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第五十五刻印記録保管庫 上層  作者: 文車
瓦斯と洋灯
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組織――人魔境界域保全機関「妖精の輪」


 フェー=ルウェン。

 魔力世界と現世、その境界を保ち、魔力世界側のものが現世の人々を脅かさないよう守る人道機関。

 様々な部門に分かれており、他組織とも積極的に提携し活動している。部門は以下の九部門に分かれている。これらの部門は本部並びにその国・都市ごとの支部に入っており、現場で動くのは常駐部門が主。


□総合部門…組織全体を統括する部門。他機関や組織が関わる任務などでは総合部門から直接指令が下る。

□人事部門…人員の確保や異動を管理する部門。【妖精の輪】内の人事だけではなく、他組織からの出向や規律に違反した職員の処罰内容の決定もこの部門が行っている。

□境界部門…現世と魔力世界の境界を保持する部門。魔力世界からの影響が現世に伝播する規模を最小限に留める、認可されていない世界間の移動を防ぐ他、現世側から魔力世界に渡ってしまう現象が起こるポイントを特定し未然に防ぐなどその業務内容は多岐に渡る。

□監視部門…別称は「天文塔」。担当区域で強大な魔力反応がないか、魔力世界側の生物が出現していないかなどを監視する部門。「監視」という言葉を嫌がる職員も多く、大半の職員がこの部門のことを「天文塔」と呼んでいる。これは古来、災厄を予知する占い師や星見、学者達が空のよく見える星見の塔に集っていたことに由来する。

□情報部門…その名の通り情報を管理する部門。記録機関【右筆】と提携し、膨大なデータとその処理を担っている。また現世のマスメディアや情報媒体に魔力世界側のものが感知された場合にはその情報を抹消・偽装するのもこの部門である。

□施設部門…戦闘で破壊された建物や道路の修復を行う部門。情報部門と連携して魔法やそれに準ずる生物などの痕跡を消すほか、必要があれば戦闘後の痕跡を保存するのもこの部門の仕事である。

□医療部門…肉体面の怪我だけでなく、魔性のものに吸い取られた魔力を補う、かけられた呪いを解くなどの対処を行う部門。前線に立つ職員の治療もだが、現世の事件で大きな被害を追うのは現世の人間が大半であるため、魔力世界の人間と比べて魔力量の少ない現世の人間に合わせた治療を行うことができるのが特徴。

□技術部門…魔法や魔術で道具を作成・修復する部門。ほとんどの常駐部門には魔力技師が所属しているため一般の職員が支部の技術部門に依頼することは少なく、平時の業務は各種結界を展開する魔石や空間拡張技術を使っている部屋などの管理とメンテナンスが主。

□常駐部門…崇達が所属する、【妖精の輪】の実動部門。各都道府県の市区に置かれており、東京支部は二十三区それぞれに一つずつ常駐部門が置かれている。部門によって人数はまちまちだが、最低でも五人はいる。構成は部門代表と魔力技師、【右筆】派遣の記録者が原則で、戦闘が可能な職員が詰めていることが多い。いつ事件が起きても即座に動けるよう、シェアハウスや寮などの形で共同生活をしている常駐部門も多い。


 長は碧虚真君(へききょしんくん)と呼ばれる中国の仙人。存在感はあるがそれを表立って主張することもなく、常に落ち着いた人物だといわれている。魔力世界と現世の境界、そして現世の人々を守るという確固とした信念を持ち、そのためなら山を下り海を越え西の人々と言葉を交わすことも躊躇わなかったという。

 本部は中国の仙境にあると云われているが、その信憑性は定かではない。本部に出入りしたことのある者には本部に関する全ての機密を漏らしてはならないという内容の契約(ギアス)が結ばれており、それは同じ【輪】の仲間に対しても同様である。



東京都中央区常駐部門“パンドラの檻”

 【輪】の常駐部門のひとつで、銀座を拠点としている。表向きには夜間喫茶として営業しており、煉瓦通りの裏路地に入り光る石の入った洋灯(ランプ)があればそこが喫茶店「Lampe」である。

 職員は記録者の優一を除いて全員が呪い持ちだが職務も人間関係も普通に機能している珍しい常駐部門。妖精を除いて四人しか所属していない部門だが滞りはなく、部門員一人一人の能力もトップクラスである。

 拠点詳細は以下の通り。


・喫茶店「Lampe」…夕方から深夜にかけて営業している夜間喫茶。落ち着いた雰囲気で、夜に上等な紅茶や珈琲を飲みながらゆったりと過ごしたい人にはうってつけの喫茶店。アルコールも提供しているが、メインは紅茶。茶葉や豆は崇が、アルコールはウォルフが仕入れを担当している。ほぼ趣味。

・住居区…喫茶店の裏はシェアハウスになっている。外国人向けに作られているため天井は高く、広々としている。空間拡張技術を用いているため外観よりもかなり広い。リビングにはテレビ前のローテーブルを囲んで大きなソファーが並んでおり、ふかふかで座り心地抜群。

・工房…崇の工房。他の部門員は呼ばれていない限り立ち入り禁止。魔法使いの工房であるため数々の摩訶不思議な材料や道具で溢れており、妖精や精霊の出入りも多い。

・庭…こちらも崇の管理物。薬を作るのに使う薬草や植物、花や野菜を育てている。崇は育てられる植物は自分で育てており、そうでないものは外で調達・購入している。崇が留守にしている時は庭の妖精が管理している模様。

・崇の部屋…本棚とベッド、クローゼットがあるだけの簡素な部屋。窓際には白と緑色の布で作られた、どう見ても既製品ではないテディベアが飾ってある。

・優一の部屋…まだ片付けていない段ボール箱が隅に置かれているものの、比較的整頓されている。大型のディスプレイPCは【右筆】の情報ベースと繋げたり、ここから地図を呼び出して結界の範囲を選択するなど普通のPCとは異なる機能がいくつも入っている。尚、ゲームをするのにも使っている模様。存外居心地がいいのか、メルヴィスが勝手に入ってきていることもある。

・ウォルフの部屋…四人の中では部門代表を差し置いて一番大きい部屋。シャワーやシンク、小型冷蔵庫など設備が整っているが、これはウォルフが人狼であるため。人狼は一ヶ月に一度、満月の晩に転化する。ウォルフは満月前後は部屋に籠り外に出ないようにしているため、必要最低限の生活設備が揃った部屋になっている。読書家のようで、かなり大きい本棚がある。

・クロードの部屋…執務室も兼ねている。部屋の所々に花や小物が置かれており、部門の中で一番お洒落で女子っぽい内装。本棚にはファッション雑誌や美容の本が多く並んでいるが、よく見ると法律関係の本もある。

・地下ワイナリー…ウォルフとクロードが収集したワインが入っている。鍵を持っているのはこの二人だけだが、たまに数が減っていることがある。


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