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キャラメイキングと暫くしてから

さすがに異世界に転生する予感も百合っ気もないと心苦しいのでこうやりたいっていう見通し?をやってみます。

「残念ですが、貴方は死にました」

 真っ白い部屋だ。それよりは、真っ白いという概念だと感じられる。

 ただ白いだけの空間。自分の体だけが、影も作らず存在する、奇妙な感覚。

「聞いてます?」

「いやちょっと待ってくださいって!!あれでしょうが!!死んだ後にそれを伝える空間なんか感慨抱かずにどうするんですか!!どんな異世界転生ものにもそのシーン無いやつ知りませんよ!!」

「リゼ○はどうしたんですか」

 と突っ込む女性。

 仮に異世界転生ものだったとしたらこの人が女神様とされることだろう。

「あながち間違ってはませんね」

 心まで読めるんかい。

「あなたが単純すぎるのでは」

 やかましわ。

「それはさておき仕切り直しますよ、いいですよね。

 はい、貴方は死にました。

 という訳で異世界に転生してもらいます」

「何言ってんだ」

 異世界転生ものだった。

「まず私は…まぁ、神様の下っ端…みたいなものですかね」

「天使さんですか」

「それとは、まあ違うんですけど」

「じゃあいいや」

「えぇ…」

 じゃあなんて呼べばいいんだろ。

「好きなように呼んでくれていいですよ」

「じゃあ使徒Aさんで」

「茜さんらしいと言えばそうですけど」

「なにそれストーカー?」

「神の使徒舐めないでください」

 権能の無駄遣いって奴にしか聞こえない。

「失敬な」

 …えー…。

 そういや、異世界転生ってだいたい理由があるような。この場合なんなんだろう。

「いやですね、暇で…」

 観察動物ってことらしい。

「チート能力は渡しますよ、俺TUEEEE系好きなんで」

「じゃあいいか」

 僕ちょろすぎ…。

「まぁそれはさておき、転生するにあたってキャラメイキングを始めようと」

「よしきた」

「前世でステータスが低かった人ほど振れるステータスが大きくなってますよ。平均的な才能だった人は、合計2000ポイントくらいですかね。まぁステータスの平均が500くらいなんで、それでも充分チートなんですけど」

「そうですか、ポイント制なんですね。

 ちょきんぎょ○さんに謝ってください」

「伏せれてないですけどね。ごめんなさい」

「それで、僕が振れるポイントはどれくらいなんですか?」

「52600くらいです」

「泣いていいですかね」

 前世での僕の圧倒的低能が露呈した。

 いや全体的に酷かったけどさ。

「まず種族を決めてください。強い種族ほどポイントを使うことになってます、人間だとポイントは使用しません。逆に、使うポイントがマイナス…つまりステータスに振れるポイントが増える種族とかもあります」

「なんですかそんなに弱すぎる種族って」

 黙り込む使徒Aさん。

「…蠅…とか……?」

 強すぎる蠅ってなんだろう。

「じゃあ、吸血鬼とかってありますか?」

「あります…けど、日に当たると死にますよ?」

「日照耐性にステータス振りまくれば大丈夫なのでは…?」

「ちょきんぎょ○さんに謝るのはあんただ」

 怒られた。

「えっと、じゃあ吸血鬼にするんですね?ポイントは2000使います」

 一般的な転生者では吸血鬼になるだけでポイント使い果たすらしい。

 まぁ僕にはポイントが有り余ってるから問題なさそうだけども。前世のステータスと反比例するって聞いて素直に喜べないけど。

「じゃあ日照耐性に限界まで降るとして。」

「3000ポイント使えばお日様の下にでると絶好調になりますよ」

「吸血鬼とは。まぁじゃそれで」

「やるんですね」

「あとは、膂力と魔力、あと体力に限界まで振っといてください」

「それぞれ10000ずつ使いますけどいいですか?」

 思ったよりポイント食う。

 じゃあ残りは17600ポイントか。

「あとはどんなのありますかね?」

「吸血鬼の特性とか、あと魔法創造力、知力とか…あっ、あと防御力」

「あー…全振りで」

「残り7600ポイント」

「実況しないで…それで、吸血鬼の特性ってなんですか?」

「物質創造能力とか、霧化…あと身体変質、とか…」

「キスショ○トさんが出来ること全体的にって考えていいですか?」

「もうあんた色んなところにゲザれ。合ってるんですけど」

「それってステータスいくつまで振れます?」

「3000ですね。もちろん、単純な膂力や防御力とかは別枠ですけど」

「さっきのやつですね、どうせ全振りしてるんで」

「どうしようこの人うざい」

「どうしようこの使徒うるさいな」

「じゃあそれにも全振りしといてください…そういえば、魔法創造力ってなんですか?」

「それっぽい詠唱をすれば考えた魔法が使える、みたいなあれです」

「要するに僕が行く世界にその魔法がなくてもメラゾ○マって唱えれば使えるってことですね」

「もう突っ込まなくていいですよね」


「おはようございます、ミレイアさん」

 紅色の少女にそう言う。

 その紅葉と全く同じ見た目に、やっぱり違和感を覚えるけれど、彼女は紅葉じゃない。僕が手放してしまったのに、隣にいる権利を求めるだなんて幾ら何でも強欲が過ぎる。

「うん、おはよう」

 そんな私の心の機微を知らず、ミレイアは笑い返す。その表情もやはり紅葉に似ていて、未だ重ねてしまって。

「ノエルちゃん、今日はどこか出かける?」

 ノエル、というのは『私』の名だ。『僕』の名前ではない。そもそも既に私は僕ではないから、そこを掘り返しても仕方ないんだけれど。

「いえ、今日はベッドでゆっくりしてたいです」

「ノエルちゃん、その…さすがに大胆なんじゃ」

「そういう意味じゃないですから」

 流石に早とちりが過ぎる。冗談なんだろうけど。

「そっか…」

 …冗談……なんだろう…けど。

 けど別に嫌だと思わない自分が怖い。『僕』が男だからかな、と思うけれど、しかしもう私は僕ではない。そういうのを抜きにしたって、私はきっとミレイアが好きなんだろう。どうしてこうなった。

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