>違うな。今のお前は、お前自身が思う良い人でいるために動こうとしている。お前は、良い人だと思われたいから殺すんだ
>「違うな。今のお前は、お前自身が思う良い人でいるために動こうとしている。お前は、良い人だと思われたいから馬鹿王子を殺すんだ」
>クラウスさんの言葉は、鋭いナイフのように僕の心に突き刺さりました。
>「こいつも前に言った事だが、一つの物事も見る立場によって違って見える。一方からは極悪だと思える事も、別の方向からみれば正義だったりする。だから立ち位置の定まらない奴は、善悪の判断に迷い身動きが取れなくなっちまう。逆に立ち位置の決まっている人間は、判断に迷う事が無い、だから行動にも迷いが無い」
(━_━)うーむ
いかにも「軍人らしい優先順位をつけて味方でも切り捨てるべきは切り捨てるという軍人的判断基準による台詞」という感じでしょうか
客観的な善悪と主観的な利害を比べて常に主観的な利害を客観的な善悪に優先させるのが軍人的判断基準で
客観性や善悪など戦いの場に存在しないという理屈を
戦場という「本来あってはならない場での緊急避難の理屈」と考えず
しばしば政治や日常に持ち込むので
軍人は政治に携るべきでなくシビリアンコントロールされなければならない
という商人の世界の常識で動く近代国家によって抑制される考え方で発せられた台詞で
いかにも「人文科学が発達していない世界らしい判断基準」ですね
敵と味方を区別して敵を倒すだけで褒められるのではなく
「人道性という善悪の価値観」を無視した勝利を得れば「戦争犯罪者」として裁かれる近代社会と違い
「殺し合いなんだから善悪は関係なく悪に成り切れ」という狂気の肯定
「武士道は死狂ひなり」という中世軍人の論理に未熟な未成年者は呑まれやすく
それを理解して誘導するような台詞です
ケントは「警察官」が市民を護るために緊急避難としての発砲による殺傷は「善悪基準」であるが
「軍人」が誰か特定の人間や組織のために利益のために発砲する殺傷は「利害基準」である
という区別を曖昧なものにしてしまいましたしね
そういう
善悪という分別を戦場で無用とする「狂獣の論理」で
現代の日本に例えると
「軍人」としての戦いこそが正解で
「民主警察」から派生した「自衛隊」の論理は「偽善」で無意味だという「欧米式国家傭兵としての武士思考」こそが絶対的正解
という軍国主義的な思考ですが
中世以前の「善悪を宗教に依存して理性で考えない文化」だと
ごくあたりまえの考え方から出た台詞です
現代の
「科学理論としての人類の生存戦略に利するか害するかの善悪」という考え方がなく
「絶対的正義は神にのみある」という常識から生れた考え方ですが
現代でも「権威主義のカルト」として強い影響力を持っている考え方で
「信じれ続ければ、願いは叶う」というキャッチフレーズが
「信じて他のライバルより長く、不断の努力を続ければ、ある程度迄の願いは、かなりの確率で叶う」
という現実の本質を歪める誤解を招くものだという話のような
一見正しそうだけれど大きな誤解を招きやすい軍人思考なので
物語のどこか──例えば教師や警察官の意見として──で反対意見も取り上げたほうがいいかもしれませんね




