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針指す時の終末日  作者: 鳥路
夏樹編序章「明治からの客人と時間旅行」
16/83

2ー15:5月31日。戸惑いの最先端

幸雪君が現代に来てから一ヶ月以上経過した

未だに「やるべきこと」なんてわからない

それでも日々は過ぎていく


気が付けば、明日には六月になる

なんだか、大きく事態が動きそうな・・・そんな予感を感じていた

しかし、今はそんなことはどうでもいいのだ


少し早めの梅雨入りから数日

長袖から半袖に衣替えを行い、うちの居間にも暑がりのお兄ちゃんの為に扇風機が配備された

そんな日のことだった

幸雪君が自分の「A‐LIFE」を手に入れたのは


「これが・・・「A‐LIFE」・・・!」


私と同じ耳に着用する「イヤー型」をセレクトしたそうで、少し大きめの箱には耳に着ける本体と、留め具と音声入力装置・・・充電器に加えて説明書が封入されていた


「遂に・・・俺も、文明人!」

「よかったな、幸雪」

「よかったね。幸雪君」


お兄ちゃんが幸雪君の代わりに「A‐LIFE」を組み立てて、彼に手渡す


「充電器はあるけど、基本ソーラーだからもう使えるぞ。夏樹みたいに耳に装着してみろ」

「ソーラー・・・確か、太陽光発電のことだな」


幸雪君は青色の「A‐LIFE」を耳に装着する


「留め具は調整しなくていいか?」

「これで大丈夫だ」

「そのリンゴみたいなマークのボタンを押すんだよ。それが電源だから」

「これだな」


幸雪君の手を電源ボタンがある場所まで運ぶ

それで彼は位置を理解してくれたようで、そのまま電源ボタンを押した


「何か色々なものが出てきたぞ」

「右側に、画面共有って書かれてないか?」

「あ、ああ・・・これだな」

「それから俺と夏樹を探してくれ。近くにいるから一番上に出てるんじゃないか?」

「これと、これか」


幸雪君が私たちに画面共有の許可を求める通知が私とお兄ちゃんの「A‐LIFE」に入る

私たちが承認ボタンを押すと、パスコードを求める画面が出た

幸雪君からパスコードを教えてもらって、私たちはパスコードを入力する

これで、画面共有の設定は終わりだ

幸雪君の画面が私とお兄ちゃんにも見えるようになる


「これでいいのか?」

「うん。ばっちりだよ」

「そうか。それで・・・今、俺は何をしているんだ?」

「今、お前のアカウント登録・・・この「A‐LIFE」を便利に使うための設定をしてる途中だ」

「ほうほう」

「あらかじめ販売店で作ってもらった「マイクロ情報メモリ」を入れているから、登録はすぐに終わる。しばらく待っていろよ」


マイクロ情報メモリは、販売店で作成する個人情報が登録されているメモリだ

それを「A‐LIFE」にあらかじめ埋め込むことで、その「A‐LIFE」はそのメモリに登録されている人物の脳波と登録されている情報を読み取り、専用機械になる

メモリが存在していた場合、他者が使用してもうんともすんとも言わなくなるそうだ


逆の場合は暗証番号を突破されれば他人でも使えるようになる

当人がメモリの情報を読み取るのはいたって簡単だ

しかし他人が読み取るには正しい鍵を使った状態で当人にしかわからない五十問ほどの問いをランダムで出題されるそうだ

一つでも間違うと、メモリのデータは消えてしまうらしい


ついでに、位置情報発信と警察への通報機能付き

銀行口座の情報とか、暗証番号とか丸ごと登録しているから落としたらどうしようという声も上がるが・・・制作会社の社長が最新鋭の情報暗号を採用しているため漏洩はないと断言している

そういうのに詳しい知識は何もないため、大丈夫と信じるしかない


「あ、メニューになったね」


設定が完了したようで、視界には初期設定のメニューが展開された


「これでこの「A‐LIFE」はお前専用になった」

「本当か!え、ええっと・・・」


幸雪君は喜びながらも、次は何をしたらいいか戸惑っている

それに私とお兄ちゃんは顔を見合わせて笑う


「私とお兄ちゃんの連絡先を教えるね。それで電話とチャットの練習してみようよ」

「あ、ああ!」

「お兄ちゃんは幸雪君に連絡先送ってよ。幸雪君は私に連絡先送ってみよう」

「わかった。やってみるよ」


その日一日、私たちは幸雪君に「A‐LIFE」の操作を教えていく

彼がある程度のことができるようになったのは、日が暮れてからだった

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