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ヒノモトノタビ〜東方軍人録〜  作者: イチ
第1章 甲斐国 2人の二等兵
11/17

辞令は突然に

今回も会話が続きます…

ご容赦下さい〜

甲府城 司令室

神歴33年9月22日



「ええ、勉強済みですよ。熊人族クマドぞくを操っていたのが貴国であるというのは、国民や帝国向けの嘘だという事も。」


戌井司令は眼を見開き、パーシを見つめる。


「それを…どうして。どうやって知った!?」


戌井司令が声を荒げるも、パーシは動じず、さらに続けた。


「熊人族を操っていたのは、【山韓衆サンハンしゅう】と呼ばれる山の民。戦時・戦前から差別、迫害されてきた者達の末裔の1つ。甲信越の山々に住まう者達でしたね。」


冷汗を流しながら聞いていた戌井司令が突然吹き出す。

「クフっ、そこまで知られてるとは、もはや笑えてくるな!

そうだ。甲斐国は元々彼等とは不干渉だった。だが、日本帝国がこの地を支配すれば、彼等も今まで通りとはいかん。

そのため、彼らは我々に力を貸してくれたのだ。

しかし解せんな。これはほんの一部の者のみが知る事の筈だが…」


「…我が国の諜報員は優秀なのです。そして数も多い。もちろんこの情報を流すのも容易いことですよ?」


戌井司令は右手を頭に添え、人差し指でコンコンと叩くとため息混じりに言った。


「いいだろう…お前さんの提案を受け入れよう。

だがもう少し聞きたい事がある。

鎌倉と日本帝国との関係は?

何故我が国と同盟を?

いや待て、これは派遣員も交えた方が良いな。」


「ありがとうございます。

そうですか。それでは一度我々は…」


「いや、もう目星はついておる。な?村井中尉。」


突然の展開に眼を白黒させていた案内役の中尉は、口をパクパクさせ、


「は、ハイィ!?」

と叫んだ。


「ここまで聞いてしまったのだ。当然だろう?

たった今から、君を鎌倉派遣隊隊長に任命する。あと2名は今呼ぼう。」


司令は電話を取り、情報隊舎へ繋いだ。


しばらく呆然としていた村井中尉だったが、司令が喋りながらジェスチャーをしているのに気がつく。


『客を座らせ』


ハッとし、パーシと護衛を近くのソファに座らせた。


「…あぁ、そうだ。彼等の任務は取り消し。

…うん、うん。

すぐに司令室に向かうよう伝えろ。ああ、では。」


ガチャ

電話を置き、椅子にもたれかかる。


(さて、どうするかな。)


◇ ◇ ◇ ◇


コンコン

武「入ります!武田軍曹他…「あー、良い良い。まあそこ座れ。」


武・米「…失礼します。」


戌「突然呼んですまんな。…武田くん、5年振りか。一等兵が立派になったな。」


武「恐縮です。司令。あなたもお変わりありませんね。」


(知り合い…でしょうか。5年前と言ったら甲日戦争中かな?)


戌「さて、急な任務の変更申し訳ないが、君らには『鎌倉』へ赴き、燃料物資武器弾薬等の備蓄、まあいわば国力を見極めつつ逐次報告してもらいたいのだ。

それによってこの国と同盟を組むに値するか見極める。」


村「私が派遣隊隊長を務めます、村井中尉です。

詳しい要領は明日にも作成して渡しますので。」


(そんな重要な任務を我々に?いや、長田軍曹と司令は知り合いの様子だし…)


長「相変わらず無茶を仰りますね。」


戌「だがそれをやりきるのが君だろう?

紹介しよう。

彼女が鎌倉の特使、パトリシア殿だ。」


パーシ「初めまして。

お二人には予備知識として、我が国鎌倉の日本帝国との関係性、そして貴国との同盟を望む理由をお話しいたします。

我が鎌倉は現在、日本帝国と緊張状態にあります。

我々の拠点である

厚木基地・横浜駅周辺

には、日本帝国の偵察部隊をよく見かけるようになりました。

また、そのさらに北部には補給基地を建設しているようです。」


戌「それはなんとも…穏やかじゃないな。

良いな2人とも、これは極秘任務だ。帝国には知られないようにせよ!」


(若干ヤケ気味ですね。司令、なにがあったのかな。)


パーシ「…続けます。

帝国と甲斐国は友好国。その甲斐国が鎌倉と手を組めば、彼等も躊躇すると考えました。

貴国は帝国に頼っている工業品等の輸入を、我が国に鞍替えできますから。

派遣隊には、その是非を判断をして頂ければと思います。

また、我が国は武器弾薬は充分なのですが、人と食糧が足りません。

特に深刻なのは食糧です。」


戌「…食糧?海にも面している貴国が?」


(海ってなんだろう…)


パーシ「…その海からも侵攻を受けているのです。

それが人と食糧が足りない、すなわち土地を失った理由です。」


戌「人…じゃなかろうな。」


パーシはグッと手を握りしめて言った。

「ええ。獣蟲です。」

お目通しありがとうございました!


今回も説明らしい会話が続いて申し訳ありませんでした('A`)


今後もよろしくお願いします!

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