてものを渡したんだ。
ただでさえアレな先輩の攻撃力が、さらに手が付けられないレベルになっとるぞ。
「はあああぁっ!!」
「ギョブ!?」
続く2体目の胸に、八尺棒が突き刺さって吹き飛ばす。
重力をまるで無視した軌道で後方にかっ飛んだゾンビは、後続をボウリングめいて吹き飛ばす。
「はっ!ふっ!おおうりゃあ!!」
八尺棒が風をはらんで振るわれるたびに、哀れな一般ゾンビが続々と解体・・・いや爆破?されていく。
「ギ」「ガ」「ギョ」
ゾンビゆえの哀れさか。
恐れというものを知らない性質上、お仲間がミンチになっていても次から次へと群がってくるゾンビ共。
流れ作業よろしく、次々に無力化されていく。
・・・一応俺も後方で兜割(新型)を構えているが、たぶん出番はないだろうなあ。
「ふううぅ・・・」
先頭集団を屠った先輩が、後続が来るまでの僅かな間に息を整えつつ構えを変えた。
後ろへ、八尺棒を逃がすように限界まで体をねじっている。
・・・あれは!
「グルアアアアアアアアアアアアア!!!」「アバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
再び突っ込んでくるゾンビ集団。
「ぬうう・・・・ああああああああああっ!!!!」
間合いにゾンビが入るや否や、八尺棒が唸る。
足元のアスファルトを砕きながら、地面すれすれを。
まるで交通事故のような衝突音。
八尺棒によって足元を・・・薙ぎ払われたゾンビが将棋倒しめいて倒れていく。
「ぜやっ!!!!!!!!!!」
足元を刈り取った八尺棒ごと、先輩が瞬時に横回転。
円の軌道を描き、今だ空中にいるゾンビ共の胴体に二撃目が炸裂する。
胴体を歪に陥没させながら、やつらは駐車場の方々まで吹き飛ばされた。
南雲流棒術、奥伝ノ五『迅雷崩』
・・・足払いからの胴払いを、瞬時に行う技だ。
体ごと力を乗せることで、初撃で武器を破壊し二撃目で鎧を破壊するという。
なんつう破壊力だ、おっかねえ。
「ええのう、こりゃあ」
駐車場の惨状を目にし、先輩は満足げだ。
明らかに今までの六尺棒とは破壊力が違う。
相応に重量もあるはずだが・・・振ってる速度は同じくらいなんだよなあ、見た目。
出鱈目な筋力である。
「トドメ、刺しときましょっか」
近くに転がって呻くゾンビに、兜割を振り下ろす。
俺の方も以前より重くなっているので、頭は比較的簡単に砕けた。
・・・なんか、地味だな実感するの。
少し重いが、まあ『松』ランクとさほど変わらんな。
刀と違って思い切りぶっ叩けるのいいけど。
こんな使い方したら、真剣なら斬れもしないしな。
最悪曲がるし。
「掃除も済んだことじゃし、とっとと回収して帰るか」
「了解っす」
ゾンビを黙らせ、俺たちは未だに異臭を発するスーパーへと踏み込んだ。
「微妙に臭いけど宝の山だ」
「わしはあっちから集めるわ」
案の定生鮮食品は全滅だったが、店内には多くの残留物がある。
先輩は乾物コーナーへ足を向けたので、俺は反対側・・・飲料コーナーから回ることにする。
なんと言ってもまずは野菜ジュースや健康飲料コーナーだ。
平時には見向きもしなかった場所だが、今はビタミンがなにより大事だしな。
マズくてもう一杯飲みたくなる緑の汁がどっさり残っている。
片っ端から持っていこう。
子供たち用に、飲みやすそうな野菜ジュースなんかも。
「・・・うっぷ」
お隣のパンコーナーからの臭気を無視しつつ、カートを満載にしていく。
今までほぼ手付かずだったんだ、この周辺に人はあまりいないんだろう。
有難く頂戴しないとな。
粉末ジュース的なものは、かさばらないので全て持っていくつもりで回収。
長持ちするし、井戸水があるからいくらでも作れる。
生野菜に比べれば栄養価は低いだろうが、ないよりマシだ。
カートがパンパンになったので一旦帰る。
・・・お、先輩早いな。
もう既に、乾物が荷台にいくらか積まれている。
しいたけ、大根などの各種乾燥野菜に・・・乾燥豆腐かこれ。
いいよなあ乾燥豆腐。
栄養は知らんが、俺はこれと油揚げとタケノコの煮物が大好きなんだ。
斑鳩さん、作れたりしないかなあ・・・乾燥タケノコもあるし、今度お願いしてみようかな。
さーて、まだまだ物はある。
次に来た時にはなくなってるかもしれんから、この機会にごっそり持ち帰ろう。
軽トラ・・・最高!
