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我思う インド入国  その1

私は思う。遠慮無く言わせて貰えば、予言だの霊視だのというのは、一つの精神病の出現に他ならない。つまり精神に異常が生じたのに他ならない。その証拠に、予言は何も当たっていない。人間の脳は余りにも複雑に発達しすぎた。たぶん、そのために時として回路が狂うのだ。そして、しばしば幻覚を見る.幻聴も聞く。


普通の正常者たちには理解しがたいことで、それ故に、古代では、一般の者は彼らを特別な者として崇拝したであろう。


 そこから、問題が発生するのだ。


全てがすべて、精神錯乱者を敬うわけではない。

「彼奴の言うことはおかしい.神のお告げと言いながら予言をして、その通りになったものなど、ないではないか」


同意する者もいるだろうし、あくまでも異常者を崇拝する者もいる。


 もし、異常者に靡く者が多ければ、不信をいう者を罰せよ、となるであろうし、


逆であれば、魔物に取り憑かれた者とみなして、退治しようと、合意されてしまう。


霊のシンボルに、縄文時代は翡翠や瑪瑙などで勾玉を作っていた……と思われる。


幻覚や幻聴を本気で語る者が現れなければ、慎ましいお守り程度の装身具で済むのだが……。


高度な機能を持った人間の脳は、ときにはバランスを失う。複雑な脳神経と脳電流は誤作動を生じる。

 そこから、幻覚が、幻聴が発生するのだ。本人にはそれが自身の脳細胞の異常から生じたものとは理解できない。


 そして、取り巻きのものたちにも、世界が、物事が、すべて理解出来ないがために、かかる幻覚・幻聴を真顔で言う者を?疑問視しながら受け入れるのだ。


霊能力がある?


仮に有ったとしても、それが害をなさないので有れば、不問で有る。

面白い事をいう人もいるものだ、、、、で、終わる。


人間の許されるべき個性の範疇で差し支えはない。


 だが、もしそういう異常幻覚者が、自分は霊性が高いから、レベルの低い者をやっつけてやるのだ、となれば?


 つまり、人を上下で差別して、自分を高見において、虐めを始めだしたとすれば?


 その人物が精神異常者であろとなかろうと、誰かを燔祭にあげたり、弱者と見越して虐めたりしないのであれば、問題では無いが、しかしながら、その種の異常者はしばしば人を攻撃するのである。


仲間を囲い込んで、反撃されないで済むような者へ牙を剝く。


人類に覆い被っている「悪」の根本的且つ原初の原因を、私はそこに見るのだが……。


縄文時代の人々も、殺戮を行っていたのが判明している。


ただ、規模が小さく、かつ幼稚であっただけで、その後の文明開化時代に比すれば、子供の殺し合い程度であったであろう。


野放しにされていた原初の呪術や霊性は、やがて巨大な姿へ変貌して行く。


=============


「インド人は世界に類の無いほど狡賢い民族です。尋ねても本当の事は言わないのです。彼らは嘘は言うし、隙を見ては人の物を平気で盗むし、置き引き、掻っ払い、普通だと思って置いて下さい」


私がインドへ行くと決まった後、インド一周の旅行経験があるという人物から吹き込まれた情報であった。


 しかし、日本のピザ発行所で出逢ったインドの人は、ごく温和な人々であったし、インドの空港で最初に出逢った人物も、人の良い男であった。


 その最初のインドでのインド人は、日本からの旅行者の亜喜音さんの友人で、その為の好人物かと思っていた。


彼は、自身の携帯電話を使って、私のために方々へ電話をかけてくれた。


私は旅行企画者たちとは、航空券の手配ミスで、一日早くバンガロール空港へ到着していた。


 その空港は24時間空港と確認していたので、深夜の1時到着の後、明け方まで空港内で過ごして(長椅子でもあれば仮眠して)、そのあと、予約した〇〇innホテルへ、バスで行く積もりであった。

 その為の、地図を事細かに収集していた。

夜明けを待って、案内書で地図を示しながら、どのバスに乗れば良いのか、尋ねれば良いだけで、近くに着けば、歩いて行こう、と。。


〇〇innホテルの近くには、大きなロイヤルホテルがあり、さらに、ゴルフ場もある。

 その通りは100フイートロードという名称で、とても分かりやすい。


 しかし、タイの乗り継ぎの空港で、インド入国の申請書が必要とわかって、慌てたのであった。


必要書類はぬかりなく準備していたが、インド入国の申請書はなかった。

「地球の歩き方」をコピーしていたが、その入国申請書のコピー文字が小さくて、英文の綴りが見えないのである。


老眼鏡と、小銭入れに入れていた小型ルーペの二枚を合わせて、必死にぼやけた文字を追った。


読み取れるスペルをコピー地図の裏白に書き写しては、スマホの辞書で調べた。


約2時間はかかった。ようやく、一通り調べ終わって一安堵。なんとかなるのではなかろうか……。トイレへ行って、搭乗改札口の近くで座るなり、思いっきり「まいったな~」と嘆息した。


 そのとき、すぐ近くの初老の女性が「どうしました?」と問い掛けてきた。


 その方が、亜喜音さんであった。


日本人であったのに感激した。「教えて下さいよ~」と、事情を説明すると、

「ああ、あの本を頼りにしていたのですね。私たちはあれは地球の迷い方、と呼んでいますよ。大概の人は、あの本で迷っていますから」


 そして、インド入国の申請書は、すでに書式が変わっているから、あの本は役に立ちませんと、自身のインド入国申請書を見せてくれたのであった。


一目、様式が違っていた。


私は、記入項目の一つ一つを教えてもらった。

それを①~⑩ と番号を振って、名前、国籍、住所、インドの連絡先、等々、教えて貰った。


飛行機の座席は、私の指定席とは随分、離れていた。

「私はいつも、この席を予約しているの。ここが一番に座れるし、出るのにも一番だから」


 それは、最前列であった。私の席は、かなり後部であった。


 そのために、バンガロールに到着したときには、亜喜音さんは既に、どこにも姿はみえなかった。


入国申請書をどこで入手したのであろうか?

