表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

0-0 僕の恋情について

 僕は紅葉(くれは)が好きだ。

 別に紅葉と付き合っていることを隠すつもりもないし寧ろ全力で惚気けて行くつもりだから言うけれど、僕は紅葉が大切だ。

 自分なんかよりずっと。

 これに関しては自分自身が大嫌いっていうのもあるのだろうけれど。

 自分か紅葉かを選ぶなら迷いなく紅葉を選ぶと言いきれる。

 紅葉だけが僕の全てだ。

 無論これは綺麗事を並べたに過ぎなくて、生死の選択を迫られたとしたら生存本能から自分を選んでしまうかもしれないし、紅葉以外にも趣味くらいある(…まるで紅葉を趣味と言ってるみたいだ、否定はしないけど日本語としてどうなんだろう)

 けれども、そんな他の趣味で埋められない心の虚を彼女に補ってもらっているというのもまた事実な訳で。

 対して、彼女には欠点が無いように思える。

 成績優秀で、頭が良くて(この時点で既に窺える僕の頭の悪さ)顔は良くて、運動もできて人当たりも良くて、僕の付け入る隙は見当たらない。

 きっと彼女は僕がいなくてもこのまま生きていけるのだろう。

 そのことに別に文句を言うつもりはないし、そもそも文句を言える立場じゃない。

 少し頼られたいとは思うけれどそれは只の傲慢だって理解している。

 凭りかかられただけで潰れてしまいそうな僕を紅葉が選んで頼る理由なんてどこにもないのだ。

 僕は彼女に依存しているけど、彼女は僕に依存している訳では無いと、それだけの話。


 さて、僕の愛情が一方通行という結論が出たところで、さっきの話だ。

 僕と紅葉のどちらかが死なないといけないのなら、僕は彼女のために死ねるだろうか?

 …先程は「かもしれない」なんて言葉で誤魔化したけれど、…きっと無理だろう。

 僕は彼女のように綺麗な人間なんかではなくて、醜くて、汚い人間で。

 彼女を見殺しにしたとて、僕はその亡骸を抱いて泣くだけで、一生後悔なんて出来やしないんだろう。

 次の拠り所を探して、他の誰かに『好き』を唱えるのかと思うと、僕は少し…怖い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