登場人物
グレイズ家の人物は個別項目参照。
サロー家
【討伐隊】の第二師団で偵察や情報収集を担う家。現当主はゴードン・サロー。グレイズ家とは親戚関係にあり、ダライアスの前妻アンジェラの妹メラニがサロー家に嫁いでいる。
厳格な規律を布く第二師団の所属でありながら次期当主であり娘のアナスタシアには甘い対応が多々見られ、結果アナスタシアは第二師団だけに留まらず討伐隊への背信行為に走った。そのためサロー家は討伐隊及び【警邏隊】の調査が入り、更に他の兄弟達も詳細は明かされていないが不自然に殉職しているため没落がほぼ確定した状況にある。
“夜魔達の目”アナスタシア・サロー
サロー家の長女。大小さまざまな動物の使い魔を所有しており、それらの目を使った偵察技術に優れている。司令部隊で情報の統括を任されていた。
一月の狩りにおける「加害者」といえる人物。魔物や珍しい生物のコレクターでもあった彼女は、人狼狩人でありながらいつか「生きた人狼」が欲しいと思っていた。しかしサロー家は研究を行う家ではなく、アナスタシアの趣味はグレイズ家に知られているものでもあったため人狼を生け捕りにすることはできてもサロー家が保有することは絶対に許されない。【妖精の輪】経由の通報から判明した終転人狼の出現はアナスタシアにとって最大の好機であった。
アナスタシアの目的は終転人狼のカミロではなく、【妖精の輪】から派遣されてくる『人狼』のウォルフ・グレイズだった。そもそもウォルフはダライアスが生かすことを決めた人狼であるため、転化させ戻れないよう薬を使っても処分はされまいと見込み、カミロと接触し自作自演の「狩り」の舞台を創り上げる。
しかしそれらの企ては全て失敗に終わる。ウォルフとアナスタシアが同じ部隊にならないのはまだ想定の内だったが、ウォルフと竹中崇が合流できたことは完全に想定外だったようで、ウォルフが転化して戦わないと勝てない強さだと思っていたカミロはウォルフと崇の手によって倒された。その結果に激昂したアナスタシアは「獣血剤」をウォルフに打ち込み強制的に転化させた。
ウォルフが退いた後崇に“魔精殺し”を纏った状態で手を掴まれる。その後現れたテオドール・ギフト(崇の師匠にあたる)に魔精殺しの解呪を懇願するが、それができない代わりに「腕を必要としない姿」に変身させられ、腕はおろか足すらも失い逃げ出した。その後コートニー・J・セラドによって無事確保され、最終的に【学院】で解呪を専門とする魔術師に預けられ頭部と胴体のみ解呪に成功し、取り調べが終了次第【警邏隊】に引き渡される。
ニノン・サロー
サロー家長男。第一機動部隊に配属されたがカミロの外見に寄せた魔獣によって胸元で咬み千切られ死亡する。
ダスティン・サロー
サロー家次男。第二機動部隊に配属される。今回狩りに参加した狩人の中では経験が浅く、呪言を操る人狼はいないと思っており崇に噛みつくような態度をとったがダライアスに咎められた。偽カミロと交戦し死亡。
ディアドラ・サロー
サロー家次女。第三機動部隊に配属されていたが偽カミロと交戦し死亡。
セラド家
第二師団に属し、物資の補給や武器・防具の調達など物資による全面的な支援を担う。現当主はトレバー・セラド。セラド家が爵位を与えられたのは先代からで、元々は商人の家系。ダライアスの妹エステルがセラド家に嫁ぎグレイズ家とは親戚関係にある。
コートニー・ジャック・セラド
セラド家長男。第一機動部隊に配属され、殉職したニノンに代わり状況判断の要となる。服飾を専門とする魔力技師で、貴族ではあるが一人の師匠に師事していたため【学院】では崇と同じ『古老寮』に入っていた。何かと面倒見の良い性格で人が好い。崇の先輩で、何かと無理をしがちな彼女を気にかけていた。弟のアレンには「ヘタレ」呼ばわりされているが、怒らせると物凄く怖いらしい。
魔力技師ではあるが医術の心得があり人狼の系統解剖が可能。率先して行動するのではなく周囲を見て行動するタイプだが、他人をよく観察しているためその人物の精神状態からどのように動くべきかを的確に判断することが可能。また非常にタフで、重要な局面でも落ち着いていられる強さがある。
エルトン・セラド
セラド家次男。第二機動部隊に配属される。兄が柔和でお人好しな性格だからか、こちらは感情の起伏が少なく真面目。長兄を差し置いて部隊長に任命されるが本物のカミロと遭遇し、早々に負傷してしまうが幸運なことに致命傷までは至らなかった。
モーリス・セラド
セラド家三男。第三機動部隊に配属される。
アレン・セラド
セラド家四男。年若いが早熟で、五十に満たないにも関わらず終転人狼の狩りにも参加している。
性格は歳相応で藤崎優一と気が合う。フットワークは軽いが性格もまま軽く、エルトンによく注意される。
カミロ・レネ・カサルス・マドリガル
今回の標的である終転人狼。スペイン出身の魔術師。五メートル前後の大きさを持つ大型の人狼で、終転人狼になる以前も非常に体格の良い人間だった。非常に残忍かつ凶暴で、これまでに五件の殺傷事件を起こしている。
元から評判の悪い人間だったようだが人狼になったことでそれが増長し、人狼に対する風当たりの強さを身をもって知ってからはそれを逆手に取り積極的に他人を噛み「不幸な人間」を増やしていった。カミロが終転人狼となったのは最早必然であり、他人を不幸に陥れるという目的が一致していれば対話が可能だったことからアナスタシアの作戦に乗ったと思われる。
メネストレル
崇の助勢求めに応じた影の精霊。「召使い」を意味する呼びを与えられ、崇が変身した際にできる「角」と引き換えに一時的な使い魔として契約する。
“蛇目”テオドール・ギフト
深みの魔法使い。“魔精殺し”を持つ崇を預かり、一人前の魔法使いになるまで育て上げた人物。崇の“魔精殺し”の発露を「癇癪」呼ばわりするなど底知れなさが窺える。紀元前から存在しているという噂が周知されるほど旧い時代から生きており、現在は隠遁生活を送っている模様。今回は弟子が「近く」に現れたことを察知し、討伐隊の結界を容易く突破してダライアス達の前に現れた。
様々な逸話を持つ魔法使いではあるが、弟子にも認められるほどに性格が悪い。詠唱を大幅に短縮し一言だけでアナスタシアを完全な蛇に変えてしまうなどその力量は非常に高いが、アナスタシアがそれを真に望んでいるのではないことを分かって変身させるなど、底意地の悪さが如実に表れている。
ダライアスとは旧知の仲だがとても親密と呼べるものではない。「『総統閣下』を殺した仲」とテオドールは言うが、ダライアスの態度は険悪といって差し支えないものだった。
寒いと眠くなりやすい体質のようで、ダライアスにも「この時期は眠っている筈」と指摘されている。これは彼が昔討伐したという『バジリスク』によるもので、テオドールは何らかの手段をもってその力と性質を得たことが関与しているといわれている。
グランシー男爵
スイスの【警邏隊】統括者。討伐隊の療養に屋敷を提供した。