飛行機の中か、または空港内か、定かには思い出せない。


亜喜音さんから見せて貰っていた小さな用紙を、飛行機を出た後の空港内で見つけたのかもしれない。


 メモを頼りに、順番に書き込んでいった。

 そして、入国審査官の前へ。


頼りにしていた同時通訳のアプリは、そのとき、「データが壊れているようです」と表示されて機能しなかった。

オフラインで働くはずだったのに!!


審査官がいろいろと質問するが、わからない~


私が心配だったのは、インド入国の為の出口では無くて、次の帰り空港のチェンナイ行きへの場所へ来ているのでは無かろうか、ということ。

係員が「チェンナイ?」と言っているのが分かったからだ。


「チェンナイ、ノー。違う。インデイライン。チェンナイ、ちがう」


 もう、スマホのオフライン通訳が機能しなくて、恨めしかった。

係員は、隣の者と尋ね合って苦笑していた。

「チガウ?チェンナイ、アトデ?」


 これで入国を拒否されれば?

もう、どうとでもなれ、と自棄糞であった。その内、審査員がパスポートを戻して「行け」と指図した。


 さて、指図された方向は?

 バンガロールへ出るための場所なのか、それとも、チェンナイへ行くための通路なのか?


再び、件の審査官の所へ戻って

「バンガロールシティ、オーケー?ノー?」


 審査官は面倒くさそうに、行け、行け、と指差した。


人々の流れに従って行くと、おお~、出られたのだ~

見覚えのある荷物取り出しのターンテーブル、という奴!


名古屋空港で預けたままの荷物を見つけなくては!とキョロキョロしていると、


「入国できましたね」と、亜喜音さんがにこやかに迎えてくれたのだった。


「ここで一夜を過ごすなんて、それは止めて、契約しているホテルに一日繰り上げて泊まった方がいいわよ」


 と、しきりに奨めてくれた。空港から、そのホテルへタクシーで行け、というのだ。予定外の出費になる。タクシーは高いのに決まっているし、宿を1泊余分に取るのにも、気が進まなかったが、、本気で心配してくれる亜喜音さんに従うことにした。


「私を迎えに来てくれる友人に頼んであげるから。予約しているホテルに電話をかけてくれるように頼んであげるから」

 そして、空港を出たのであった。


亜喜音さんの友人は、インド人であった。怪しい雰囲気はない。亜喜音さんに頼まれるまま、私の予約ホテルへ電話を掛けてくれた。


 すると、、、ホテルの営業時間外で通じないのでは無くて、そのホテルの人の言うことでは、この2~3ヶ月は、リニュアールのために、営業していない、客は取っていない、今夜も来てもらうわけにはいかない、ということであった。


 亜喜音さんも、友人のインド人も、しばし呆然としていた。

「私の家に来て貰おうか?!」と亜喜音さん。


「インドでは絶対に人を信用してはいけない、インド人は狡賢くて騙すから。また、現地の日本人も信用してはいけない」とは、散々に言われていた言葉で、私は判断に苦慮した。


悪い人間か、否か、私は自分の直感に頼るより他にはなかった。

亜喜音さんは、悪い人では無い。その亜喜音さんを出迎えているインド人は?

その雰囲気から同じく、悪い人では無い、と判断した。


「私の家に来てもらってもいいのだけどね、暫く行っていなかったし、散らかっているし、私自身、疲れているし。そうだ、2泊目に契約しているというホテル、そこへ問い合わせてみたら?」


 そのホテルは、受け入れOKであった。亜喜音さんの友人がタクシーを探してくれた。


最初に確保したタクシーは、荷物を積み込んだあとで、肝心のそのホテルを知らない、ということで、キャンセルにした。亜喜音さんの友人は、さらに方々へ電話を掛けてくれた。


 そのうちに、そのホテルを知っている、というタクシーを呼び出してくれた。


「良かったわ。メーター制のタクシーだから大丈夫よ。チップはやり過ぎてはいけないのよ。50ルピー程度にね」


亜喜音さんの友人が運転手に説明をしてくれた。そして、タクシーのナンバーをカメラに納めていた。


 そして、「もし困った事があったら電話をしてね」

と、亜喜音さんと、かの友人が、それぞれに電話番号を教えてくれたのであった。



インドのタクシー

 驚いたな~


 その運転手、のべつくまなく、おしゃべりの連続であった。

 たぶん、無線で会話をしているのであろう。相手の声はイヤホーンなのか、私にはなにも聞こえない。かなり大きな声で、絶え間なくしゃべくり通しであった。


 タクシーは空港を出るとまもなく、高速道路のゲートについた、そこで通行料120ルピーを私が払い、釣りの30ルピーは運転手へチップとした。


 しばらく高速道路を行って、やがて一般道路を走ったあとで、インドの下町を方々に曲折した。そして、「ここか?」という。そこは、奇妙な路地裏であった。


不安な事この上も無い。降りてホテル名を見ようとすると、運転手の方で違っていたと分かったようで、座席に戻るように私に指図した。


 そして、バックするのである。その時、バックの為に賑やかな音楽が鳴り出した。かなりの音量であった。百メートルはバックしたであろう。周囲にはHotelの表示がかなり見られた。


都会の雰囲気では無い。下町であった。そして、何処にも野犬がたむろしていた。


 どうなることやら……。



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