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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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チートと演説

僭越ながら4/3本日誕生日を迎えました。 今後もよろしくお願いします。

ここからバトルはしばらくお休み。政治や食、ラブコメに入って行きますー。

「??うまく避けやがったのか?ノクト!もう一度だ!」

グロロロロ!とそのノクトと呼ばれる黒龍はもう一度ブレス攻撃を仕掛けてくる。

「カナリ様!!」

イセの声が響くが、何故こんな状態なのか?と考え込んでしまい、再び黒い炎に包まれる事になった。



「今度は確実に‥ 何ぃ!??!」



なんとまたもノーダメージ。そこで以前自分のステータスを見た時の事を思い出した。


「ベルレ神の加護」 



ステータス一覧の中に記述されていたこの世界の竜神の加護が自分には付いている。だからか。

「あーごめん。何発やっても無駄みたいだ。」

「なんでだよ!」

「俺の自己紹介が不十分だったよね?俺は異世界からこの世界の神、ベルレ・トーチ神に呼び出されてきた者なんだ。」

「ベルレ神の‥ つまり‥ 神の御使様‥?」

「そういう事になるのかな。俺にはどうやらベルレ神の加護が付いているみたいなんだ。つまり竜神であるベルレ神の加護であるから竜の攻撃はベルレ神以上の竜ででも無ければおそらく通らない。」


メキは愕然としてしまった。知らなかったし経緯はあれど、自分達竜人族の崇拝する神の御使様に手を上げる事になってしまった事。そりゃ攻撃通らないわという納得。どう見てもこれ負け戦なんじゃね?の悟り。神の御使の力量への感服。この後の自分の立場を考えた恐怖。そのすべての感情が一気に襲ってきた。 


「アタイは‥ アタイは‥ ガサ国の兵士だ!」

それでも軍隊長として、この戦の責任を考え、戦いを続行する決断をする。

「宣言した以上!結局肉弾戦しかないって事だな!」

先程と同じく双剣を構え、突進してくる。真っ向勝負だ! 


クイっ


突如カナリが手をかざし、指を曲げると同時に構えた双剣を持つ腕が勝手に後ろに持っていかれる。

「なっ!なんだぁ!?」

と思ったのも束の間、今度は両足が勝手に仰け反り、手と足が両方後ろに引っ張られ仰け反らされながら宙吊り状態になった。周りから見れば何もない状態で不思議な力で宙に浮かされている様に見えるだろう。実際食らってる自分も何かが当たっている感触がなければ気づかないだろう。胸が突き出されて恥ずかしい!

「なん‥で!?これもあんたの‥!技‥なのか!?」

「こっちの世界にある職業なのかは分からないけど、俺は手技や道具を用いて魔法の様な出来事を見せる『手品師』でもある。」

手品?大道芸人とかがやるあれか?

「これはその道具の一つ「ジャリ糸」と呼ばれる見えない糸。この見えない細さで人間を5人分ぐらい持ち上げられる強度がある代物。それをさっき張り巡らせていたんだよ。技が一つ決まらなかった後にね。」

あの時から!?  結構そのあと斬り合ってたのにそんなことしてたのかよ!?

「斬り合い中に糸が斬られても仕方ないから、地面に張り巡らせて置いて街の壁と柱に仕掛けた支点の所に引っ掛け、こちらで引けば網みたいに浮き上がり、引っ掛けられるって感じ。目眩しの突進の時に引いてたら燃やされてたかも。咄嗟に引き上げをやらなくて良かったよ。」

そのままずずいと前に出てメキに顔を近づけた。一瞬メキはドキッとする。


「まだ‥‥やるかい?」


「ハハッ‥‥。」

未知の飛び道具を使わずにここまで正面から同じ土俵で向き合って戦って、一対一に見せかけて騙し討ちみたいなブレスを攻撃仕掛けたアタイを、こんな惨めな格好にまでしておきながら‥‥ 優しい笑顔で言ってくるんだもんな。    敵わないねぇ‥。


「アタイの負けだ‥ 参った。」


その言葉を聞いて、唇を噛みつつも陣頭指揮を任されていたホタ歩兵隊長は撤退を指示し始めた。

これにてこの度の侵略戦争は終結した。 とは行かず、


「早くそいつの首を取ってくれ!助っ人さん!」

「そうだ!こいつが俺たちを攻めたんだ!」


まっ、そうくるよね。ここまでの被害を出された側としてはごもっともな怒りだ。

「さっさとやれよ。この怒りがアンタに向いちまうぞ?」

おいおい自分の心配よりも俺の心配かい?軍人としての心構えがあるのは結構だけどそう命を粗末にするもんじゃないぞ?異世界転移した俺が言えた義理じゃないけど。それに、

「まだ君との約束を果たしていないだろう?」

「約束‥?」

「言ったろう?相談に乗りたいって、次会ったらなって君が言ってたんじゃないか。」

「あぁ‥。」

確かにあの時もう会わないだろうと思って吐き捨てるように言ったけど‥。

「魅力的な女性だって言っただろ?いい女を守るのは男の甲斐性なんだよ。」

「バッ!こんな時に何言ってんだよ!」


まあまあと俺は声高らかに宣言する。


「皆様のご意向は深く理解している。だが!異世界からベルレ神に遣わされた者として、世界の調和に尽くすためには今一度こちらのガサ国との交渉によって賠償を話し合い、此度の件の発端理由とその改善に努めなければならない!よってこの者を私の従者とし、此度の件の復興と調和への従属をさせる者とする!果てなき事業への従属はこの場で死ぬことよりも長く辛く苦しいものとなるだろう!その責を負わせる事で復興の手助けとなり、被害を受けた方々の今後の活躍に繋げる事を約束する!それにそぐわない行動をした時には即刻この首を刎ねる!如何か!」


元議員として力の入った口調で、相手にもメリットがあることを示す公約を述べる路上演説と、助っ人の正体が神の御使と知った一同は混乱し、考え始めた。確かにこの場での溜飲は下がるが、今後の復興に際しては色々なものが不足し、このまま賠償も無ければそれも自腹だ。それに動いていける人間は確保したい所。一同がざわつく中、声を発した者がいた。この都市の最高権力者の男が名乗りを上げ、宣言する。


「その公約、この神官 パープル・ハイドレンジャ・サガミが受理し、後見人となろう!以後は復興に取りかかる!失ったものは大きいが神の御使の協力を得て、更なる力と誇りを身につけ、この歴史的屈辱の上に、以前よりも高みの繁栄を共に目指そうぞ!ソーアの民よ!」


街の人たちは勝鬨となる雄叫びを上げた。 これこそがこの戦の終着点だ。


「神官やっるぅ。」


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