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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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兵長と姪自慢

カナリ一行がスネーターに襲われている頃



ソーア 兵詰め所


「エバッサ兵長!戦士兵の負傷者が戦線に復帰出来る数が著しく、防衛線を下げ、規模を縮小せざるを得ません!」

「分かっている!明日には他国からの援軍が到着すると言っている!それまで持ち堪えるのだ!癒しの手は足りているか!」

「回復魔法の衛生兵の手も足りず、街にいる冒険者の癒し手にも協力を仰ぎ、何とか戦死する者は減じられていますが、時間の問題です!」


くぅ‥予想以上に魔法兵を抑えられている事が苦しい。日中に戻って来たと思われる召喚士の攻撃も相まって一気に形勢不利。何とか夜にまで保たせなければ‥。


明日の援軍という言葉で鼓舞し、その日は夜を迎え、エバッサは自らも癒しの手として負傷者の回復と戦士兵への労いに回る。 明日‥明日になれば援軍が‥ それは最早自分に対する鼓舞で言って回っていた‥。


「あなた、大丈夫?」

「シキブ様!大丈夫です!まだまだ頑張ります!」

「という事は休めてはいないということね。命令よ。今すぐ休息を取りなさい。その間は私が癒しの手を交代します。」

「そんな!巫女であるシキブ様に手伝わせて私が休むなど!」

「命令。と言ったはずよ?あなたが日中奮戦してくれたおかげでここまで耐えられたのです。明日に備えて休みなさい。返事は?」

睨みを利かせてこの街のNo.2は再度指示を出す。

「‥承知致しました。」

「大丈夫!明日には私の可愛い姪が援軍に来るんだから!イセちゃんは強いのよー!私なんかよりずっとね!」

力こぶを作って目を輝かせて満面の笑みでの姪自慢。この人のこの表情の落差に戸惑う事も多いが、何か仕えたくなる魅力を常に感じている。

「それにガルツ兄さんの連絡では強力な助っ人も同行してるって話だからきっと何とかなるわ!」

その瞬間にシキブ様の両手に緑色の癒しの光が灯り、部屋の負傷者全員にその光が届く。痛みに耐えて眠れていない兵達も寝息を立て始めた。元々はミヤーザの神官系の名家出身だが家を飛び出した冒険者でありパーティの癒し手であったと破天荒な経歴の持ち主。それを実現する魔力は未だ衰えを知らない。

「さあここはこんなものかしらね。私は次に行くからとっとと休みなさい。避難民の方は旦那が行ってるから心配しなくて良いわ。」

「パープル神官まで‥ 総力戦ですね‥。」

「何を今更!街の危機に街全体で対処する!それだけよ!」

その豪快な長2人の厚意に、兵士長として心苦しいがお言葉に甘えて座りながら睡眠を取らせて頂いく。仮眠から起きる頃には負傷兵のほぼ全部の応急処置が完了していた。




翌朝、敵の攻撃が再開された。昨日の昼に戻ってきた召喚士の呼び出した空飛ぶ魔物からの攻撃に地上の戦士達は中々手が出せない。魔法兵が防御をするとすかさずランフォーの魔法封じの鳴き声で障壁を崩される。この繰り返し状態が今日も各地で起こっていた。

地上での魔人族の攻撃は上からの攻撃の間繋ぎ。目の前に敵が現れてそちらに反応すれば上からやられるというわけだ。かと言って対処しなければそのまま正面の魔人族の刃の餌食。本日も劣勢に追いやられるのにさほど時間は掛からなかった。


「これ以上削られては‥。」

エバッサ兵長は各地の戦線の報告を聞き、兵の配置を事細かに動かし、この状況を乗り切っている。しかし魔法兵が攻撃に回れない現状を何とかしなければ戦況を好転させることは出来ず、このままでは後一時で壊滅になってしまう。

「このままではこちらがすぐやられてしまう!私も出て戦う!これからは東の中央の戦地に今後の状況を集めよ!」

エバッサ兵長は痺れを切らし、詰め所を飛び出して街の中央の1番の激戦区に向かった。

その中央では昨夜回復された兵達が奮起し肩車をしながら弓を放ち、上空を牽制したまま正面を魔人族を迎え撃つという切羽詰まった戦術で持ち堪えていた。ええー凄くない?

「兵達よ!我もこの前線に加わるぞ!どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」

大剣を一閃、魔人族の一部を吹き飛ばす。さすが兵長だぜ!と一瞬盛り上がるも束の間、正面を薙ぎ払ってもやはり上からの攻撃を何とかしないと‥。


「隊長!!」


!! これは自分に向けられた言葉ではない!?相手の方の‥隊長が来たということは‥


ゴォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


上空から炎の波が押し寄せてくる。 これまでか‥‥






「ブレース!ブローカ!!」





目の前の炎の波は突如現れた戦域を覆い尽くすほど巨大な障壁で防がれた。


だがその障壁の大きさよりも驚いたのは、それを放ったのが目の前に突如現れた少女だった事だ。


「ここからは‥‥反撃の時間ですわ!」

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