縁結びが効いちゃったかもという件
美代達がいる教室の外側、目元がキツイ美少女と体脂肪率一桁のガッチリ男が対立していた。
「ちょっと!こら筋肉男!!どけ!!」
「歩美さん、いつもながら、見た目はいいけど、お口が悪いね。でもね、ちょっとそれはいまダメなんだよ・・いくら美代さんのお友達でもね・・・」
歩美とSP隊長の山川さんが言い合っている。
「わかった。あなたがそういうことなら、こちらも強行手段で参ります・・」
美少女が山川を睨んだと思ったら、ニコリと笑顔になる。
そして、
「きゃーーーーー!!!」
と悲鳴をあげた。
「お、おい!!やめろ!!なんてことするんだ!!!」
「ふんっ。根性なし。もっと叫んでやるわよ。ここを通さないと!今度は、わたし、自分のワンピース切り裂いて叫びますから!!」
山川には手段がなかった。歩美は美代の親友だ。力で抑え込むことはゆるされない。
ノックをして、彼女を入れようとしたら、その隙を取られ、歩美にばっとドアを開けられた。
「おい!!なんてことを!!」
歩美は景色を見て呆然とする。
蓮司と美代が抱き合っているではないか?
「え? もう王将が取られた??」
慌ててその場にやってきた七瀬くんも美代があのイケメン上司の胸の中にいるのでかなり焦っている。しかも、美代が泣いているのだ。
「お、おい!!なんだよ。それ!!セクハラじゃねーのか!!」
「歩美!!七瀬くん!!」
無言の蓮司は微動たりともしない。
「てめ!!!なに美代泣かせてぇんだよ!!」
七瀬が怒り狂いながら、蓮司に殴りかかっていた。
SPが止めようとする前に、片手で蓮司が七瀬の腕を止める。
「誤解だ・・」
「な、七瀬くん!!違うの!! ごめん。ちょっと感極まっちゃって・・・」
七瀬と歩美が狐につままれたような表情で美代を見つめた。
「え?どういうこと??」
歩美が詰め寄る。
「き、今日ね・・・実はわたしの誕生日なの・・・忘れていたの私・・・」
「えええ??誕生日!!!」歩美が叫ぶ。
「おい、まじかよ。どうして言わないんだよ。そういう重要なこと!!」
「ごめんね・・・今までそんな余裕っていうか、一緒に祝う友達もいなかったし・・・完全に忘れていたの・・・」
美代の発言がどんだけ聞いていた者たちの心に響いたか美代自身全く想像がつかないでいた。
そこへ静かに真田が入ってきた。後ろには珍しくあの秘書の矢崎さんも一緒だった。
息をハアハアと言わせている矢崎さんに対して、全く冷静沈着な真田さんが対照的であった。
「あああ!!会長!!見つけ出しましたよ。もう!!いま行かないとまずいです。あちらの長官が待ってますよ!!すでに30分遅刻なんですから!!」
矢崎さんが顔色を青くさせながら、蓮司を急かした。
「ああ、大丈夫だ。俺が遅れても、あっちは多分、俺を攫ってでも俺に会いに来るはずだ・・・・」
「蓮司様。すでに、山川には伝えていますが、あちらも時間がないようで、すでに米軍のチョッパーがこちらの方に向かっているようです」
真田がいつもように冷静に進言する。
「んんん・・・それはまずいな。五月蝿すぎるぞ、ここは学校とはいえ、住宅街だからな。至急、相手に連絡しろ。今、向かうって言え。そうじゃなければ、今日は会わないぞ」
くるっと蓮司が美代に振り返る。
「お誕生日おめでとう。美代。早くもっと大人になれ・・・」
「え?老けろってことですか? 会長・・」
ふーーーっと長く息を蓮司は吐き出した。
「まあいい。だが、お前、一個、契約違反だぞ」
「ええ? 何ですか?」
「大声でいえないから、耳を貸せ・・」
ーーええ、そんなやばい秘密なことしてしまったのか?
