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第十二話 『どうやらライセンスが無かったから大変な事になってしまったんだが、その話を聞いて欲しい』

「まず君の知るべき罪過だが。『魔導師許可証ライセンスも無く融合した』事だ。そして君の称えるべき功績は『蟲王を討伐せしめた』事。これらを天秤にかけ、君を処分する。良いかね?」

偉大なる市民、ゴールドスミス。

老眼鏡をかけた初老に差しかかろうとする男だ。

しかしその青色の瞳は全てを見透かすような鋭さを持ち、それでいて誰にでも分け隔て無く接する事の出来る度量の深さが見て伺えた。

だからこそ温かくも冷えたような彼の表情は、この場における議長として最も必要不可欠な何かをしっかりと心得ているようだった。

故に開口一番に、裁かれる側のセイにその内容を伝えたのだ。

「はい!」

だからこそセイも誠意を持って同意を告げる事が出来た。

「よろしい。では始めよう」


カーン!!


ゴールドスミスはもう一度、木槌を打ち鳴らした。

「ではセイとやら、君は一体どこから来た?」

間髪入れずに白い軍服を着た太鼓腹の男が肘をつき前のめりになると、セイを鋭く見据え質問を投げかけた。

「気がついたら、あの、森の中に居ました」

「聞きましたか皆さん!!人が湧いて出てきますか?これが既に偽証であり、蟲王のスパイ、いや、姿を変えた蟲王の可能性もあり得ます!!即刻処刑を!!」

「えええええ!!!!!!!!!!」

はじまって3秒もしないうちに、セイは自らの命を絶たれる提案を出された事にこれ以上ないショックを受けた。

するとロラルルが手を挙げ「お待ちください!!」と反論の意を体現する。

(参ったなぁ、いきなり出鼻くじかれちゃったよ)

とでも言いたそう表情が、対面しているセイからはありありと伺えた。

「彼が蟲王を倒したという事実は明白であり、魔導師許可証ライセンスを持つロアナという生成者プランナーからも証言を得ております」

「それは事実かもしれんな。だが、その蟲王が偽物でこのセイが本当の蟲王だったならば?敢えて自分の影武者のようなものを倒し、信用を得てウェッルジーナ内部から破壊を企んでいる可能性は否定出来ないだろう!!!」

「おお、確かに!!」

「そうかも知れんな」

他の者達も、太鼓腹の男に傾き始めた。

やって居ない事を証明する事はこれ以上なく難しい。

そしてそこを巧く突くこの太鼓腹の男は、あっという間に場を支配してしまった。

「では、処刑の日取りに議題を移そうか?ん?」

太鼓腹の男はニヤニヤしながら、ロラルルに一瞥を投げる。

あっという間にセイの死は確定してしまった。

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