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Dog fight-4

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 互いに譲らない空中戦。

 黒い2つの翼は激しく動きつつも一定の距離を保ち、互いに牽制射撃を繰り返した。

 アームズは肩に装備したミサイルポッドから多数のミサイルを吐き出す。


 変異体のロゼに叩き込んだものと同じ、バーミリオン社の誇る高弾速・強誘導を両立した最新型のミサイル。

 しかしレイヴンの飛行能力もアームズに引けを取っておらず、身をクルクルと回転させながらミサイルをすり抜けるように躱していく。


 ミサイルは全て鮮やかに躱されたが、アームズは意に介さず両手に持った大型のマシンガンを連射。

 ピッタリと後ろに張り付いての射撃だったためその銃弾は必中に思われたが、対するレイヴンも防戦一方では無かった。

 十分にアームズを引き付け、射撃のタイミングを読んで急減速。そのまま前後を入れ替わるようにして反撃に移る。


 正に戦況は一進一退の均衡状態。

 ジンは持ち前の動体視力を活かし、必死に目で追っていた。


 (……あれ)


 ジンはアームズの異変に気付いた。

 苛烈な空中戦の中、肩のミサイルポッドをパージしたのだ。


 (多連装型とはいえ、まだ1回しか発射してないのに……)


 見た目からも恐らく数回発射出来るだけの装弾数はあるように見える。弾切れには早すぎるし、機動力の足を引っ張っているとも思えない。

 ここでジンが思い出したのは、質問に対してアームズが唯一答えてくれた、自分たちに同行した理由。


 (――そうか、装備の残弾も……!?)


 ジンの悪い予感は的中していた。

 アームズは左手のマシンガンを投げ捨てた。どうやら弾切れを起こしたらしい。


 一気にアームズの弾幕が薄くなり、空中戦の均衡が崩れる。

 レイヴンは密度の薄くなった射撃を前に攻勢に転じた。アームズよりも高高度のポジションを取り、落下を活かしながら急接近する。

 今までの加速よりも速い、ここぞとばかりの凄まじい加速。そのまま踏みつけるように両足による蹴りを食らわせた。

 速度と全体重の乗った強力な攻撃は、アームズを地面へ吹き飛ばした。


 しかし、レイヴンは体勢を崩し落下していくアームズを追撃しない。

 蹴りによって反動を得たレイヴンは、そのまま踏み台にしたかのように別方向へ飛び出す。

 その方向は他でもない、ジンが待機している空輸機だった。


 レイヴンは再び空輸機に舞い戻り、さっきと同じように柔らかな声色でジンに話しかけた。


 「やれやれ、流石にいきなり過ぎて驚いたけど……生憎僕の用事はこっちでね。


 ――なるほど、聞いた通り……確かに僕らと同じ力を感じる」


 「な……」


 俺の事を知っている……!?

 レイヴンの予想だにしていなかった言葉に、驚くと同時にジンは瞬時に理解した。


 俺の事を知っている喰らう者(イーター)はレイザーとアリゲイターのみ。

 このことからレイヴンはあの2体と繋がっている。

 両者間を繋げすぐさま刺客を送り込んできた何者の存在。いや、者ではなく――


 「『組織』……やはり喰らう者(イーター)には何らかの組織があるようだな……。お前たちの目的は……」


 ジンの推察は的中していたようで、それを聞いた途端にレイヴンは感心したかのように言った。


 「まぁ……隠してる訳じゃないから別にいいかな?

 『スティール』。それが僕たちの組織の名前だ」


 刀也の言っていた喰らう者(イーター)による敵対勢力。組織名は『スティール』。

 どうやら組織を追うためにエリア5に残った刀也たちよりも、先に知ってしまったようだ。


 「スティールの目的は言わなくても分かると思うけど……どの道君たちはここで死ぬんだし、言っても言わなくても関係無いか」


 レイヴンは翼をその場で大きく広げる。

 羽根の連射をここでやられれば、ジンだけでなく後ろのサラとミシェルもまとめて蜂の巣だ。


 「舐めるな……!!」


 ジンは散弾銃を素早く構える。

 弾丸は既に装填済みであり、相手が翼を広げ的を大きくしたのもあり、ある程度雑に狙ってもこの距離ならば外すことはありえない。

 単発弾はロゼの分身体を一撃で倒すほどの高威力。いくらカテゴリーAの個体だろうが、確実にダメージは与えられる……はずだった。


 「――!?」


 不意にジンは散弾銃を落としてしまい、体は膝から崩れる。

 大きな黒い羽根が左腕と右膝に突き刺さっていた。


 「先手必勝……さっきはそれで落とされたけど、今度は僕からそれを贈ろう」


 まるで予備動作の無い突然の一撃にジンは跪く。

 翼の先端部分から発射されたのか、正面からではなく角度の付いた斜め方向から羽根は突き刺さっている。


 (くそっ……! 翼を広げた時点で撃てるってことか……!!)


 「個人的には恨みは無いけど、レイザーが君に拘っていてね。話を聞いた限りだと確かに、君の将来性は危険過ぎる。早い段階で摘み取らせて――」


 無慈悲に羽根を連射され、3人纏めて殺されるその瞬間。

 アームズが舞い戻った。


 「なにっ!? もう戻って来たのか!?」


 レイヴンは首だけ回してアームズを視認し、驚きの声を上げる。

 武器の残弾が完全に切れたのか、それとも吹き飛ばされた際に手放してしまったのか、両手には何も持っていない状態だった。

 アームズはそのまま振り返る暇を与えず、レイヴンを後ろから押さえつけジンに言い放った。


 「対象拘束。ランク23、私に構わず攻撃を」


 響き渡る機械音声。

 アームズとレイヴンの膂力の差は分からないが、アームズの消耗を考えると長くは持たないだろう。

 しかしジンは近接武器を持ち合わせておらず、足を負傷しているのもあって距離を詰められない。

 散弾銃を拾って撃つ以外に攻撃手段は無かったが、レイヴンの体だけを撃ち抜く精密射撃は銃器的にも技量的にも難しい。

 ジンは……選択を迫られていた。


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