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Beyond 【紅焔の反逆者】  作者: おとうふ
ACT-6 Ms.craftman
73/135

One shot one kill

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 「――ふむ……3㎝右といったところか」


 マイルズはそう呟きながら水平器を確認しスコープを調整する。放った弾丸は見事に命中、500m地点の的を貫いていた。


 「……なんて精度だ。あれでまだ調節するのか?」


 ジンは信じられないものを目にしたかのような表情で遠くの的に注視する。弾丸は的のほぼ中心に着弾しており、とても500mの距離の狙撃とは思えない精密さだった。


 「よし、第二射行くぞ」


 マイルズは銃の向きを変え、次なるターゲットに狙いを絞る。


 (次の的は1㎞地点……一発で当てられたらかなり凄いけど……)


 本来長距離の狙撃には実際に銃を撃つ狙撃手(スナイパー)とは別に、風の強さなどを加味した弾道計算や標的の指示、命中確認などのサポートを行う観測手(スポッター)を付けるのが基本だ。しかし現在マイルズは完全に1人であり、部下もそれぞれ的の設置のためにこの場にはいない。

 一見して普通に射撃テストを行っているように見えるが、銃器類に知識のあるジンや軍学校出身のサラから見れば、その実様々な観点で常識外な所が見受けられた。


 「さて……」


 マイルズは再び射撃体勢に入り、狙撃銃のボルトアクションを作動させ次弾を装填する。


 ――再び射撃音が鳴り響く。先の500m地点と同様、弾丸は的のど真ん中を貫いた。


 「うわ……流石はランク4、超人的な狙撃技術です……!」


 サラが称賛の声を上げる。1㎞で再びのど真ん中……これが狙い通りだとすれば、確かに超人的な腕前だ。


 「よし、スコープはこんなもんだろう。次は3㎞だな。ウォーウルフ4、ちゃんと隠れてろよ」


 『了解です!』


 マイルズは重そうに狙撃銃を動かし、次の的に狙いをつける。スコープの調整は済んだのか、今回はすぐに射撃体勢に入った。


 「マイルズさんの腕前は勿論ですが、銃の方も流石ですね。1㎞で装甲板を貫通するとは」


 元技術者であるジンとしては、当然狙撃銃の性能もよく見ていた。現状1㎞という距離であの装甲板を貫ける銃などバーミリオン社の最新型でも不可能。恐らくは銃本体に加え弾丸も特別製のものを使用しているようだ。


 「当然……ネイスミスの名を持つ武器だ、バーミリオンのガラクタとはモノが違う」


 スカーレットは自信ありげに言い放った。あの狙撃銃が作られたのは10年以上も前、と言っていたし、ネイスミスの名を誇ったことから、あの狙撃銃は先代のネイスミスが作ったものだろう。スカーレット自身はどう見ても20代であり、そんな古い銃の整備方法を受け継いでいるのは流石と言える。

 バーミリオン社の名を引き合いに出し、貶めたのは少しだけ引っかかるが……規模は違えど商売敵が故に何らかの因縁があるのかもしれない。


 「とにかく真価はここからさ。ネイスミスの名前も、マイルズの旦那の実力もね」


 「……ええ、刮目させてもらいます」


 最期の的は3㎞地点。普通の人間の視力では的すらはっきりと見えないような長距離であり、サラは双眼鏡を使っていた。










 「フゥーーーーーッ……」


 マイルズは深く息を吐ききり、肺が空になった瞬間に止める。風や重力、銃そのものの射撃性質を加味した弾道計算は全て自らの勘に委ね、狙いを極める。

 覗き込んだスコープの照準点を的の中心から右に少しだけずらし、引き金を引いた。












 『3㎞地点、ターゲットに命中! お見事です隊長!』


 ネクサス越しに少年のように浮かれたウォーウルフ4の声が聞こえる。結果的に弾丸は的の中心を正確に貫いていた。数㎜のズレも無い完璧な狙撃。この人知を超えた狙撃能力こそがランク4、マイルズ・カーターの真骨頂であった。


 「……悪くない。流石はネイスミスの名を継いだだけはある、いい仕事だスカーレット」


 マイルズはスコープから目を離し、スカーレットに微笑みかけた。


 「フフン、そうだろう旦那。アタシの腕を疑って修理を渋りやがって。酷い状態だったんだぞ、そのライフル」


 スカーレットは腕を組みながら得意げに言い放った。事情は分からないが少なくともジンの読みは正しく、先代はスカーレットの父親のようだ。


 「ははは、すまんなァ。でもこの仕上がり、正直予想以上だ。『レッド』の奴もきっと認めてくれるだろうよ。ま、少なくとも俺は満足している」


 「そう……かな? そうだといいけど……」


 マイルズの褒め殺しにスカーレットの表情が曇る。その表情の変化がたまたまジンの目に入る。


 (『レッド』……? それにあの表情は……)


 ランク4の実力者に称賛を受けているのにも関わらず、喜びの色が見えないその表情。技術者にとってこの上無い名誉のはずだが……。

 しかしスカーレットはすぐに表情を明るいものに変え、ジンたちの方に向き直った。


 「――さて! 旦那の銃の件はこれで終わり! 待たせたね2人とも、今度こそ話を聞かせてもらえるかい?」


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