第十五話 『どうやら、七日の間に融合出来なきゃ処刑されるんだが、その話を聞いて欲しい』
この章はこれで終了です。
「退廷」
ゴールドスミスは静かに言い、カン、と木槌を打ち鳴らす。
すると扉が開き、ゴリラのような、もといゴリラそのものと言える体つきのスーツ姿の男が虹色と呼ばれたそのキャスケット少女を引きずり出した。
「離せー!!放せー!!」
鼻に掛かる声で喚きながらズルズルという音が聞こえるかのように、コミカルにその場を後にした。
しばしの静寂の後に、「ゼクト大佐」とロラルルが太鼓腹の男を見た。
「准将だ!!先日昇格したと電報があったろ!!」
自分の階級に泥を塗られる事が許せなかったのか、太鼓腹の男、ゼクトは机を叩いた。
「貴方まで退廷したいのですか?落ち着きなさい」
ゴールドスミスは静かにそう言うと、ゼクトは咳払いをして正面を向いた。
「戦力どうこう以前の事を言っているのだ。何処の馬の骨とも思えんやつを信用出来るのか?仮にそれだけの実力があったとしても、瑠璃色のような事件があっては、力が大きい分厄介でもある。そうだろう?違うか?」
ゼクトのその言葉には、ゴールドスミスも「確かに」と世論としての賛同を示した。
「確かに私たち民衆もラピスの愚行には頭を痛めています。これはロラルル、貴方が率いるギルド【社交界】の問題ですよ。分かっていますね」
ゴールドスミスは静かに、そしてはっきりと物を言った。
民の代表としての役割。それを全うする。
「はい・・・。申し訳ありません」
耳の痛い言葉なのだろう。ロラルルは渋柿を齧ったような顔をして頭を下げた。
するとゴールドスミスも法衣のズレを直す。
「いえ、私も脱線をしました。ここは審問評議の場。話を戻しましょう」
それから老眼鏡の淵を触った。
「セイ」
「え?あ、は!はいっっ!!」
その物静かでいて深みのある呼びかけに、「ケモミミ♪ケモミミ♪」と独り言を言いながら上の空だったセイは背筋を伸ばした。
ゴールドスミスが教師だったらきっと全校生徒から支持されるだろう。
なぜだかそう思い、改めて正面を見た。
「7日。その間に【菫色の魔法生成者】であったロアナと融合し、またこの場に来なさい。そしてその実力と誠意を示しなさい」
「はい!分かりました!!・・・あのぉ、もし7日で出来なかったらぁ」
するとゴールドスミスは老眼鏡を外す。
そして目頭を押さえてから「出来なければ・・・、か・・・」と呟いた。
「その場合は、処刑も考慮に入れて再審します」
老眼鏡をかけ直すと偉大なる市民、ゴールドスミスは冷静に告げた。
はっきりとした冷静な口調が、セイの鼓膜を揺さぶった。
ちょっと唐突ですが、設定集とかだとここが妥当かと。。。
次の章は、ゼクトのギルドやロラルルとの関係性などの解説になります。
もしかしたら相関図的なものも書くかもです。