プロローグ
人生は曲がり角だらけだと良く言うが、たまには一本道でも良いんじゃないかと思うこともある。
そう。例えば今のような状態とかさ。
「頼むから出してくれよー」
冷たくひんやりとしたそれは嘘でも夢でもなく現実を証明させた。こんなものが証明されようが、一切おれは疑っていなかった。
「ああ、腹減ったよー、ひもじいよー」
棒読みっぽく話したが、演技でもわざとでもなく本気の声だったりする。
近くに間違いなく人がいるのに、言葉が通じないのか誰も反応しない。
「大体さ、なんなんだよ。あれは……てっきり、とんでもない力を発揮するところだろ!? そう思わないか!?」
興奮のあまり思わず声高々となっていた。それは近くの人間に話しかけたわけではない。
違う人物に話したんだが、それを人と認識して良いものか悩んでしまう。
「あー、完全に腹ペコだぞ。ぐーって鳴いてるじゃねぇかー、可哀想だと思わないのか!?」
完全に迷惑人間。厄介な人物を招き入れたと思えば良い。招かれてはいないけどさ。
「頼むよー、出してくれよー」
もう牢屋は嫌だから、誰か救出しに来てくれないかなぁ。でも救出してくれるような人と会ってないんだけど。
まさか、もうここで終わりってことかぁ!?