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Came back-3

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 「おはようございます……ってサラさん!?」


 ジンが朝一番でハウンド本部に入ると、まず目に入ったのはPCデスクに伏して寝落ちしているサラの姿だった。夜通しで作業していたのか、PCの画面は書類作成のソフトが起動したままだ。


 「はっ……もう朝!?」


 ジンに優しく肩を叩かれサラは飛び起きる。


 「お、おはようございます。その、お疲れ様です。報告書の方は大丈夫ですか……?」


 ジンが恐る恐る尋ねる。するとサラは勢いよく立ち上がり、デスクの上に備えられているプリンターを確認すると……そこには印刷された大量の書類が置きっぱなしになっていた。

 

 「あ……よかった~~! よくやった昨日の私!!」


 察するに眠気で意識朦朧の状態のまま報告書の作成し、プリンターで出力した瞬間気を緩めてその場で寝てしまったのだろう。

 当然ながらサラもジン同様に消耗しており、直接戦闘に参加していないとはいえ全体の戦況を俯瞰しながら裏で色々と動いていたことからも、精神的な疲れは寧ろジンより大きいかもしれない。

 そんな状態でよく夜通しの書類仕事が出来たものだ。サラの精神的なタフさには感服せざるを得ない。


 目の下に大きなクマを作ったサラが駆け足で書類をまとめ始めたその時、入口の扉が開いた。

 眠そうな顔をして入って来たのはマクスだった。


 「――おや2人共早いね。なら早速だけど話を始めようか?」







 


 「まずはジン君、任務達成の報酬を渡そう」


 そう言ってマクスに手渡されたのは、そこそこ厚みのある封筒だった。

 ジンは感謝の言葉と共にそれを受け取り、中を少し覗いてみる……が。


 「ってこれは……いいんですか、こんなにたくさん」


 封筒に入っていたのは大量の紙幣。その金額は今まで手にしたことも無いようなもので、労働者(ワーカー)時代の稼ぎとは雲泥の差だった。


 「それが君の働きに対する正当な報酬だ。遠慮せずに受け取って欲しい」


 「……分かりました。では有り難く」


 聞けばハウンドの構成員に支払われる給与は完全な歩合制で、功績と認められればかなりの金額を稼ぐことができるらしい。高い戦闘力を求められる数字持ち(ランカー)はともかくとして、その報酬金目当てに代理人(エージェント)に希望してくる者は少なくないようだ。

 

 (かなり予想外な額の大きさだけど……とにかくお金は手に入った。あとは――)


 「――ところでジン君、その散弾銃(ショットガン)は気に入ったかい?」


 「え?」


 突然の一言に出鼻を挫かれた。ジンは思わず聞き返してしまう。


 「実はその散弾銃は、元々は数年前に殉職した数字持ち(ランカー)が使っていたものでね。そいつと僕は仲が良かったから、捨てられずに持っていたものなんだ」


 「……そんな大事なものを、何故あんな支給武器のコンテナに混ぜ込んだんですか?」


 「なに、単純に寝かしておくには勿体ないと思っただけさ。かなり古いがそれも立派なネイスミス製の武器だ。役に立っただろう?」


 ――ええ、それはもう、と言いたい所だったが、ジンはどうしてもマクスに相談しなければならないことがあった。

 『ネイスミス』……一度直接会って、出来ることならブレードをそこで新調したいと考えていたのだ。

 特殊な異能力を発揮できるVウェポンまでいかなくとも、焔に耐えることができる剣があれば十分だ。


 「マクスさん、実は折り入って相談があります。そのネイスミス――」


 しかしマクスはジンの考えを見透かしたかのように言った。


 「分かっているよジン君。右手で扱うブレードの事だろう?」


 「……ええ、その通りです」


 するとマクスはノートパソコンを取り出し、対ロゼ戦の監視映像を再生した。

 巨大な変異体になったすぐ後、突っ込むために刀也と拳二が道を作ってくれた時の映像だ。


 「――――ストップ。ここの一撃を貰う直前だね。最初は見落としていたんだが、君のブレードはこの一撃ではなく、自らの焔を強くした瞬間に折れている。恐らくブレードそのものが焔に耐えきれなかったんだ」


 「はい、俺もそう考えています。最初に拳二さんと戦った時にもブレードは折られましたが、エリア5ではあのレベルの攻撃を防いだ記憶がありません。あるとすれば、まさしくその一撃なんですけど……」


 「ブレードはそれを防ぐ前に折れた。ならもう確定だね」


 不意にマクスは封筒を取り出す。

 先程貰った報酬の入った封筒とは違い、なにやら厳かな気配漂う封筒。直筆で書かれたマクスの名前がより一層厳かさに拍車をかけている。


 「ネイスミスへの紹介状だ。基本()()は高ランクの数字持ち(ランカー)相手にしか仕事を受けないが、それがあれば話くらいは聞いてもらえるだろう」


 ――相談するまでも無かった。マクスはジンの要望をいとも簡単に予想し、最高の形で応えてくれた。

 刀也や拳二、それ以外のまだ見ぬ数字持ち(ランカー)たちの上に立つだけはある、とジンは思った。

 

 「場所はここから少し遠いが、エリア3のとある街だ。念のためサラ君も同行するように……おや」


 マクスが何か疑問に思ったのか、話を中断して微笑んでいた。

 そう言えば先程から隣に座ってるサラがやけに静かだと感じ、視線を向けると……


 サラが座ったまま寝ていた。どうやら力尽きてしまったらしい。


 「ちょ、ちょっとサラさん……まずいですよ……!」


 ジンは慌ててサラを起こそうとしたが、マクスは穏やかな声色でそれを制止する。


 「あ、大丈夫だジン君。彼女は本当によくやってくれている。無理なスケジュールで作成してくれた報告書もほぼ完璧だし、咎める理由は無いよ。とりあえず今日は1日休んでもらって、明日一緒に向かうといい。詳細な場所は彼女に伝えておくよ。

 それにジン君も、エリア1を見て回るいい機会になるだろう?」

 

 マクスは寛大にもサラを咎めることはしなかった。

 先程に続いてなんとも理想的な上司っぷりを見せられ、ジンの中でマクスへの信頼が大きくなっていく。








 「さて、今日1日は自由に動ける訳だけど……」


 ジンはハウンド本部を後にし、晴れ渡る青空を見上げた。


 (武器の調達は明日の交渉次第として……みんなが持ってた小型の通信端末とか、散弾銃の弾は揃えておきたいな。後は大災厄以前の人類の残した記録が閲覧できるという『オールドライブラリ』にも行ってみよう。……それと、ミシェルさんのお見舞いにも行かないとな)


 こうして考えるとやるべきことはかなり多い。

 すぐに行動を開始しようと、ジンは歩き出そうとしたが――


 ――何者かが、死角からジンの服を引っ張った。


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