「お前、七瀬って奴のこと、俺に隠していたな・・・契約違反だぞ・・」
「ええ?? あ、あの友人関係うんちゃらですか???」
「刑罰を与える・・・」
「ひええええ」
そして、その大きい手が美代の顎を寄せた。
チュッと音がした。
蓮司の柔らかい唇が美代の頬に落ちた。
んぎゃーーーーーーー!!!!!
正直、その奇声が誰の者だかは、不明だ。複数以上いたはずだ。もちろん、された本人も含まれた。
「またな。子リス。今回は噛まれなかった。一個進歩だぞ!!」
「!!!!!!会長!!わたし、子リスでもペットでもありません!!!」
顔を真っ赤にさせながら、美代は叫んだ。キスされた頬を手でおさえる。
「こら!!!変態会長!!まじ殴らせろ!!(注意*美少女歩美ちゃんの言葉)」
「!!!!なんだよ。それ!!!!!」(七瀬くん)
「・・・・・・・」(真田さん)
「うわぁーーー、すげーーー、オレ、スゲーの見ちゃった。明日俺死ぬのか??」(矢崎さん)
そして、また意味深な笑みを浮かべた蓮司は何と美代にウィンクをして教室を出て行った。でも、去り際に、七瀬に小声で話しかける。
「俺は誰にもあいつを譲る気はない。たとえ、世界が相手でも、小僧が相手でも同じだ。お前には美代を支えるだけの力量があるのか? ただの欲情犬なら、排除するだけだ。お前が美代の友人、それかそれ以上なものなら、証明してみろ。ただし、美代を傷つけたり、無理強いでもしてみたら・・・この世の終わりを見せてやる・」
蓮司はただ、ジロリと視線を七瀬に送る。
「なっ、くぅっ・・そんなことするかよ。・・・」
と七瀬が悔しそうにつぶやいた。
残された美代、歩美、七瀬、真田は、静かな教室で固まっていた。
真田を改めた見た美代は、お礼を言った。
「真田さん・・・ありがとうございました」
「いえいえ、とんでもないです。お誕生日おめでとうございます」
「あの・・・電話で、突然ですみませんでした・・」
「少しは気持ちが整理つきましたか?」
「・・・いえいえ、全く、それが・・・」
「そうですか。いいと思います。人間そんなわかりやすい感情で日々生活をしていないですからね・・」
「あ、あと、このネックレス・・・その真田さんがあのホステスさんから頂いてきたっていうのは本当でしょうか? もしかして、無理やりとかでは怖いですから・・・」
「・・・大丈夫です。あの雪さんって方は、見た目よりとっても優しい方でね・・・無理元でお願いしただけなんですが、なぜか最後には手にこのネックレスを掴まされてしまい、返すことも出来なくなったものですから・・・」
「そんなことってあるんですか?」
「そうなんですよ。でも、こちらとしても悪いと思うので、それ相当の贈り物をこちらから雪さんに渡したいと思っていますので、どうぞご心配なさられないように・・・それは、蓮司さまから美代さまへの誕生日プレゼントですから・・・」
「真田さん・・・ありがとうございます」
そこに、急に歩美が入ってきた。
「真田さん・・・・最初からうん臭いと思っていたけど・・・・」
「お久しぶりですね。歩美さま・・その節は大変お世話になりました。相変わらず、お美しいですね・・」
じろっと美少女が真田を睨む・・・・
「あんた・・・・かなりの策士ね・・・」
「ええ? 一体なんの話でしょうか?」
美代もその言葉を聞いて、固まった。その時、今までのことを聞こうと思っていた七瀬までがビビっていた。
ーーええ、いま歩美ちゃん!!なんて言った!!
ーーええ、俺いま、耳を疑ったぞ!!
ーーいま、策士みたいっていったよね。
ーーおい、かなり策士とまで言い切ったぞ!
3人の大学生が、七三分けの真田さんを凝視していた。
え、縁結び、効いてきた?と美代は呟いた。




