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ですから、染色体が違います。

慌ただしい初詣がやっと終わった。

帰りは、またヘリコプターだと思ったら、歩美ちゃんが、

「御曹司、いや蓮司! いい加減、美代のレベルに一緒になって考えなさい!」

と言い放つ。

「美代のレベル?」

「あんたの常識はうちらの常識とは全く違う。幸い今日は、あんたから自分で下僕になるって言ったんだから、うちらの方法で帰らせてもらうよ」


それで、なぜか3人が大変混雑したJRの電車に押しつぶされながら乗ったのだ。


「おい、これがお前たちのいうレベルなのか??」


蓮司がその大きな体を使い、二人の女性を他の客から守るように立っていた。もちろん、SPの山川もすぐ歩美の後ろに立っていた。


「歩美さん。あなたの後ろにいる男は、おれのセキュリティーの隊長の山川だ。安心して大丈夫だ」


体を反対側にして、背を歩美に向けている山川はニコっと歩美に笑顔を向ける。


「きもっ。笑わないでいい」


かなりの美少女にきついことを言われて山川はがくっとするが、まあその辺は大人の男なので、

「悪いな。キモい顔だけは治らないんだよ。お嬢さん」

と言い返した。

それを聞いた歩美はちょっとバツが悪そうな顔をする。


反対に蓮司などは満員電車の中で、完全に美代を包み込んで乗っていた。でも、意外に美代に体をくっつけるということはせず、力一杯、彼女と自分の体の間にスペースを作って、美代を不快にさせないようにと全力で努力していた。


「美代。大丈夫か? 本当にお前達はこんな電車にいつも乗っているのか?」

「え? いつもじゃないけど、ラッシュアワーにはこんなになります」

「!!!!!美代。絶対にもうラッシュアワーに電車なんて乗るな!わかったな!!」

「え? それはちょっと無理です。ラッシュアワーって多くの人が移動する時間なんですよ。ときどきは当たりますよ。そんなの!!」


美代はちょっとドキドキした。こんなに異性に近づかれたことがない。しかも、その男性、そのフェロモンがだだ漏れなのだ。その厚い胸板が目の前にあった。気を紛らわそうと、周りを見まわす。

隣には歩美ちゃんに山川さん。そして、よく回りを見回すと、実はみんなSPっぽいひとばかりだ。



そっか。みんなに囲まれているんだ・・

しかし、みんな知り合いなのになぜか声もかけず、他人のようなふりをしている。ちょっとおかしくなって笑ってしまう。

「なにがそんなにおかしいのかな。チョロチョロと辺りを見回す子リス姫。あなたの下僕はこんなにがんばって姫をお守りしているに・・」

「ええ? 蓮司会長・・・だって・・」

「蓮司だ・・・蓮司って言ってくれ」

「・・・・・でも、」

「約束したじゃないか・・・蓮司と呼ぶって・・」

そんな約束、私個人的にはしていないと思うが、まあ、しつこそうだからそういうことにしようと思う。諦めて改めて名前を呼んだ。


「蓮司・・・・だって、みんなここにいるんだもん・・しかも、SPのみんながいるのにお互いに知らんぷりしていて、わらっちゃう!!」


まわりを取り囲んでいるSP達が不自然な咳でその笑いを隠していた。

「そうか。可笑しいのか・・よかった・・・」

「え??」

「おれはお前が笑ってくれているのがいい。泣いたり、倒れたり、怒られている姿は見たくない」

「か、会長??」

その顔がどんどんと美代に近づいてきた。

「美代。下僕でも、時々褒美が欲しくなる・・」


どんっ!


「いっ!!!ってーーーーーーーっ」

歩美が思いっきり蓮司の足を踏んだらしい。


「ご、ごめんあそばせ。なんか下僕が余計なことしてるみたいだから!!」

「!!!!歩美さん? おれはいつも女性にはある程度の優しさを持って接しているが、いささか心の狭い男とは言われたくないが、あなたのような女性には、ちょっと考えも変わるかもしれない」

「あ、そう。変わって結構。私、美代のベストフレンドですから!!」

「!!!!!!」

「蓮司はわかっていないようだから、今教えてあげる。女のベストフレンドって、ある意味、彼氏よりも上の存在ですから!!!わかる!!上だから!!」

「な!!上だと!本当か? 美代!!」

なんなんのぉ? この二人!! トークがアツすぎる。しかも、彼氏って誰の彼氏の話しなの?


質問の答えを待ち続ける蓮司の視線が熱い。仕方がないので答えてみる。


「ですから、会長。呼び名変えてください。美代ではなく、土屋でお願いします。ええ? ベストフレンドが彼氏より上?まあーそれはアリかもしれませんね。(私は彼氏いたことないからわかんないけど)彼氏は別れちゃうかもしれないけど、ベストフレンドはベストフレンドじゃないですか? だから、上かもしれませんね」

「ムムムっ。だったら夫はどうなんだ。夫は! ベストフレンドよりはさすがに上だろう?」

「え? いやー、さらに夫だって離婚しちゃったら、やっぱり終わりじゃないですか・・・死別もありますしね。女性のほうが基本的平均寿命が長いですからね。やっぱり女友達の親友の方が上ですよ。きっと」

「!!!!!美代。おれも女になりたい・・・」

「む、無理です。男ですから! 染色体の問題です。」


そのあと、電車でぎゃーぎゃーと言い始めた蓮司に、歩美ちゃんが『うるさい!』といったので、その後静かになった電車の中を最寄り駅まで静かに移動した3人でした。


歩美の挑発的な言葉に惑わされ、たしか、えっとアメリカのなんとかバート大学を出ているはずの天才児、蓮司だが、すべての知識がその恋狂いの罠にはまり、単なる頭のおかしい変態イケメンになりさがっていました。


合掌。





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