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11話 知識収集のこと

知識収集のこと




今日は本屋にやってきた。

自宅から車で30分の所にある、レンタルビデオ店と合体したそこそこ大きい店舗だ。


目的は野菜の栽培や、保存食などの本を探すことだ。

ついでに余裕があれば気になってた漫画の単行本もいただいておこう。

・・・一昨日のホームセンターでのアレが響いて寝坊してしまった。

まあ今回はここの探索だけなので問題はないだろう。



駐車場の端に軽トラを停め、様子をうかがう。

他に何台か車があるが、車内に人影はない。


ここの本屋は前面がガラス張りなので、中がよく見える。

うーん・・・見える範囲にはいないな。

中まで明るい店だからゾンビはいないのかな?


車から降り、いつものように木刀を左腰に・・・いや右腰にマウントする。



ああそうそう、今日からは左腰に日本刀を差すことにした。

前のホームセンターの一件から考えを改めた。


ああいうアホには目に見える威嚇が必要だと痛感した。

言葉で伝わらないなら見た目で威嚇するしかない。

木刀ではいまいちパンチに欠けたため、あの金髪低能猿2匹にはあそこまで脅す必要があったのだ。

まあかかってきたら骨の5、6本はへし折ってやるつもりだったが。


だが日本刀ならどうだ?


見た瞬間に明らかにヤバい奴だとわかるだろう。

まともな人間なら絶対に近付かない。

余計な労力を使わずに、無用な争いを回避できるというわけだ。


・・・だといいなあ。


ちなみに日本刀だが、俺が3振り所有しているうちの一番の安物を使うことにした。

それでも結構な値段だが背に腹は代えられまい。

居合の所作が練習しやすい、二尺という短めなやつだ。


この日本刀は威嚇・人間用に使うことになるだろう。

掃除や手入れが面倒なので、ゾンビは斬りたくない。

できれば人間も斬りたくないので、アホ共には自重して欲しいものである。


さすがに木刀と日本刀を差した場合、重さでズボンが下がってしまうため、ベルトに加えておやじのサスペンダーも使っている。

・・・余ってるベルトでガンベルト的なものを作ろうかなあ。

背中に背負うと咄嗟に抜けないからなあ。

残念ながらニンジャは履修していないのだ。



さて、そんなこんなで何事もなく本屋に侵入成功。


えーと、栽培とか食物関係はどこの棚だろうな。

この本屋には漫画を買いに来たことしかないからな。


『読めばわかる!骨法の秘技!!』


・・・まったく予定になかったが超気になるのでこれは持っていこう。

骨法は手を出してなかったしな。


お、あったあった。


『お手軽家庭菜園のススメ』


パラパラとめくって内容を確認。

写真付きで大変わかりやすい。

今回植えた野菜についての項目もあったし、これに決まりだ。

次は保存食だな。



『キビヤックに見る北極圏の様式』

・・・違うなこれは。

気になるけど持っていくほどではない。


『シュールストレミングのおいしい食べ方』

・・・まず食いたくない。

たしか世界一臭い缶詰だったか?


『ホンオフェの多様性』

・・・なんかここのコーナー癖強くないか!?


その他は漬物とかの本ばっかりだな。

災害系のコーナーを探すか。



『備えよう!おいしい保存食!』

・・・これはどうだろう。


中を確認。

ふむ、保存食のおいしい調理法や、燻製や塩漬けの作り方なんかが載っている。

長期保存がきく食べ物の種類とかもあるな。

へー、ハチミツってそんなに長持ちするのかあ。

よし、これにしよっと。


時間が余ったので、気になっていた漫画の単行本を何作か物色していく。

・・・しかし、新刊が読める日は来るのだろうか。

悲しくなってきた。



目当てのものを手に入れたので、さっさと帰ろう。

空が少し曇り始めてきた。

そろそろ梅雨の季節だし、こうやって伸び伸びと探索できる日も少なくなってきそうだ。




「だっ、だれかっ!たすっ助けてぇ!!!!!!!!」



車に乗ってエンジンをかけようとしているまさにその時、けたたましい叫び声が聞こえてきた。

本屋の隣にあるスーパーの方角からだ。


・・・どうしよう。


正直、助ける義理はないのだ。

赤の他人を命を危険にさらして助けるのはリスクが高い。



「誰かあっ!誰かいませんかァ!!」



だがなあ・・・声聞いちゃったしなあ。


他人の命は背負いたくないから一人でやっていこうと決めた。


だけどここで見捨てたら、俺はこの先何回も


「あの時助けられたよなあ・・・」


「助ければよかったかなぁ・・・」


などと、ことあるごとに微妙に後悔しそうな気がするのだ。


・・・それはよくない、健康的で文化的な生活のためにそういう後を引くのはよくない。


うん、助けよう。



俺のちっぽけな自己満足のために!!!



・・・いいんだよ助けられた方には言わなきゃわかんないんだから!!


助けた後はそこら辺の避難所に連れて行けばいいか!うん!



エンジンをかけ、スーパーに突撃。

本屋の隣だからすぐだ。



スーパーの駐車場の真ん中あたりにゾンビの人だかりが見える。

多いな、10体くらいはいるぞ。


・・・こりゃ手遅れかな?


いや、ゾンビのたかっている先。

トラックの上に人影が見える!

1人か。

学校の制服らしきものを着ている。

女子生徒だ。



「おーい!そいつらは登ってこれない!そのまま動くなぁ!こっちでなんとかする!!」



俺はゾンビ共の横をかすめるように通り過ぎながら、学生に叫ぶ。



横滑りさせながら軽トラを停め、木刀をひっつかんで車外へ。

奴らの注意を引き付けるために大声で叫ぶ。




「・・・かかってこいオラぁ!!バケモン共ォ!!!」













やっと女性が出てきた・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の考え方が一貫してて物語を読む際にストレスを感じないで読むことができる。作者さんがしっかり設定をして書いてるように感じられた。 [一言] 臭い食べ物のところ読んで思ったんですけど、も…
[一言] 作中で骨法の2文字を見た時、あまりの懐かしさに笑ってしまいましたわw
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