「・・・あ!」
異臭を放つパンコーナーの近くで、俺はそれを見つけた。
「盲点だったなあ・・・」
そう、乾燥したイースト菌だ。
これでパンが作れる・・・んだよな確か。
オヤジがたまにやってたような気がする。
うろ覚えだが、そんなに難しそうではなかった。
とにかく、これでパンが作れるようになるな。
電気屋でパン焼き機的なものを回収した方がいいが、たぶんオーブンとかでもいけるんじゃないだろうか。
自衛隊とかそこら辺からもらったパンの缶詰はまだまだあるが、無限にあるわけじゃない。
これは持って帰るべきだな。
いい拾い物をしたもんだ。
お、ここ・・・ジャム瓶もむちゃくちゃ残ってるじゃないか!
恐ろしい色になった菓子パンとかに目を奪われて見つけ損ねるところだった。
密閉されたジャムは・・・うん、思った通り賞味期限がむっちゃ長い!
これは子供たちも喜ぶぞ。
『でかした田中』
・・・後藤倫先輩が一番喜びそう。
「壮観じゃのう」
「仕入れ業者かな?」
小一時間ほどスーパーとの往復をした結果。
我が愛車の荷台はパンパンになっている。
運転席からバックミラーが使えないくらいに。
「菓子もよーけ残っとったしのう、これでしばらくは大丈夫じゃろう。備蓄が尽きるころにゃあ野菜もできるじゃろうし・・・いっそ米も育ててみるかのう」
「麦の方が簡単だって聞きますけどね・・・ま、種なら原野にむっちゃくちゃあるんで試すだけならいけるでしょ」
「トラクターやら耕運機もそこら中に転がっとるしのう・・・いっそあっこに腰を落ち着けるのもええかもしれんのう」
確かに。
空き家(意味深)も山ほどあるし、田んぼも余りに余っている。
もともと過疎地域だったから休耕田だらけだし。
「お前もやらんか田中野」
「そっすねえ・・・このゴタゴタがある程度マシになったら考えましょっか。ヒヨコちゃんもいるし、野生化しつつある家畜とかも回収して」
「ええのう!大牧場と大農園ができるわい・・・わしの夢が叶いそうじゃ」
先輩が本当に嬉しそうだ。
はて、夢・・・夢ね。
なんだろう。
「先輩の夢ってなんですか?」
そう聞くと、先輩は腕を組んで破顔した。
「まずは保育園じゃ」
・・・?
「巴が免許持っとるけえな。でっかい土地を買うて・・・保育園じゃろ、畑じゃろ、そんで牧場を併設するんじゃ」
ほほう。
それはまた・・・でかい施設ができそうだなあ。
「子供らあと一緒に畑耕して、馬やら牛やら世話して・・・毎日楽しゅう暮らすんじゃ」
・・・それほぼ今の状況では?
なるほど、確かに夢が叶ってるな先輩。
「おまーも職に困っとったら、そん時は雇うてやるぞ」
「いやー・・・有難い」
「先生から皆伝もろうたら、そこで剣術も教えたらええ。わしは棒術じゃ」
・・・一体何年後のことになるんですかね。
一応(夢では)仮免合格なんだが・・・
「勿論先生もお招きしたいところじゃが・・・あん人は騒がしいのは好かんじゃろうけぇな、たまに出稽古を頼むだけでもええかのう」
・・・先輩の脳内では、師匠は何歳まで生きる予定なんだろうか。
いや、俺もマジでわからんが。
平気で100超えても生きてそうな気がするぞ。
「実はのう、原野の土地を買う予定だったんじゃ」
「え、マジすか」
今明かされるそれほど驚愕でもない事実。
「安いけぇのう、原野。何人かの地主とも話をしとってな・・・使用目的を話したら、爺さん婆さんも皆喜んでのう」
「そりゃあ、そうでしょう」
大型ショッピングモールとかなら反対もされようが、過疎化真っ盛りの場所に若い人が農業目的で来たいなんて・・・大歓迎だろう。
おまけに保育園で子供も増えるし。
元は田んぼばっかりの地域だから、騒音問題もなさそうだしな。
「中にゃあタダでもええっちゅう人もおってな・・・ぶっちゃけ候補が多すぎて選ぶのに苦労しとったんよ」
先輩夫婦は共働きだしな。
お金は大丈夫だったんだろう。
「じゃがのう・・・その矢先でこの騒動よ。ぜーんぶ白紙に戻ったと思うとったら・・・のう?」
「渡りにゾンビですな」
死んじまった人たちには申し訳ないがな。
