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直属上司のスキャンダル

思わず口から吐く息が白い。

大学の近くの街路樹もクリスマスの電光装飾がなされ、また商店街などに流れる曲もクリスマスの曲が主になってきた。


ようやくほとんどの教科の試験が終わり、近くのスーパーで食材を買い込みいそいそと家路につく。

最近、このアパートは静かだ。この頃、大学→仕事→寝るの繰り返しだったため、まとまった期間、部屋にいることがなかった。

だが、みんな実家に帰ってしまったのだろうか?

師走の忙しさとは対照的に静かな自宅のアパートに戻り、ちょっとさみしくなる。


今日は底冷えする寒さだったから、久しぶりに水炊き鍋にしようと思った。シンプルに薄切り豚と白菜、水菜をいれ、やっぱり外せない豆腐を入れる。薬味はシンプルに醤油、鰹節、ネギを合わせたものだけだ。まあ飽きたら、ポン酢をいれようと思った。ああ、冷凍うどんにするか残りものの白いご飯で雑炊にするか迷ったが、うどんが食べたくなり、それも購入済みだ。


鍋などすべてをセットし、こたつに入り込んだ。


鍋がグツグツと煮えてくる様子をみながら火加減を調節する。食べどきだ。リモコンを取りテレビをつけてみた。最近は忙しくてテレビを見る暇もなかった。ヘッドラインニュースをざくっとみた後、天気予報、そうしたら、ゴシップニュースへと話は移る。


いきなり今日のスクープネタ!!が入りましたと、ゴシップ特派員はテレビで興奮の声を上げる。


『あの大原財閥の御曹司、大原蓮司氏が、あの今国民的スターでもある女優の有紗さんと熱愛報道』とあった。


おもわず、すくった湯豆腐が落ちそうになる。

バシバシとフラッシュがたかれる中、『ノーコメント』といいながら、あの黒塗りのベントレーに消える蓮司が画面から映し出される。こんな時でも、ビシっとスーツを着こなしサングラスをかけ、まるでハリウッド俳優のようなオーラが出ている。


にくたらしい。かっこいいのでなんかムカつく。


その後、その国民的スターの有紗が、記者に向けて、テレビの撮影の合間にインタビュー会見をしている様子も映し出された。


見た目も仕草も100%以上かわいい有紗は、子役スターから始まり数々のドラマ出演のあと、最近主演で出た青春物のテレビドラマが大ヒットとなり、映画まで製作され押しも押されぬ大人気女優へと成長したのだ。


忘れていたけど、やっぱりあの人は雲の上のひとなんだな。


多くのフラッシュがたかれる中清楚な印象の有紗が、一生懸命にお答えしますという雰囲気を匂わせ、記者たちの質問に答える。


「大原蓮司氏との熱愛報道は本当のことなんでしょうか?」

「あの皆様、お騒がせしていて申し訳ありません。蓮司さんとはいいお友達です。」

「では、交際を認めるんですか?」

「いいえ、交際ではありません。いい友達と言いました。」

「じゃー、なぜ同じホテルのロビーからお二人で同じ車に乗って帰ったのですか?」

「あの・・・それは、プライベートなことなので、お話できません。」

「「「あのあの!! 」」」

ハイエナのように記者たちが、有紗を問いただす。


会見は仕組まれたように、そこで終わりを告げる。


でも、このゴシップは終わりを告げなかった。


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