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第十九話 『どうやら智将が演説をするらしいんだが、その話を聞いてほしい』

バリーーン!!


そして手に持ったグラスを床に叩きつける。

その瞬間に周囲の会話が一瞬途絶え、意識がそちらに向けられた。



「私はパーティが嫌いだ」



ゼクトがそう言うと、周囲の人間がざわつき始めた。



「虫唾が走り、嫌になる!!」



その言葉にさらにザワつき、どよめく。

「なぜならそれは

この瞬間にもウェッルジーナの外にいる者達が冥帝の脅威に怯え

震えているからだ。」

辺りを見回しながら、言い放つ。



「子供がっ、女がっ、老人がっ!

明日の光を見る事さえも不安に駆られなければなら無いのはなぜなのか?」



どよめきが静まり返る。

夜中の寺の如く。



「冥帝を撃ち、平和を!!!!!

 冥帝を撃ち、安全を!!!!!

 冥帝を撃ち、秩序を!!!!!」



ゼクトはこの言葉を手を振りながら何度も復唱する。

すると次第に静まっていた会場の人間が「平和を、安全を、秩序を」と口遊みはじめた。



「冥帝を撃ち、平和を!!!!!

 冥帝を撃ち、安全を!!!!!

 冥帝を撃ち、秩序を!!!!!」



「冥帝を撃ち、平和を!!!!!

 冥帝を撃ち、安全を!!!!!

 冥帝を撃ち、秩序を!!!!!」



「冥帝を撃ち、平和を!!!!!

 冥帝を撃ち、安全を!!!!!

 冥帝を撃ち、秩序を!!!!!」



「冥帝を撃ち、平和を!!!!!

 冥帝を撃ち、安全を!!!!!

 冥帝を撃ち、秩序を!!!!!」



そしてゼクトが手を挙げると、また静寂が訪れた。



「だから私は軍人として、そう!!!!強く思う!!

 だから私はこのギルドの代表として、そう!!!強く思う!!!!!!

 だから黒王冠はギルドとして、そう!!!!!!強く、強く思う!!!

 だから結束しなければなら無いと!!!!!!」



「ウェッルジーナの民の平和と安全の為に!!!!!!!」



一瞬の静寂。



そして直ぐに、盛大な拍手と喝采が周囲から起こった。

それには目の前にいたクジャナ本人も、気づいたら目を血走らせながら夢中で拍手をしていたのだ。

ただその演説の力は、凄まじいものがあった。


単純な言葉だが、人の心に入り込ませる聴き心地と勇気を与えるような力が内包していた。


身振り手振りを交え、抑揚をつけて、周りのものを引き込む。

ゼクトを准将にまで昇らせたのも、この演説力があったからだった。

魔剣を捨て、声を武器に。

鍛えられた体躯よりも、恰幅のあるそれを。

肩で息をしながら、汗を滲ませながら、全身を使いながら。



拍手喝采の中心にゼクトがいた。


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