第九話 『どうやら蟲王をボコボコにするんだが、その話を聞いて欲しい』
この章はこれでお終いです。
その言葉に、ロアナは衝撃を受けた。
「あなた、根源力の消耗は、気力は大丈夫なの?虚脱感とか疲労感とか無いの!!!?????」
「いや、あまり。階段ダッシュしたくらいだけど」
ロアナはさらなる驚きを表情に滲ませた。
それは次第に勝利の確信を得た力強い笑みに変化する。
そしてロアナは改めて蟲王を鋭く睥睨した。
「結局のところ、同じだったな。まぁ、確かに多少威力は上がったがその程度だ。私がこの程度で」
蟲王が翠玉色の魔力を全て自身の持つ赤炎色の魔力で収束させ葬りさる直前に、自らの強さから悦に浸る。そしてセリフを流れるように吐き出そうとしたその時だった。
赤く光る眼が捉えたのは、再度放たれようとしているロアナの切り札。
しかも先ほどよりも大きな魔法陣によって倍加された美しく煌めく緑色の六芒星。
「な、な、な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!?????????????????」
唸り声を上げ、今から起こる限りなく近しい未来に冥帝の腹心は怯んだ。
怯まざるを得なかった。
「待て。待て!!待てッッッッッ!!!!!!!!今回は見逃してやる、貴様の街も襲わない!!!!何にもしない!!!!!!!引き籠もります!!!!!!!!!だ、だから」
見下したような言葉から謙るそれに変化させ、誰が見ても己が逃走する為の言い逃れを捲し立てる蟲の王。
「だから!!!!!!!今回は!!!!!!!!!!!!」
声を荒げながら、蟲王はロアナに懇願にも似た、もとい、懇願そのものを向けた。しかし彼女の表情は怒りに満ち、それでいて平常心に抑えようと小さく冷淡に発声した。
「もう、遅い。」
そして魔法陣から翠玉色の魔力が蟲王に放たれた。
「に、人間風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
体躯を粉々にさせ、血液が蒸発し、消し飛ぶその時まで捨て台詞を吐き続け、蟲王はその身を消失させた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・。や、やった・・・・・・・・・」
「お疲れす」
「君はどうして、そんなに、普通でいられ・・・るん・・・だ・・・・・・」
ロアナはそう言いながらガクッと意識を失う。
そこに一言セイは告げる。
「千回お願いしたからじゃない?」
と言ったが、既にロアナは気を失っており、セイは溜め息を漏らした。
「誰かこの話を聞いてよ」と。
ありがとうございました。
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