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6メンタル

騎士団における、春の要人警護の時期がやってきた。


季節が暖かくなり、他国との交流が盛んになるこの季節。


王宮警備の0団と共に、春の祭典で祝辞を述べる王妃の警護に着く。


と、言っても、0団が近辺は警備するので、1隊は周辺警備だ。


その祭典で。まさかの、警備の失敗が起きた。


走行中の馬車の列に、通りの男爵家から、子供が乗った馬が飛び出したのだ。


子供はまだ7歳で、祭典の存在をよくわかっていなかった。


親も、まだ1人で乗馬させた事もなく、馬場の施錠を怠ったらしい。


王妃は既に通り過ぎていた後であった為、子供のなした事として温情処理され、厳重注意で済んだ。


だが、問題となったのは、騎士の配置で、騎馬では無かった為に、1人で止める事が出来なかった事。翌年からの警備は大きく見直される事となる。


騎士団としては、大問題であったのだ。


そして、1人で止める事が出来なかったのがルルーで、騎馬で馬車列に着いていたマルルが駆けつけ、2人がかりで馬を抑え、少年を保護したのだった。互いをよく知る2人の連携プレーで、列を乱す事も無く静かに終わった為、個人的に注意されるどころか、よくやったと褒められる結果となった。


当初、子供の姿をした暗殺者や魔術師ではないかと疑われ、少年は1度投獄されている。


取り調べの中で、ただの少年であった事がわかり、家に帰されたが、取り調べ関連で家族との連絡、調整をしたのはマルルだった。


マルルは、その後、とても少年に懐かれた。


その後も細かな事案が次々と発生し、忙殺される。


色々と、次々に起こる事件や案件を一生懸命解決する日々を過ごしながら、1日、1日が過ぎてゆく。


騎士団に入って、沢山の女性騎士の知り合いが増えた。皆んな先輩だけれど。


皆、体格も良く、あけすけに物を言う女性が多く、朗らかだ。


一様に、昔は同じように悩んでいたんだよと、話される。


高身長である悩み。女性であれ、令嬢であれ、淑やかであれという圧力。


全てを乗り越えて生きてきた女性達と共に過ごし、少しずつ、精神的にも強くなった。


1団でも、お飾りと言われないくらいには頑張って来た。



もう、カイウスが女性と話してても、泣く事は無かった。


それより、一緒に仕事を出来る事が嬉しかった。


仕事に一生懸命だった。


「副団長、決済書類回してます。確認お願いします。」


「うわー。何だこの量、多すぎやしないか?」


「昨日、目を通されなかったから、倍になってるんですよ。今日、確認されなかったら、明日はまだ増えますよ。さあ、お願いします。」


しぶしぶと書類に目を通すカイウス。


元々、こういう書類は苦手なんだと、時折、顔を出すリオン・グラート侯爵令息が話していた。


驚いた事に、彼も私の事を覚えていた。


「いい道を進まれていますね。」

そう言って、フッと笑われた時はちょっと驚いた。


でも、何だかやっぱり、妹でも見てるかのような雰囲気で。


お兄さん達には間違いないけれど。


何だかなぁ、って思ったのだった。



そんな中、不意にカイウスの婚約が破棄された事を知った。


どうして??


人の口に戸は立てられない。


原因は、相手方の令嬢だった。元々、とても人気のあったカイウスだ。彼の婚約者になったというだけで、妬み嫉みが酷かったらしく、令嬢方からとても陰湿なイジメにあったらしく、心が壊れてしまったのだとか。


とても可愛らしい、栗色のふわふわした巻き毛と、ダークチョコレートの様な濃い茶色の瞳の可愛らしい女性だった。


庇護欲をそそるような。


かわいそうに。あんなに可愛らしい人だったのに。


私も、あの女性独特のジメジメした嫌味とか嫌いだ。


騎士科にいるため、ほぼ女性と見られず、距離をおけてホッとしているが。


姉達の愚痴を聞いていると、令嬢とは何て気苦労の多いものなのだろうと思うのだ。


同時に、多分、可愛いだけでは駄目なんだというのもわかる。


女は強く、しなやかに。

したたかに生きるものだ。


美醜だけではない。


やはり、心が強くないと。


きっと、カイウスの手が届かない所でネチネチやられたんだろう。


優しい彼女は、徐々に孤立していって、他の令嬢に追い落とされた。


聞けば、すでに次は伯爵家の令嬢が有力視されているとの事。


その令嬢を思い出す。気の強い女性だったな。


多分、前回の令嬢が精神を病んだ事を考えて気の強い女性を選んでいるのか。


でも。なんだか、彼女は嫌だな。話した事は挨拶程度だけれど。我儘が顔に現れていて。あの人が奥さんじゃ、カイウスも苦労するだろうに。


まるで、他人事のようにそう、ぼんやりと考えた。


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 回避出来た令嬢は? 後書きにリンク貼れないと気がつきました。
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