「とまあ、こういうわけじゃ」
ふむふむ。
先輩が毎日生き生きしてる理由はそれか。
・・・・まあ、元気がなかったのは巴さんと合流する前の僅かな時間だったけど。
「よし、固定して帰ろうや。子供らあが待っとる」
「そうですね」
幌を出す準備をしよう。
これだけの荷物だ、しっかり固定しないと荷崩れを起こして最悪横転事故だからな。
この状況下で事故なんて起こしたらもう目も当てられん。
先輩がいると作業が楽だ。
縦にデカいし力もあるし。
いいことづくめだなあ。
・・・なんて、思ってたんだが。
「先輩」
「おう・・・このまま作業のフリじゃ。よほどの馬鹿じゃない限りスーパーに行くじゃろ」
作業も終わりかけ、そろそろ出発できるなと思った頃。
駐車場に5台の車が入ってきた。
同時に来たから、恐らく同一の集団だろう。
こんな状況だから、仲間と動くのは効果的だ。
だが・・・その目的は何だろうか。
俺達みたいなただの物資回収ならいいんだが・・・
「あ、先輩たぶん駄目っす」
「顔は口ほどに・・・じゃのう」
黒いライトバンから降りてきた人間を見た瞬間に、俺は希望的観測を捨てた。
どう見ても・・・日々を一生懸命生きてるタイプの人間じゃねえ。
なんだそのカラフルな両腕。
一生銭湯に入れねえぞ。
「銃の準備は万全です、柔軟も」
「わしも、さっきのであったまっとるわ」
お互いの武器はあいつらからは死角。
今の俺たちは、こそこそ動く一般市民にしか見えないだろう。
先輩は車の影だし。
「いっぱいあるね~!おじさんたち~!!」
案の定、知性の欠片もなさそうな声で話しかけられた。
ちらりと視線をやると・・・ふむ、20人前後か。
男の集団だが、そのどれもがマトモな職が出来なさそうな雰囲気である。
隠すこともなく、大っぴらに武器を持っている。
なんでチンピラってみんな鉄パイプすきなんだろ。
・・・銃は確認できないな。
詩谷には鉄砲店ないし、警察・・・宮田さんたちが摘発してたし。
「ああ!まだまだ店内に残ってるぞ!欲しけりゃ早いもん勝ちだ!!」
「マジかよ!」「やったあ!!」「ラーメンあっかなラーメン!!」
俺がそう言い返すと、半分ほどの人間が喜んでスーパーへ向かった。
そういう素直さは評価できる。
残った半分は・・・うん。
俺たちをニヤニヤと凝視したまま、動かない。
「おじさんたちさあ・・・むっちゃ清潔じゃん!どこの避難所!?」
・・・ほう。
タダの馬鹿じゃなさそうだ。
そこに目をつけた人間は初めてだな。
確かに洗濯もしてるし、髭も剃ってる。
今度からはこういうところにも気をつけんといかんかな・・・いや、いいわ。
偽装のために風呂に入らんとか、ちょっと嫌すぎる。
「避難所には入ってない、家で暮らしてる」
適当な壊滅避難所の名前を挙げてもよかったが、面倒くさい。
「へーえ!ねえ!どこどこ!」
両腕がカラフルな男は、馬鹿にしたような口調で聞いてくる。
「・・・それを聞いてどうしようってんだ?」
「おじさんは~、家を俺たちにくれる!んで、命は助かるってワケ!わかる?優しいっしょ~、俺たち!!」
やはりタダの馬鹿だった不具合。
「ついでにこの車と荷物も・・・ってわけか?」
「物分かりいいじゃ~ん!!」
はは、優しいなあ。
元からなかった罪悪感をマイナスにしてくれて。
「無駄だとは思うが・・・一応言っとく。俺たちに構わずにこのまま店から物資だけ持っていけば、死なずに済む・・・」
言ってる途中で、奴らが動いた。
早歩きでこちらへ近付いてくる。
俺が車に乗り込んで逃げるとでも思ったのだろうか。
「うらぁ!死にたくなきゃとっとと家の場所教えりょ!?!?!?!?!?」
威嚇しようとバットを振り上げた顔面がカラフルな男。
その手首に、鉄板めいた大きさの手裏剣が突き刺さった。
先輩の特製手裏剣だな。
もう手裏剣の範疇から飛び越えてると思うな、その威力。
「えあ!?ああ!?いで!!いでえええええ!!!!」
8割がた切断された手首を押さえて地面に倒れる男。
さっきまで余裕しゃくしゃくだった面々が、一斉に動きを止めた。
