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Beyond 【紅焔の反逆者】  作者: おとうふ
ACT-9 Paradigm shift
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パラダイム・シフト

更新しました!よろしければ覗いていって下さい!



 純然に輝く金色の髪、透き通るような青色の瞳。そして男性であるジンの目から見ても、思わず見とれてしまうほどに整ったその顔立ち。


 この際男女の違いは考えないとして……アームズと、どっちが綺麗だろうか?

 そんなことをふと考えてしまった。


 













 「――バスター……」


 「俺の名を覚えていたか、ジン」


 「……そっちこそ」


 互いに名を呼び合う。

 エリア2の研究施設で出会った時と同じように、他の喰らう者(イーター)とは隔絶した圧倒的な強者の気配があった。


 バスターの瞳が真紅へと変わっていく。どうやら既に()()()()()()


 「レイザーの敵討ちのつもりか? そんなに情が深そうな性格には見えないけど」


 ジンはバスターを推し量る意味も込め、敢えて挑発的な言葉を投げる。しかし……


 「……」


 (……無反応、それに表情も変わらずか……ここは……)


 ジンはバスターの反応を注意深く観察するが、特に変化は見られない。ならば挑発的な言葉ではなく、直接的な疑問をぶつける。


 「一体、お前たちスティールの目的は何だ? 人間の喰らう者(イーター)化なんて……何を企んで――


 「――ゴチャゴチャとうるさい奴だ」


 ジンの言葉をレイザーが断ち切るように言い放ち、その瞬間()()()()が迫った。


 「――!!!」


 対応策を考えるよりも早く、ジンは直感的に左腕を突き出した。ありたっけのべノムを集中させて、焔を纏わせて。

 この雷撃を避ければ、このまま病院に直撃する……!!



 「~~~ッッ!! あぁあああああ!!!!」



 凄まじい破壊力を持った雷撃。左腕で受けることには成功したが、その力の奔流を抑えることはできず、血肉は焼かれ消し炭になっていく。


 「っ……くぅ……はぁ……はぁ」


 ――だけど、止めきった。前に受けた時は一撃で倒されたが、今度は立っている。背にある人たちを守り切った。


 (左手はもうダメだけど……大丈夫。まだ、戦える……!)


 すると、バスターが不意に言葉を放った。


 「また生き残った……しかも、今度は俺の雷を止めた……」


 「……だったらどうした」


 「……面白い」


 すると、バスターの両手に雷を纏う。先程放ったの雷撃をより圧縮し、小さな形に押しとどめていく感覚だ。ジンは何をしてくるかまるで見当が付かず、ただ陽炎を構えて漠然と警戒することしか出来ない。


 

 ――しかし、その雷は攻撃用のものではなかった。


 光り輝く剣と盾……雷は形を完全に変え、バスターの得物となった。


 「――()()()()()()()()。見せてみろ。大角(ビッグホーン)と渡り合ったという、お前の力を」
















 「クソ……コイツ……!!」


 そう吐き捨てるように言ったのは、ボロボロになった拳二だった。無数の打撃を受け、鼻血を流している。


 「これは……ここまでの個体がいるなんて」


 ファングも拳二に並び、対峙する『拳王』を警戒しながら驚愕の声を上げた。


 「……やっぱりアンタでも会ったことは無ぇか?」


 「正直、無いですね。カテゴリーAの個体とは戦闘経験がありますが……彼ほどの力を持った個体は初めて見ます。何より、まだ変異体にすらなっていない」


 ――変異体。

 それは人化を果たした喰らう者(イーター)の真の姿であり、人間体時の戦闘能力など遥かに凌駕する、言わば『本気』の姿だ。しかし――


 「――おいおい、こんなもんかよ。お前らは猟犬(いぬ)共の中でも選りすぐりなんだろ? 失望させんなよ」


 拳王は両手を広げ、嘲笑うように言った。その身体は完全な無傷であり、拳二もファングも、アームズも。拳王にはただの一撃も入れられずにいた。


 「クソが……! やってやるよ……!!」


 兄の顔で、これ以上騒ぐな……! そう叫びすぐに殴りに行きたい拳二だったが、ファングがそれを抑えるように手を出した。


 「少し落ち着いて下さい。このまま戦っても、恐らく彼には勝てません」


 「けどよ……!!」


 「いいから。僕に策があります。うまくいけば――」


 

 「――おっと、そろそろ時間切れだ。悪りぃがその策ってのは次までとっといてくれや。これ以上は、()()()()()()()()()



 拳王はファングと拳二の会話を断ち切り、そう言い放って去った。人間にはおよそ不可能であろう跳躍と移動速度で、簡単にこの場を離脱したのだ。4層から成るこの街の特性を活かし、建物間の吹き抜けから下層に飛び降りた。


 「な……待てコラ!!」


 「……追えますか? ランク3」


 「建物が入り組み過ぎている。あんな変則的に動かれたら、飛べる私でも追い付けない」


 「……そうですか」


 アームズは拳王が姿を消した方を見ながら、思考を巡らせていた。


 (()()()……そしてあっちには……)


 「……!! まさか……!?」


 ある一つの考えに辿り着き、アームズはすぐさまその場を飛び去った。


 「お、おい!?」


 「一体どこへ……?」


 拳二とファングの声が聞こえたが、アームズはそれを無視して全速で離脱していく。


 (……ジン……!!)


 拳王の去ったその先には、現在避難所となっている病院があった。






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