真田さんはかなり難聴でマイペースです。
現在、真田は全身の神経を顔の筋肉に集中させていた。ここで絶対に笑ってはいけない!!!自分が大原財閥の総裁に勤めはじめてから、こんなに危機に陥ったのは初めてだ。会長、いやこの組織全体の安泰のため死守しなければならない!
ああ、もうかなり抱腹絶倒ものだ。
あああ、あの凹むことのない会長が絶対に凹んでいるはずだ。
会長の顔を見ながら突っ込んでみたかった。これらの文言について・・・
頭の中に何かが閃いた。
ああ!!!!わかった・・・・だからか・・・
会社の矢崎から詳細のことは聞いていた。
あの恋愛報道には蓮司がありえないほど、気にしていると・・・だから、それについてこれから処置ついて話し合うと・・
処置について話し合うというのは蓮司会長の常套句だ。
つまり、『俺のしたい放題にさせてもらうということ』ということだ。
それは矢崎も真田もよく理解していた。
だが、硬い肩書きだけではなくて自分もそのような業界の会社を経営している蓮司が、なぜかあんな幼稚な手に引っかかった。それもまあ美代の不在が関係していることだったがその先が問題だった。
恋愛報道、そして、プロダクションよる金銭の要求などが起きてきた。
たぶん、蓮司会長のことだ。金銭の要求などまったく気にするところでない。
熱愛報道もしかりだ。その方が、商売がうまくいく時もある。
彼は絶対にこの子リスを気にしたのだ。
それしか考えられない!!
いま子供のように震え、解雇に怯える美代を真田は見下ろした。
「美代様。ご心配なさらないように。そんなことで解雇するような心の狭い会長ではございません。」
「ええ、でも、忘れ物バカエロ王子とかまで言っちゃったんですよ・・・」
「ふふふっ。大丈夫ですよ。だって美代様は本気で悪口を言ったわけではないでしょう。」
「ええ? そんな買いかぶりです。マジですよ。マジ!! 本当にムカついていたんです!」
「そうですか・・ムカついていたんですね。」
「そうです。ムカついていました。」
「大丈夫です。たぶん、美代様の本心に蓮司会長も気がついていますので、安心してください・・」
???えええ? 真田さん!!! いまの話し聞いていました??!! エロ大魔神といった私の本心を会長が察している??
どういう本心を見透かしているの!!!
美代はなんだかあの悪魔のような笑みを浮かべる美形の会長を思い出し、背筋がなにかぞわっとする感覚を覚えた。
真田さん!!あなたはやっぱり難聴でマイペースすぎる!!
美代は普通の同僚がほしい!!!と切に願った。