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9/22

9直感ーカイウス視点

甘いです。いつもより少し長め。

カイウス視点から、マルルが覚えていない真実をお届けします。

「カイウスー。良いところに。マルルちゃんと飲んでるの。あんたもおいで。」


時折行く酒場でリーン叔母から声をかけられたのは、初めからリーン叔母の作戦だったらしい。


が。そんな事、俺は知らない。


「こんばんは。」


部下のマルルがそこにいた。


スゲエな。女って、服1つでこんなに変わるのかよ。


ってのが、俺の正直な感想。


騎士団で見るマルルは、色気とは無縁で、サバサバしてて、明るくて。周囲に気を使ってよく働く。


今日のマルルは、大人びて、美しいという表現が、似合っていた。

ドレスもその長身を生かした流れるような嫌味のないデザイン。色も濃い茶色で控えめだが、普段、騎士服で隠されている肌は日に焼けず、白い。


「リーン叔母上。マルルを連れ回して、何をなさっている?」

「ええー。呑んでるに決まってるじゃなーい。」


「酔ってますね。」

何でわざわざ、こんな裏の社交的な酒場にマルルを連れて来るんだ?

少し、苛立ちを感じる。

「いいじゃない。息抜き大切っ。カウンターなんでしょ?一緒に飲みましょう。」


叔母に誘われて叔母が取っていた個室に移る。


たわいもないおしゃべりが続くが、叔母はやたら強い酒を俺にも勧める。


リーン叔母、酒豪だから、あまり付き合いたくないんだが。


「仲いいんですね。」

マルルがフッと笑う。


少しドキリとする。


リーン叔母が、どんどん酒を注文するものだから、ペースが早い。


ヤバイなぁ。マルルも少し酔っているんだろうが、飲みながら脚を組み直されると、ドレスのスリットから見える太腿がやけに色気があるし。


何だろう。酔ってるからから、マルルの態度が、フフンと俺を下に見てるかの様な態度に見えるのは何故だ?


叔母が、早く結婚しろと言う。


マルルまで

「選り取りみどりでしょうよ、副団長。」なんて言う。


嫌、なぁ。痛い所、ガンガン突いてくるなぁ。参るよ。

「正直、今はもういいかな。お付き合いとか相手に合わすの大変だし、またあんなにやられたら相手が苦労するだろ。」


「だーから。副団長が守ってあげればいいんじゃないですか!」

と、マルル。

「そうよっ、あんたがボーッとしてんのが悪いんでしょうよっ!」

と、リーン叔母。


酒、不味くなるじゃん。


マルルがグイッと近寄って俺に言う。

「副団長、大人気なんですからね。すぐ、いい相手、見つかりますって!!元気出して!」

そう言って酒をグラスに注いでくれるが。


ごめん、ちょっと、そのドレス、胸が開きすぎじゃないか??


目のやり場に困るんだが??


「人気なんて言っても、俺の家と、将来性とかしか見てない女ばっかなんだよ。」


つい、本音が出てしまう。


「えー。でも、そうでも無い子もたくさんいますよ。純粋に憧れてる子とか。」


そう言うマルル。


「えー、じゃあ。マルルちゃんから見てカイウス有り?」

リーン叔母がブッ込んで来る。

「んー。そうですね。私、副団長好きですよ。」

クスクスと笑うマルル。


マジかよ。

それって、どんな好きだよ。


聞けねーよ。博愛的に好きとか言われても困るし。


久し振りに動揺するわ。


叔母も、マルルもそこらの令嬢と違うから、扱いが難しい。


「じゃーさ。マルルちゃん、カイウスと結婚してあげてよー。」

さらに叔母が追い打ちをかける。


何故だ。

何故そうなる??


「えー。嫌。」


バッサリ斬られてショックがひどい。お前。さっきまで、俺は令嬢に人気とか好きとか言ったじゃないか。


「なんで?」

流石に自分で尋ねる。


「やだー。だって、可愛らしい人が好みなんじゃないですか?この間の彼女みたいに。私、ぜんっぜん違いますもん。庇護欲とかそそられないでしょ?こんなデカイ女。可愛らしくとかなれないんで、無理です!」