「やるか、田中野」
「はい」
軽トラの影から、先輩が八尺棒を構えて姿を現した。
「っひ!」
俺を完全に馬鹿にしていた先頭の男は、目に見えて顔色を変えた。
そりゃそうだろう。
いきなり190オーバーの大男が、冗談みたいな武器持って出てきたんだから。
「後ろを潰すわ」
「じゃ、前は俺が」
軽トラの荷台に隠した兜割を引き抜き、走る。
先輩は奴らの後方へ回り込むように、逃げ場を塞ぎつつ疾走。
「っひえあ、ああ!ざっけん、ざっけんな!!」
両腕カラフルマンが、獲物の鉄パイプを振り上げるが・・・
「遅い!!」「いぎゃ!?」
その肩に、兜割を振り下ろす。
骨を容易く砕いた兜割をそのままに、腹に前蹴り。
そいつは後方の2人を巻き込んで転倒、剥き出しの後頭部をアスファルトで強打。
「このやr」
無事な1人が叫ぼうとする。
馬鹿が、それより先にすることあるだろ。
「っし!!」「ェ!?!?!?!?」
大上段から振り下ろした兜割が、咄嗟に防御しようとかかげられた鉄パイプを曲げながら頭頂部にめりこむ。
おお、威力がダンチだ!
前と同じように振り下ろしたのに、破壊力が上がってる!
「やめ!やめてくださギャ!?」
視界の隅で、懇願した男が八尺棒の一撃で鉄パイプごと胴体をへし曲げられるのが見えた。
・・・あっちもすげえ威力だ。
「て、てめえらああああああ!!!」
スーパーに行った集団が、異変に気付いて武器を片手にこちらへ走ってくるのが見える。
あーあー・・・物色だけなら見逃してやったかもしれんのに。
まあ・・・・こいつらと同じ穴の狢だろうから、そんな気はないが。
生きるのが下手くそだなあ、あいつら。
「ひい!!ひいいあああああああ!!!」
苦し紛れの一撃を兜割で受け流し、最後に上方向へ弾く。
何の防具も付けていない胴体が、がら空きに。
「ふん!」
腹に渾身の一撃をお見舞いすると、そいつは声も出せずに倒れた。
胴あり一本!ってやつだな。
後ろの方は・・・・うん、七塚原台風によってほぼ壊滅状態だ。
ずりいよ先輩、一撃で複数持ってくのは無双ゲーだけにしといてくださいってば。
「このおおおおお!!!あっ」
見え見えの一撃を下がって躱し、同時に空いた喉に突きを入れる。
カウンター気味の一撃は、するりと喉を貫通した。
・・・鎧通し、すげえ。
こんなに簡単にいくとは。
おっちゃんに感謝だな。
そんな感想を抱きながら、俺はパニック陥った残りを片付けるべく踏み込んだ。
こいつらは、俺たちみたいな相手だから逃げようとしているだけだ。
別の弱い相手には、こうはいかない。
ここで・・・全員片付ける!
「物資も手に入った、武器ももろうた、おまけにゴミ掃除まで!今日はええ日じゃったのう!!」
豪快に、先輩が助手席で笑っている。
あの後は何ということもなく全員成仏させることができた。
詩谷も、これで少し安全になったな。
龍宮にばかり目が行っていたが、こっちもいるもんなあ・・・ああいう手合い。
っていうかどこにでもいると思うけども。
ううむ、みんながゾンビに慣れだしてきたのだろうなあ・・・前にも言ったが。
ああいう何のためらいもなく暴力を行使できる人間がのさばり始めたのも、納得だ。
まあ、そこは最近容赦がなくなってきた警察の皆様に適度にお任せしよう。
「今晩の飯は何じゃろうかのう!」
詩谷に別れを告げ、山道に入る景色を見ながら先輩が言う。
「なんでも美味いっすからね、斑鳩さんの料理は」
マジで店が出せると思うな、俺。
先輩がいつか建てる保育園っていうか牧場の近くで営業して欲しい。
あ、翻訳家だったっけ・・・じゃあ無理か、残念。
サクラにも早く今回のお土産を渡してあげたいなあ。
「そういえば先輩、巴さんの料理だと何が一番好きなんですか?」
「全部」
「え?」
「巴が作るもんは、全部この世で一番美味いわ」
・・・ごちそうさまですぅ。
久しぶりに宣伝でも。
明日最新話が投稿される異世界おじいちゃんも、よろしく!!
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