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Beyond 【紅焔の反逆者】  作者: おとうふ
ACT-7 Fierce battle
86/135

New weapon-2

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 古い蝶番が悲鳴を上げながら工房の扉が開く。ジンとサラは咄嗟に物陰に隠れる。敵では無いことは分かっていたが、近くにちょうどいい建物の跡があったので、つい身を隠してしまった。

 何やら工房内に言いながら見覚えのある男が1人出てきた。


「――また来る。俺の下で輝くか、こんな小汚い工房で埋もれ続けるか。どちらが自分の為になるか、よく考えておけスカーレット」


 『二度と顔を見せんじゃねェ!! このクソ兄貴!!』


 工房内からは怒声が飛んで来た。当然内の様子は外からでは分からないが、怒声は間違い無くスカーレットの物だった。


 「フン……」


 男は体格の良い護衛を2人連れ、言い返すことなく工房を後にした。すぐにヘリは轟音と共に青空に飛び立った。


 (今の人……)


 ジンはあの男を見たことがある。装飾豊かなスーツ姿に高そうな革靴、そして声も覚えていた。エリア5から帰還した際、アームズを回収していったバーミリオン社の関係者だ。


 (マクスさんは確か『代表』とか言ってたな。それに『クソ兄貴』ってことは……)


 「……今の人、エリア5から戻った時に現れた……」


 空を見上げながらサラが呟いた。


 「サラさんも気付きましたか。……まぁともかく、まずは工房に入りましょうか?」


 「あ……うん、そうだね」















 ――工房内。怒りに震えるスカーレットを心配する声があった。壁にもたれながら腕を組み、男とスカーレットのやり取りを一部始終見ていた者。長髪を揺らしてカウンターに歩み寄りながらその者は言った。


 「……大丈夫か? 随分取り乱していたようだが」


 「ああ……済まない、アイツが相手だとどうにもね。せっかくのお得意さんに情けない所を見せちゃったな」


 「それは構わんが……ふむ、どうやら醜態を見せてしまったのは俺だけではないようだぞ?」


 長髪の男は背中越しに入口を指す。スカーレットが視線を移すと、そこには入るタイミングを窺っているジンとサラの姿があった。


 「え? ……あー、見てたか2人共。まあとりあえず、無事に帰って来て良かった。おかえりさん」


 「あはは……すいません、ちょっと入りづらくて……でも相変わらず、流石の鋭さですね」


 「……まさかこんな所で再会できるなんて、予想もしてなかったよ」


 長髪の男はゆっくりと振り返り、微笑みながら言った。


 「ああ。久方振り……と言うほどではないが、無事に再会できて何よりだ。ジン、それにアールミラーも」


 さっきの男以上に見覚えのある長髪の男。背中越しでもすぐに分かった。何故彼がここにいるのかは分からないが、彼の言う通り今はただ互いに再開を喜び合った。


 ランク11、神薙刀也。

 ジンが最も信頼を寄せている戦友の姿が、そこにあった。

 


 












 「――『神隠し』?」


 刀也がここにいる理由、それを尋ねると帰ってきたのは何やら不穏な言葉だった。


 「ああ。この辺りのエリア3とエリア2の境に小さな集落があってな。そこにある数字持ち(ランカー)がカテゴリーAの個体を追い込んだんだが……数日前に同行していた代理人(エージェント)共々音信不通になってしまったらしい」


 「なるほど……刀也はその件を追ってきたってことか……それでここに」


 「ああ、通り道故、()()()を診て貰いにな」


 そう言って刀也は自らの得物を掲げた。鞘に収まったままのこの刀、拳二のバルバロス同様Vウェポンという話だったが……あまりにも意匠が違う。

 バルバロスは一目で分かる複雑な変形機構を備えており、よりハイテクノロジックな近代武器を思わせる。

 しかしこの刀は違う。パッと見た限りでは造形の美しさこそあれど、何の機構も持たないただの近接武器だ。

 ジンはスカーレットに尋ねてみる。あくまで推測だったが、今までの会話からも考察する材料は揃っていた。


 「スカーレットさん、もしかして刀也の武器は、『先代』の……?」


 するとスカーレットは笑顔で答えてくれた。特に隠す気も無かったのだろう。


 「ああ……そうだ。マイルズの旦那のライフルと同じさ。この刀は親父の作った最初のvウェポン、『神薙』。アタシもさっきのクソ兄貴も、ガキだった頃の作品さ」


 「やっぱり……となるとやはり緋色合金はもっと前から存在したんですね。世間ではバーミリオン社がその製法を開発・独占してることになってますが……」


 「……そうだな、少し早いけど昼飯にするか。奢ってやるから3人共、良かったら一緒に食おう。その時に教えてやるよ、知りたければだけど」


 「――! 分かりました、是非教えてください……!」


 こうしてジン・サラ・刀也・スカーレットの4人は廃墟を抜けて港町に繰り出した。緋色合金の事、そしてネイスミスとバーミリオンの関係。それらは対喰らう者(イーター)において革命的とも言える進歩をもたらした者の名であり、数字持ち(ランカー)としては勿論、ジンの中にある技術者としての魂が惹きつけられるのは必然だった。

 

サラ「ところでスカーレットさん、お料理などはされないんですか?」


スカーレット「んあ? アタシがそんなことするような女に見える?」

(腰の工具入れはそのまま、顔にもオイルの汚れが残っている)


サラ「確かにそんな風には見えません……」



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