いざ、ダンジョンへ
この世界の中心である1000年ダンジョンの上に高々と建っているのは1000年ダンジョンを管理し、この街の統制もしているギルド本部である。その歴史は1000年ダンジョンが発生した時と同じくすると言われている。
曰く、『この世界を攻略する鍵がある』と。
曰く、『ギルドが1000年ダンジョンを創った』と。
曰く、『ギルドは神によって創られた』と。
その真実を知る者はもう誰もいない。
グラズヘイムに来てから3日が経った。傷の治療のせいでこの3日間はずっとベットの上。しかも、金のない俺はカミルと一緒の部屋に寝泊まりをしていた。
そして今日、はじめての1000年ダンジョンに挑戦する。俺は、ギルドに冒険者としての登録とダンジョンに入るための申請をするため朝早くギルドを訪れている。ちなみにカミルはとっくに登録を済ませている。このあと、カミルと落ち合う予定だ。
「今日はどういった用件でしょうか」
俺の受付をしてくれたのはハーフエルフの美しい女性だった。思わず一瞬、ドキッとしてしまった。
ショートボブの髪を耳へと掛けた。そこから覗かせる長い耳と雪のように白い頸がエロい。
見惚れてしまい何も話さずに妙な間が生まれる。
「あと、えーと、その、冒険者登録とダンジョンの探検申請がしたいんですけど」
緊張した声で恐る恐る言った。俺の耳は紅くなり、受付のお姉さんから目を逸した。
「ぼ、冒険者登録と探検申請ですね。その用紙に必要事項をお書きください」
妙な間のせいで受付のお姉さんは気不味そうに言ってくる。
変な空気のまま登録と申請が終わりギルド前のベンチに腰を掛ける。
「おい、ニート何疲れてるんだよ。じじくさいぞ。まあいい、お前に今回一緒のパーティを組むやつを紹介する、つってもお前も知っているやつだ」
「久しぶり、カルミアよ。専門は主に中衛で魔法が使えるわ。よろしく」
カルミアは杖を持ち、魔女の格好をしている。腰にはポーションの入ったケースを下げている。胸の不自然な膨らみが気になるところだがいまはいい。
「こっちこそよろしく頼む」
そして、もう一人はもちろんゲンブだ。相変わらず何も話さず、頷くだけだ。
ゲンブは全身を鎧で覆われている。特に特徴的なのは左手に持っている大盾だ。背中に片手剣がある。いかにもタンクとしての格好だ。
カミルは軽装備で両手剣を背中にさしている。このパーティのリーダーはカミルが務める。
俺はと言うと、革鎧にナイフを持ち、黒いローブを着ている。話し合いの結果俺は、このパーティの荷物持ちとなった。
前回の戦いであんなに不甲斐なかったのだから仕方がない。
実は、このパーティはあの戦闘があった後にすでに決まっていた。
俺は、今出来ることを精一杯やるだけだ。
「さあ、ダンジョンに行くぞ。身を引き締めろ」
カミルはそう言いダンジョンへ降りる階段へと向かった。