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Beyond 【紅焔の反逆者】  作者: おとうふ
ACT-4 Deadly Rose
31/135

Encounter-3

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 拳二と緑色に体を変化させた大男……アリゲイターが激突する。

 体躯で言えば比較にならないほどの差があり、格闘戦では拳二の不利に思われた……しかし。


 「ッラァ!!」


 「ぬうっ!」


 その体格差からは信じられないことに、拳二が優勢だった。

 アリゲイターの繰り出す豪快な大振り攻撃を的確に見切り、最小限の動きで躱しながらバルバロスによる細かい打撃を叩き込んでいく。

 

 (やっぱり凄い……俺が戦った時もああやって躱されたな……)


 ジンは拳二の動きに思わず見とれてしまっていた。

 いけない、とすぐに我に返り、レイザーと呼ばれた小柄なもう1人の様子を警戒する。

 どうやらレイザーはすぐに動くつもりは無いらしく、拳二とアリゲイターの格闘戦をジンら同様見守っている。


 しかしその時、大きな衝撃が発生した。

 アリゲイターの拳の叩き付けによるもので、地面が大きく抉れている。

 その威力は凄まじく、以前エリア3の港で戦った喰らう者(イーター)の剛腕を遥かに上回っていた。

 この一撃には拳二も大きく飛び退き、距離をとらざるを得ない。


 「……ほう、中々手強い。ここまで捉えられんとは」


 アリゲイターは劣勢だったのにも関わらず、余裕そうな態度で拳二に称賛を送った。


 (フン……なるほどな。タフさには自信ありってか)


 拳二はアリゲイターを鋭い目つきで観察する。

 深緑色の爬虫類らしく変化した体表が衝撃を吸収しているのか、アリゲイターにはほとんどダメージが見られない。

 すると後方にいるレイザーが、ヘラヘラと無緊張に笑いながら言った。


 「大した攻撃はしてこないじゃん……アリゲイター、遊んでないでとっとと喰っちゃいなよ。ボク、後ろにいる女を早く食べたい」


 レイザーの目がサラを捉える。

 ヘラヘラしているように見えて、その殺気は本物だった。ジンはその視線に怯えるサラを守るように立ち塞がり、レイザーを睨み付けて言った。


 「お前……簡単にいくと思うな」


 「ふふ……その右の瞳の色。君も面白そうだけど、あんまり強そうには見えないなぁ」


 レイザーはその人を小馬鹿にするような表情を崩さず、ジンを挑発する。

 ジンは今にも斬りかかりに行きたい気持ちを抑え、しっかりと後衛の役割をこなすことに集中する。『大した攻撃はしてこない』……あいつはそう言っていたが、そう思っているのならそれは致命的なミスだ。


 ――拳二の強さはこんなものではない。

 その身を以って味わっているからこそ、ジンは挑発に乗ること無く信頼して後ろに下がることが出来た。


 「それもそうだな、すぐに片付けよう」


 アリゲイターがそう言った途端、その体は更に変化する。口元が大きく前に変形し、凶悪な牙がチラつく。


 「……へえ、(アリゲイター)とはよく言ったもんだ。『エリア4』にある動物園でしか見たことは無ぇが」


 「俺の大顎を目にして恐れなかったのは褒めてやる。だが、これだ終わりだ!!」


 アリゲイターはそう言い放ち、拳二に噛みつこうと真っ直ぐ突進してくる。人間の大きさを遥かに上回る巨体が猛スピードで迫る。しかし――


 「ふぅ、後ろのチビもそうだが……



 ――流石に舐め過ぎだ、吹っ飛べや!!」



 拳二の言葉と共に、アリゲイターの巨体が勢いよく吹き飛ぶ。

 真っ直ぐな突進に合わせた、シンプルな右ストレート。バルバロスは解放されており、青い光が放出されている。


 「なっ……」


 信じられないものを見たように、レイザーは絶句していた。

 しかし目にも留まらぬ速さで、拳二は呆然としているレイザーとの距離を一気に詰める。


 「なに呆けてんだクソチビ。次はお前だぜ」


 そう言った拳二は既にレイザーの眼前に迫り、低い姿勢でバルバロスを構えていた。

 レイザーは考えるよりも早く、本能的に最速で半歩後退する。


 「――っ!!」


 レイザーの顎を狙ったアッパーカットが、ほんの数㎜先の空を切る。その拳は当たれば顎の骨を砕き、首の骨すらへし折ってしまう……そんな予感すら抱かせるほどの風切り音が鳴る。


 レイザーは拳二に対する警戒を改め、スピードを活かして手足の刃による連撃を繰り出す。


 ――が、当たらない。

 拳二はその場から一歩も動かずに、上半身の動きだけでレイザーの斬撃を紙一重で躱し続ける。


 (くそっ、ならこれで!)


 レイザーが繰り出したのは下段の回し蹴り。足払いともいえるが、当たれば脚部の刃によってたちまち足を切断されてしまう、凶悪な攻撃だった。

 これを躱すにはその場で飛ぶしかない……そこをレイザーは狙っていた。拳二はレイザーの狙い通りその場で跳躍し、足払いを躱す。


 「空中なら身動き取れないだろ? 終わりだ!!」


 レイザーはすぐさま手刀を繰り出す。


 しかしその瞬間、銃声が鳴り響いた。放たれた緋色合金製の弾丸が、正確にレイザーの手刀を貫いた。後方にいたジンがサラと共に有効射程まで距離を詰めており、サラが射撃を行ったのだ。

 レイザーの手刀は軌道を変え、そのまま拳二に当たることなく空を薙ぐ。


 「拳二さん、下がって!!」


 「――!! おう!」


 ジンはそう叫び、拳二を後退させる。

 理由は簡単、左手に構えた散弾銃を放つためだ。


 ――さっきのサラの拳銃とは、比較にならないほど大きく、そして重い銃声が響く。


 散弾銃から放たれたのは、緋色合金製の8㎜散弾。

 通常の金属製弾でもその威力は大きく、大型の動物の狩猟や扉の破壊に用いられる代物だ。それがより強度の高いものになっているとすれば、破壊力の向上は想像に難しくない。

 

 弾丸がレイザーに着弾したその瞬間、巨大な質量を持った金属同士の衝突を思わせる音が響き、レイザーの体を後方の廃墟まで吹き飛ばした。


 反動は凄まじく、ジンの強化された膂力を以ってしてもその左手は痺れていた。



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