表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/387

10話 環境整備のこと

環境整備のこと




ホームセンターでの戦闘。


その後の生存者との初遭遇。


そしてアホ2匹との一悶着。


心身から疲れ果てた俺は、帰宅するなり荷ほどきもせずに乾パンを齧って眠りについた。

まだ昼間だったが本当に疲れていた。


起きた時間は深夜3時。


いかん、生活リズムが狂ってしまう。

明日、いや今日は出かけずにゆっくり過ごした方がいいな。

真っ暗な室内でぼんやりそう考えていた時。


「ァァァァァァァ・・・」

「ゥゥゥ・・・」


窓の外から微かにゾンビの声らしきものが聞こえてきた。

布団を跳ねのけると急いで二階に上がり、窓越しに声が聞こえた土手の方を見る。

街灯と、闇になれた目のおかげでなんとかゾンビを視認することができた。


「むっちゃ動いてるじゃん・・・」


5体のゾンビが行進している。

どこへ行くか知らないが、人間を見つけたわけではなさそうだ。

昼間より随分とアグレッシブだなあ。


今までのことも合わせて考えると、ゾンビは夜行性なのか・・・?

というか、明るい時に受動的に、暗い時に能動的に動く感じなのかな?


ふーむ、そう考えると探索は昼間、それも晴れの日に行った方がよさそうだ。

畜生、天気予報が知りたい。

夕立なんかも考えたら、車移動は基本だな。

ガソリンを切らさないようにしよう。



夜が明けたので、朝食を食べ本日の作業に取り掛かる。


まずは昨日調達してきた発電機を試そう。

設置場所は家の外にする。

静音を売り物にしてたが、夜なんかは音が響くし大丈夫だろうか。


昨日の帰りにガソスタで調達しておいた軽油を入れ、始動させる。

発電機があるのか昨日は機械が問題なく動いていたが、今後はわからないな。

でかいスタンドには手回しでガソリンをくみ上げられるものがあるって聞いたことがあるから、今度探してみよう。


おっと、エンジンオイルも入れないとダメなんだったな。

丁寧にも発電機の隣に並べてあってよかった。


チョークを引いて始動キーを回すと、ブルンと音を立てて発電機が動き出した。


ふーむ、静音仕様というだけあってそんなにうるさくはない。

夜に動かしても問題ないかな?


いや、油断は禁物。

防音壁みたいなもので覆えば、より安全なはずだ。

今度またホームセンターに行って探してみるか。


とりあえずは昼間だけ動かすことにする。

昨日大量に仕入れたバッテリーを片っ端から充電して、夜はそれを使おう。


冷蔵庫やテレビなんかは、その結果を見て使うか考るか。

あっ!DVDを見るだけならポータブルプレイヤーという手もあったな・・・盲点だった。

・・・電気屋の探索も視野に入れておこう。


ソーラー式バッテリーはどこまで使えるかわからないので、日当たりのいいところに放置。

充電できてたらラッキーくらいの気持ちでいよう。


そういえば太陽発電機って自作できるのかな?