そう言いながら、クスクスと、笑う。


うーん。俺がデカイから、お前も俺から見たら小さいんだけどな。


「うっわ。カイウス振られた。」

リーン叔母が笑う。


「別に可愛さとか求めてないがなー。大体、お前、俺より小さい!」

そう言って、マルルの頭をガシガシする。


「あははー。初めて会った時みたい。」


そう言って、ふわっとマルルが笑う。


「初めて会った時?」


「そうそう。副団長、私が猫背だったから、背筋を伸ばせって、副団長のお祖母様みたいな、カッコイイ女になれみたいなこと言ったんですよ。」

そういえば。そうだったような。


「私、カッコイイ女になれました?」

覗きこまれて、クラッとする。

だって、お前、それ反則だろ。何でそんなに色気全開なんだよ。

煽るなよ。


「ああ、いい女になったと思う。」


「やったーあ!先輩、褒められましたよー。」

態度と裏腹に、言ってる事は幼い。


裏表の無い、正直な言葉。

飾り気の無い言葉。


「馬鹿甥っ子。こんな可愛い子、他にいないのに振られやがって。」


嫌。確かに、速攻で断られたけど。

それって無いだろ。俺、全然本気出してないし。


「じゃー、俺がマルル落とすって、言ったら協力してくれるんです?」

叔母に尋ねると、

「もっちろーん!全力で!!」

と、返ってくる。


そこでやっと、あ。これ、初めから全部わざとだと気がついた。怖いわ叔母。


でも、マルルはキョトンとして、

「えええー?」とか言ってる。


ああ。もう、酒の勢いでも、なんでもいいや。


自覚した。


俺、コイツ(マルル)が好きだ。


「いい女になったマルル嬢、俺と付き合ってくれますか?」

俺の言葉に、マルルがクスクスと笑う。


「酒に酔ってて、明日になったら忘れてるんじゃありません?」

失礼な。ラデンの者は大抵、酒に強い。

記憶が飛んだ事など無い。


「じゃあ、試してみる?」

「何を試すんですかー。」

ふふふとマルルが笑う。

「俺の本気度。」

「いいですよ。受けて立ちましょう!」

マルルの返事に、叔母がやったー!とか言ってる。

叔母はご機嫌だが。コレ、酔ってるフリだな。全然酔ってない。でも、マルルは態度からして絶対酔ってる。


シラフに戻ったらどうなるんだろう。

「よし!じゃー!私は帰るっ!」

叔母は急に席を立つ。

「えー。せんぱーい。」

マルルが不服そうに声を上げる。

「カイウスに可愛がってもらってねー。」

そう言いながら、リーン叔母がマルルの頭撫で撫でして、酔っ払いのマルルがにこにこしていて。撫で撫でに弱いのか?

去り際に、叔母が俺にニッと笑って去って行った。


さあて。それでは。頑張りますか。


きっと、叔母がここまでしたって事は、きっと父まで話が通ってるのだろう。


叔母のイチオシがマルルで。


そこを選ぶかの選択肢は与えられた訳か。


この間、顔合わせさせられた伯爵令嬢より、よっぽどマルルの方が可愛いがなぁ。


身長高いってだけで、何、遠慮してるの?


「マルル。俺の本気度試すんだろう。」

叔母が去った後の、マルルの横の席に移動して、マルルを抱き寄せる。

「ちょっ。ちょっと待って、副団長っ。」

男慣れしてないんだろう。顔が真っ赤になってる。

耳元で囁く。

「カイウスって呼べ。」

「ああ、あのっ。あのっ。」

困ったように、彷徨う視線。

「良い女なんだろう?」

俺の言葉に、

「そうなりたいのよっ」

と、決意を込めたように返事を返すマルル。


「じゃあ、俺に着いて来いよ。」

挑発気味に言ってみる。

「行くわよ!」

ふふっと笑うマルル。


酔っ払いに、悪いな、とは思うけど。


お前、チョロすぎ。


手を引いて、待たせていた馬車に、エスコートして、つれて帰る。


良い女とは、何なのか、話を振る。


どうも、リーン叔母に憧れているみたいだが。あそこまで強くなられたら俺は怖いがなぁ。


良い女気分で、状況が把握出来てないマルルを自分の部屋に連れ込む。


だいぶ酒が回っているようだ。目が潤んでいて、やたら色気があるのはどうなのか。


多分、マルルの性格的に、既成事実でも作り上げないとシラフに戻ったらまた上司と部下に逆戻りだろう。


キスしても抵抗しない。


お前、俺が居ない所で飲酒禁止だな。

そう思いながら、服を脱がす。


引き締まった身体に舌を這わせ、自分のものであるという証を残す。


明日、朝からマルルが強く意識するように。


少し不器用な彼女は明日、何て言うだろうか。


もし、忘れているようなら、また、朝から俺をその身体に刻めばいい。


そう思いながら、その体に溺れていく。

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 回避出来た令嬢は? 後書きにリンク貼れないと気がつきました。
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