お手軽組み立てキットとかそういうの売ってないかなあ。

まあいいや、とにかくこれで最低限の電力は確保できたぞ。



次は食料の確認だ。


災害用品フェアのおかげで、長期保存可能な食料がかなり手に入った。

目測でざっと見積もっても2,3か月分の備蓄ができたと思う。

アルファ米なんかはレトルトカレーのパックみたいな形なので、かさばらなかったから大量に持ち出せたしな。

災害用だけあって、他の食品もみんな賞味期限が長い。

乾パンは5年も保存できるとは知らなかったなあ。

ガスコンロがあるので即席めんや乾燥パスタも食えるようになった。うーん夢が膨らむ。


ただ、毎日食うと飽きるし栄養失調になりそうなのがネックだ。

生鮮食品をどうするか、それが問題だ。


牛や豚、鶏なんかは牧場にはいるだろうが、餌がもらえなければ遠からず餓死するだろう。

それに鶏はともかく牛なんか捌くのも大変だしできる気もしないし、なによりめんどくさいのでやりたくない。


まあ、大豆は畑の肉って言われるらしいし代用できるかな。

昨日仕入れたものの中に、たしか大豆もあったはずだ。



そうなると、俺が手っ取り早く手に入れられそうな生鮮食品は魚しか思いつかない。


川魚は何が食えるかいまいちわからないのでパスだ。

俺もおやじももっぱら海釣りばっかりやってたから、狙うなら海だな。

魚以外にも海藻やら貝やら、海には食えるものはいっぱいある。


わが県は西側が海に接している。

距離は車で1時間半ほど。

生餌は早々に全滅するだろうから、ルアーを使うしかないなあ。

いくつかあったはずだが、念のためにどこかの釣具屋で予備を見つけておきたい。

幸いおやじは釣りキチだったので、竿やリールその他の道具は潤沢にある。


今すぐというわけじゃないが、海まで行くことも考えておこう。



一息ついたので昼飯にする。

カセットコンロを使ってラーメンを作ることにした。

家にあるものの中で、一番賞味期限が短かったからだ。


腹ペコなので2袋一気に茹でる。この麺だけ茹でてる時のにおいってなんか好きなんだよなあ。

ちなみに俺は若干固ゆで派だ。


鍋から直接食う。

具は一切ない。ハムって長持ちするんだっけ・・・?まあいいや。


うほお!うまい!最高!!


やっぱり日本人は醤油味だよなあ。

一気に食ってしまった。

暖かい食事はいいな・・・



しかし、長期保存できる食い物や、保存食の作り方なんかはしっかり知っておく必要があるな。

あやふやな知識で作って食中毒にでもなったら孤独死確定だ。

このゾンビ騒動がいつまで続くかわからないが、備えは必要だろう。



本屋の探索も考えないとな。

うーん行くところが増えてきた。



ゾンビのおかげで毎日が充実してるぞ!



・・・この考え方は危険な気がする。

少なくとも、危険だと思える自意識を大事にしておこう。



昼飯を食って少し休憩したら庭に出る。


母親が丹精込めて育ててきた花やなんかを片っ端からひっこ抜いていく。

ごめんねおふくろ、かわいい息子の食料のためなんだ。

許して許して。


お花で心は豊かになるが食わねば体が貧しくなるのだ。


急にゾンビが来た時のことを考えていつもの探索用の服を着ているので、暑くてしょうがない。

汗をかきながら作業を続ける。

庭の一角が綺麗に坊主になったので、母親の使っているコンパクトな鍬みたいなもので耕していく。

イイ感じに土がむき出しになったので、適当に形を整えて畑のような状態にでっち上げた。


今回植えるのはミニトマトとなんか小さいレタス、あと台所の片隅で芽を出していたいくつかのジャガイモだ。

種のパッケージの裏面の説明文を読みながら植えていく。

ジャガイモはそのまま豪快に埋める・・・いいのかなこれで。

しっかし、レタスは収穫まで2か月もかかるのかよ。

ミニトマトは50日前後と。

命を育てるのは刈り取るよりも大変なんだなあ。当然ながら。


肥料などに不安が残るが、花がすくすく育ってたんだからまあ大丈夫だろう。

ちなみに母親の花は、土にザクザクと混ぜ込んで簡易肥料のようなものにした。

ないよりはマシなんじゃないかな、たぶん、おそらく、きっと。


・・・本屋に行ったら家庭農園系の本も探そう。



俺は汗だくの体で帰宅した。

風呂に入りたいなあ・・・井戸のおかげで水はあるし、コンロであっためたお湯で体を拭けるだけましか。

夏は水風呂でいいけど、冬はどうすりゃいいんだ。


デカい鍋に湯を沸かして風呂に入れればいいのかな。



うーん、少し便利になるとどんどん欲が出てくる。


これもまた人間の業の深さというものなのだろう。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 秋津さん川魚は大抵の雑魚は素揚げにしてポン酢で 南蛮漬けにすれば食えるよ? 鯉も鮒も内蔵を抜けば良いよ? ブラックバスは空気袋横の脂肪を綺麗に落とすと 臭くないよ?ブラックバスの臭みの元は脂…
[気になる点] >静音発電機 超低音のもので50デシベルくらい。エアコンの室外機程度の音で、普通の生活音の中では気にならないようです。 しかしゾンビはガラスのジャリ音や石投げた音程度にも敏感に反応して…
[一言] 川魚は生じゃなければほぼなんでも食べれる 海の魚の方が毒やらなんやらで意外と危険
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